23/06/30 2239時の活動報告( https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=299316&uid=405910 )でも記載したが、「前回までのあらすじ(Bullets Price)」から「前回のあらすじ(Bullets Price)」に変更された。23/07/01 1040時を持って予約投稿含め全話改修の終了を宣言する。
【前回のBullets Price】
マツシタという所属不明の存在は、ほぼ明らかになった。だが、誰が?何のために?千束に接近したのかは不明。ただ言えるのはアラン機関が関わっている可能性だけだった。作戦が終わった直後に発生したDAからの緊急依頼。そこで彼らが見たものとは?
作戦終了後から30分後
各チームが帰投している最中に、フリッツたちが居る作戦司令室に新たな情報がオーバーライドしてきた。
リーが”ソレ”をタッチすると、DA本部からだった。
内容を見たリーは不思議に思った。
(ーリコリスが消息不明?それも同時に2件?DAの存在を知る者は俺たち以外にも?・・・ありえるなら北押上爆破テロの組織か?)
リーが思惑が険しくなっているのにも関わらず、フリッツはワタナベ、ジョンに自分の過去を話していた。
リーは3人に振り返って言う。
「フリッツ!緊急事態だ。」
フリッツたちは振りむき、リーの元に駆け寄る。
ジョンはリーに聞く。
「今度はDAか?」
「あぁ。しかも同時に2件だ。フリッツ、どう思う?」
「例のテロ組織の可能性があるな。エレメントを組む必要がある。」
「よし。ジョンとワタナベはフレディと合流して、芝浦に迎え。」
「了解した。」「了解。」
「ほかの連中は立川に向かわせる。幸運を祈る。」
リーは3人にそう伝えて、現在撤収中の全部隊にDAからの依頼に関して、オープンチャンネルで伝えた。
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東京・芝浦
展開開始してから2時間が経過
品川方面に向かう一般道にワタナベとジョンがリーが指定した場所に2人は居た。
夜の静寂が包まれる雑居ビル街。
周りにはジョンとワタナベの他に誰もいなかった。
2人はつぶやく。
「なんか静かだな。」
「ええ、Mr.ジョン。まだ2100時前なのに、こんな静かな夜はあり得ません。」
「日本人のお前が言うのであれば・・・妙だな。」
あまりの静けさの異常に2人は予想よりも警戒心を強めていく。
どこを見渡しても視線の先には暗闇だった。
あるのは近くの小さな灯火のみ。
例のテロ組織がナイトビジョンといった高価な装備品を使っていると思うとーーー
ふと思ってしまった2人は、警戒心よりも恐怖心の方が若干上回った。
無言のまま時が過ぎていく。
2人がここまで恐怖心を煽られる原因がある。
そうフレディだ。
肝心のフレディが、予定開始時刻から1時間待っても来ないのだ。
一番近いはずの彼がここまで遅れる理由は、ただ一つしかない。
威力偵察だ。
傭兵たちが入国直前するまで連絡が来なかったように、彼は彼なりのスタイルがある。
あらゆる手段で警戒網を突破して、情報を握って帰るその姿はフレディしかできない芸当である。
ただ、リーからの連絡が来ない以上、何処かに躓いている可能性がある。
フレディらしくないが・・・
突然、通信が入る。
<<こちら、アーチャー。ジェネラル、聞こえるか。応答せよ。>>
フレディからだ。
ワタナベは慌てて、通信チャンネルを開いた。
<<こちらジェネラル2。1と共にいます。アーチャーは今どこに?>>
<<ジェネラルの真上だ。>>
<<は?>>
通信が終わった瞬間、
ズドン
と外套の着た人間が落ちてきた。
ただ、その人間はちゃんと衝撃を吸収して受け身を取っていた。
2人は納得した。
”こいつ”はフレディだ。
「待たせたな、ジェネラル。」
フレディはわずかに微笑んで言う。
ジェネラル1ことジョンは一息ついて、
「お前が微笑んでるのはなんかしら情報を握っているってことか?」
と言う。
フレディは薄気味悪い笑みを浮かべて、二挺の後発式拳銃を取り出して、左右に向かって発砲した。
ジェネラルの2人は驚くものの、直後に遠くからうめき声が聞こえた。
「これが、Answerだ。」
「なるほど。敵が待ち構えていたってわけだな。」
「流石ですね、アーチャー。」
「用心しろ。ここは敵の根城に近いからな。現場に向かうぞ。」
「もう見つけたのか?」
「目星はつけたが、正しいかどうかはわからん。現場に向かい終わり次第、DAに情報送って俺たちは依頼を終わらせるぞ。」
アーチャーは現場に向かって歩き出す。
ジェネラルの2人も装備チェックしながらアーチャーと共に歩く。
すると、アーチャーが仕留めた男性がうめき声を上げていた。
アーチャーは見下してはいたが、データ転送用のパッドを開いて、DAに通達していた。
ジェネラルの2人は銃を構えることなく、アーチャーがいじるパッドの画面を見ていた。
ジェネラル2であるワタナベが言う。
「後送ですか?」
「まぁな。一応重要人物だろ?」
淡々と答えるフレディに、うめき声を上げていた男が3人に向かって手を差し伸べてきた。
だが、アーチャーは敢えてこう答える。
「お前さんをブタ箱にぶち込むから、そこでおとなしくしてな。この銃はもらうぜ。」
男性のそばに落ちていた拳銃を拾い上げるアーチャー。
最初にフレアチェックして、薬室に弾があることを確認してから弾倉を抜き取る。
弾倉はアーチャーに回収され、再度チェック。
薬室にはまだ弾があった。
アーチャーは脅しの一発として、男性の顔を目掛けて躊躇なく発砲。
だが、弾は外れていた。
「脅しだから殺しはせんよ。」
と言って、拳銃を男の胸に投げ捨てて立ち去る。
それを見たジェネラルの2人は、撃たれたもう1人を気にかけた。
「おい、アーチャー。」
「もう1人のことなら予めDAに伝えてあるから安心しろ。」
「用意周到だな。」
「でないと、相手が5手先も読める連中に出会ったら困るからな。」
「将棋と一緒ですね。」
「その通りだ。」
アーチャーの本音としては、「相手の意表を突くをこと」を念頭に置いているが、今回は「将来の情報源」として食い散らかす為に動いた。
ジェネラルの2人はDAの依頼だけだが、アーチャーにはDAとは別にオーバーロードからテロ組織の情報とアジトを炙りだすために動いている。
今回、ジェネラルと合流するまで遅れた理由は、北押上爆破テロの関与しているテロリストを拘束し、そのテロリストに脅迫したら簡単に口を割ったので、ここ芝浦・品川付近に出入りしているらしい。
因みに、そのテロリストはフリッツが運転するカタフラクト2に回収され、単独でDA本部に向かっていた。
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歩いてから数分後のことだった。
アーチャーは何かに気づき、立ち止まる。
ジェネラルの2人はアーチャーを見て報告を待つ。
アーチャーは歩く先、その暗闇の先を凝視していた。
そして冷酷な声でジェネラルの2人に言う。
「発砲音を複数聴きとれた。ジェネラルは400m先の交差点付近に向かえ。こちらは単独行動で上からの視認を試みる。」
「「了解。」」
アーチャーは雑居ビルを駆け上り、瞬く間にジェネラルの視界から消える。
ジェネラルの2人は互いに確認した上で、アーチャーが言った通りに動く。
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田町・芝浦埠頭から伸びる都道316号線を品川方面まで下って行った
「港南橋」
と書かれた交差点にたどり着いたジェネラル。
右折すれば品川駅や芝浦中央公園へ。
左折すれば品川埠頭や入管にたどりつく。
海風がなく、とても静かすぎる。
この時間帯なら人通りがあるはずだが・・・
誰もいなかった。
だが、微かに血の匂いがする。
ジェネラル1は可視近赤外帯域のナイトビジョンを、2は熱赤外帯域のナイトビジョンで交差点付近を目視で確認している。
変色しているが、1人倒れている制服を着た少女が倒れていた。
視認直後にアーチャーから通信が入る。
<<アーチャーからジェネラルへ。第二種警戒から第一種警戒に移行しろ。降りて安否確認する。>>
<<こちらジェネラル1了解。2は
<<了解しました。>>
通信が終わると同時に、アーチャーが少女の元に降りて安否確認をしている。
その間にジェネラルの2人は4方向に対して警戒している。
すると、アーチャーからオーバーロードに対してオープンチャンネルで通信を開始した。
<<こちらアーチャーからオーバーロードへ。目標はKIA。>>
<<ーーーこちら、オーバーロード。わかった・・・目標を袋に包んで安全が取り次第、回収して帰投せよ。>>
通信越しではあるが、オーバーロードがため息交じりの返信が帰ってきた。
目標は死亡。
アーチャーは口笛を吹いてジェネラルを招集した。
ジェネラルの2人は幼いリコリスを見て、あ然とした。
惨たらしい死に方で、まるで見せしめかつ警告メッセージとも言えるやり方だ。
これには戦場のプロフェッショナルである傭兵でもグッと来るものがあった。
ジェネラル1がアーチャーに言う。
「これが・・・テロリストのやり方か?」
アーチャーは首を振る。
「いや、テロリストだけじゃない。DAのやり方も気に食わん。」
「と言いますと?」
「子供の将来を踏みにじったことと、子供を道具としか見ていない。実にくだらん。」
アーチャーの私情が混じるが、ジェネラル1は無視して続ける。
「テロ組織が抵抗するのはわかるが、相手が子供でも躊躇なく殺しに来てる。偶々相手が国家規模の治安組織だっただけで、ここまで”普通”はやらないよな。」
「やはり、テロ組織はDAの存在を知っている・・・ということですか。」
「あぁ。」「そうだな。」
ジェネラル2の問いに、アーチャーとジェネラル1が同時に答えた。
3人は唸り、ため息をした。
惨たらしい死体を見ていたジェネラル2が提案する。
「このままでは埒が明かないですな。この子の為にも我々が身を投じなければ行けません。」
「その通りだ。アーチャー、俺もジェネラル2と同意見だ。何としてでもテロ組織を潰さなければならん。」
「わかってる。だが、その前にこの子・・・小さき戦士に黙祷をささげないとな。」
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ーーー1分後。
いや、1分以上経っていたかもしれない。
3人の傭兵は、若くして亡くなった1人の戦士に黙祷を捧げた。
アーチャーはジェネラルの2人に告げる。
「
「わかった。」「了解しました。」
ジェネラルの2人はアーチャーの言う通り死体袋と痕跡を探し始めた。
アーチャーは亡き幼き戦士に対して、祈りの唄を始めた。
「Nearer, my God, to Thee, Nearer to Thee! ーーー」
彼は、『旧約聖書』創世記28章11節・12節を基にした「主よ 御許に近づかん」を唄いだした。
その唄は、戦士である亡き彼女を包み込むように神の元へと送り出した。
願わくば「本当の平和」である神の御国へ。
そして、彼は唄が終わる終盤で十字架を懐から取り出しては、十字架を彼女の手の中に入れた。
彼はーーー泣いていた。
声色は変わらないものの、涙を流していたのだ。
唄が終わると、再び黙祷をした。
これが彼の生き様であり、「
敵味方、いや他人だろうが関係ない。
皆、人の子だから遅かれ早かれ平等に「死」は訪れる。
だからこそ、死者は丁寧に扱わなければならない。
特にアーチャーの少年時代が正にそうだった。
食う食われる時代に飲まれたが、真っ向から抵抗し、9歳の時に信心深い父から「主よ 御許に近づかん」を叩きこまれた。
結果、彼はこの世界に身を投じることができた。
そんなアーチャーを見て、ジェネラルの2人は何とも言えない状態だった。
これが初めてではないが、見ていてずっと慣れずにいた。
冷たい狼が親鳥に生まれ変わる瞬間は、いつ見ても慣れないものだと分かってはいたが・・・
アーチャーは義手の左手を上げて言う。
「終わったか?」
ジェネラルの2人は互いに準備が整ってはいた。
ジェネラル1はテロ組織が使用されたであろう薬莢をかき集め、2は死体袋を取り出していた。
音に敏感なアーチャーは、
「片づけるぞ。」
と言ってジェネラルの2人に振り返り、普段通りの姿に戻っていた。
まずはジェネラル2が死体袋の口を開く。
その後、亡き少女の身体が崩れないよう、3人で持ち上げては死体袋に包まれるようにそっと置く。
そしてアーチャーは、オーバーロードから事前に言われた周波数を合わせ、位置情報をDAに発信する。
ジェネラルの2人はかき集めた薬莢を薬莢袋に入れ、そして名の知らぬ亡き少女に別れを言ってから死体袋の口を閉じた。
1時間後にはDAの”清掃員”に死体袋を渡し、路上に染み付いた血を取り除いたことを確認してから、3人の傭兵は帰路についた。
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ジェネラルたちが持ってきたカタフラクト3で、隠れ家に戻る最中の出来事だった。
アーチャーは後部座席で薬莢の1つを取り上げてマジマジと見た。
薬莢の底にある刻印を見つけては呟き始める。
外を警戒していたジェネラル1がそれに気づく。
「どうした?アーチャー?」
「いや、これ半世紀以上昔のPM拳銃の薬莢なのはわかったが、.380ACP弾薬じゃねぇのかなって。」
「どれ見せてみろ。」
アーチャーはマジマジ見ていた薬莢をジェネラル1に手渡した。
ジェネラル1は少し唸った。
確かにPM拳銃の薬莢だが、現在の東側の兵器は全て一新されており、PM拳銃は既に退役済みの拳銃である。
なのにテロ組織がPM拳銃を使う理由が解らなかった。
いくらテロ組織とはいえど、鹵獲品でも模造品でもいいから新しいのを使うはず。
なのに半世紀以上も昔に採用されたPM拳銃が出回っている事態、不思議でしょうがなかった。
唸るジェネラル1にアーチャーが問う。
「わかったか?」
「アーチャーの言う通りコイツはPM拳銃の.380ACP弾薬で間違いない。だが、本来のPM拳銃であれば9x18mmマカロフ弾薬を使用するはずだ。貧乏なテロ組織ならば安価で仕入れやすい弾薬だからな。」
アーチャー考えが合っていれば、潤沢なテロ組織は武器を一新する。
その一方で貧乏なテロ組織は、安価で仕入れやすい退役済みの武器を揃える。
だが、ジェネラル1の答えが仮説としていれば、今回のテロ組織はどちらも属さず、その中間に位置している。
ジェネラル2が運転しながら言う。
「もしや、例の”アラン機関”の可能性は?」
「無くはないな。」
とジェネラル1は薬莢をアーチャーに返した。
アーチャーは渡された薬莢を袋に戻したところで、紐で結び、閉じた。
アーチャーは2つの組織に対して深いため息をしてから、瞼を閉じて少しばかりの睡眠をとった。
次回⇒【真のバックヤード】
小話【フリッツとDA】
DA本部からの帰り際、フリッツは30年以上も過去を思い出していた。
あの子をDAに預けた日に、そこにはまだ若かりし頃の楠木お嬢が居た。
既に司令官となっていたとはな。
私は笑っていた。
あの子が楠木お嬢と同室だった。
1度フラッとDA本部に立ち寄った際は、あの子が楠木お嬢の手をつないで私の元に駆けつけていた。
あの子が必死になってはしゃいでいたのに対して、楠木お嬢はなんか照れ隠そうとしていたのを覚えている。
何だか、あの時だけは「平和の息吹」を感じ取れていて、実に懐かしいものだ。
今回は会えなかったが、あちらの立場もあるだろう。
鼻歌を鳴らしながら、フリッツは真夜中の中央自動車道を駆けて行った。
~Fin~
それでは、次回までごきげんよう。