~銃弾と対価~   作:クマぴょん

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※注意書き※
今話は台詞が少なく、結果報告資料という形で話が続いています。確証も得られない中で唯一導き出した答えがこの話で出てきます。

【前回のBullets Price】
若き勇者たち2名の死亡が確認され、傭兵集団の士気は低下しつつ中、DAとテロ組織のバックヤードがフレディの暗号とリーの解読によって発見されたーーー


3人のアラン
【真のバックヤード】


 

 

東京・某所

ブリーフィング室

 

DAの依頼から約半月経った頃。

軍隊のように次の任務までに金がある限りは、ひたすら訓練、訓練・・・というのが傭兵でもまかり通る。

だが、先のDAの依頼、ひたすら訓練するわけにはいかない状態がこの傭兵にはあった。

そう、今回のテロ組織のバックヤードの大本が分かってきたのだ。

今依頼で集められたブリーフィング室には、

 

傭兵集団トップであるフリッツ。

傭兵の情報中枢部のリー。

この中で最も軍歴の長いジョージ。

唯一単独行動のあるフレディ。

出世街道より自分を探していたジョン。

誰よりも兵站や装備を知り尽くしているロック。

 

の6人が集まっていた。

 

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まず始めに、

 

フリッツとリーが先のDAの依頼から得た情報で共通している情報が、テロ組織はDAの存在を”知っている”。

 

結論が出ていた。

それは品川で展開していたフレディとジョン、立川に向かったジョージやロックも同意見だった。

存在を知らなければ、あんな惨たらしく見せしめの殺害はしない。

となれば、存在を知っていてテロに加担しているバックヤード、リーといった電子情報網を構築しているテロ組織の頭脳中枢部の人物がいるはずだ。

だが現段階で分かっているのは、

 

芝浦・品川間で威力偵察したフレディの情報と2件の現場に散らばっていた弾薬、そして直後に発生したDAのエージェントが2名殺害された。

 

ことだけだった。

誰もが悩み、誰もが唸っていた。

特にフレディは、テロ組織よりもDAの組織体制や指揮系統にかなりの不満を持っていた。

彼自身、若くして自動小銃を持ち歩き、革命の英雄に返り咲いた人間。

だが、彼はそれ自体納得できる人生を歩んでいないからだ。

孤児とは言えどまだ子供だ。

人生をへし曲げてまで、組織に対して任務をひたすら忠実にこなすこと自体、若き人生を踏みつぶしているからだ。

フレディの不満の意見は誰もが解っていること。

皆、日本から出国したかった。

確かに依頼金はもらっているが、クライアント側であるDAが喫茶リコリコのバックヤードについてしまったのが運の尽きである。

全てが終わるまではこの一抹の不安から逃れられない日本からの脱出は不可能だからだ。

フレディの不満だけではない。

テロ組織のバックヤードが、情報が正しければアラン機関であることだ。

1世紀以上も謎に包まれた組織だが、リーの解読した情報が正しければ、DAもテロ組織のバックヤードがアラン機関であることを突き止めた。

DAはラジアータ。

テロ組織には密輸。

アラン機関が何を目的に両方に加担しているのかわからない。

だた、薄々解ることだけが1つ。

 

DAとテロ組織が潰しあって、アラン機関が日本社会として君臨する未来が。

 

9割9分有り得ないことだろうが、あり得えないこともなくない。

なにせ、1世紀以上も秘密裏に世界を操っているのは変わらないのだから。

 

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リーによる情報網の精査から4時間が過ぎていた。

当初は東側兵器で構成された単なるテロ組織が、ガワの被ったテロ組織または大規模組織。

と大体判明した。

そう、要因として先の依頼で持ち帰った薬莢と弾薬の残り滓だ。

最初に見つけたのはフレディだけじゃなかった。

兵站に長けているロックもまた、薬莢の刻印で西側諸国が扱う刻印と、引き金を引いたときに発火した火薬の残り滓を精密検査に持ちかけたら、.380弾薬と同様の火薬量に匹敵するエネルギー熱量と判明した。

どの軍隊でも西側諸国だけど東側兵器や弾薬を使用するのは、ごくごく普通のことだった。

ただテロ組織の場合、単一兵器を好む。

理由としては、整備しやすさと模造しやすく大量生産に向けるからだ。

大量にばらまくには単一兵器の方がもっとも長期的に見て良いのだ。

だが、今回は違う。

明らかに別次元のテロ組織だからだ。

無論、バックヤードが謎に包まれた組織だからとも言えるが、敢えて東側で嘘の情報を流布させておいて、中身は西側というのは想定していたものと違っていた。

テロを防ぐ為にはDAに協力を仰ぎたいがーーー

そのDAでさえも肝心な情報さえ抜け落ちている。

天下のCIAですらこの30年間、掴めないのはDAが数多のCIA工作員を始末したということと、情報を隠蔽していたことだ。

その30年間以内で事件が解決できていれば、25年前のテロ事件や10年前の電波塔テロ事件さえなかったはずだ。

精査した結果、わかったことは・・・

この13人だけでテロ組織を止めるのは不可能ーーー

とのことだった。

精査した内容は以下のようなものだった。

 

・規模:バックヤードが存在する限り、ほぼ人的資源は無限

・銃火器:東側を用いりながら、西側も使用している

・情報;肝心なDAがエージェントを単独行動を取らせた結果、大コケしていたのでまともな情報がない

・依頼:DAは戦力の逐次投入という愚策のおかげで、比較的に役に立てない。ならば喫茶リコリコに協力を仰ぐしかない

 

といった具合だった。

規模は言わずもがなだが、1つのテロ組織としては規模がデカい。

バックヤードの存在が大きいからであって、テロ組織の上層部はごく少数ーーーなのだが、リーダー格が不明。

銃火器は前述の通り、東側といいつつ西側も使っている始末である。

情報も同じくDAが隠蔽した結果が、先のテロ事件で発生した数々である。

最後の依頼だが・・・

DAはエージェントを駒としか見ていないためか頼りにならない。

まだ連携の取れる喫茶リコリコに協力を仰ぐしかない。

同じDAだが、連携の取れない無能上級将校より、現場指揮に特化した現地将校の方がやりやすいと言ったぐらいだろう。

結果が出たところで、『喫茶リコリコに協力を仰ぐ』といったところか。

そこで、傭兵の中枢で伊達に名前負けしない”現代アインシュタイン”であるリーから応援することに決まった。

 

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指揮官司令室にて。

就寝時間が過ぎ、日をまたいだ頃。

 

リーとフレディはまだ活動していた。

まだ、フレディの発した暗号を解くのにかなり出遅れていたからだ。

フレディは1つ1つ丁寧に解いていった。

ある暗号でリーの動きが止まり、もう一度確認させた。

フレディは、

 

「2度も言わせるな。武器密輸には春川フキ率いるチーム以外に、関わったDAのエージェント”4名”がーーー」

 

と、言ったところでリーに遮られた。

 

「それだ!先の依頼でその”4名”がKIAしたのはこの密輸の情報に関わっていた。だから殺されたんだ。」

 

フレディは目を閉じて、何かを考える。

そして口を開いた。

 

「となると・・・あの密輸はその”4名”が関わっていて、その4名はDA上層部から単独で情報源を追っていたことになる。」

「そうだ。だが、その尻拭いとして『死』という形で代償になってしまったのが悔やまれるが・・・」

「口封じか・・・気に食わんな。」

 

フレディは、深いため息をしてリーに指示を出した。

 

「例の4名のエージェントの顔を割り出せるか?」

「あぁ、わかった。」

 

リーが先の依頼で亡くなった4名のリコリスを割り出している中、フレディは次に考えうる問題を模索していた。

20分足らずにリーが結果を出してくれた。

先の依頼で亡くなった2名の内、武器密輸取引先との2名と”同一人物”だった。

 

「アタリだな。」

 

フレディはそう呟く。

リーは聞く。

 

「そっちは何か解ったのか?」

「一応な。」

「聞かせてもらおうじゃないか。”現代に蘇るロレンス”の『智慧(ちえ)の七柱』を。」

「その名はやめてくれ・・・まぁいい。井ノ上が喫茶リコリコに左遷されたあとだ。左遷先の情報がない。」

 

暗号の1つの中に、

 

『井ノ上たきなは左遷されたものの、左遷先での出来事は不明』

 

と書き残してあった。

 

「ふむ、なるほどな。それは見落としていたな。」

 

リーは頷きながら言う。

だがフレディは、

 

「いや、この暗号は北押上で解った時のだ。」

 

と補足説明が入る。

リーは困惑する。

 

「どういうことだ?」

「いや、仮説として暗号化して残したんだ。リックに拾ってもらってから、井ノ上の情報が機銃掃射”以外”にあったか?ってな。」

「てことは、これからラジアータの壁を破るか。早期発見の方が良いのか?」

「あぁ、なるはやでな。」

 

フレディの答えに早速、リーは取り掛かった。

 

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太陽が東の明るみに出てきたところ。

リーは答えを見つけた。

その間にフレディは一睡もしないで暗号を説いていた。

リーはフレディを呼んだ。

 

「おい、見つけたぞ。」

 

フレディは暗号文を卓上に置いて顔を上げた。

 

「だいぶかかったな。厳重だったのか?」

「そこそこな。とりあえず見てみろ。」

「・・・ほう?密輸取引に間接的に関わってしまった人間の護衛任務か。で?それだけじゃないだろ?」

「これでわかるか?」

 

リーがスライドした先には、千束の自宅らしき映像で、千束の顔がわずかながら映っていた。

フレディは腕を組んで言い放つ。

 

「次は奴さんだな。しかし、どこでこの情報を?ラジアータには恐らくないはずだが?」

「スラヴァのドローンだ。」

「わぁーお!それは大手柄だなーーーいや待てよ?北押上の時じゃないよな?」

 

フレディの答えにリーはまた画像をスライドさせた。

スラヴァことアレクが操作していた軍事偵察ドローンと同じ型番である民間用ドローンだった。

 

「中身が違えど、ドローンの製造過程は一緒だからな。例え、情報がVPNで逃げたとしてもクライアント権限を使用すれば、中身が見られる。」

「VPNじゃなくてもハッカー特有の防御方法だったから時間が掛かったわけだな。ナイスだ。」

「問題は千束お嬢がいつ?どこで?なんだが・・・お前はもう休んでおけ。」

 

リーの言葉に内心舌打ちするもフレディは理由を聞く。

 

「フレディ、お前ここ数か月まともに寝てないだろ。」

「いいや、平均2時間は寝ている。」

「そういう問題じゃない。お前が倒れたら、お前はともかくフリッツが討たれて、次は俺だ。その次は日本絶滅戦争に突き進むしかないんだぞ。」

 

リーはフレディの心配ではなく、ジョージが裏切るだろうタイミングを見計らっている。

勿論、フレディがいつ体調を崩してもおかしくない状況ではある。

だから、ここでフレディという”切り札”を休んでおかないといざという時に、非常に難儀するのだ。

唯一無二の存在で、単独行動が許されてるフレディには休んでほしかったのだ。

半ば諦めたフレディは頷いて、

 

「わかった。これから休んでくる。もし錦木や井ノ上になんかあったら叩き起こしてこい。いいな?」

 

と言ってから、リーの指揮官司令室から出ていく。

 

「ったく・・・20年経っても『(オレ)の道』は潰えないんだな。まったく一番の忠義ものだよお前は。」

 

リーはゆっくりと背伸びをしてしてから、部屋にロックを仕掛けては背もたれを倒して、まどろみに包まれて寝始めた。

 

 

次回⇒【November救出作戦】




小話【喫茶リコリコに立ち寄る狼】

ここの珈琲はリラックスが出来る。

そう啜るのはフレディだった。
フレディは休憩に入る前に、エスプレッソの香りを楽しみながら、休憩に入ることが多い。
特に喫茶リコリコのエスプレッソは格別に違う。
嗜好品とは言え、ここまで香りが引き立つエスプレッソは生まれて初めてだ。
そんなフレディの元に千束がやってきた。

「フレディさん?質問していいですか?」

フレディは頷く。

「フレディさんはほぼ毎日の頻度で、ここに来ますよね?先生の珈琲、気に入りましたか?」
「あぁ。今まで飲んだよりも美味だ。ミカの旦那によろしく伝えてくれ。」
「ありがとうございます!」

千束はお辞儀をした。
千束がお辞儀した際、首飾りの梟のチャームが光って見えた。
フレディはそれを見つつ、

(神と偽る印・・・か。千束お嬢は何のために?)

と。
そう思い出したかのように、とあることを千束に言った。

「あと気になるのが一つあるんだが?」
「何でしょうか?」
「ミズキお嬢は、常に酒を煽っているのか?」
「あちゃ~・・・そうですね。常に抱えるぐらい・・・ですね。」

フレディは珈琲を飲み干してはカップを置いて再び聴く。

「酒も嗜好品の1つだからいいものの、飲み過ぎには気を付けたほうがいい。」
「フレディさんは飲まないのですか?」
「3年に1回ぐらいしか・・・な。ほとんど戦場にいる以上は飲めない。このエスプレッソだってそうだ。」

フレディの目は何か悲しげにモノを訴えるものであった。
そして立ち上がり、当たり前のように1万円札をテーブルに置いて行った。

「ごちそうさん。今日もうまかったぜ。」

と立ち去って行った。
千束はそんなフレディの背中を見て、

(何か物寂しいモノを抱えている?彼が言う”道”ってなんだろう?)

と考えた。

~Fin~

それでは、次回までごきげんよう。
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