~銃弾と対価~   作:クマぴょん

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【前回のBullets Price】
真島を生き長らえ、吉松シンジを見逃し、そして”子供たち”に”現実”という言葉と感情の豪雨が襲い掛かる。紛れもなく傭兵が仕向けた策略の1つであり、戒めの1つでもある。
傭兵たちは次のステップである、真島を除くテロリズムの排除の段階へと移り変わっていくーーー


【露払い】

 

 

3-6-Lこと旧電波塔。

 

たきなは現実を受けとめきれず、遂には泣き出した。

フレディは千束に向かって言う。

 

「お嬢が決めた道だ。(オレ)も含めて傭兵はお嬢たちには関与しない。だが、たきなお嬢に受け止める時間さえなかった。現に彼女は現実が受けとめきれずに泣いたー」

「私が悪いんです。」

 

言葉を遮る千束。

 

「言わなかった私が・・・全て悪かったんです。東京観光の時に言うべきだと思いました。けれどー」

「お嬢、その答えは(オレ)たちやミカの旦那含めた全員が知っている。ここでボヤく必要はない。」

「・・・はい。」

「たきなお嬢に檄を飛ばせ。もう間もなく”リムジン”が来るはずだ。」

 

と外を見ると、ヘリコプターが飛んでいた。

ヘリコプターのドアが開いて、クルミが何かを言っている。

 

「時間だ。ジョン、たきなお嬢を担げ。お嬢たちと一緒に延空木に向かうぞ。」

 

------------------------------

 

「すまんな、Noce。」

 

ヘリコプターの中でフレディ止血しながら、クルミに軽く謝った。

 

「いいさ、カズキの暗号に手こずったこっちが悪い。あと、”これ”の手配もしてくれたんだな。」

「ヘリはロックの手配だ。なんかあった場合は監視の為に静態保存していた奴だ。」

「かなり用意周到だな。ボク好みの電子機器まである。」

「それはリーが準備させた奴だ。先手を打たなければ、敵に惑わされることになるからな。」

 

戦場という場数を踏んでいる傭兵らしい答えだった。

ジョンはクルミにある質問を投げる。

 

「外の状況はどうなっている?」

「カズキ曰く、DAの正体が民間人に波及して多数の死傷者が出ている・・・とのことだ。」

「恐らく密輸された銃がばら撒かれて、無差別テロになってしまったか。こりゃ先手を打たれたな。」

 

ジョンはため息をつくが、フレディは諦めなかった。

 

「Noce、例のデータは貰っているだろう?」

「あぁ。カズキからDAの証拠を隠蔽する最低限のデータは受け取っている。あとはこっちで工夫した奴を混ぜれば完成だ。最後にバカ高いタワーにあるサーバー室にUSBを差し込めば、ある程度の時間稼ぎになる。」

「了解した。ジョン!マイケルと繋げろ!」

 

フレディの号令にジョンは黙って頷く。

数秒もかからない内に、マイケルとの通信が繋がる。

 

<<フレディか!今どこだ?>>

「こっちはLimaと共に4-7-W(フォー・セヴン・ウッド)に向かっている。」

<<了解。こっちはHotelと合流したが、他のLycorisが負傷者多数。”執行部隊(リリベル)”の接近があった為、ハリスたちに任せている。>>

「了解した。合流地点はリーから聞いているか?」

<<あぁ、そこで会おう。アウト。>>

 

フレディは頷きながら、千束、たきな、ジョンに言う。

 

「クルミのUSBを確保次第、4-7-Wのサーバー室を強襲してフキお嬢たちと合流しよう。時間との勝負だ。特にお嬢たちはサーバー室に。(オレ)とジョン、マイケルは他の連中の露払いを行う。何か異論は?・・・ないな。ミズキお嬢!”なるはや”で頼む!」

「解っているわよ!」

 

1秒でも多く時間を稼ぐ必要がある。

その為には火の粉を降りかかるテロリストのみならず、リリベルの露払いを実行せねばならない。

そこで”大人たち”こと傭兵の出番である。

 

------------------------------

 

4-7-Wこと延空木にて。

ジョンが延空木の強化ガラスを吹き飛ばして、クルミのUSBを取得した千束たちを中に入れる。

たきなが出ようとするとフレディに止められた。

 

「お嬢、千束お嬢を最後まで見守ってやってほしい。傭兵はそこまで面倒は見きれないが、貴様なら出来ると信じている。」

「・・・」

 

沈黙を貫くたきな。

答えを求めてないフレディは、とあるモノを手渡しては行って来いと促す。

たきなは、フレディに促されるままに外に出る。

そしてフレディは、クルミに言う。

 

「最後まで支援してくれて有難い。」

「ボクよりカズキに言ったらどうだ?」

「いや、アイツはアイツなりの仕事をしたまでだ。結果を出さなきゃ話にならんよ。」

「酷い言いようだな。」

「単なる皮肉さ。結果の出ない”頑張り”は頑張りじゃないからな。後は頼んだぜーーー」

 

とクルミの本名を言って、ジップラインで延空木に入っていくフレディ。

クルミは驚きを隠さずにいた。

 

「ボクの名前知ってたのか・・・」

「そこらのガキんちょよりも彼は何もかもお見通しよ。」

 

ミズキがクルミに煽りに煽るが、クルミは答えるように笑った。

 

「本当に面白い奴だよ。カズキもいいパートナーを見つけたな。」

「出来れば私のパートナーになって欲しかったわ~」

「やめとけ。奴は『道』がある限り留まらないからな。」

「それもそうね。」

 

ヘリコプターの2人は笑い声が響き渡る。

 

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フレディがLe Mat Revolverにぶどう弾を込めつつ、3人に状況を話す。

 

「Hotelらは絶対絶命とのことをマイケルから受信した。(オレ)が強襲するから、フキお嬢たちを千束お嬢にたきなお嬢、ジョンは任せた。」

「わかりました。」

「了解。」

「・・・はい。」

 

1人だけやや元気がないが、関係はない。

目的地まで最短のルートで直行していた。

障壁のある場所にはジョンが爆薬をばら撒いて、その瓦礫をフレディが支えて強行突破していく。

目的地に到着していた時にはフキがテロリストの1人にトドメを刺されるところだった。

すぐさまLe Mat Revolverのぶどう弾を放つフレディ。

テロリストの右足が軽く吹き飛び、フキを手放した瞬間、フレディが左後ろ回し蹴りが炸裂してテロリストの1人は”沈黙”した。

もう1人は気づいたものの、マイケルとジョンのコンビネーション技が炸裂して、こちらも”沈黙”した。

直後に千束とたきなが射出型の拘束ひもでテロリストを確保した。

マイケルが負傷しながらも答える。

 

「間に合ったな、ジョン。」

 

鼻で笑いながらジョンが言う。

 

「そっちこそボロボロじゃねぇか。」

「構わねぇよ。お嬢たちが無事なら命ぐらい差し出してやる。」

「相変わらずだな。オメェは。」

「ここは互い様だろ?」

「だな。」

 

2人は”子供たち(リコリス)”を見て言う。

その中にはフレディが指示を出していた。

子供たち(リコリス)”は奥のサーバー室に向かって行く。

見送るフレディは外套を翻して外に向かった。

その光景を見た2人はフレディと共に外に出た。

これから、リリベルとの露払いと時間稼ぎに3人が挑む。

特にフレディは、武者震いしていた。

真の力を解放していない上に、不完全な状態でエリート部隊に挑む。

どんなに楽しみにしていたのだろうか?

 

「It's Showtime!」

 

 

次回⇒【3人の漢とリリベル】




小話【陽と陰】

「あー今日は楽しかった。ありがとね、たきな!」
「いいえ、こちらこそ。」

千束とたきなの2人は最後に、なるかもしれない”デート”を楽しみ終える直前の公園に居た。
たきなは想定外のトラブルで”デート”が頓挫しそうになった。
が、千束の機転により思った以上に楽しめた。
たきなはひとつため息をつくと、千束がボソッと呟く。

「でも、あの人たちも誘いたかったなぁ・・・」
「え?」

たきなは千束に振り返る。
千束は煌びやかな宙を見ていた。
彼女はー
なんだか哀しそうで悔しさが残る顔をしていた。
たきなは解らない。
解らないからこそ聞いてみた。

「あの人って・・・誰のことです?」
「もー。たきなは何度も助けられたじゃん。」

千束は笑顔でたきなの顔を見る。
だが、千束と予想していたとは裏腹に、たきなは雲行きが怪しかった。

「たきな?」
「まさか”傭兵”のことですか?」
「傭兵じゃなくて、フレディさんとジョンさん、マイケルさんにリーさん。あの4人だったらー」
「ダメです!」

たきなの大声に千束は黙ってしまう。
何故ダメなのか?
気になったけど、千束は何となく察してしまう。
それでも口にした。

「たきな・・・なんで?」
「あの人たちが関わると千束や皆が・・・」

とたきなはうずくまってしまう。
千束はたきなに寄り添う。
そして、たきなに語りかける。

「たきな・・・先生から聞いたよ。あの時、助けの声を上げたのはフレディさんだって。」
「だからこそ危険なんです。存在自体が危険なんです・・・っ!」

声を荒げるたきなに、そっと手を差し伸べる千束。
たきなの答えに首を振る千束。
訳の分からないたきなの為に、敢えて千束は笑顔で応答した。
その笑顔は、たきながずっと一緒に居た中で今までない以上の笑みだ。
まるで千束は彼らに感謝したかったようだ。

「あの人たちがいたからこそ、”たきなと私”が生き残ったわけだし何よりも今日、たきなと一緒に遊べたのもぜーんぶ!あの人たちのおかげ!だから呼びたかった。これだけは後悔してるかなぁー。」

千束はそう言いながらたきなの手を引っ張り上げた。
つられてたきなは立ち上がる。
そしてー

「だから、何があってもあの人たちは頼っていいんだよ!」

と千束は満面の笑みで言う。

------------------------------

扉の向こうでは銃撃音と爆発音が聞こえる。
千束の考えが正しければ・・・
彼らは今、外で私たちリコリス、いやまだ子供である私たちを守るために闘っているのだと。
たきなは悔やんでも悔やみきれなかった。
大人たちはもうー
死地へと向かった。
その時点で遅かったのだ。
感謝の言葉も最後の最後まで言えずに。

~fin~

それでは、次回までごきげんよう。
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