3-6-L(旧電波塔)に突入したフレディとジョン。ここには千束が向かっているという情報を頼りにここに来た。だが、待ち構えていたのはー
3-6-Lこと旧電波塔・第二展望台にて。
全てではないものの、暗闇に包まれた第二展望台。
ジョンは
フレディはこの為に脳を真っ先に調整しており、一次レーダーがフルに活用出来ていた。
と直後、扉の音が聞こえる。
2人はすぐさま構えたが、その正体は千束だった。
「え?フレディさんにジョンさん?」
千束を見た2人は武器を下す。
「お嬢か・・・びっくりさせるなよ。」
ジョンは首を振りながら、安全装置に手をかけた。
千束は不思議に思う。
何故ここに傭兵が居るのかと?
思わず口にしてしまった。
「2人は何のためにここに?」
踵を返すようにフレディが答えた。
「真島と吉松の始末だ。」
真島はともかく、吉松の始末という言葉で千束は後ずさりした。
「なんで・・・ヨシさんのこと知っているの?」
「さぁ?なんでだろうな?」
フレディは千束の答えをはぐらかす。
「今は真島の始末がー」
とジョンが言った矢先、うめき声が3人に届く。
特に反応が早かったのはフレディだった。
「ここから2時方向だ。
「わかりました。」
フレディの命令にジョンは黙って頷き、千束は返事して真っ先にうめき声を上げる場所に直行した。
フレディはジョンに言う。
「時間稼ぎだ。千束お嬢を”餌”にして
「あぁ、了解だ。」
そう。
2人は分かっていた。
うめき声を上げたのが吉松であり、それを仕掛けたのは真島だということを。
敢えて、遅めに到着した上で2人を始末する。
千束は良くは思わないが、テロリズムの扇動者である吉松を野放しにしてはいけない。
傭兵らは全面戦争という”博打”に来ている。
しかし千束は、大事な吉松を救うことで頭がいっぱいだ。
なら、それを利用して始末する。
至極、単純明快。
どちらか片方が撃ち漏らしても、何の問題もない。
後でじっくりと”煮込めば”良い。
もう栄華を誇る傭兵の形は無い。
目の前の敵を、ただひたすらに食い散らかすのみ。
------------------------------
2人はゆっくりと慌てずに千束と反対方向に進んでいた。
すると、シャッターが閉まる。
第二展望台全体がシャッターによって、奥深く暗闇の中に包まれた。
ジョンは即座に
フレディは一次レーダーと音源を頼りに進む。
まだ、鷹の眼は調整が負えていないので使えない。
脳内にある一次レーダーだけでは心許ない。
音源も頼りにゆっくりと交戦付近まで近づく。
だが、フレディの鼻には微かに血の匂いがする。
フレディが左腕でジョンの行く手を阻む。
「どうした?」
ジョンはフレディに言う。
「お嬢が負傷した可能性が高い。ジョン、行けるか?」
「行ける。だが、負傷としても吉松じゃないのか?」
「吉松の始末は後にする。今は真島の始末を最優先だ。あとでじっくりと”
フレディはそう言って走り出す。
ジョンはフレディの狡猾さに笑いつつも後に続く。
------------------------------
千束と真島の1対1は、真島に軍配が上がりつつある。
千束が持つ”眼”は暗闇には反応できない。
対して真島は”耳”が視覚の代わりとなって、どの状況・場面に陥っても対処できる。
圧倒的に真島の方が有利だ。
そう真島が確信した時、1発の銃弾が真島の横を掠る。
真島は、
(何事か・・・?)
と思っている隙に、真島の顔面に向かって素早い拳が迫っていた。
真島が気づいたときには全て遅かった。
直撃を喰らった真島は大きく後退り、”耳”を頼りに情報を集める。
「よぉ・・・真島。決着の時間だ。」
フレディの声に真島の”耳”に届き、真島はニヤリと笑みを浮かべる。
だが真島には欠点があった。
フレディの能力を看破して”いない”。
まだ優位に立っていると思っているが、フレディの一次レーダーには逆らえない。
フレディが得意とする格闘戦で真島に仕掛ける。
真島は最初こそ余裕だったが、フレディが放つ攻撃を重ねるごとに焦りが見えてきた。
(コイツ!この状況下でも動ける・・・!)
真島は素早く防御に徹するが、フレディの回し蹴りが真島の右耳に直撃した。
痛みより直撃した際の音が大きく、真島は右耳を抑えるように後退する。
フレディがいざという時に煽る。
「それで終わりか?大したことねぇな。本当に”バランス”を取りたいなら
「ケッ・・・言うじゃねぇか。」
真島は右耳を抑えて言うが、端から見れば無様である。
その無様な格好にフレディは失笑した。
「テメェ・・・なにが面白れぇんだ?」
「お前が無様だからだよ。所詮、扇動者に煽られたテロリストがその程度ならさっさと投降すりゃいいのに。最も
フレディは益々煽る。
ここで釣られるのが低俗なテロリズムだが、真島は反応しなかった。
リーからの秘匿通信がフレディの耳に届く。
(ほう、たきなお嬢が・・・これはこれで良い”餌”だ。)
リーの通信内容に鼻で笑うフレディ。
それを”耳”で感じ取った真島が言う。
「何笑ってんだ?」
「別に。お前が気に障ることではないさ。」
と、益々笑い飛ばす。
「その笑い方・・・癪だな。」
今度は真島がフレディに対して果敢に攻めた。
それを義腕や義足、受け流しで少しずつ”ランデブー”に近づく。
この”ランデブー”がたきなと合流する地点を指している。
それをフレディはリーから情報を受け取っている。
”ランデブー”に近づいた瞬間、フレディはわざとらしく大きく仰け反った。
フレディの後ろには千束と千束を守護とするジョンの姿があった。
次は真島がフレディを煽る。
「そっちも降参したらどうだ?」
「断る・・・といったら?」
「またかよ。あの時と変わらず、本当に下らねぇな。」
「下らないのはそっちじゃないか?」
「あ?」
真島がキョトンとしていると、4人のいる場所にてシャッターの外側から衝撃が内部に浸透しつつある。
「美人のお客さんが来たぜ。」
シャッターが破られた時、そこにはたきなの姿が現した。
次回⇒【喜劇と悲劇】
小話【フレディの脳内】
彼が左半身のみならず脳も換装せざるを得ない状況に、フリッツはフレディの脳内に航空レーダーで用いられる”旧式”の一次レーダーを搭載を命じた。
現代の航空レーダーは二次レーダーが9割強を占めるが、航空機が何らかの形で電力供給が出来なくなり、レーダーから発した送受信が不可能となる。
そこで活躍するのが一次レーダーである。
このレーダーは、電磁波を用いて空間内のターゲットを一方的に検出するもの。
しかも1つの仰角で360度全域をカバーできる。
ただ、速度取得や垂直位置は提供できないので、複数のレーダーを用いられる。
このおかげで救われた航空機は多く、特に旅客機では数多くの伝説を残す。
利点もあれば欠点もある。
だがそれを補うには、それに対応した一次レーダーを複数用意する必要性だ。
そんな複数詰め込んだ一次レーダーをフレディの脳内に組み込んだ。
これが功を奏したのか、この15年で40件にのぼる未解決事件を解決する糸口に繋がった。
フレディの脳内レーダーが傭兵を栄華にした要因として位置付けられている。
傭兵集団が入国する前にフレディが2ヶ月間の諜報網を得たのは、この一次レーダーがあったのも過言ではない。
寧ろ延空木が出来る以前は、旧電波塔の頂上を中心に諜報網というクモの巣を張り巡らした結果が今に至る。
彼の機械化された身体は、常に勝利を呼ぶ”神”であり、敵にとって”死神”なのは傭兵集団として欠かせない不動の存在になったのだ。
~fin~
それでは、次回までごきげんよう。