Novemberこと千束を所属不明の敵から救い出すため、傭兵集団はほぼ全戦力をもってして救出作戦に赴く。その際にドラグーンは先回りして既に待機していた。だが、千束に襲う敵は容赦ない暴力。虫唾の走ったドラグーンは大胆な博打を打つ。
1930時
東京・旧隅田公園
Novemberこと千束救出作戦中、ドラグーンが交渉役に打って出た。
彼の仕掛け次第で、今作戦の成功に導くだろう。
逆に、彼が交渉に失敗した段階で彼は死ぬ。
だが、Tangoことたきなのバックアップやフッサールが到着次第、援護に入るので犠牲者は”1人”で済む。
肝心の千束が後悔する思いになるが、それは今、我々傭兵が考えるべきことではない。
目の前の障壁を壊して、前進あるのみ。
DAでは出来ないことは傭兵が賄えばいい。
至極、単純且つ簡単だった。
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真島と千束、ウジ虫共の野次の最中、甲高い口笛が公園中に響き渡る。
振り上げた拳を上げたまま真島は顔を上げる。
千束も同様だった。
鳴りやむと同時に、馬の息遣いと地鳴りする音がほぼ同時にやって来た。
その音は、千束と真島のすぐそばに迫っていた。
迫っていたものは馬だった。
馬は2人を過ぎ去って、頭上から新たな闇が現れる。
ドスン
という地響きを立てて、姿を現すのはドラグーン本人だった。
「久々の乗馬は腰に来るもんだなぁ・・・おっと?失礼。お楽しみ中だったかな?」
笑うドラグーンに真島ぶっきらぼうに答える。
「・・・お前なにもんだ?」
異様な佇まい。
異質な振る舞い。
その異様な人物は1人しかいない。
でも千束は何が何だか解らず、その人物は笑顔で緑髪の男に言う。
「このお嬢ちゃんのツレでな。流石に”アラン”という言葉には耳がいいぐらい悩んでいてね。そうでしょうMr.真島。」
緑髪の男は、自分の名を言われたとき何かが刺さる音がした。
再び高笑いする真島。
そして白の外套を着るドラグーンを睨みつけた。
「お前、面白れぇ奴だな。お前も”そうなのか”?」
「そうだよ。ここにいる3人は”使命”がある人間同士だ。それぐらいないと話の”材料”にならんだろう?」
そう鼻で笑うドラグーンに笑いの止まらない真島。
「話が分かりそうなやつが出てきたのは好都合だ。まずお前からだ。」
「いいとも。」
千束は解らなかった。
彼が命を張ってまでここまで情報を野晒にするのを。
助けるために来たわけではない。
何らかの形で時間稼ぎに来ている可能性がある。
その対価が”命”なんだろう。
そんな千束を他所に話を続ける。
「己の使命は簡単さ。」
と言った瞬間だった。
胸にある6挺のうち2挺の拳銃を引き抜いては撃ち、野次馬共の急所に当たる。
「貴様らテロリストを根絶やしにするためだ。それが俺の”使命”だ。」
黒色火薬と硝煙が漂う拳銃を胸にしまう。
真島の顔が変わった。
笑っているように見えて違う。
千束同様に”仕事”と評して暴力を振るうだろう。
しかし外套の人間は動揺せず、えらく紳士的な立ち回りだ。
発砲さえ無ければだったが・・・
「くっだらねぇなー。」
「そうだろう?くだらないからこそ”人間”って奴は、殴り合いが出来るものだ。だから、こうして傭兵として生きているわけ。お分かり?」
「はっ、聞いて損したぜ。」
「そうだろう。そうだろう。」
と頷くドラグーン。
そして腕を組んでは”無防備状態”にする彼。
まるでたきなの時と一緒だ。
既に緑髪の男の心を読んでいるかのようだ。
「嬢ちゃん1人相手で、この人数は些か不公平じゃないか?”バランス”が大事なんだろう?」
「言うじゃねぇか。お前こそ1人で太刀打ち出来ると思っているのか。」
「じゃなきゃ前言は撤回しないさ。」
「やっぱり面白れぇな。お前。」
と真島は銃をドラグーンに向ける。
「面白れぇけど、つまんねえ”使命”なんだわ。退け。」
「断る、と言ったら?」
「いいから・・・退けよ。」
と真島が銃を発砲した。
直後に、合金の甲高い音が鳴り響く。
ドラグーンの金属製の左腕に銃弾が弾いた。
それを見た真島は不気味なほどに笑い出す。
「お前、義手じゃねぇか。”くだらない”という対価がそれか?」
真島に合わせて彼もまた笑い出す。
「まぁ、そうともいうか?ただ、心は読める程度ではあるが・・・」
一瞬の間を置いて、彼の目つきと声色が変わり・・・
真島を鷹のよう睨みつける。
「貴様の行動はすでに己の手中にある。」
「・・・ハッタリか?それとも脅しー」
真島が言う前にドラグーンはさらに2回発砲した。
またもや野次馬共の急所に命中する。
野次馬共を見ていないのにも関わらず、命中させるその人物が千束の前に居る。
まるで、害鳥から守る親鳥だ。
「絶対に千束を死なせまい」という覚悟があってこその佇まい。
これが千束から見た”彼”の姿。
「脅し以外に何があると思う?」
と言い終わるとここにいる連中に聞こえるような声を発する。
「貴様らに警告する!これ以上、関わるならば我々、フリッツ傭兵団が全て阻止するだろう!そして貴様らには死か投降するかの二択しかない!二度目はない!貴様らの命は我々が食い散らかす!貴様らの人生は有ってないようなもんだ!」
言い終わると同時に、真島が黙って発砲を繰り返す。
心が読める彼も真島が放つ銃弾に併せて、左腕や義足、外套で受け止め、その対価として彼は、素早い対応で野次馬共を削っていく。
それを見ても真島はまたも笑い出す。
「やっぱり面白れぇわ・・・お前。”1人”で戦局を変えた男が居るというのは本当のようだな。」
「不名誉だな。お生憎だが、1人で戦局変えれるなら傭兵稼業何かやってない。総員攻撃開始!」
彼が右拳挙げて号令の共に、たきな、フッサールが発砲を開始する。
時間稼ぎは成功した。
たきなは野次馬共の処理。
フッサールは敵の退路を防ぐと共に、Limaの援護。
ドラグーンは口笛を吹き、馬を呼び戻しては騎乗しながら敵を蹂躙する。
2世紀前の古めかしい騎兵銃で乱射し、一撃離脱するその姿は、正しく”
一撃離脱から帰ってきたドラグーンは、圧倒的な展開力に呆然とする千束に対して言う。
「お嬢!後方に救援車輌を用意してある。あとはたきなお嬢とミカの旦那に任せて撤退しろ。」
「わわわ、わかりました!」
「遠慮するな!行けぇ!」
ドラグーンの威勢は凄まじく、まるで疾風怒濤の騎兵で、現代において古めかしいナポレオン時代に取り残されても輝いている。
テロリストはドラグーンの騎兵攻撃とTangoの援護射撃、最新鋭装甲車のフッサールの登場で混乱を極める。
直後にオーバーロードから連絡が入る。
<<ドラグーン、時間稼ぎご苦労だ。そのまま攪乱攻撃を続けよ。フッサールは援護射撃。Limaは速やかにNovember、Tango回収後、帰投せよ。>>
<<こちらフッサール。了解した。支援兵各員は自由射撃開始!>><<よっしゃ!バッチこい!>>
ドラグーンの一撃離脱後、フッサールの主砲が火を噴く。
敵車輌を破壊させて敵の退路をドラグーンと搭乗支援兵が仕留める。
その混乱に乗じて、LimaがNovemberとTangoを回収すれば良い。
時間との勝負だ。
騎兵銃で応戦するドラグーンと装甲を纏ったフッサールと搭乗支援兵により、敵は挟撃の形をとられてしまい、もはや敗走するのも時間の問題だった。
拳銃でさえ脅威だったのが、傭兵集団の加減の知らない攻撃によって全て完封されていた。
すると、1つの車輌が無人で動き出す。
それは既に回収を終え、公園から脱出するLimaに向かっていった。
だが騎兵で小回りの利くドラグーンはすぐに察知。
スペンサー・カービンの乱射で無人車輛は片側の前輪と後輪のタイヤを破損して、脅威を排除・阻止することに成功。
無人の車輌はLimaから大きく外れて、公園の出入口にて沈黙した。
<<こちらドラグーン!これで脅威は去ったか?>>
とドラグーンは装填しながら叫ぶもNoceから通信が入る。
<<ヤバいので狙われているぞ。>>
<<どの方角だ!>>
<<川の方だ!>>
<<川!?>>
正確な情報をよこさず、ドラグーンは辺りを見渡す。
そして1つの対戦車ロケット弾を担いだテロリストがLimaに照準を合わせていた。
ドラグーンは叫ぶ。
<<フッサール!Limaを死守しろ!お前たちが一番近い!>>
<<了解!近接防御システムアクティブ!ついでにチャフ、フレアも展開だ!>>
通信を終えると共に、フッサールはLimaを重ねるように盾になっては一緒に軌道をとる。
対戦車ロケット弾は発射されるも、無誘導故に、Limaの車輌ではなくフッサールの近接防御システムによって阻まれた。
次はオーバーロードからの連絡だ。
<<搭乗支援兵へ。公園出入口にターゲットが居る。脅威を排除せよ。>>
<<一斉射・・・よーい。てっー!>>
搭乗支援兵のカスチョールの一斉射撃で緑髪の男こと真島は、それを目の当たりにした。
「なんーーー」
言い終わる前にグレネードランチャーが真島の付近に着弾した。
追い打ちするかのように、ドラグーンが騎乗しながらM5A2の40mmグレネードランチャーでトドメを刺す。
と共にフッサールの車長のフリッツがLimaに対して通信越しで叫ぶ。
<<Lima!大丈夫か!?>>
<<なんとかね。ありがとさん。>>
<<了解した。オーバーロード!>>
<<敵性勢力の敗走を確認した。総員各任務の完了次第、RTBせよ。>>
次回⇒【扇動家の目線】
小話【真島の新たな執念】
数時間後
真島はとある部屋に向かっていった。
そして蹴破る。
「どわあぁぁぁ!?」
ロボット被り物をした人間が叫ぶ。
だが、真島は動じない。
なにせ、重火器で吹き飛ばされた挙句、川に叩き込まれたからだ。
全身濡れている真島は、被り物の人間に近づく。
「おい。」
「はいぃぃぃぃ!」
「なんで、あの傭兵集団がいるんだ?」
「・・・は?」
殺されるかと思った人間は、きょとんとしていた。
「ようへい?」
「そうだ。フリッツ傭兵集団って奴だ。お前、何か知ってるか。」
「フリッツって・・・世界中に名だたる世界一傭兵集団じゃないのか!?」
「はっ!やっぱり”ロボ太”も知っていたか。そいつらが、あっち側にいる。知っているか?」
”ロボ太”と言われた人間は深く考えた。
「今わかるのは、DAと手を組んだだけじゃない。僕たちを止めようと仲介役として現れたことしか?」
真島は舌打ちした。
どうやら違うようだ。
「あの傭兵集団の中にアランを知っていて、アランを断った奴が居た。そして俺の名前も素性もバレてる。そいつを探せ。いいな?」
「・・・いつまでに?」
「10分後だ。」
「そ、そんなぁ・・・」
真島はロボ太を睨みつけては去っていった。
口角が上がる。
(面白れぇじゃねぇか・・・心を読める奴か。また会いたくなってきたじゃねぇか。)
真島は内心、高笑いしていた。
アランのリコリスにアランの傭兵。
選り取り見取りって奴だ。
~Fin~
それでは、次回までごきげんよう。