~銃弾と対価~   作:クマぴょん

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※自作自演の質問コーナー※
Q:本来漏れないDAの情報は意図もたやすく破られるの?
A:そこに大使館の武官やスパイ、軍事偵察衛星を差し向ければ簡単さ。堅固な壁ほど壊れやすい摂理というのは、人類史での戦争で物語っている。

【前回のBullets Price】
DAからの依頼は喫茶リコリコとの接触だった。しかし、傭兵集団にはDAともう1つの依頼があった。それは30年も前から・・・


【もう1つの依頼】

 

 

喫茶リコリコ

 

「この人たちが例の?」

 

井ノ上たきなはフリッツの傭兵集団を見渡してそう言った。

錦木千束は喜びはしゃいで言う。

 

「そうなんだよ!たきな!13人で3000人を制圧できるなんてまるで映画みたいじゃない?」

「ええ、そうですね。」

 

井ノ上たきなは錦木千束のはしゃぐ物事を笑顔で答える。

だが、井ノ上たきなはあることに気づく。

”私”を監視する目線が。

どこにいる?

1階か?

違う・・・

2階に目を向ける。

フードを被り、鷹のように黄色の瞳をした1人の傭兵が井ノ上たきなを見ていた。

井ノ上たきなは警戒した。

店内で乱闘するのはご法度だが、その人物がこちらを狙っている限り、それを禁じる手段がない。

フードを被った人間とその隣に座っていた人間に、右人差し指で”トンとトン”と。

なにか合図して、テーブル席から立ち上がり2階から降りてきた。

そんな井ノ上たきなを見て、錦木千束はキョトンとした顔で言う。

 

「たきな?どうしたの?」

「千束・・・用心してください。」

「え?どうして?」

「どうしてもです。」

 

井ノ上たきなは錦木千束に警戒させようとした。

だが、時に既に遅し。

目の前にフードの男と隣にいた男、そして傭兵のリーダーの男もカウンター席から立ち上がって、井ノ上たきなと錦木千束の前に立った。

 

「井ノ上たきな殿だね?」

「・・・」

 

フリッツから発された言葉に井ノ上たきなは黙った。

井ノ上たきなの沈黙でフリッツは喋りだす。

 

「井ノ上たきな殿。”ビジネス”がしたい。3つ話すからよく聞くんだ。」

「・・・答えなかったら?」

 

井ノ上たきなの答えにフレディが冷酷な声で答える。

 

「DAと傭兵の違いを教えてやるまで。いいな?」

「・・・いいでしょう。」

 

井ノ上たきなはうなずいた。

錦木千束は訳のわからないまま、会話が成立している事に困惑する。

フリッツは咳払いしてから”ビジネス”について話し出した。

 

「銃の密輸の数、密輸人物、密輸情報の出所だ。」

「数は不明ですがおおよそ100挺ほどかそれ以上。人物は不明。情報源も不明です。私達に伝えられたのはDA情報部からです。」

「ちょいちょいちょい!それは言っちゃ駄目でしょ!!」

 

錦木千束は井ノ上たきなの口から発せられた言葉に驚いて、口を閉ざそうとした。

次はリーが2人に話した。

 

「銃の密輸が日本に渡ったのを武器商人の連中から発覚したが、肝心の出所が不明だった。そこでフレディに2ヶ月ほど詮索してもらったが、判明したのは密輸場所、東側の銃火器、そして機銃掃射だ。」

「その”情報”の出所は確かか?」

 

店主のミカが食い気味でリーの情報を再確認する。

すると、フレディからホログラムのライトを袖下から出して床面にホログラムを照らした。

ホログラムには、

 

・密輸場所のビル

・ビルの緯度と経度

・密輸の推定数

・密輸に関与した推定人数

・最後に写された井ノ上たきなの機銃掃射のシーン

 

だった。

ミカ、錦木千束、中原ミズキは驚きを隠せきれず、ホログラムを凝視していた。

井ノ上たきなは、ホログラムで映し出された情報と自分の姿を見ていても無表情だった。

そこで珈琲を飲み干して、しばらく黙っていたジョージが喋りだした。

 

「武器の密輸量はそれほど大きなダメージではないが、問題は・・・なぜ日本に送り続けていたかが問題だ。DAなら明確な情報を持っていると思っていた。」

 

ジョージに続いてジョンが話し出した。

 

「DAが決定的な情報を持っていれば、こっちもかなり前から対策は取れていた。そう”30年前”からな。」

「30年だと?」

 

ミカはしかめっ面で答える。

再びジョージが話し出す。

 

「DAの依頼以外に、CIAがある情報を元に30年前から依頼を受けていた。それが今、DAが追っている武器の密輸だ。だが、CIAは肝心の情報源がつかめておらず、直接日本政府に聞いたのだが、日本政府は関与して無いと30年前に言っていた。が、その5年後に日本でテロ事件が起きた。あの事件はCIAだけが追っていたわけじゃない。あらゆる情報機関や軍事組織を中心に血眼で捜していた。当時所属してた英国陸軍特殊部隊も1枚噛んでいた。」

「だから対テロ訓練と言う目的で入国していたわけだな。」

「さすがは”先生”。ご名答だ。」

 

黙って聞いていた井ノ上たきなはジョージに質問する。

 

「待ってください。武器の密輸量はそれほど”大きなダメージ”ではないと言い切れるのです?あとなぜ、私が機銃掃射したことや密輸場所を知っているのですか?」

 

ジョージがにやけて、リーにアイコンタクトした。

リーはそれを見て小さく頷いて答える。

 

「武器の密輸は儲かるからな。多ければ多いほど俺たち傭兵の間接的な収入になるし、鹵獲して修理さえしていれば、売買して直接的な収入にもなる。だからダメージは有って無いようなものだ。密輸場所や君の機銃掃射の件は、フレディの暗号を元にDAのサーバーをハッキングしてもらったよ。」

「ラジーー」

「ストップストップ!!」

 

井ノ上たきなの答えに錦木千束は大声で止めた。

錦木千束は傭兵達にゆっくりと振り返り言い出す。

 

「ねぇ?ホントに傭兵なの?何でそこまで情報が出てくるの?もしかして何か企んでる?」

 

錦木千束の答えに、傭兵集団は『想定内の答え』を聞いて残念そうに肩をすくめた。

フリッツが代表として答える。

 

「先程言わなかったか?2ヶ月でフレディが日本で詮索していたと。今ある情報のほとんどはフレディによる探し当てた情報から基づいてる。」

「いくらなんでもおかしいでしょ!1人でDAの中身を当ててくるなんて!」

 

黙っていたフレディが口を開く。

 

「そういうお前だって、10年前の電波塔事件を解決しているじゃないか。」

「へ?なんでーー」

 

フレディの淡々とした答えに錦木千束はしどろもどろした。

それを見たミカは、錦木千束を庇うように言った。

 

「ま、待て!何故その情報を!?」

 

ミカはカウンターからさらに前のめりに言う。

それを見たマイケルが答える。

 

「アメリカ国防省だ。」

「国防省だと?ありえない・・・」

「全て隠蔽したと思っていただろ?だが、日本に向けられた軍事偵察衛星からじゃ丸見えだった。テロリスト、現場に入っていくリコリス、幼いがファーストの証である赤い制服の姿、テロによる爆発、崩壊寸前までになったのを衛星が全て撮っていた。それを、俺たちが入国する直前にリーが見つけ出した。恐らく海外で唯一のDAの活動記録だろう。国防省には破損したファイルしか残っていないがな。」

 

中原ミズキがマイケルに問い詰める。

 

「ちょっと待ちな・・・その情報を元手にしてどうやって確信に近づけた?」

 

マイケルとリーが合わせて答える。

 

「radiataだ。」「radiata。」

 

中原ミズキはため息をつけて頭を抱えた。

中原ミズキだけじゃない。

店内がため息と唸り声で包まれていた。

 

”絶対”と言って良いほど外部に漏れないはずが、この傭兵集団はあの手この手で、DAの情報の壁を乗り越えては壊している。

 

楠木司令の”思惑”が正しければ追っている銃の密輸取引よりも、目の前の傭兵集団の方がかなり脅威だ。

しかもDA本部まで位置が割れている時点で、排除しなければならない。

だが、楠木は思いとどまった。

判断を間違えれば、傭兵集団は最終手段としてこの国を滅ぼすことだって出来る。

そう、傭兵集団の後ろ盾には世界中にいる情報機関や軍事組織、民間軍事企業、強いては『国家』まで通じてる。

だから下手に”事故”として手を出せない。

先のDAの任務では、傭兵との合同作戦でDAのプライドをズタズタにされ、危うくファーストの春川フキとセカンド3名を失いかけた。

作戦後は傭兵が動かないように1ヶ月待たせた上で、傭兵の情報を可能限りかき集め、喫茶リコリコに情報送った。

だが、傭兵達はラジアータの存在を知った段階でDAの情報漏洩阻止は全て水の泡だった。

 

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傭兵による情報網。

そして無言の圧力。

沈黙・・・

そんな店内で、井ノ上たきなはホログラムの床を踏み、傭兵のリーダーであるフリッツではなく、フレディの前に立ち言い放つ。

 

「貴方は何が目的なんですか。」

 

 

次回⇒【犬と狼】

 

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【メインキャラ】

フリッツ:

出身不明。60代だが傭兵歴35年の老兵。

かつてフランス外人部隊の第2外人落下傘連隊 (2e REP)の連隊長。

連隊長をフランス人以外の異例の選抜されたほどの実力者。

 

ジョン:

元アメリカ海兵隊のエリート偵察兵。フリッツの右腕的存在。

組織の全体のバランスを保つことが役割。銃の腕前はヘリコプターから200m先の頭部を精確に打ち抜くほど。

 

ワタナベ:

元自衛官。傭兵歴20年の古参。

フリッツと同様、フランス外人部隊の第2外人落下傘連隊 (2e REP)の背中を長年守りきった。尚、日本人だが約20年以上帰国していない。

 

マイケル:

元SAS。北アイルランドの紛争から唯一の生存者。

ジョンとはジョーク仲間であり相棒でもある。長年、アイルランドの対テロリストで性格が短気になってしまった過去がある。

 

リー:

現代情報戦と現代電子戦の天才。現代のアインシュタインとも呼ばれている。

上海のテロ事件を無血解決した事で、中国の英雄と言われてる。だが、彼の曾祖父の時から日本と関わりを持つが、出身は大陸であり偽名で活動してる。

 

フレディ:

9歳から少年兵として活躍した。東南アジアの革命軍の英雄の息子。

革命後は渡米。某組織で暗殺者と諜報員となった。旧世代の装備ながら闇社会の人間を多く闇に葬っている。旧ソ連のスパイ「ゾルゲ」と同様、国家の中枢部まで浸透することもできる。

多才な実力を持ちながら傭兵としては結構若い。

 

ジョージ:

元SAS。マイケルの元上官。

様々なテロ事件を解決した対テロリストのスペシャリスト。傭兵歴は2年と短いが、軍に在籍した期間が30年以上もあり、一時は最高職まで上りつめた。

ジョージとフリッツは義兄弟でもあるが、血は繋がっていない。

 

【本編ではほぼ出番がないジョージの部下】

ロック:

元アメリカ陸軍武器科。武器調達員の1人。

以前の共同作戦でジョージに最新武器提供から出会う。傭兵の活躍の裏で弾薬の製造、調達及び維持を支援する。

 

リック:

元アメリカ陸軍輸送科。武器調達員の1人。

以前の共同作戦でジョージの戦闘後方支援(CSS)で出会う。多才な運転技術を持っており、輸送兵站面では陸空海全てを制している。

 

チュレンコフ:

元カディロフツィ(ロシア連邦英雄アフマド・ハジ・カディロフ。名称:第141特殊自動車化連隊)。

モスクワテロ未遂事件でジョージと出会う。国家的忠誠という疑問を持ち、除隊後フリッツの傭兵集団に入隊。

 

アレク:

元ロシア連邦保安庁して元KGB。チュレンコフと戦友。

モスクワテロ未遂事件でジョージと出会う。銃の扱いは不慣れだが、フレディやリーの情報・電子戦を支援する側面をもつ実力がある。

 

ハリス:

元リビア国民軍。リビア内戦で複数の部隊を率いた実績がある。

戦っているうちに戦う意味を失う。自ら除隊後、新アレクサンドリア図書館テロ事件で自ら志願。

その後ジョージと出会い、彼の運命を変えたきっかけになった。

 

カウディー:

出身不明。50代で傭兵歴25年の古参。

各地の紛争地域を渡り歩き”紛争に現る死神”と呼ばれているほど、火器の扱いが特殊部隊レベル。ベオグラードのテロ事件でジョージの捕虜になった経緯がある。だが、ジョージの説得で改心。

以後、武器調達員の最強のガードマンが誕生する。




2023/02/25/0625にてあとがきの全削除及び追記。
詳しくは、活動報告にて(https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=293847&uid=405910)。


没ネタ【リーの苦労】

スパイ情報戦にはフレディがいる。
唯一の非戦闘員として”俺”は、傭兵の中枢の頭脳にいる。
ただ、その中枢がやられては困る。
だからフレディには、日本での依頼中に特注で頼んだ指揮官司令室を作ってくれた。
この部屋は、フレディにしかしらない。
俺はのんびりと苦味を楽しむ珈琲や香りを楽しむ紅茶で過ごしたいのだが・・・
現実はそうは甘くない。
フレディからの情報と暗号文が逐一上がってくると頭が痛くなる。
「またか」とぼやきながら、俺は傭兵の頭脳、中枢として疲れる日々を送っているのだ。

~Fin~

それでは次回まで、ごきげんよう。

今作の質の向上アンケ

  • ルビ振りを基本に、若干の演出を含める
  • ルビ振りだけで良い
  • 現状維持
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