~銃弾と対価~   作:クマぴょん

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※お知らせ※
やっとこさ、先月に小説買っただ。だげども、読む時間がねぇべ。海外案件で19カ国の言語が飛び交うから、言語の解析と趣味の仕事の両立・・・読むのが大変だべ。


【前回のBullets Price】
12年前の悲惨な戦争で負傷を負いながらも、2ヶ月で日本やDAの情報網を割り出したフレディ。そして、彼岸花(Lycoris)と名乗るDAのエージェントたちと接触する事になったフリッツたち。これからどうなるだろうか?


DAとの接触
【0800時】


 

東京・某所

 

フリッツの隠れ家には、傭兵のリーダー格であるフリッツと最年少のフレディ、そして昨夜捕まえたベージュの制服を着た少女。

リーと他の傭兵は、隠れ家の地下通路で反対側に位置する建物に篭り、DAの監視から逃れていつでも支援できる状態に居た。

 

「赤がファーストで紺がセカンド・・・でいいよな?」

 

戸惑うフリッツの声が部屋中に響いた。

 

「ああそうだ。何度も確認しただろ。」

 

フレディは淡々と答えた。

それでもフリッツはまだ困惑していた。

 

「で、誰が来るんだ?」

「おいおい、フリッツ。もうボケるのは早すぎる。春川フキ率いるチームが来る。そう言ったはずだ。」

「すまんな。日本人名は難しくてな。」

 

フリッツとフレディの笑いの混じった会話にリーからの通信が両者に入った。

 

<<こちらリー。フレディが言っていたチームが建物内に侵入中。クリアリングしてるが、どうする?>>

 

フレディはため息つきながら言った。

 

<<面倒だから早く来いと促せ。>>

<<はいはいっと。>>

 

隠れ家全体にノイズ音の混じった声が走った。

 

<<あーあー。DAのエージェントに告ぐ。諸君らの行動はこちらでモニタリングされている。速やかに3階のフロアに行け。繰り返す。速やかに3階のフロアに行け。3度目はないと警告する。>>

 

この言葉に少女はビクッとした。

そして口を開いた。

 

「あ、あのっ・・・私、始末されるのですか?」

 

それを聞いた2人は、鼻で笑った。

フリッツが少女の問いに答える。

 

「あくまで脅しだよ。お嬢ちゃんを始末したら、全面戦争になりかねん。友軍であるアメリカ軍でさえ、俺たちがここに居ると知ったら、こっちの味方になるかもしれないからな。」

「しかも、アメリカだけじゃねぇ、ロシアなどの東側と西側も便乗参戦したら、日本は核の冬に包まれちまうからな。さすがに、そこまでやらされたら溜まったもんじゃねぇ。」

 

フレディがフリッツの答えを付け加えた。

それを聞いた少女は震え上がった。

だが、フリッツは少女の右肩をポンポンと叩いた。

 

「お嬢ちゃん、安心しな。フレディに銃口突きつけられても、こいつは必ず撃たない。昨夜のフレディを見ただろう?特に人質を持っている俺らが有利になる。たとえ俺らが撃たれたら、この後ろに居るジョンやマイケルたちに支援できる。それは最悪、日本政府が滅ぶパターンだからありえないと言って良いだろう。」

 

リーの通信が入った。

 

<<こちらリー。かなり警戒してるようだが、どうやらたどり着いたな。>>

<<こちらフリッツ、了解した。扉を開けてやれ。>>

<<了解。>>

 

重々しい扉が開かれた。

その瞬間、銃口が光った。

それでもフリッツとフレディは落ち着いてる。

拳銃を構えた少女たちが入って来る。

赤の制服を着た少女が威圧のように口を開いた。

 

「その子を離せ!」

 

フレディは笑った。

 

「たかがおもちゃで俺らを始末できると?甚だ笑わせてくれる。」

 

言い終わった瞬間、少女達は躊躇うことなく発砲した。

しかし、少女達の拳銃弾はフリッツたちに届く事は無かった。

フリッツの手前で跳弾や9mmの弾痕が残っているのだ。

そこで、リーが隠れ家全体に伝えた

 

<<論理的じゃないな。弾の無駄だ。お前達の前には防弾ガラスが立ちはがっている。諦めた方がいい。>>

 

その言葉に拳銃を撃ち止め、立ち尽くす少女達。

フレディが口が開く。

 

「まぁそういうことだ。その”おもちゃ”はしまってくれ。防衛システム作動しちまうからな。」

 

そう言うと、少女達の目の前に天井から拳銃が落ちてきた。

その瞬間、

 

ダダダダダダダダダッ!

 

側面の壁から自動防御火器システムが作動した。

自動防御火器から放たれる30mm弾の威力は、拳銃が砕けるほど飛び散った。

呆気にとられる少女たち。

その様子をモニタリングしていたリーが説明する。

 

<<あと一歩進んでいたら、諸君らは蜂の巣になっていた。交渉するならば、拳銃をしまえ。話はそれからだ。>>

 

フレディが笑いながら、春川フキに指を指した。

 

「お前さんが、春川フキ・・・だな?」

「・・・」

 

春川フキは黙った。

フレディはフリッツを見て頷いた。

この沈黙は”肯定”と見たのだ。

続いて、フリッツが話を始めた。

 

「お嬢ちゃんに聞きたい。なぜ、俺たちに依頼をよこした?」

「・・・」

「それは拒絶の意味だ。フレディ。」

「はいよ。」

 

フリッツに促されてフレディは背中から旧世代の後装式単発拳銃を取り出し、薬室に弾薬を込めて、人質である少女の側頭部に銃口を当てた。

フリッツは言った。

 

「お嬢ちゃん達が、フレディを犯罪者と見立てて襲った。だが、予想以上に動きが早く、お嬢ちゃん達の上層部ですら、フレディを最後まで監視できなかった。故に、フレディの偽情報に引っかかるようでは、俺たちに依頼する必要はないだろう。違うか?」

「・・・」

「また、沈黙か?春川フキ殿。末端は殺されても問題ないと思っているんだな。いや、”Lycoris”ならそれが運命なんだろうな。」

 

ため息をついたフレディが春川フキに対して愚痴をこぼした。

 

「春川フキさんよ。聞きたいことがある。お前さんが俺に対して、何を思って撃った?犯罪者か?傭兵だからか?それとも・・・日本人の母親の代わりに俺を殺そうとした。違うか?」

 

そう言った時、フリッツはフレディに振り向いた。

 

「フレディ!お前・・・」

「言ってなかったな。俺の母親は日本人で麻薬取引の大馬鹿野郎だ。だが俺を捨てる代わりに今の親父に託して、行方を失った。それだけのことよ。」

 

薄ら笑いのフレディに対して、春川フキが答えた。

 

「お前の母親こともそうだけど、お前の実力を試す必要があった。」

「実力か・・・実にくだらない。」

「何?」

「撃った瞬間に俺が消えたのはわかっていた筈だ。それが偶然にも仲間に当たった。それが俺の実力だ。それ以上でもそれ以下でもない。」

 

フレディは春川フキらに向かってニヤつき笑う。

国家に浸透して監視網を潜り抜けるなんて、フレディにとって朝飯前だ。

特に囲まれたときがフレディの本当の力が発揮する。

フリッツは戸惑いつつも、話を続けた。

 

「フレディのことは今はいい。交渉を始めよう。このお嬢ちゃんのことをそっちに渡す。だが、依頼の前に模擬戦が必要だろう?」

「アンタの方が話が早いな。情報はー」

「春川フキ殿。その情報はフレディから聞いてる。同業者がテロを企んでるんだろ?」

「何故、その情報を?」

「俺たちが時代遅れの傭兵じゃないって事だ。半世紀は活躍したが、今は現代情報戦の時代だ。正確な情報を持ったものが勝利へと導く。違わないか?」

(・・・DAの情報網すら把握しているなんて普通の傭兵じゃない。)

 

春川フキは確信を持った。

フレディを襲撃した時から、おかしいと思った。

だが、目の前にいる傭兵は単なる普通の傭兵ではない。

噂とされる伝説の傭兵は目の前にいた。

春川フキがそう思っていると、フレディが拳銃をしまい、弾痕が残る防弾ガラスは天井に吸い込まれて行った。

フリッツは、人質の少女に笑顔で言った。

 

「さぁ、お嬢ちゃん。心配かけてすまなかったね。君は自由だ。元へ戻りなさい。」

「えっと・・・あ、ありがとうございます。」

 

解放された少女はフリッツにおじきをした。

そして少女は思い出したかのように言った。

 

「そういえば、私の鞄は?」

 

その言葉にフレディが反応した。

 

「あぁ、そういえば部屋に置いたままだな。すぐに取って来る。」

 

と言って裏方に消えて、少女の持ち物を持ってきて帰ってきた。

 

「拳銃に、予備マガジンが2つ。これで全部か?」

「は、はい!フリッツさん、フレディさん、ありがとうございました!」

 

フリッツは笑って言った。

 

「お嬢ちゃん。大げさすぎるよ。」

「え?」

「俺たちは当たり前のことをしたまでだよ。ちゃんと飯を食わせて、寝床を与えて、最終的には解放する。ハーグ陸戦条約に則って扱われてるだけだよ。」

 

少女だけではなく春川フキのチームの誰もが浮かない顔をしてる。

 

「俺たちは傭兵とは言えど、一応軍隊みたいなもんだからな。戦時国際法はちゃんと守らなきゃならん。たとえ、宣戦布告されていない状態での衝突であってもだ。特に、フレディは人質や捕虜には敏感なんだよ。」

 

そのフレディは、懐中電灯式のホログラムライトを持ってきた。

フレディは少女に最後の挨拶をした。

 

「お嬢ちゃん。無理して戦う事をやめるんだ。いいな?たとえ上の連中がそうしてもだ。自分の命は自分で守りたまえ。上は、君みたいな”駒”なんて簡単に捨てるからな。」

「お前!聞き捨てにならねぇぞ!」

 

セカンドリコリスの乙女サクラは叫んだ。

だが、フリッツやフレディは一歩も引かない。

 

「乙女サクラ殿。これは紛れもない事実だ。フレディは、少年時代に革命戦争に放り込まれて、駒になった経験がある。」

「親父に死んで来いって言われてな。笑っちまったよ。たった9歳の1人息子を敵陣地に対して威力偵察してこいってさ。無論、全員始末して帰ってきたよ。つまり、お前さんたちと俺は対して変わらねぇってことだ。さぁ、お嬢ちゃん。気をつけて帰りな。」

 

フレディは解放された少女を笑顔で見送った。

少女はフレディの言葉で曇ってはいたが、フリッツたちにお辞儀をして隠れ家の出入り口から出て行った。

フリッツは腕を組んで言った。

 

「さて、ブリーフィングを始めるか。」

 

 

次回⇒【ブリーフィング】

 

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【メインキャラ】

フリッツ:

出身不明。60代だが傭兵歴35年の老兵。

かつてフランス外人部隊の第2外人落下傘連隊 (2e REP)の連隊長。

連隊長をフランス人以外の異例の選抜されたほどの実力者。

 

ジョン:

元アメリカ海兵隊のエリート偵察兵。フリッツの右腕的存在。

組織の全体のバランスを保つことが役割。銃の腕前はヘリコプターから200m先の頭部を精確に打ち抜くほど。

 

ワタナベ:

元自衛官。傭兵歴20年の古参。

フリッツと同様、フランス外人部隊の第2外人落下傘連隊 (2e REP)の背中を長年守りきった。尚、日本人だが約20年以上帰国していない。

 

マイケル:

元SAS。北アイルランドの紛争から唯一の生存者。

ジョンとはジョーク仲間であり相棒でもある。長年、アイルランドの対テロリストで性格が短気になってしまった過去がある。

 

リー:

現代情報戦と現代電子戦の天才。現代のアインシュタインとも呼ばれている。

上海のテロ事件を無血解決した事で、中国の英雄と言われてる。だが、彼の曾祖父の時から日本と関わりを持つが、出身は大陸であり偽名で活動してる。

 

フレディ:

9歳から少年兵として活躍した。東南アジアの革命軍の英雄の息子。

革命後は渡米。某組織で暗殺者と諜報員となった。旧世代の装備ながら闇社会の人間を多く闇に葬っている。旧ソ連のスパイ「ゾルゲ」と同様、国家の中枢部まで浸透することもできる。

多才な実力を持ちながら傭兵としては結構若い。

 

ジョージ:

元SAS。マイケルの元上官。

様々なテロ事件を解決した対テロリストのスペシャリスト。傭兵歴は2年と短いが、軍に在籍した期間が30年以上もあり、一時は最高職まで上りつめた。

ジョージとフリッツは義兄弟でもあるが、血は繋がっていない。

 

【本編ではほぼ出番がないジョージの部下】

ロック:

元アメリカ陸軍武器科。武器調達員の1人。

以前の共同作戦でジョージに最新武器提供から出会う。傭兵の活躍の裏で弾薬の製造、調達及び維持を支援する。

 

リック:

元アメリカ陸軍輸送科。武器調達員の1人。

以前の共同作戦でジョージの戦闘後方支援(CSS)で出会う。多才な運転技術を持っており、輸送兵站面では陸空海全てを制している。

 

チュレンコフ:

元カディロフツィ(ロシア連邦英雄アフマド・ハジ・カディロフ。名称:第141特殊自動車化連隊)。

モスクワテロ未遂事件でジョージと出会う。国家的忠誠という疑問を持ち、除隊後フリッツの傭兵集団に入隊。

 

アレク:

元ロシア連邦保安庁して元KGB。チュレンコフと戦友。

モスクワテロ未遂事件でジョージと出会う。銃の扱いは不慣れだが、フレディやリーの情報・電子戦を支援する側面をもつ実力がある。

 

ハリス:

元リビア国民軍。リビア内戦で複数の部隊を率いた実績がある。

戦っているうちに戦う意味を失う。自ら除隊後、新アレクサンドリア図書館テロ事件で自ら志願。

その後ジョージと出会い、彼の運命を変えたきっかけになった。

 

カウディー:

出身不明。50代で傭兵歴25年の古参。

各地の紛争地域を渡り歩き”紛争に現る死神”と呼ばれているほど、火器の扱いが特殊部隊レベル。ベオグラードのテロ事件でジョージの捕虜になった経緯がある。だが、ジョージの説得で改心。

以後、武器調達員の最強のガードマンが誕生する。




諸君、クマぴょんだ。

しばらく、ハーメルンの予約投稿に触っていないから、物凄く冷や冷やしたものだ。
それはともかく、前座・・・いわゆる喫茶リコリコに出会うまで、あと4話前後かかる見込みだ・・・恐らくだが。
だが問題は、ここではなくその先にある。

前にも言ったような気もするが、喫茶リコリコから筆が完全に止まってしまったからだ。
理想の構図と言うものは、とても難しいものだ。
特に誰に焦点を当てて、どういう演出が好ましいのかがよくわからない状態に陥っている。
それが1ヶ月半近く続いてる事に問題を抱えているのだ。

今作品のストックは来年の2月まで確保している。
だが、前述も言った通り、喫茶リコリコから筆が止まったままなので、3月以降は保障できないという事だ。
紆余曲折あり、急遽代替作品を制作している。
その辺に関しては、活動報告を見てもらうとわかるかもしれない(自信なさげ

まぁ、何かあったら活動報告にて伝えるつもりだ。
それでは次回まで、ごきげんよう。

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