ぷるぷる、ぼく悪いメモリだよ   作:裏風都の浮浪者

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CSGタイタンソードが届きました。デカすぎて草


第10話 悪魔のS/あなたは何者?

降り注いでいた雪も花びらも全て消え去ったころ、恐る恐るといった様子で依頼人の数枝(かずえ)が歩み寄ってきた。

 

「あの……もう大丈夫でしょうか……?」

「ああ」

 

ダブルは開いていたベルトを閉じて変身を解除し彼女を迎える。

風と共に二人に分かれた探偵に再び驚いた様子で一旦立ち止まるも、そのまますずの元へ駆け寄ろうとした数枝の前に、フィリップが立ちふさがるように歩み出た。

 

「娘が心配ですぐにでも助け起こしたい気持ちはお察しする。だがその前に一つだけ聞かせていただきたい」

「……あなたは?」

「彼の相棒だ。ぼくたちは二人で一人の探偵でね」

 

二人で一人とはそんな物理的な意味だっただろうかと首をかしげる数枝に対し、フィリップは回収していたゴーグル状のメカ(デンデンセンサー)を相手に見えるように持ち上げながらさっさと本題に入る。

 

「聞きたいのは……先ほど()()()()データを何に使うつもりか、という事だ」

「データ……? いったい何を」

「このデンデンセンサーは肉眼で捉えられないものを映し出すのに便利なガジェットでね。妖精くんのメモリブレイクと同時に、彼と()()()()()()()()()()()()との間にデータのやり取りがあったことをはっきりと観測した」

 

フィリップがスタッグフォンを操作するとデンデンセンサーから送られてきた映像が画面に映し出される。内容はシズの姿が消えていくと同時に数枝の下がっていた方向へ1と0のエフェクト――データの転送を分かりやすく可視化した物――が飛んでいく光景と、様子をうかがう数枝の上着のポケットにそのエフェクトが吸い込まれていく光景。

それを見た数枝は困惑した様子で上着のポケットに手を入れ、中に入っていた小箱を取り出し見つめる。

 

SEASON(シーズン)……? 季節?」

「T2メモリだと……!」

 

すずを助け起こしていた翔太郎が驚きの声を上げるが、フィリップは予想していたらしく表情を変えない。

 

「やはり、彼は最初からテスト用だったという事か。ブレイクされた場合、自動的に運用データを転送する仕組みになっていたんだ。そして()()が集めたデータで完成させる予定だった本命のガイアメモリ……」

 

数枝はフィリップの言っていることがまるで分らない様子で、彼の顔と手の中のT2シーズンメモリを見比べる。

何と返事をするべきなのか迷うように、しかし何か言わなければならないことを察したように口を開こうとした数枝の背後に、魔法陣のようなものが出現する。

 

『コネクト』

 

魔法陣から現れたグローブに包まれた手が数枝からメモリをひったくるように奪い、また魔法陣の向こうへ引っ込む。

流石にそれは想定しておらず目を見開くフィリップへ、先の発言への答えとでも言うかのようにどこからか声がかけられた。

 

「概ねその通り。4つの記憶を”同時搭載”した試作型と違い、4つの記憶を”完全統合”した完成品を目指している」

 

辺りを見渡して声の主を探すと、すぐに黒と金を基調とした、ドーパントのような何かが佇んでいるのを発見できた。

長い年月を経て朽ちたようなボロボロのマントを羽織り、頭は2009と書かれた、とんがり帽子を思わせる歪な円錐形。腰には真っ赤な骨だけの左手が装飾されたベルトが巻かれている。一目見て抱く印象は邪悪な魔法使い。

その手には先ほど数枝の手から取り上げられたT2シーズンメモリが収まっており、先ほどの魔法陣の発生源であることが伺えた。

 

「ただし、まだ未完成だがね。お恥ずかしい限りだ……おっと、喋りすぎたね。どこから検索されるか分かったものではない。これで失礼する」

 

魔法使いは肩を竦めるようにしてそこまで言い終えるとメモリをマントの下へしまい込み踵を返す。

 

「逃げるつもりか……!」

「その通り。君たちとやり合うつもりは無いよ。勝てるかどうか怪しい上に倒すメリットはほぼゼロと来た。むしろ放っておけば勝手に風都を守ってくれて都合がいいからね……む、また喋りすぎたな」

『クリエイト』

 

手を掲げると同時に空中にジッパーのようなものが出現。魔法使いは開いたジッパーに素早く跳び込むと同時にそれを閉じた。

飛び込んだ先は真っ暗な部屋。唯一パソコンのモニターだけが光を放っている。

モニターの傍へ歩み寄る魔法使いの姿が溶けるように消え去ると、白衣を着た男が一人現れた。その手には懐中時計を思わせる機械が握られており、男はそれをポケットにしまうとすぐにキーボードを操作し始めた。

 

「しかし星原さんがあんな状態になっているとは……メモリを彼らに渡されるかとヒヤヒヤした。アクセルにでも出くわして負けたのか? それなら捕まっていないのが気になるが」

 

独り言をつぶやきながら、回収してきたT2シーズンメモリを取り出してキーボードの近くに備え付けられたスロットに装填。回収したデータの確認と解析を始める。侵入者と取引した時と同様、画面にデータが表示されるとともにその目が輝き出し、直前まで気にしていた仲間の異常すら意識の外へはじき出される。

その背後で蜘蛛のようなメカが机と床の隙間を這い回っている事など、当然気づくはずもなかった。

 

 

 

所と時は変わってとある病院の一室。魔法使いを取り逃がした一行は動けないすずを救急車に乗せて一旦その場を離れることにした。今頃超常犯罪捜査課の面々が現場を調べているはずだ。ただし一人を除いて。

今は諸々の検査を終えてベッドに横たわるすずを窓越しに見守れる位置で、4人の人間が向き合っている。翔太郎とフィリップ、数枝、そして現場からそのまま同行してきた赤いジャケットの刑事、照井 竜だ。

 

「……では、何故自分があのガイアメモリを持っていたのか、全く身に覚えがないと?」

「その……はい。信じられないでしょうけど」

 

普通なら信じられない。だが翔太郎の探偵として、照井の刑事としての目やフィリップのガジェットまで駆使しても嘘をついている様子が全く見受けられなかった。

逆に身に覚えのない罪を証拠付きで言及され、ついでに照井からの無意識の圧を受けて泣きそうになっているのは誰の目にも明らかであったが。これが演技なら最早誰にも見抜けないだろう。

 

「最後に現れた彼――便宜上魔法使いと呼称しようか。あの魔法使いが彼女の手からメモリを奪った時に使ったあの力であれば、気づかれずポケットに忍ばせることも可能だろうが……そんな力があるとぼくたちに見せた時点で、ほとんど意味は無い」

「あれはT2メモリだった。あの事件みてえに勝手に飛んで来たって線は……」

「現実的ではないだろう。それなら彼女はドーパントになっているはずだ」

「……結局、魔法使いとやらを捕まえなければ何もわからんということか」

 

すずであれば彼女が信頼できるのかどうか手っ取り早く証言できそうだが、救急車に乗せられた段階で意識を失い、そのまま眠り続けている。とても話を聞ける状態ではなく、さらには地球の本棚の中の星原 数枝という本に鍵がかかっている以上、検索によって潔白を証明することもできない。

どうしたものかと沈黙する4人に、横合いから声をかける人物が現れた。

 

「簡単な話だ。彼女は先程まで精神支配を受けていた。今は解除され、すべてを忘れているがね」

「……誰だ?」

 

4人が振り返れば、そこには白いコートにベレー帽の男。怪しく微笑むその顔は少々胡散臭い印象を与える。その手にはノートのような形の端末が収まっており、画面を4人に向ければ、そこには”星原 数枝、アナザーセイヴァーによる精神支配から脱する”と記されていた。

 

「あなたは……」

「また会ったね、星原女史。娘と再会できたようで何より」

「知り合いか? 数枝さん」

「ええ、あの場所で妙な人に絡まれて遅れたと言いましたけど……この人のことです」

「……確かに言ってたな。で、あんたは何者だ?」

 

一挙手一投足も見逃さないというような視線を3人から受けた白コートの男は慇懃に一礼した後、両腕をゆっくりと広げてニヤリと笑う。

 

「私はウォズ。端的に言うならば……未来人だ」

 

それを聞いた4人は一斉に顔を顰めた。




クリエイトでクラックが開いた理由:世界を”ここと拠点をつなぐクラックが存在する”ように作り替えたから。戻すときは存在しないように作り替え直しました。オリジナルと比べて小規模な使い方しかできない様子。
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