フリッツの娘、黒山茜に会ったリーとジョン、フレディの3人。茜に事の顚末を話をすと、茜はフレディに闘いを辞めることを言う。だが、この漢は一度決めたことは変えることが出来ない不器用な男であった。そんな4人に幼い声が響き渡ったー
東京・葛飾区
フリッツこと黒山茂の娘、茜の自宅にて。
茜の子とたわいもない会話をしては、一緒にご飯を食べて、その子が寝付いたときに、茜は寝室に向かっていく。
そして、すぐに3人のいるリビングに戻ってきた。
フレディが会話を切り出した。
「あの子は?」
「コムギって言うの。まだ幼いけど私を癒してくれる天使の子なの。」
「いや、そうじゃなくて・・・」
フレディは頭を悩ませている。
言葉が浮かばない。
そこでジョンがフレディの代わりに言う。
「あの子は実の子なのか?」
彼女は首を振る。
「いいえ。養子です。お父さんの子です。」
「今、なんと?」
リーが疑問で返す。
「もっと正確に言うと、お父さんの友人の子を私が預かっていた・・・というほうが正しい・・・かな?」
フリッツの友人は戦友であるワタナベしか居ないはず・・・
そう思ってリーは話す。
「茂の友人は、渡邉洸という名か?」
「はい、そうです。」
と頷く。
だが、納得のいかないジョンが質問を投げた。
「待て・・・ワタナベは既婚者じゃないぞ?」
「え?」
彼女は固まる。
確かにワタナベも理由は違えど、フリッツ同様に内地に踏めてなかった1人でもある。
だから、ワタナベに奥さんはともかく子なんて居ないからだ。
そんなジョンの質問にフレディが答える。
「ワタナベの親戚の子供だ。あいつが大喜びで『親戚の子供が産まれた』っての赤ん坊の写真を見せられた。それがあの子だ。」
「そういやそう言ってたな・・・」
「おいおい。知らないのは俺と茜さんだけか?」
ジョンは落胆した。
まぁ、無理もない話だ。
なにせ、ワタナベもあまり自分のことは多くは語らない人間だ。
心を許されたフリッツとフレディ、リーには言ってあったのだろう。
彼女はホッと一息入れて言う。
「そうなんですか。良かったです。お父さんの友人の子供を預かって貰えて・・・それで彼は?」
ワタナベの安否確認をする彼女に、沈黙を貫く3人。
それを察したかのように、彼女も黙ってしまう。
ジョンは彼女に謝罪した。
「済まない。俺がもっと感づいていれば・・・」
「いや、ジョン。それは俺も同じだ。Foxtrotにバックヤードとして入っていれば、もっと気づいていただろう。」
ジョンとリーの会話にフレディが止める。
「2人共、黙れ。」
「おっと・・・」「すまん。」
そう、一番間近で死を見た人間はフレディだ。
彼の言葉は歯車に拍車にかかるほど重い。
「ねぇ、竜司くん。」
「・・・ん?」
「竜司くんがよければ一緒に・・・」
「それは願い下げだ。」
彼女の”平和的な頼み”を断るフレディ。
「そうだよね・・・無理だよね・・・お父さんの代わりに戦わないと行けないんだよね・・・ごめん。」
彼女は俯く。
フレディはため息しつつも、彼女に頼み事をお願いした。
「じゃあ、茜さん。
彼女は顔を上げて、フレディを見つめる。
「いいよ。」
「
「・・・それだけでいいの?竜司くんのは?」
「
「違くて・・・竜司くんが願うもの。」
「伯父を超える。それだけだ。」
彼の・・・
その瞬間であった。
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夕暮れ時。
黒山茜が、3人をエントランスホールまで送り出した時だった。
「竜司くん!」
ジョンに支えながら振り返るフレディ。
「今日はわざわざありがとう。」
「それだけでいいのか?」
「え?」
フレディはジョンから離れ、彼女の元に少しずつ歩み寄った。
ぎこちない足取り。
軋む損傷した義足の音。
でも確かに彼女の元に着実に近づいていた。
「こうやって出会えて、
とフレディは握手を差し伸べた。
そんな彼女は、握手ではなくフレディに抱きつく。
「また戻ってきて。私のかっこいい”お兄ちゃん”!」
「あぁ、必ず戻ってくる。」
数秒の時間で短いながらも2人は抱きしめた。
歳は違えど、互いに同じ”家族”だから。
そして離れた時には・・・
もう1人は泣き、もう1人は立派な漢となっていた。
そして漢は再び戦友に支えながら、足を引きずってでも帰路につくことにした。
次回⇒【November襲撃事件】
小話【嵐の予感】
日本・某所
とある高層ビルの一室にて。
1人のビジネスマンがある資料を見ていた。
資料の名は【烏羽竜司の継戦能力】について。
フレディの本名であり、フレディの資料を見ていた。
そしてこの資料を送ったのは、今は亡きジョージが送ったモノであった。
「これほどの力を持っていたなんてな・・・君も”コレ”を通して見たんだろう?」
「はい。とんでもない力を秘めています。私以上の問題ではありません。彼だけで国家転覆は狙えるでしょう。」
「理論的なら・・・そうだろうね。でも彼は違う。彼に狙われたらとんでもないことになる。違うかな?」
「おっしゃる通りです。”吉松”様。」
吉松と呼ばれた男は不敵な笑みを浮かべている。
今にも高笑いするほど気味が悪い。
吉松は笑みを浮かべながら言う。
「彼も無理なら、永埜一稀も無理そうだな。2人を狙う必要性は無い。」
フレディの資料の次は、永埜一稀(ナガノカズキ)と記述されていたリーの資料だった。
リーの電子能力とフレディの実力が合わさって、吉松には手に負えない。
「姫蒲くん、当初の計画通りに”事”を進めてほしい。」
「かしこまりました。」
と、女性秘書の姫蒲は吉松の部屋から出て行った。
1人になった吉松は、フレディとリーの資料を眺めつつ・・・また呟く。
「千束、申し訳ないが神の犠牲になってほしい。恨むならあの2人を恨むんだ。」
と呟く。
彼の瞳はどこまでも暗く、常世の闇に迫りつつあった。
~fin~
それでは、次回までごきげんよう。