~銃弾と対価~   作:クマぴょん

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【前回のBullets Price】
DAと喫茶リコリコ、傭兵の3チームで合同作戦のブリーフィングを行っていた最中に、諸悪の根源であるジョージが現れた。だた、ジョージは知らないだけで、傭兵では解釈一致でジョージを離反することを決定づける理由を得たのだったーーー


【DAと喫茶リコリコと傭兵】

 

 

東京・某所

作戦開始まであと30分

 

 

合流地点にて、フキ率いるHotelと千束とたきなのLima、傭兵集団のFoxtrotが集まる。

合流地点は予めフレディが選定した安全地帯を確保したうえで、3チームの合流した上でブリーフィングの確認を行うことにした。

既に、HotelとLima、フレディが到着している。

が、HotelとLima・・・

いや、サクラと千束が口論していた。

察しの良いフレディは、

 

「またか。」

 

とぼやきながら”子犬”の2人の間に割り込む。

 

「貴様ら、いつまで口喧嘩するつもりだ。端から見たらみっともないぞ。」

「フレディさんも言って下さい!DAとフキのせいでたきなが!」

「千束、良いんです。」

「だって!」

 

フレディは千束の気持ちが露わになる態度はよくわかる。

だが”それはそれ”で本作戦における重要性の高いものではない。

 

「相変わらず、2人は”この程度”だから、DA本部じゃなくて小さな支部に飛ばされたんですよ~ねぇ、先輩?」

「サクラ。お前も口を慎め。」

 

煽るサクラにフキは諭した。

やっと収まったフレディは、ホログラムを取り出しては2チームにブリーフィングの再確認を行うことにした。

 

「時間も時間だ。ブリーフィングの確認をするぞ。」

 

ホログラムから映し出された拠点、威力偵察で炙り出した構図など情報のオンパレードだった。

 

「作戦は各自、聞いてもらった通りなので飛ばす。まず見てもらいたいのが・・・敵拠点だ。拠点は複雑な構造になっており、地下含めると3階ないし2階・・・あるいはその間だろう。」

 

入り組んだ倉庫だが、敵性組織が更に手を加えた形になっている。

内部の空間把握はフレディが予めあらゆる手段で、敵拠点を調査していた。

ただ、フレディは地下空間は探りをほぼ入れなかった。

敵のデータを回収地点は地下にあるものと仮定してあり、それ以外ならば更に地下深くにあると推測を立てた。

Hotelだけじゃなく、Limaもホログラムに食いついて見ていた。

フレディの説明はまだ続く。

 

「特にHotelは気をつけろ。データベース回収地点が見いだせないまま、敵の懐に入る。それ相応の覚悟はあるか?」

「こちらは問題ない。」

「わかった。それを踏まえて陽動作戦本隊のFoxtrotとは別にデータ回収予備チームのMike。回収チームのJuliettが控えている。Hotelは万一の場合はMikeを呼べ。そっちにはオーバーロードが付いている。」

「わかりました。」

「フレディさん。質問です。」

 

フレディは視線をたきなに移す。

 

「なんだ?」

「私たちは陽動作戦の援護と店長から聞きましたが。」

「Foxtrotの援護に入ればいい。ただFoxtrotとLimaの方針は違えど、敵をこちらに釘付けにすりゃ良い。Hotelがデータを確保したら、お前たちLimaはJuliettに戻って警戒に当たれ。」

 

フレディの言葉にもどかしさを感じる千束を、フレディは見逃せなかった。

 

「千束お嬢。貴様の気持ちはわかるー」

「じゃあ、なんでそんなに重武装なの?」

 

千束はフレディの重武装に食いついては指摘した。

フレディの腰にはブルズアイとロスモア236コンバット・ショットガンが。

背中にM5A2。

胸部に6挺の拳銃に外套内部からチラッと見える無数のナイフと手榴弾。

明らかに陽動とは思えない重武装だ。

だが、この武装には答えがあった。

 

「Foxtrotには(オレ)含めて4人しか居ない。」

 

フレディの答えにその場にいたリコリスがざわつく。

フキとたきなが同時にフレディに聞く。

 

「敵の数は?」「どれぐらいいます?」

「50だ。」

 

あっさりと答える。

場数を踏まえた人間としての答えだろう。

 

「フレディさん、いくら何でも無理ですって!私たち含めて6人で陽動なんて・・・」

「そうっすよ!蛮勇にもほどが有りますって。」

 

慌てふためく千束とサクラに、Mike0-1のマイケルが水を差す。

 

「いや、蛮勇じゃないさ。」

 

Foxtrot本隊が合流地点に到着したと同時に、マイケルを筆頭に降りた全員が、プレートアーマーや可視近赤外(VNIR)帯域ナイトビジョンといった完全武装された傭兵集団が居た。

 

「DAが全員分の”レンガ(1000万スイスフラン)”を送ったおかげで、何とか倍以上の武装を整えた。フキお嬢、サンキューな。」

 

Juliett1-1のジョンが自慢げに言う。

が、当の本人であるフキは困惑していた。

感謝されるのはこっちのほうだと。

あの模擬戦で思うことがあったが、DA上層部・・・

特に、楠木司令の鶴の一声で彼ら傭兵集団の認識を改めた。

彼らは彼らなりの行動で、千束たちを救出し、そしてDA抜きでも、国を救う実績のある実力派集団だと。

フキの考えを他所に、役者がそろったところでフレディが言う。

 

「さぁ、仕事に入る前に再確認する。目標制圧は30分以内。その間にHotelはデータ回収を行え。回収行動中はFoxtrotとLimaの6名で敵を釘付けにさせる。ゼロアワーと同時に作戦開始だ。いいな。」

「「おう!」」

 

傭兵集団は声を上げたが、リコリスたちは上げなかった。

意図を含んだ無謀すぎる作戦。

賛同の声なんてなかった。

黙るフキはともかく、千束とサクラは作戦中止を提議するし、たきなは黙ったまま。

フレディはHotelの他の連中を見た。

エリカは本作戦よりもたきなを見ては俯く。

ヒバナはエリカの心情に付き添っている。

フレディは埒が明かないとしてMike0-1とJuliett1-1と目を合わせて頷く。

 

「ならこうしよう。陽動作戦はMike、Juliettにも参加する事にする。3正面からの陽動だ。特にMikeは陽動しつつ、Hotelとデータを守り抜け。」

「了解した。」

「Juliett1-1は、2-1と3-1の同時襲撃だ。敵の攻撃を分散させろ。」

「了解。」

「Hotelが地上に出たら各自散開し撤収だ。」

「Foxtrotは殿(しんがり)か?」

「あぁ、Limaと共に最後まで引き付ける。」

 

Juliett1-1はフレディに言う。

 

「Foxtrot2-F、最後まで気を抜くなよ。」

「上等だ。親父に本気を出せって言われたからな。」

「心配して損したぜ。」

「互いにそうだろ?」

「だな。」

 

フレディことFoxtrot2-Fは、Juliett1-1のやり取りを終えてリコリスたちを見渡した。

 

「改めて言わせてもらうが、貴様らのやる気の問題ではない。やるしかないんだ。この日ノ本()を救うのは傭兵集団じゃない。貴様らDAだ。それを心に刻み込め。(オレ)からは以上だ。総員、幸運を祈る。」

 

 

次回⇒【方針変更】




小話【千束とフキが思うこと】

合流地点で傭兵集団らが武器の最終的なチェックを行っていた時である。
千束がフキに呟いた。

ねぇフキ。
なんだ?
本当に傭兵とは思えないぐらい装備が立派だよ?
あぁ、模擬戦より・・いやそれ以上の装備だ。
でも、フレディさんだけはアーマーは着ないんだね。
あぁ、模擬戦の時もそうだった。奴なりの戦い方があるんだろう。というか、お前こそアイツの装備は見てないのかよ?
見たけど、装備の質?っていうより、全部テクニカルな実力があっての動き・・・というか・・・なんて言うか・・・
よほどの実力者なのだろう、フレディという奴は。お前がヘマしたとき、御礼ぐらいは言ったのか?

千束は考えてから言った。

言ったけど、フレディさんから”すべてが終わってからにしろ”って言われた。
すべて・・・か。アイツの言う通り、この状況を打破するにはお前やあたしらだけの問題じゃねぇ。リコリスが一丸にならねぇという気がする。
なんだか、フキらしくないね。
お前もだ!たくっ・・・アイツら傭兵ばかり見ていると、リコリスだけじゃないDAそのもの立場が崩れてしまっては元も子もないからな。
データ回収、しくじるなよ~
あったりまえだ。てめぇこそしくじるなよ。

かつての同室、好敵手、同じ”First”として、互いに1歩目を歩み始めた。
だが、ことはすべて収まるわけではないことを、彼女らは知らなかった。

~Fin~

それでは、次回までごきげんよう。
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