~銃弾と対価~   作:クマぴょん

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※注意書き※
今回、仮想武器が入っている。ただ元ネタがレジスタンスシリーズの武器であるので、追って活動報告の外伝シリーズにてちょいと解説すると思う。

【前回のBullets Price】
傭兵らの懸命な救護で命を拾われた井ノ上たきな。そんなたきなにフリッツがある提案をする。承諾したものの、フレディの一言でたきなの様子がーーー


【存在意義】

 

 

東京・某所

 

喫茶リコリコを後にしてから1週間後のこと

 

ジョージやワタナベを筆頭にたきなの治療をしていた。

松葉杖から始まったリハビリも滞りなくうまく行っている。

医療従事していた傭兵らは、早ければあと1週間で安定して歩き出せるようになるほどだった。

そんな中で、フリッツがたきなにとある提案を出した。

 

「これからは仕事仲間として、俺たちの実力を第一人者として見せてあげれば良いのでは?」

 

たきなは快く承諾した。

 

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傭兵訓練アジトについた2人。

車椅子に載るたきな。

その車椅子を押すのは唯一非戦闘員であるリー。

外見は雑多の雑居ビルに過ぎないのに、いざ中を見ると電子ロックまみれの扉が多く、あまりにも殺風景だ。

エレベーターさえ起動するのにも電子ロックだ。

リー曰く、

 

「ここは、1ヶ月という突貫工事で完成させた俺たちの訓練場だ。元々はフレディが計画したものだが、DAの調査と追跡を振り切る為に手が一杯だった。」

 

と、たきなは聞いた。

既に傭兵達は訓練を始めている。

エレベーター前に着いた2人。

リーはたきなに聞く。

 

「お嬢ちゃん。どこから見に行きたい?」

「えっと・・・どうすれば?」

「さすがに選びにくいか。すまんな、お嬢ちゃん。とりあえず射撃場から行くか。」

 

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射撃場

 

エレベーターの扉が開いた先は、防音に施された休憩ルームだった。

そこにはフレディが待っていた。

 

「よぉ、井ノ上。体調はどうだ?」

「はい。おかげさまで。」

「ならよかった。リー、彼女を室内画面の前に鎮座できるようにしてくれ。」

「わかった。」

 

そう言ってフレディは射撃場の扉に入っていった。

その間にリーが、射撃場のすべてが見える画面一杯の前に車椅子を動かした。

リーはたきなに尋ねた。

 

「お嬢ちゃん、どうだい?」

「・・・ここまで本格的とは思ってませんでした。」

「まぁ長期契約なのは初めてだからな。俺たちもどこまでやればいいのか限度を知らない。だからビルを10棟ほど買い取って追い出したぐらいだ。」

「それはやりすぎです。」

「それもそうだな。だが計画したフレディ本人に言ってくれ。」

 

また彼の名前が出てきた。

フレディ・・・

彼は何でもやってのける実力を持っている。

出来ないのは加減を知らないことぐらい・・・か?

スピーカーからフレディらの傭兵達の声が聞こえる。

 

「各員!準備できたか!」

 

フレディの一喝にマイケル、ジョン、チュレンコフ、アレクの順に応えた。

 

「あたぼうよ!」

「あの模擬戦から腕が鈍るんじゃないかってな!」

「アレク、また無理するなよ。」

「チュレンコフこそ。オレだって苦手は少しでも克服しない思ってるぜ?」

 

傭兵達は久々に銃が取れることを喜びに感じ取った。

その熱意は画面越しのたきなにも届く。

リーが呟いた。

 

「クッソ熱い連中だぜ。お嬢ちゃん、考えてみな。こんな連中と仕事するなんてどうかしてると思わないか?」

 

リーの言葉にたきなは首を振った。

 

「いいえ。ここまで心強い仕事仲間が目の前にいる。貴方も含めて皆、良きパートナーになれると思います。」

「良きパートナーか・・・君みたいな少女に言われるとなんか照れるねぇ。」

 

リーは照れくさそうに頭をかく。

実はこう見えてリーは41歳になったばかりだ。

15歳以上も歳の離れた娘に言われるなんて、傭兵入る以前から1度もなかった。

 

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彼は最初から天才ではなかった。

それでも同年代全てを実力でねじ伏せており、初の仕事があの上海のテロだった。

弱冠21歳の青年が始めて成し遂げた重大事件を解決した。

そんな彼も、一級警督(日本で言う警部クラス)の大抜擢で同期との亀裂が入り、事件解決後に人民警察を退職金無しで出て行った。

父親や親族と殴り合いの喧嘩し、行く宛先がなくフラッと立ち寄った馴染みのある飯屋でフリッツたちと出会い、その成り行きでフレディがいる革命軍に参加した。

 

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なんやかんや20年も経って、今では傭兵集団の頭脳の中枢だ。

そんなリーがニヤついていると、画面を見ているたきなから質問が出ててきた。

 

「あの、質問よろしいですか?」

「・・・あぁ!なんだいお嬢ちゃん。」

 

突然の質問に焦るリー。

 

「なんで射撃場には”遮蔽物”が無いんですか?」

「あぁ、なんだそれか。どの戦場にどの障害物があるなんてわからないだろう?だから”最初から遮蔽物なんてない”のさ。」

 

リーの答えにたきなは全く理解が出来なかった。

すると、フレディがノートパソコンを持って休憩ルームに入ってきた。

フレディがたきなの表情を見て言う。

 

「いかにも”この射撃場はなにかがおかしい”って顔だな。」

「そんなに顔に出てました?」

「わかりやすいぐらいにはな。まぁ、この射撃場は単なる射撃能力を試すだけじゃない。実戦と同様の戦場さ。」

 

と言って、フレディはノートパソコンを開いて、たきなの横に座った。

たきなは質問した。

 

「これは?」

「障害物をランダムに生成される。的も単なる的ではない。AIコアをはめ込んであるから、的は射撃音や敵を視認して反撃をしてくる。しかもお互い実弾だから、負傷はまず避けられない。」

 

淡々と答えるフレディに驚きを隠せないたきな。

あまりにも先進的な技術で、死という運命を避けられない危険な訓練だ。

いくらDAでもここまではやらなかった。

だからこそ、この傭兵は半世紀近く戦場を踏破しているからこそできる。

この危険な訓練も容易くやりとげるだろう。

フレディ思いついたのかのようにたきなに言う。

 

「井ノ上。操作してみるか?」

「え?」

(オレ)がやったら、(オレ)も奴らも刺激が足りないだろう。むしろ貴様がやってくれるなら、(オレ)も奴らも戦場と言う娯楽を味わえる。」

 

たきなは思った。

 

(なんて酔狂な人。いや、ここまで狂わなければ”戦場を娯楽”と言わないだろう。)

 

フレディが選択肢を迫る。

 

「やるか?それともやらないか?やってくれたらリーが操作を教えてくれる。」

「・・・」

 

無言を貫くたきなにリーがたきなの耳元でささやいた。

 

「ここで承諾しないと、鬼教官のジョージが『フレディも含めて満遍なく訓練を見せていない』って怒られてしまう。嬢ちゃん、頼む。」

 

やるしかないのか。

たきなは諦めて、受け入れた。

 

「わかりました。やります。」

 

フレディは笑顔で、

 

「遠慮なく殺しに来て欲しい。本当の戦場を味合わせて欲しいぜ。じゃあな。」

 

と古めかしい銃火器と異形の形した銃?を手にとって射撃場に向かった。

 

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「おい。フレディが操作するんじゃねぇのか?」

 

マイケルが驚いた様子でフレディを見る。

マイケルだけじゃない。

その場に居た全員がフレディを見る。

 

「あのお嬢ちゃんがやってくれるらしいぜ。」

 

その言葉に聞いて呆れたジョンが、

 

「勘弁してくれよ。」

 

と嘆く。

チュレンコフはそんなジョンを見て言う。

 

「そう嘆くな。あの娘は俺たちの実力の第一人者としてみせてやらないとな。」

「そうだといいが。」

 

アレクはフレディの装備に気づく。

フレディの背中には、9歳の頃から使用していたKar98kの41型照準眼鏡ZF41仕様。

腰のベルトには、40mmのM200グレネード・ランチャーが装備されたM5A2カービン。

そして手には、ツングースカ大爆発時の熱エネルギー弾を発射するブルズアイ。

前者2つはともかくブルズアイには指摘した。

 

「フレディ。ブルズアイはさすがに不味い。」

「ホーミング・タグを使用するから別に問題ないだろ?」

「だとしても、合金製の金属装甲すら溶ける武器が問題だ。」

「戦場に”不殺”は存在しない。ただあるのは殺しに来る連中。だろ?」

「まぁ・・・フレディが言うならそれでいいが・・・」

「とにもかくにも直ぐ支度しろ。」

 

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フレディの号令で支度が終えた後、20分以上が経っていた。

ざわめく傭兵達にフレディはため息をついて休憩ルームに向かった。

フレディが休憩ルームに入ると、ノートパソコンを閉じてリーと口論するたきなの姿が目に入った。

フレディがリーに一喝する。

 

「おい!リー!なにやってんだ!」

 

リーはフレディに向き直って言う。

 

「ちょうどよかった!フレディからも言ってやってくれ!」

「なにをだ?」

 

たきながフレディに向き直る。

 

「貴方・・・さっき、不殺は存在しないって言いましたよね。」

 

たきなの語気はかなり強めて言った。

そう、フレディと対峙する時と同じように。

フレディは心底うんざりしたかのように言う。

 

「あぁ、言った。だからなんだ?」

「まさか・・・千束の心の中を見たんですか?」

「は?(オレ)が見たのは貴様のDAとしての”犬”しか見て・・・ー」

 

フレディは言葉を中断した。

フレディは得た情報の中にある弾薬を思い出す。

 

(錦木・・・旧電波塔テロ・・・細かな粒子・・・frangible・・・なるほど・・・弾か。だから錦木は不殺を・・・くだらないな。)

 

フレディは、1つの情報にたどり着いたとき鼻で笑った。

たきなは食いつく。

 

「なにがおかしいのですか。」

 

フレディは思い出した情報を笑いながら話す。

 

「実にくだらないなって。殺し屋に不殺を貫き通せと?錦木の考えとフリッツたちの考えは一致しない。」

「これからは仕事仲間としてー」

「俺たちは敵の士気を挫くか、皆殺ししかない。それが汚れ仕事だ。」

 

フレディの”汚れ仕事”は傭兵のことも指す。

きれいごとでは飯は食っていけない。

汚れ仕事をしなければ、誰が傭兵全体の衣・食を賄うのか?

人類史の全世紀に渡って活躍できたのは”汚れ仕事”があるからだ。

時代は変えれど、金よりも衣・食さえあれば傭兵は困らないのだ。

だから、世界中に傭兵たちが蔓延して様々な戦争に介入している。

金が欲しければ傭兵をやめて働けばいいし、命が惜しければ文民に戻ればいい。

ごく単純かつ簡単な話だった。

フレディはたきなに指図した。

 

「不殺云々よりも、そのノートパソコンで(オレ)たちを操作しろ。貴様が第一人者でなければ、誰が第一人者になる?何のために貴様を保護したのか?何のために貴様を治療したかを忘れるな。」

 

 

次回⇒【パワーバランス】




没ネタ【うんざりする1日】

リーは頭を抱えていた。

また、フリッツがお嬢と喧嘩し始めた。
嗚呼、辞めてくれ。
ただでさえ、ジョージの件があるというのに・・・

ん?待てよ?
フレディは”不殺”って言ってたよな?
奴自身もこの依頼前までは確かそうだったはずだ?
敢えて情報を与えたのか?
そんなことより、クルミ経由で謝罪文を送るかー

そう思いつつ、リーはうんざりしながらクルミ宛てに暗号化メールを入力しては送付したのだった。

~Fin~

それでは、次回までごきげんよう。
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