偶に愛が重くなるまぞくと、愛されてる男のまちカド物語 作:名無しのモンスター
毎年この日には何か書こうって決めているので、これでどうにかシャミ子を祝うぜ‼︎
IF:結婚記念日だから優子にサプライズ……する前にトラブル発生⁉︎
どうも皆さんこんにちは、白哉です。
えー今日はですね。もうすぐ優子との結婚記念日が近づいてきたわけでしてね、とある行動に移そうと思っているところなんですよ。このサプライズを後々知った優子は一体どんなリアクションをするのか……楽しみで仕方ねェぜ。
さて、俺が何をしようとしているのかというと……
「新婚旅行……ですか?」
「あぁ。俺達が結婚してからもうすぐ一年が経つだろ? その記念として二人で……って思っているんだけど、どうだ?」
「旅行……いいですね‼︎ 是非一緒に行きたいです‼︎ 寧ろ喜んで‼︎」
そもそもよく考えてみれば、優子は旅行とか行った事がない感じだったからな。これを機に、優子には初めての旅行を楽しんでもらいたいとも思っている。
あっでも、その日の間の優子のスケジュールはどうなんだろうか? シフトが連日で空いているとサプライズしやすいんだが……
「あ、ちょっと待ってくださいね。今仕事先に有給が取れるかどうか聞いてみますんで」
優子はそう一言断りを入れると、スマホを取り出し仕事先へと連絡し始めた。うんうん、電話して確認を取る事は大切だからな。これで連日有給が取れるといいが───
「ゆ、有給が一週間分取れました……しかも『新婚旅行』って言っただけでテンション高めの二つ返事で……」
「そっちの店長、ウチの部長と似た感じなん?」
新婚旅行する期間だけでいいのに、追加でそれ以外の日にも有給をあげるとか……ホワイト以前に職場管理大丈夫なのか? 下手すると、多くの従業員が一斉に有給申請したら全員にOKしそうな感じがする……
ちなみに。実は俺も一週間前、部長に旅行期間に有給申請をしてたんだよ。そしたら一分もしない内に即OKだし、しかも一週間に伸ばしてくれたし……いや、ウチの職場もホントに大丈夫か? 逆に不安になってきた……
「ま、まぁいいや。旅行期間にお互い休みが取れたのは良い事だし、後はその日が来るのを楽しみにしておいてくれよ?」
「はい‼︎ それはもちろん‼︎ 旅行先はどうなるんでしょうか……すごく楽しみで 《ピンポロポーン》 ん?」
「……この独特な音のインターホンは……」
優子が旅行への期待を高めている事を表す呟きを遮り、インターホンの鳴る奇怪な音が発生した。……あぁ、またあいつか。インターホン代わりのアピールみたいなもの無しに突然現れるよりはマシだけど、なんだかなぁ……
と思いながらも、
「ヤッホー二人とも‼︎ 聞いたよ、新婚旅行に行くんだって⁉︎」
「当たり前のように聞き耳立てんなよお前」
「ど、どうもです。しおんちゃん……」
何故か俺達がこのマンションで同居するよりも先に、このマンションで一人暮らししていた小倉しおんの登場である。俺達がここで同居する事になった事を記念して、色々と助かる事を(勝手に)してくれた良いお隣さんとなっていたのだ。この壁も……ね?
勝手にマンションの一部を改造するとか、ちゃんと大家さんに許可を取ったんだろうか? いや、寧ろ彼女がいつの間にか大家さんになったのか? じゃなきゃマンションを改造してないはずだし……
「……で、一体何の用だしおん? 冷やかしなら間に合ってるんだが」
「冷やかしなんて言わないでよ〜。新婚旅行に行く二人のために、とっておきの発明品をあげようと思って来たんだからさぁ〜」
「それを大抵冷やかしって言うんだよ」
これまでお前が作ったヤツで戸惑ったり酷い目に遭ったりした時があるから冷やかしと言うしかないんだよ……
前は誰かの所持品じゃない多くの金品を遠くからも引き寄せる磁石とか、色んな人達を一定時間蝶々に変えるとか、優子を俺の意思で好きなタイミングで強制発情させる電波発生機とかさぁ……
「と、とりあえず……しおんちゃん、私達にあげようと思っている発明品って何ですか?」
「フッフッフ……君達カップルが色々なピンチの時に役に立つ、トップクラスに良い出来の発明品達だよ‼︎」
「「カップルが色々なピンチの時に役立つ発明品達?」」
なんだその変な感じのする効果のヤツは? しかも『色々』とか『達』とかって事は、複数作ったって事か? どれもまともなヤツなんだろうな? 不安だ……
♢
なんやかんやありながらも、一週間後。俺達は新婚旅行に行った。その行き先はなんと……
「ガ、ガガガ、ガチハワイ……ですか……⁉︎ お、沖縄……とかではなく……⁉︎ ゆ、夢……⁉︎」
「気づくの今更? 乗る飛行機の便とか見れば分かるだろ。あ、それとも沖縄とかの方が良かったか?」
「い、いえ‼︎ 何処へ行っても嬉しいと言いますか‼︎ け、けどハワイは予想外でした‼︎」
そう……俺達は今、ハワイに来ている。鳥取県にある
いやぁ俺もハワイは初めて来るけど、正に夏の国‼︎ って感じがするよ。日本では秋の季節に入っているというのに、中々熱いなここ。ホントにハワイに来ているって感じだ。
「し、しかし……こんなリッチな旅行するのにうってつけな場所、よく行けるようになれましたね……」
「この前スーパーの福引きで当てたからな。期限が再来月までだったし、丁度いいかなって」
ありがとう、福引き界の神様……貴方のおかげで
「さてと……一度事前に色々とスポットを調べておいたんだが、優子は何処に行きたいとかのリクエストはあるか?」
「えっあっ⁉︎ と、特に考えてないです……し、強いて言うなら、お腹が空いてきたかなぁって……」
「そっか。じゃあこの辺に美味いロコモコをやってる店があるから、そこに行こうか」
「は、はい……」
うーん、やっぱ緊張しているな優子は。それもそうだよな。ハワイなんて来る機会は滅多にないし、そもそも外国どころか旅行自体行くのが初めてなんだし。
よし、ここは……そう考えながら、俺は優子に右手を差し出した。
「ほら、行こうぜ」
「……‼︎」
手を差し伸べてコンマ5秒、優子は即座にその手を取った。そして恋人繋ぎで指を絡め合えば、気恥ずかしそうに微笑みを浮かべてきた。ヤベッ……ウチの嫁可愛い。
「……えへへへっ。やっぱり、白哉さんの手は安心しますね。一瞬で緊張が解れたと言いますか……♡」
「そ、そうか。それなら俺も安心するよ」
そ、そんな満面の笑みで見つめないでくれ……こ、興奮するかも……いやなんとか余裕で耐えるけどさ。
「さぁ早く行きましょう‼︎ ロコモコ、一体どんな味がするのでしょうか……気になります‼︎」
「まぁハンバーグと目玉焼きがあるから、結構美味いんじゃないか?」
優子がいつもの調子を取り戻してくれたし、これ以上予想外の方向で理性が崩壊する前にロコモコの店に行くとするか。これで食欲が削がれたら困るし……
あ、現地民の人発見。早速店の場所を聞きに行くか。あぁそうそう、言語に関しては大丈夫。
「すみません、この《○○○○○》って何処にありますか?」
『ん? あぁ、ここを真っ直ぐ行ってそこを左に曲がってすぐ右にありますよ』
「ありがとうございます………………しおんからお互いの言葉を翻訳するアイテムを貰ってよかったな」
「ですね‼︎ これで旅行中は分からない英語が読めない不安がなくて済みそうです‼︎」
しおんが作ったという、ほんやく○ンニャクならぬ翻訳アメ……甜めるだけで三日間どんな言語も日本語で聞き取れ、話す相手に合わせた言語に自動翻訳してくれるんだ。半信半疑だったけど、これで安心だぜ☆
♢
ロコモコ美味かった。優子も満足して完食していたし、良かったなと思ったよ。
昼食を摂った後、お土産屋に寄って、マカダミアナッツチョコとかカハラコスメティックスのハンドクリームとかハワイ産のコーヒーとかを買っていった。旅行に行くならお土産を買うのも大事、はっきりわかんだね、
んで、その次にやる事と言ったら……
「ビーチで海水浴……なんだけど、さすがにはりきり過ぎたか?」
ハワイと言ったやっぱり水着になる事。けど、俺の格好は我ながらイタイ方ではないかと思っている。
水着は白を基調に黒いラインの入ったスポーツウェアタイプの海パン(?)。まぁここまでなら特に何の問題もないだろうが、その上にアロハシャツを着て黒いサングラスを掛けている。これが何を意味するか分かるか?
このカッコ、チャラくね?
別に俺、ギャルとかみたいにウザったらしい感じの性格じゃないよ? なのに、こんなパリピっぽい感じの格好だとさ……我ながら『何やってんだろう』って思えてくるんだよ……恥ずかしい……
「びゃ、白哉さん‼︎ お待たせしました‼︎」
せめてサングラスは取ろうと思ったところに、後ろから優子の声が聞こえてきた。ふとその方向へと振り向いてみれば……
「ど、どうですかこの水着……? へ、変じゃないですか……?」
白と水色のチェック柄に黄色い花の模様が施された、フリフリ系なビキニを着た優子が、同じ模様のシュシュで髪を纏めて俺のところへとやって来ていた。
ってかヤベェ……ビキニの優子の事を想像していただけでも興奮してきたってのに、こういう可愛らしい模様ので来たとなると……‼︎
「け、結構可愛い格好だな……」
「こ、これは……ミカンさんや奈々さんに、水着選びを手伝ってもらったからであって……」
なるほど……あの女子力の高い二人の魔法少女に協力してもらったのか。ミカン、奈々さん、ナイス。
「あっ……♡ 白哉さん。そこがこうなっているって事は、結構気に入ってくれたんですね……♡ よかった♡」
「ゲッ⁉︎ あっいや、これはそのっ……」
ヤバい、下がもう興奮まっしぐらになってた……我慢できてなかったよ……毎度のこと夜まではこういうのは抑えておいているのに、なんでこういう時に限って……‼︎
「あ、あの……お、お互い身体に日焼け止めとかを塗ったら……そ、その、誰もいない岩陰を見つけて……♡」
「ッ……」
んで、また優子が欲情するパターンというね。あぁもう、ハワイに来ても結局こうなるのかよ……
いや、落ち着け平地 白哉。俺は彼女にサプライズするって決めたじゃねェか。いつもみたいに彼女の性欲に釣られて負ける……なんてなるな。これも彼女を喜ばせるためだ、欲を解放するのはまだ早いぞ。
「優子……ここにはたくさんの観光客が来ているんだ。そんな中で、人気の無い岩場なんてそう簡単に見つかるわけないだろ?」
「あっ⁉︎ そ、それは……」
「俺は大丈夫だから。そういうのは夜になるまで我慢しようぜ」
「……わ、わかりました。で、でも‼︎ 耐えきれなくなったら言ってくださいね? 私はいつでも構いませんから……♡」
「それ、お前がシたいだけじゃね?」
言いたい……はっきり言いたくなってきた……『お前こそ性欲を抑えろ』って……‼︎
せっかくのハワイ旅行なんだからさ、そういうのはお互い抑えていようぜ? なっ? せっかくの旅行で警察のお世話になんてなりたくないからさ。
♢
この後俺達は、日焼け止めを塗った後はビーチを満喫した。お互い塗り合いの時に心境滅却しながら(優子がダメそうな感じになってはいたけど)。
海の中を泳いだり(優子は最初は浮き輪を使って)、ビーチバレーをしたり、砂の城作りに挑戦したり、ハワイ定番のトロピカルカクテルを飲んだり、マラサダドーナツを食べたりと、ハワイでしか体験できない事とかも結構やっていった。
いやー……ハワイ最高。これまでのビーチとは違った景色や光景で海水浴ができるなんて、テンション上がるな〜。いつの間にか夕方になりそうだし。
で、しばらくまた泳いでいたら。
「白哉さん‼︎ 次はバナナボートってのに乗りましょう‼︎ 結構すごいスピードで走るらしいですよ‼︎」
「おっ、いいなそれ。早速乗ってみるか」
というわけで、優子に薦められてバナナボートに乗る事になった俺達。しかもちょうど二人きりになりそうなタイミングでの決定だ。普通なら最低三人は乗るらしいけど、こんなに運が良い事ってあるぅ?
思い立ったが吉日。早速バナナボートに乗るためにそのための受付場へ泳ぐと───
「うわぁっ⁉︎ 見てください白哉さん‼︎ 噂をすれば、あれがそのバナナボートってヤツじゃないですか⁉︎」
「おぉ‼︎ 確かに結構スピードがあるな‼︎ 引っ張ってるボートの速さに合わせて、だけど」
しかもすごい波打ちしてるな。バナナボートって素早く引っ張られるとあんなにデカい波を作れるのかな………………って。
「なんか……波こっちに来てね?」
「えっ?」
バナナボートが思ったよりもデカかったからなのか、はたまた想像以上のスピードが出ていたからなのか、デカく早い波がこちらに迫ってきていた。これはヤベーと感じ、優子を守ろうと彼女のところまで泳ごうとしたが……
「ぶわっぷっ⁉︎」
「ぐえぇっ⁉︎」
行動しようとした瞬間に、俺達は波に飲まれ押されてしまった。海の中へと蓋されるように押されたわけでも、溺れる程の水量や威力でもないとはいえ、デカい波に飲まれたのは結構キツかった。それでも俺は必死に優子の手を掴み、すぐに水中から顔を出した。
「───ブハァッ‼︎ ……ゲホゲホッ。あぁ、まさか波を喰らうとは思わなかったぜ」
「は、はい。おかげで海の水をちょっと飲んでしまいま……した………………」
「ここからちょっと離れた方がいいか。またバナナボートが来て出た波に飲まれるわけにはいかないから……って、優子? どうしたんだ? そんな前屈みな感じになって」
水中から顔を出した後、ふと俺が優子の方を見れば、彼女は何故か顔半分を潜らせブクブクと泡を吹いていた。しかも顔を真っ赤しており、何やら羞恥心を感じている様子だ。
………………まさか。
「み、水着………………取れちゃいました……」
「めっっっっっっちゃ一大事じゃねェかッ⁉︎」
なんという事でしょう。さっきの波のせいで、優子のビキニの部分が取れ、波に攫われてしまったようだ。
そんな状態で、大勢のビーチ利用者が周囲にいる中で堂々としていられるか? 答えは否。それができたらガチモンの痴女だし、下手したら警察沙汰だよ。俺に欲情する優子もそれくらい理解している。俺の事じゃないなら普通のまぞくなんだし。
「ど、どうしましょう……こ、これでは海に上がれません……」
「ここは凌牙を呼んで……いや、ここでサメを呼んだらみんなパニックになるな。逃げ惑ったり駆除してきたりしてくるな絶対」
召喚獣は飯を一緒に食うためとかのために、最近呼ぶ頻度が多くなった気がする。だから何も考えずに呼ぼうとしちゃった……マジで危なかった。危うく自分から騒ぎを起こそうとしちゃうところだったぜ……いやホント、マジで危ねェ。
「あ、そうだ‼︎ なんとかの杖だ‼︎ それで取れたビキニを引き寄せる感じの能力を持った杖に変形させるか、落とし物を探す能力を持った杖に変形させるかすれば……‼︎」
「な、なるほど‼︎ それは名案ですね‼︎ 早速………………あっ。更衣室に入れっぱなしでした……」
「……アカンな。マジでどないしようか」
頼みの綱であるなんとかの杖は、今この場にはないようだ。俺のセイクリッド・ランスも落とし物を探す・引き寄せるような能力を備わってないし(代用となりそうな能力は厄介ものばかりだし)……
困ったな……夕方になってきているという事は、暗くなるのも時間の問題という事だ。なんとかして取れた優子の水着を見つけないと、このままだと優子が自分を責めそうで、どうにもサプライズができるような雰囲気じゃなくなるぞ……
「───ねェ、そこのお兄さんお姉さん。水着無くしたの?」
「「……えっ?」」
ふと後ろから、少女の声がだんだん大きく近づいてきたかのように聞こえてきた。それも丸々日本語だってのが、音程などからして伝わってきていた。ここはハワイなのに、翻訳アメで翻訳されてない感覚も不思議と感じる。
俺達がその方向へと振り向けば……肩を出しているタイプのワンピース型の青い水着(?)を着た少女が、手……というよりは腕を振りながらこちらへと泳いで来ていた。
その女の子は、ミディアムに近い銀色の短髪で、何故か白いヴェールと銀色のティアラを付けており、水中から出して振っている左腕は白い袖らしきもので手を隠していた。
なんか……変わったファッションの水着だな。ってかなんでヴェールとティアラを着けてるの? そしてなんで袖が手が隠れる程に長いの? しかも水着と繋がってないし。
……しかし、なんだろうな。この子を見ていると、何故か前世でもこういう子が描かれた公式イラストを、どっかで見た事ある気がするんだよなぁ……
イテテテテテッ⁉︎ 優子に頬をつねられとる‼︎ 痛い痛いめっちゃ痛い‼︎ 成長する内に弱かった力が強くなってる⁉︎ 痛ェって‼︎ ってかなんか自分の胸へと引き寄せようとしてない⁉︎ 他人の目の前だぞ⁉︎
「……白哉さん。何この子の事をジッと見ているんですか?」
「いや鞍替えするような事は一切考えてないよ? どっかで見た事あるようなって感覚程度だよ? 夫への愛情が強く可愛い妻の目の前で浮気する男とか最低だっての」
「そっ……そうですよね。えへへへっ……♡」
誤解されないように言い訳してたら、優子は理解してくれたのかチョロい感じになった。ってか俺が甘い感じの台詞を言う度に毎回こうなっているよな。長年そんな感じになってるから、俺絡みで何かに騙されないといいが……
「おーい。私は一旦離れた方がいいかなー?」
「ハッ⁉︎ えっと……に、日本語も泳ぐのも上手ですね……ってか、何故私達に日本語を……?」
少女に声をかけられた事で、優子は我に返り無理矢理話題転換した。確かに外国人っぽい見た目だけど日本語上手だし、幼い感じがするのにめっちゃ泳ぎ上手だったし……
「ん? あぁ……そうだなぁ、どう誤魔化せば……あっそうだ。ちっちゃい頃から日本語教室で習っていたから、これくらい余裕だよ。お兄さん達の顔も日本に関する雑誌をよく見てたから、一目見て日本人だなって……後、泳げるのは元からだよ元から」
ちょっと待て何それ。奇抜そうなファッションの水着だけじゃなく、天性の泳ぎ上手だけじゃなくて、日本語も日本人の見分け方も達者とか、どんだけ属性モリモリなんだよこの子。
「あっ。ところで、俺達に何か用がある感じだったけど、どうかしたのかな?」
「おっと、そうだった。気持ち良く
少女がそう言いながら右腕を出せば、右手らしき位置で何かを持っていたのが見えた。その彼女が持っているものとは、三角の布が二枚もあり紐のついたもの。
そう、それこそが俺達が探しているもの……
「あっ……‼︎ そ、それです‼︎ それが私の水着です‼︎」
そう、流されたら困る優子のビキニだった。まさかこの子、わざわざ見つけてくれて俺達のところまで……⁉︎ 歓喜だ……‼︎ 良い子だよこの子、見ず知らずの人の取れた水着を、わざわざ泳いで取って来てくれるなんて……‼︎
「流されてもうなくなったかと思っていたから、見つかってよかったです‼︎ ホントにありがとうございます‼︎」
「なくなったと思い始めていたのか? 諦めるの思ったよりも早くね? 尚更見つかってよかったぜ……」
「ま、まぁ波が速くえ大きかったもんね。なくなったのかなって思うのも無理ないよ。はい」
「ありがとうございますホントに‼︎」
何度もペコペコと頭を下げながら、少女からビキニを受け取った優子。すぐにその場で付け直し、それが終わると心配がなくなったのかホッと安堵した。
「それじゃ、また流されないように気をつけてね。私がいつも近くで泳いでいるとは限らないから」
「はい‼︎ もうホント気をつけます‼︎」
「本当にありがとな」
釘刺ししながら手を振って、その場から去ろうとしている少女に向かって、俺達も改めてお礼を言いながら手を振り返した。そして彼女が去ろうとしたところで、俺はある事に気づき、少女を呼び止めようとする。
「あ、そうだ。おーい、よかったら名前を教えてくれないかー? 俺は白哉ってんだ」
「私は他の皆さんからシャミ子と呼ばれているので、また会ったらシャミ子って呼んでくださいねー‼︎」
次会った時に、お互いの名前が分からないままじゃちょっとアレだったからね。バイバイするならお互いに名前を伝え合ってからにしないとね。
「ん? あぁ……メイルゥだよー。またね、白哉君。シャミ子ちゃん」
メイルゥ、か……やっぱりどっかで聞いた事あるような名前の気がするけど、まぁいいか‼︎ 次会う時が来た時のために、ちゃんと覚えておかないとな‼︎
この時、俺と優子は知る由もなかった。
「さてと……充分休みが取れたから、明日マスターの元へかーえろっ。マスター、久々に【
この少女・メイルゥ……否、【
いや、もう関係のない事ではあるが。
♢
気がつけば夕日が沈んでいったので、暗くなる前に、俺達は荷物を預けてもらっているホテルに戻る事になった。
部屋はできる限り豪華なところにした。部屋どころかベランダは広いし、テレビもデカいし、観葉植物も綺麗だしで……我ながら良い部屋を手に入れたもんだ。
ちなみにだが。俺と優子の格好は、前面全開のシャツを着ている事以外は水着のままだ。
せっかくハワイに来たとの事で、もっとハワイらしさを味わいたい……という優子の意見で、水着のままホテルに行ったってわけだ。水着のまま部屋に戻れるルールでよかった……
「ルームサービスの飯、結構美味かったな。肉も魚も豊富だったし、思いの外口に合うものも多かったし」
「ですね‼︎ 私達が日本人だから、それに合わせて作ってくれたのでしょうか?」
「ちゃんと日本出身だと受付で伝えたしな。きっとそうに違いないぜ」
ホテルの従業員の皆さん、もしかしなくとも日本人への対応が上手なのかな? 日本からこの国に来る事も多かっただろうし、それが影響して……だろうな。
そう思いながらハワイの番組を観て、翻訳アメの便利さに感動していると。
「……おっ。見ろよ優子、ベランダの方を」
「ベランダ、ですか?」
ふと外を見てある事に気づいたため、優子を呼びながらベランダへと移動する。優子が一体何があるのかと首を傾げながら入ってきたのに合わせて……
星の広がる夜空に、様々な色の火の光が大きく灯された。
「わぁ……‼︎」
「うん、結構綺麗だな」
どうやら今日は花火大会があるようだ。星の夜空を、花火の光で美しく照らしている。相変わらず花火はスゲーな。打ち上がれば星空と違った光り方で夜空を明るく美しく照らしてくれるから。
「すごい……‼︎ すごくラッキーですよ白哉さん‼︎ 旅行の日にこんなにも綺麗な花火を見る事ができるなんて‼︎」
「あぁ、ホントにな。これなら、お前には予想以上にさらに良い反応してくれそうだな……」
「えっ? そ、それはどういう意味ですか……?」
「あ、ヤベッ。つい口に……」
花火の美しさに気が緩んだせいで、匂わせしてしまったかも……サプライズしようとしている事がバレたのか?
「もしかして……これとは他にも何かすごいをしてくれるとか……⁉︎ どうしよう……私、もう何をされても驚いてしまう自信があります‼︎」
「その自信はちょっとどうかと思うし、別に花火大会の件は仕込んでるわけじゃねェぞ?」
「えっ? そうなんですか?」
そうだよ♂ 観光地の事はある程度調べたつもりだけど、その日にどんなイベントがあるのかとかは調べてたわけじゃないんだよ。なんか……そこら辺はごめんな?
……んんっ。本当はもう少ししてから渡そうかと思ったけど、匂わせてしまったのなら仕方ない。ここでやるか……サプライズを。
「優子。実はな……お前に渡したい物があるんだ」
「は、はい」
ちょっと待ってくれ、と断りを入れてからバッグの中を軽く手探りする俺。そしてそこから、赤いリボンの付いた正方形の藍色の箱を取り出し、優子のところへと戻った。
「これ、開けてみてくれ」
「な、何でしょうこれ……?」
その箱を優子に差し出し、開けてOKと促した。不思議そうに首を傾げているのが可愛い。あーヤバい。これだけでも相変わらず好き。
そんな事を考えている間に、シャミ子は喉を上下させながら、その箱をゆっくりと開けてみた。その中に入っていたのは……様々な色の花の模様が描かれた、藍色のポーチだった。
「こ、これって……ポーチ、というヤツですか⁉︎ か、可愛い……‼︎」
効果覿面のようだな。優子の奴、ポーチなんて初めて貰うからなのか、珍しい物を手に入れたと思っているかのように喜んでいるな。こういうはしゃいでいるところも可愛いもんだぜ。
「結婚記念日と誕生日を兼ねたプレゼントさ。優子、いつもありがとうな」
「へっ?」
「『へっ?』?」
なんで耳を疑っているかのような、呆然とした顔になるのさ。しかも演技じゃない感じに唖然とした表情をしているし。なんでそんな反応するの?
「あっ……そ、そっか。今日、私の誕生日で結婚記念日でしたね。それでデザートとして、ホールケーキが出ていたと……」
「……もしかして、忘れていたのか? 今日がお前の誕生日だって事も、結婚記念日だって事も」
お前にとっても結構大事な日でしょうが。それを忘れるとか……言葉が強くなるけど、心の中で言うね? 最低じゃね?
「えっと、その……初めての旅行に行くのが待ち遠しくて、ずっと楽しみにしていたもので……」
「……めっちゃ楽しみにし過ぎたせいで、うっかり忘れてしまった……って事か。誕生日も結婚記念日も旅行と同じくらい良いイベントなんだから、一時的でも忘れないでくれよ……後者は忘れられたら、俺も悲しいからさ」
「す、すみませんでした……」
自分事のヤツを素で忘れてしまった上に、俺に対して申し訳ないと感じてしまったのか、罰の悪そうな表情で俯いてしまっていた。これは……一刻も早くメンタルケアしてやらないとな。
スゥッ……フゥッ……よし、覚悟は決まった。毎回
「……優子、顔を上げてくれ」
「へっ……?」
優子の事を呼べば、彼女は表情を変えぬままこちらへと顔を上げた。俺はそんな彼女の両肩を優しく掴み、瞳を閉じながらゆっくりと顔を近づけば……
お互いの唇が、優しく重なった。
「えっ。あっ……」
「俺は怒っていたりとかしてねェから。寧ろ思い出してくれてよかったよ。次からは忘れないようにしていけばいいし……な?」
我ながらこういうのをするの、何故かまだ慣れないんだけどな……顔が恥ずかしさで熱くなった気がするのがはっきりと感じている。そ、その……夜迦の時は思ったよりも大丈夫なのにな……
おっといけない。続けて優子の余計な負の感情を取り除いてあげなきゃ……んぐっ、唖然としながらも恥ずかしがっている優子の真っ赤な顔がかわいい。ヤバい、相変わらずこういう優子に興奮しちまう……
「た、ただな……これからもお互いに、いつまでもずっと愛し合っていけたらな……なんて思っているんだが、どうだ?」
「……‼︎」
俺のその言葉に強く反応したのか、優子の表情はさらに明るくなったのが一目で分かる程の変化が起こり……真っ赤な表情のまま息を荒げハートになった目をこちらに向けてきた。
「そんなの、当たり前に決まってるじゃないですか……♡ 不束なヤンデレまぞくですが、よろしくお願いします……♡」
「お、おう……」
「で、ですが、その……」
な、なんだ? 急にモジモジとした感じを見せてきているんだが? これも優子にとっては『アレ』のおねだりをしているのだが……
「きょ、今日のはその……大事な記念日を2つも忘れてしまった埋め合わせをしたいので、えっと……びゃ、白哉さんがしたい事を……」
あっそうか(察し)。今回は全てを俺に身を委ねたいって感じか……えっ? いいの? 何もかも俺のしたい事をしていいの? しかも水着姿のお前に? な、なんだろう……何故かすごく嬉しく感じる……
そんな事を考えながらも、俺は両腕を優子の背中に回し、もう一度唇にキスをする。そして、耳元でこう告げた。
「収まりがつかなくなると思うから、抱き潰しになる事は視野に入れておいてくれ……」
「は、はい……♡ 寧ろよろしくお願いします……♡」
こうして、優子の誕生日&最初の結婚記念日サプライズは無事に終了した。いつもの夜迦がさらに激しくなる点を除いて……だけどな。
けどあの後。絶○等によるだらしない笑顔で、幸せそうに俺を見てくる優子の顔……それが結構記憶に残ってしまい、めっちゃ恥ずかしい思いをしてしまった……
本当の獣って、やっぱり愛の重い状態の優子よりも俺なのかな……正しく男は獣、はっきりわかんだね♂
少なくとも原作7巻が出るまで、シャミ子の誕生日以外は偶に投稿するかしないか程でいき、普段は遊戯王小説の投稿に勤しみたいと思います。気が狂えば別の小説を出す事も……?