神様転生したけど、冷静に考えたら幽霊とかお化けが怖いので超絶除霊チート能力をもらった。 作:尋常時代
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──どう? 私のこと信じられたかしら?
この世の終わりのような状況で、巫女服の彼女はこちらを指差してそう言った。
いや、まあ信じるもくそも何にもなくない? 突然現れてこんなこと言われても。
そもそもなんで彼女がこの場にいるのかもよく分かってない。
世界を埋め尽くすかのようなおじさんと、美しい人形のような彼女。
俺は目の前の光景に圧倒され、言葉を失っていた。俺は夢でも見ているのか? 俺は泣きたくなってきた。もっとカッコいい状況でさ、「君を……助けに来た」とか言いたいわけよ。男の子だからさ、格好つけたいんけど、これは無理じゃない? いくらミステリアス美少女って言ってもこんな状況じゃときめくものもときめかないだろ。
「というか顔赤くない?」
暗くてよく分からなかったが、彼女の顔が赤くなっているのに気付いた。
俺の視線に気づいたのだろうか、彼女は慌てて顔を背ける。……え、照れてるんですかねこれって。なんだこの子可愛いぞ。くっ、ときめいてしまった。えっ?俺こんなおっさんだらけの状況でもときめけるんだ。美少女お得すぎるだろ、こんな状況でかわいくなることある? 畜生め、俺も美少女なら今頃は最強霊媒少女として一躍有名になっていたのに!
しかし、彼女に構う余裕は今はなかった。なぜかと言えば、背後に迫る謎の影があったからだ。
振り返ると、そこにいたのは真っ黒な何かだった。それは、まるで影絵のように輪郭しか分からない。だが、それがコートを着た人のように見えた。
その人物は、ゆっくりとした足取りで近づいてきているようだった。
そのことに気が付いた瞬間、心臓がどくんと跳ねた。もしかして、目を逸らしていたけれど、俺の初めての怪異現象ってこれなの!? いや変態どもフェスティバルだとしても嫌だけど俺の初めてがこんなのも絶対に嫌なんだが!?
なぜだかわかんないがヤバそうな気がする……!! そう思った次の刹那には体が動いていた。
「こいつ……キモイっ! 逃げろ!」
「……? 何をしているのですか?」
目を逸らしていたからだろうか、状況がまだよく分かってない様子の彼女に声をかける。
だが、それに返事をする間もなく、
そして、消えた場所から数秒後にパァンッ!!! という大きな音が鳴り響いた。遅れてやってきた衝撃波に、思わずその場にしゃがみ込む。
一体何が起こったんだと立ち上がってみると、先ほどまでの暗闇が嘘かのように辺りは明るくなっていた。
そしてその眩しさの中に、
その男は、手に持っていたハンマーのような物を振り下ろしていた。その足元は、地面が陥没していてクレーターのようになっている。
ただ振り下ろすだけであんなことになるとは到底思えない大きさである。
そしてその男は、俯いて表情こそ見えないものの、明らかに正気ではなかった。
それはそうだ、あれだけのことをやってのけた人物の様子が正常であるはずがない。
それを証明するように、肩を大きく上下させながら荒々しい呼吸を繰り返している。
「なぜあの子がここにいる?
そして、ゆっくりとその男が首を上げた。その瞳には、狂気と殺意が宿っていた。
彼はそのまま、ゆらりとこちらに向かって歩き始めた。その手には、いまだに凶器が握られている。
前からは一歩一歩、こちらに近づく男。
後ろからは黒い影。どちらも、この世のものとは思えない形相をしている。……ああもう、マジかよ。どうしてこうなったんだよ……。
こいつらはどうにでもなるが、俺は、依頼人がどこかに行ってしまったことに頭を抱えた。
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「あ、私は
そう言って、先ほどの狂気はどこへ行ったのか、スーツ姿の男性はにこやかにこちらに名刺を差し出してくる。
そこには、陰陽師 安倍晴明の子孫 陰陽道一門 土御門家
どうやら、本物の陰陽師のようである。いや、最近の陰陽師って名刺あるんだ。すごいな。
「すいません、どうにも昔から人の名前を覚えるのが苦手でして」
「
俺は、少しだけ警戒しながらも彼の言葉を待つことにした。
なんでも、今回の件は俺の力を見たかったという理由で起こしたことらしいのだが、どうにも状況がよくわからない。
「いやはや、本当なら後ろの怪異を払うところを見させていただいて、お礼をさせていただくつもりだったのですが」
イレギュラーが起きてしまって、中断せざるを得なかったのだという。
「それは、あの巫女服の彼女ですか?」
と聞くと、はい、
まあ死んでいることはないだろう。あの子が消えてから地面を殴っていたし、
いや、今はそれよりも気になることがあった。俺は、目の前の人物に質問を投げかける。
そもそも、なんでこんなことしたんですか? と。
すると、目の前の男性は困ったように笑いながら、 実は、あなたを試すための悪戯のようなものだったのですと告白してきた。
は? ……え? つまり、あの大量のおっさんはあんたの仕業だっていうのか。大した趣味だな。ここまでくると少し尊敬してしまう。
すると、そこでようやく彼が真剣な顔に戻った。どうやら、ここからが本番のようだ。
そして、彼は俺に問うた。……さて、本題に入りましょう。単刀直入に聞きます。
「あなたはどのようにして怪異を払うのですか?」
……はぁーん? どういうことだ? 俺が困惑しているのを見て取ったのだろう、目の前の男性は言葉を続ける。
「要は、私にあなたの力を見せていただきたいのですよ」
なにか、特別な能力を持っているのではないですか? と聞かれる。
しかし、そんなことを言われても、何と答えればいいのだろうか。ほかの霊媒師のやり方なんて知らないしな。
「例えば周りの妖怪が自動的に払われるのか、どのように対処するのかですね」
こちらが黙っていると、男はどんどんと言葉を繰り出してくる。どんだけ質問したいことがあるのだ。
というか俺の能力は
「おいおい、それなら先にすることがあるんじゃないのか」
「おや……ああ、確かに。霊能力者へ依頼を出すには礼儀が足りていませんでしたね」
「ああ、困ったことがあるならまずは依頼しな。格安で受けてやるからよ」
「それで、事の顛末はどうなったのかしら?」
そう言いながら私は、妹がいる例のクラスへと潜入させたからの部下から報告を聞くため、連絡を取っていた。
事の原因はロングコートの妖怪というべきか、夜道に出没する露出狂へのイメージを利用して
中身はなく、「おじさんの体、綺麗?」と道行く人へ語り掛ける妖怪だったらしいのだがなぜか全国の変態どもに共鳴し「怪異 トレンチコートのおっさん」に最もふさわしい中身を探して人をさらう妖怪へと変貌したのだという。
中身が本体ではなく、トレンチコートの妖怪であったので、もしかしたら妹には裸のおっさんが埋め尽くす光景が広がっていたのかもしれないが、まあいい勉強になっただろう。
運がよかったというべきか、あのクラスの担任が冬休みに逮捕されたため、裏工作がしやすい状況になっていたからこそ、こうして簡単に情報が入ってくる。
私は部下からの聞き取りを終え、その情報をもとにして次の作戦を考えていたのだが、私は苛立ちを抑えきれず、机に置いてあったマグカップを手に取り、中のコーヒーを一気に飲み干した。
「あんのバカ兄貴、いい加減大人になれってんだ」
苦い。だが、これで少しは冷静になれる。
私はゆっくりと息を整え、再び思考をめぐらせた。
あのバカは、本当に救いようのない愚か者だ。
まあ、だからこそ私が動かなければならないのだけれど。
まったく、バカ兄貴はいつも私の手を焼かせてくれる。
しかし、妹も妹だ。なぜあんなにもこんな力に執着するのだろうか? 巫女には……霊能力には不思議な力がある。それは私も認める。
だが何よりあの子は優しすぎる。
私はあの子には幸せになって欲しいのに。だから私は……
「あの……恐れ入りますが、桔梗さまは自らお動きにならないのでしょうか」
そう言って部下は私に、≪土御門 桔梗≫へと尋ねてきた。なるほど、未来を見ることができる私であればもっと良い策を思いつくのではないかと、そう思ったのだろう。はたから見ていると、私が動いているようにも見えまい。
確かに、私は未来を見ることのできる。だがそれはあくまで神から授かった力なのだ。
「私は見ての通り、この身を動かすこともままならない。それに、あの子たちならきっとうまくやってくれるでしょう。あの子は私の自慢の妹なのだから」
私はそう答えた。だが、部下はまだ納得していないようだった。
確かに、私もあの子のことが心配じゃないわけではない。
だがあの
この世には、決して触れてはいけないものがあるということを。そう、
そして、神や妖怪があの少年へ関わることなんて、ありえない。
「君は、どうして肉を持たない幽霊や妖怪がこの世に留まれると思う?」
私はそう尋ねた。これは、決してあの子には聞かせられない話だ。そしてこれは部下からの話を聞いて思い至った部分もある。
「それは……妖怪であれば人間たちが持つ恐怖や畏怖によって、幽霊であれば残念や無念といった強い情念によってこの世に留まってしまうからだと聞いています」
彼女はそう答える。だが、それは半分正解で、半分間違えている。
この世の理として、肉体を失った魂はやがて消えてしまうもの。それが摂理であり、道理である。
「私は、
それは形のないものをこの世へと
畏怖や恐れを、無念や残念を光と水としてこの世に怪異として、時には神として生まれ出てくるのだ。そして、この世界にはそういったモノたちが人知れず存在している。
人はそれを見えないものとして過ごしているが、本当は見えて当たり前の存在なのかもしれない。
だが、彼らは人には決して触れることのできない存在であるがゆえに、誰にも知られることなくひっそりと生きている。
「彼はね、その
トレンチコートの怪異はただ存在が許されなくなり、消えたのだという。
彼の能力には善悪はない。ただ自分の仕事を全うしているだけ。人間にとって何の害もないものだ。
だが、力あるものはその存在を許しておくわけにもいかない。
「彼に刈取られたものは、この世から消滅する。
焼き払われても根が残れば元にも戻ろうが、根付くものがない地面にどれだけ水をやろうが意味がないのだ。
そう。それは神ですら例外ではない。彼が力を行使すれば、抵抗すら許されることなく。それは神への冒涜でもある。神が赦すはずがない。
私はそう思いながら、窓の外を見つめる。今日も相変わらず雪が降っている。だが、そんな景色もいずれ私の目では見れなくなってしまう日がくるだろう。
私は二度とこの家から出ることはないのだから。
子供の頃から私は神様の声を聞くことができたし、他の誰よりも霊力が優れていた。
そのため私は神様から御神託を賜り、巫女として人々のために尽くしてきた。
しかし、神は私たちのため動くことはない。
なぜならあと百年もあの少年をやり過ごせばどうとでもなるのだ。
私はあの子のことが大好き。私の妹。あの子が幸せになるならそれでいい。たとえ私が犠牲になろうとも。
「私の仕事は彼が神社に、神域に近づかないかを監視すること。彼がいなくなるまでね」
私の命は、神に捧げるために存在するのだから。それが私の使命なのだから。
「だから、あのバカげた目的に、あの子を利用するなら許さないわ。たとえ兄貴でもね」
外を眺めていると、インターフォンが鳴った。誰か来たようだ。誰だろうと不思議に思いつつ玄関を開けると、そこには、件の少年の姿があった。
すぐに扉を閉め、私は叫んだ。
「なんかいる!?」
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