フリッツの娘に会い、そして”互い”に人生を願った。1人は幼き子を成人に。1人はフリッツという偉大な漢を超える存在の為に。お互い、約束して別れたー
だが、運命というものは気まぐれだ。フレディが回復しつつ中、千束の身に魔の手が襲う。
某日
東京・錦糸町のとある区域
閉店間際の喫茶リコリコにて。
脳以外調整を施したフレディとリー、ジョンが喫茶リコリコにやって来た。
未だに脳の調整しているフレディは飲み食いが出来ない。
代わりにリーとジョンが見せしめのように意地張って飲み食いしていた。
そんなことを他所に、違和感を感じるフレディだった。
誰かが居ない・・・
しばらく考えていたら、November・・・いや千束が居ないことに気づいた。
近くを横切ったたきなにフレディが聞く。
「千束?あぁそれならば健診に・・・何故ですか?」
フレディが千束を気掛かりにすること自体、不思議に思ったたきな。
フレディは暫く考えた後、こう呟いた。
「嫌な予感がする。」
「え?」
「・・・どういうことだ、フレディ。」
たきなと飲み食いしていたリーが聞く。
フレディは客もいない、貸し切り状態の喫茶リコリコを見て言う。
「前に千束お嬢が仕事中に襲われた。ここまでならある程度は予測できる。だが、今回は何の変哲もない健診だ。ここに違和感がないだろうか?」
そこに喫茶リコリコのメンツは考える。
確かに前は仕事中に襲われた。
しかし、千束の健診には全く違和感がない。
何故、この男は”健診”というワードだけで違和感を感じたのか?
たきなは聞いてみた。
「前に千束お嬢は襲われた。だが千束お嬢の正体をバラした犯人はクルミだったが、果たしてクルミだけか?真島と言う男は、クルミ以外のハッカーを雇っていると考えると、この健診自体も安全ではない。」
フレディの言うことはもっともだが、たきなは言い返した。
「いえ、その真島とは何度か千束と会っています。」
「ならば、真島の後ろで操っている黒幕が居るはずだ。ジョージが真島と接触して間接的にテロ加担者になったの同様に・・・な。」
フレディの言葉に一旦の沈黙をするたきな。
合点がいったのか或いは突き動かされたか、たきなは3人を見て頷く。
「なるほど・・・それも一理ありますね。電話してみます。」
たきなはスマホを取り出しては、千束に電話をかけた。
次にフレディは食事を止めたリーとジョンに伝える。
「もしもの場合に備えろ。」
とフレディはリーに向かって車の鍵を、ジョンには拳銃を渡した。
すると険しい顔になった、たきながフレディを見て頷いた。
”電話に出ない”。
つまり襲撃されている可能性がある。
フレディは早速、号令した。
「リー!」
「了解。たきなお嬢、表に止まってあるカタフラクトに乗るんだ。」
「分かりました。準備が出来次第、乗ります。」
とたきなは更衣室に入っていく。
フレディとジョンはとLe Mat RevolverとZVI KEVINを装備して、いつも通り万札で代金を支払うとミカがフレディを止めて言う。
「千束を頼んだ。」
「あぁ。」
フレディは頷くと颯爽と店から去る。
そして、喫茶リコリコの表にあるカタフラクトに乗り込む。
カタフラクトに乗り込んだ3人は、たきなが来るまで待機することになった。
ジョンはフレディに言う。
「脳みそが欠けてるのに、よく勘が冴えてるな。」
フレディは鼻で笑う。
「Novemberが襲撃されて、ましてや何度か真島と会っているならば自然とわかるはずだ。」
「なるほどな。お前らしい。」
とリーが頷くとカタフラクトにたきなが乗り込んだ。
と同時にリーがアクセルを踏む。
「遅れてすいません。」
とたきなが謝るも3人はそんなこと思っていなかった。
リーが場所を聞くと、
「山岸先生の病院です!」
「了解、しっかり捕まってろよ。」
リーはアクセル全開で、千束がいるであろう指定された場所に向かっていった。
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東京・某所
山岸先生の病院から200m地点にて。
「ここから先はTangoと2人で行く。リー、お前は
フレディの号令で2人は、
「「了解。」」
と頷く。
それを確認したフレディはたきなを見た。
「いいな?お嬢?」
「いつでも構いません。」
と頷いて、フレディとたきなはカタフラクトから降りる。
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調整が終わっていないとはいえ、まぁまぁの動きが出来るフレディ。
その後ろ姿を見るたきな。
2人は病院前まで到着した。
まだ夜更けでもないのに消灯している病院。
たきなが扉を開けようとしたがフレディに止められた。
フレディはあるところに指を指した。
たきなが目線を追うと・・・
鍵がかかっている。
たきなは銃を構えて強行突破しようとしたが、フレディに下ろされた。
フレディは、懐からキーピックを取り出して鍵穴に差し込む。
ものの数秒でこじ開けることができた。
そして、
カチャッー
と小さい音を立ててしまったが・・・
どうやら内部の人間には聞こえていないのか?或いは・・・
とにもかくにもこれで入れる。
フレディはたきなに、口の前で人差し指を立てて行く。
「静かにしろ」という合図だ。
たきなは頷いて、拳銃の安全装置を外して足音立てないようにフレディについていく。
フレディは、相手が持久戦や銃撃戦になった場合を想定して2階へ上がる。
病室よりも持久戦に持ち込める手術室が妥当で、単に銃撃戦に持ち込まれたとしても人質で相手側にいると強襲側のこちらが不利である。
跳弾して人質に当たったら元も子もない。
たきなは拳銃の安全装置を解除したが、フレディは跳弾を危惧して投げナイフを手にしている。
そしてー
お目当ての手術室にたどり着く。
大柄なフレディだと勘づかれる可能性があるので、フレディよりも小柄なたきなに見てもらった。
たきなの目線の先には、手術台に横たわる千束と無数のケーブル。
そして正体不明の女性が立っていた。
たきなは居ても立っても居られず、手術室に飛び込む。
と同時に正体不明の女性が音で気づいたのだろう。
たきなに振り向き、手元にあったメスを牽制して投げた。
たきなの行動に半歩遅かったフレディは、投げナイフで女性が投げたメスを相殺した。
引き金を絞るたきなの拳銃を無理やり下ろし、フレディが投げナイフを数本投げるも女性は躱す。
この近い距離ならばフレディの独壇場だ。
だが、相手も同じ考えだった。
一進一退の格闘戦。
・・・いや正体不明の女性が少しずつではあるが窓に退く。
フレディは戦術プロトコルを変更して、目の前の火の粉を排除するよりも追い出して”餌”にした方が良い。
そう判断した。
フレディの
(まずいっ!)
とたきなは判断して窓に駆け寄って、相手を見ながら銃を構えるが、スライドしないようにフレディがたきなの拳銃を握りしめる。
「何もかも遅かったんだ。今は千束お嬢が生きていりゃー」
「なんで!止めたんですか!」
フレディの冷静と反対にたきなは自身の行動を止めたことに激怒していた。
たきなが発砲していたら、運よく相手に負傷出来たかもしれない。
そんな虫の良い話や都合よく行くわけがなかった。
現に、相手はたきなを見てメスを投げた。
そこにフレディの投げナイフがなければ、狙いがずれる可能性だってあった。
結果として逃れられたが、過程でたきなが負傷したら元も子もない。
千束を救うだけの問題では済ませない。
”そう判断した”からだ。
フレディはたきなの拳銃から手を引いた。
「そう判断した。」
彼はその一言で片付けた。
納得がいかないたきなは問い詰める。
「『そう判断した?』・・・貴方はどこまでコケにする気ですか?」
たきなを横目にフレディは千束の胸に付いたケーブルを一つ一つ丁寧に放していく。
ひたすら無言で。
一つ一つ・・・丁寧に。
「聞いているんですか!?」
たきなは感化できなかった。
感情の噴水が収まりつかない。
それでもフレディは無言を貫いた。
まるで『
たきなからはそう見えた。
千束に繋がっていた全てのケーブルが外すと、ずっとフレディを睨んでいたたきなを見た。
そして、口を開く。
「・・・逆に聞く。あそこで跳弾したら・・・たきなお嬢ならば当たらないかもしれないが、もし千束お嬢に弾が飛んでいった場合、たきなお嬢は”救える”のか?」
悲しそうな口調で・・・
フレディはそう言う。
たきなはすかさず反論した。
「当たりませんし、救えます!」
「そうか・・・なら、ジョージの動きを察して避けたり、フリッツとワタナベも”救えた”よな?」
「っ!」
たきなは思い出す。
あの時、たきなの命を救ったのは紛れもなくフリッツであり、そして数ヶ月前はワタナベと一緒にずっと付き添ってリハビリしたり、たきなの為に炊事もしてくれた。
それを忘れてはいけない。
結果は違えど「人質を取られた」という過程は同条件である以上、そう言わざる負えなかった。
フレディはその過程でフリッツとワタナベを失っている。
逆に今回”は”千束を救えたとも言える。
フレディが精神的なダメージを負って迄、たきなに伝えたかった言葉だった。
「ちと子供には効きすぎたか。忘れてくれ。」
と、たきなに一言いう。
フレディは放心状態のたきなを他所に電流装置を見始め、1つ解ったことがある。
『千束お嬢に電流を流していたのは、千束お嬢に秘めていたモノを”殺す”ため。』
であることに・・・
(なるほど・・・人工心臓か・・・だから”
頷きながら未だに放心状態が続くたきなの肩を叩く。
たきなは我に返ったのか首を振る。
「平気か?」
「・・・平気ならこんなことになりません。」
「だろうな。旦那たち全員を呼んできて欲しい。」
「店長ですか?」
「旦那なら説明が出来る。貴様以上に冷静にな。」
次回⇒【余命】
小話【嵐のあと】
日本・某所
とある一室にて。
1人のスーツ姿の男がタブレットにある情報端末を見て、顔を歪ませていた。
そう、彼は吉松シンジ。
彼の計画は失敗した。
そうとある傭兵の加入によって・・・
彼はタブレットを机に置いたのち、
「また、してやられたか・・・」
と呟く。
彼の秘書が千束を襲撃したまではいい。
問題はその後だった。
千束の相方だけならまだしも、15年前に誘ったある男が居た。
ソイツによって看破された挙句、その秘書が傭兵集団の偵察機に付け回されていることだった。
何としてでも存在を隠したいが、手遅れかもしれない。
吉松は再びタブレットを手に取って、秘書に情報を送る。
『存在はバラしても構わない。君が帰還することを優先して欲しい。』
と、送る。
そして彼は天井を見つめて言う。
「彼らからコンタクトを取る可能性もないわけではない・・・私も何かしらの手を打たねばならない。」
彼はそう言ったのちに、部屋を出て行く。
吉松の次の一手が、傭兵か或いはDA、そして真島に向けたメッセージとなるだろう。
だが、彼の策略は誰も知らずに時間が過ぎていくばかりであった。
~fin~
それでは、次回までごきげんよう。