延空木で合流した3人の傭兵とリコリス。リコリスたちはサーバー室で情報媒体を書き換える任務がある。一方で傭兵ら3人は迫りくる煉獄の炎を振り払うべく、決戦を挑んだーーー
【3人の漢とリリベル】
4-7-Wこと延空木。
3人の漢は迫りくる火の粉を払うべく、遊撃態勢に移る。
フレディは古き良きサーベルを。
ジョンは非殺傷ぶどう弾を。
マイケルは視界を奪う閃光擲弾筒を。
それぞれの3人は既に戦う準備が整っていた。
この戦いでどちらが上なのか、はっきり線引きする必要がある。
傭兵にとって・・・
いや、フリッツだけに絞るとリリベルとの闘いは2回目となる。
数十年前、フリッツはとある任に着いた際、虎杖率いるリリベルと交えて”頂点”に君臨した漢だ。
「0」に近い多対一の闘い勝利したフリッツは虎杖とその部隊に対して、「子供は闘う必要なし」と言っていたそうだが、任務に失敗した虎杖は言う事を聞かずに消えていったとのことだ。
リー曰く、
「今回の執行部隊は虎杖が動かした。数十年前のフリッツの恩を仇で返すつもりだろう。戦意喪失させるまで起き上がれなくしてやれ。しくじるなよ。」
と情報をくれた。
実質、この戦場は虎杖傘下の部隊とフリッツに教え込まれた子。
つまり虎杖との「2回目の闘い」となる。
滾る血。
漲る気。
組織的な戦場はこれで”最後”となるだろう。
「正面から急速接近。マイケル!スモークを焚け!」
「了解。」
フレディの号令にマイケルはフレディ正面にスモークを焚く。
相手にサーモグラフィーがあったら、こちらの負けはほぼ確定している。
だが、これも織り込み済みだった。
リリベルの装備には対リコリス殲滅用の装備しか与えられていない。
「生か死か」。
戦場で場数を踏んでいる傭兵に対しては分が悪い。
だが、リリベルの連中は是が非でも殺しに来る。
リコリスをよく知っている、この傭兵を必ず始末し、真島のおかげで民衆に知られてしまったリコリスの排除も行う。
”ソレ”を阻止するのだ。
それが傭兵の中枢であり、実質的な司令官であるリーからの任務である。
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辺りがスモークで充満する中、フレディの脳内レーダーに感あり。
まず1人目。
フレディは低い体勢からサーベルを抜刀できる状態に移行し、足音を立たずに近づく。
警戒態勢であったリリベルはスモークを手当たり次第にかき分ける中、足元のフレディに気づけなかった。
銃は真っ二つになり、そのリリベルは戦闘態勢に移る前にフレディの独壇場である格闘戦で沈黙。
とっさの出来事にリリベルは一瞬の戸惑いがあるものの、目の前にいる”何か”に向かって発砲した。
だが、
「足元がお留守ですよ?」
とフレディはリリベルの数人に足払いさせる。
体勢を崩すリリベルにフレディの後ろからジョンの非殺傷弾が襲い掛かる。
フレディは脳内レーダーで撃鉄音に勘づいていたので、ギリギリ避けてリリベルを弾受けさせた。
これで数人は戦意喪失した。
だが、リリベルは諦めずに突っ込んでくる。
ジョンが装填中にフレディが再び格闘戦で仕掛ける。
1人を自動小銃を上に向けた状態でゴム散弾銃を至近弾で撃つ。
よろけた上で片手間でお暇していたサーベルを一閃繚乱。
近場の”合成素材の銃”を片付けた上でジョンの非殺傷弾の乱射、マイケルの閃光弾の擲弾でじりじりと退かせる。
猪突猛進の傭兵3人に成すべきことが無いリリベルは徐々に戦意が削がれていく。
スモークが晴れた時には、十数名が倒れて一部が山になっていた。
赤い衣を身にまとったリリベルは片手を挙げて、”攻撃中止”の合図を出した。
その直後、リーから連絡が来た。
<<遊撃の任務終了だ。DA上層部が音を上げて俺に対して交渉とのことだ。だが、騙し討ちには気を付けろ。アウト。>>
経った数分で音を上げる?
(本当に執行部隊か?いくら何でも早すぎないか?この程度、低俗なテロリスト共なら未だに抵抗する。)
と疑う傭兵の3人。
睨み合い続くリリベルと傭兵。
そしてー
サーバー室の扉が開き、千束が出てきた。
リリベルは、フレディの頭上を超えて千束に対して発砲する。
次の瞬間、フレディが動く。
1人のリリベルに機械化された左手で自動小銃を持ち、押し込むことで肩を脱臼させる。
右足を軸に左足でもう1人のリリベルの銃を蹴る。
だが、半数の銃弾が千束に到達するが千束はやんわりと躱す。
まるで銃弾がスローモーションのように躱していく。
その間にフレディが1人、また1人と戦意喪失させ、赤い衣に身にまとったリリベルに着々と接近していた。
ジョンとマイケルは遮断物を利用して、フレディと共に応戦。
完全なる戦意喪失が危ぶまれる中、再び赤い衣のリリベルが再度”攻撃中止”を促す。
それを聞いたのか、リリベルは銃を下しては退いていく。
銃を下ろされてしまっては闘う意味をなさない。
傭兵たちも応戦を辞め、フレディも手にしていたリリベルの自動小銃を離しては突き飛ばす。
フレディはリリベルに言い放つ。
「この”山”も片づけてから消えて欲しいものだが?」
と、後ろ歩きしつつ千束の前に立ち、異様な風貌で
その風貌を見て慄いたリリベルたちは、戦意喪失したリリベルを担ぎだして、完全に目の前から消えていった。
「ケッ・・・造作もない連中だ。大丈夫か、お嬢?」
退くリリベルを目で追いながら、千束の”眼”の状態を聞く
「はい。大丈夫です。」
背中で魅せる漢に元気よく答える千束。
「
「はい。」
「ならよし。」
サーバー室の件は終わる。
あとはー
”奴”だけだ。
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真島率いるテロ組織とリリベルの組織的抵抗はクルミとリーの支援を得ているリコリスと傭兵らに軍配が上がった。
あとは、LimaとHotel以外のリコリスたちをハリスたちに任せてあとは帰還するだけ・・・
そして、中央エレベーターで帰路に着く。
フレディがサーベルに付着した樹脂の塊を取りつつ、皆でエレベーターで降りる。
途中、第一展望台でエレベーターが止まる。
フレディのレーダーが気づいた。
”奴”だ。
扉が開くと、犬のキーホルダーが光る鞄が落ちていた。
「あ、イッヌ!」
千束がエレベーターの外に出て鞄を拾い上げる。
千束が振り返ると、とある影がエレベーター前に現れる。
軽機関銃を片手でエレベーター前に現れたのは、真島であった。
フレディが叫ぶ。
「展開!展開!」
ジョンとマイケルが対弾シールドを展開し、フキが咄嗟に鞄を盾にしているが、真島から放たれる銃弾がエレベーターに居る7人に襲い掛かる。
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エレベーター扉が閉まり、動き出した時には「生か死か」という最悪の選択肢が生まれた。
防弾率9割占めていたが1発の跳弾が乙女サクラに直撃、負傷した。
それを見てジョンとマイケルは治療をすぐさま動いていた。
だが、フレディにはある決意を固めていた。
(真島を道ずれにする・・・)
次回⇒【英雄視されない理由】
小話【蚊帳の外】
サーバー室で情報媒体を差し込んだリコリスの5人。
だが、サーバー室の外では数十人VS3人という激戦を広げていた。
銃撃音。
爆発音。
切り裂く音。
機械音。
扉1枚、隔たれていてもー
その音はサーバー室にも響き渡っている。
千束は我慢できずに外に出ようとしたが、来ないはずのリーの無線が入る。
<<Lima、Hotelに通達。今はサーバー室に留まれ。繰り返すサーバー室に留まれ。>>
千束を始めとするリコリスは納得のいかない話だった。
リーは留まる理由を無線を介して行う。
<<君たちに指し向かれた執行部隊は、かつてフリッツに挑んだ大馬鹿野郎の教え子たちだ。その大馬鹿野郎はフリッツの恩を仇で返すという愚行を犯している。>>
リコリスたちはリーの言葉に息を吞む。
あの最古参がリリベルに打ち勝っている?
馬鹿げた話ではあるが、以前にフリッツを始めとする古参傭兵らはDAの存在を知っている。
知りながらも噓八百を並べて、DAを欺いた。
そのぐらいの兵(つわもの)だ。
そして、最後にリーはたきな以外の全員に言葉を掛ける。
<<DAが根を上げたらまた連絡する。以上だ。>>
リコリスたちはざわめきだした。
「ねぇフキ、どうする?」
「どうするつったて、あたしら以上に場数を踏んでいる連中と加わったら、邪魔でしかない。ここは待つべきだ。」
千束やフキを始めとする”First”。
「でもでも、先輩!こっちが協力しないと、今までの”借り”はどうするんですか!?」
「私も・・・まだあの人にお礼をー」
慌てふためくサクラやエリカの”Second”。
それを聞いて制するのはフキであった。
「ここは待つしかない。数多の戦場を歩き渡った彼らを邪魔してはいけない。それが彼らの頭脳である”答え”だ。」
DAではなくリーからの連絡を受け、フキは判断を下した。
待つ他ないと・・・
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そしてリーからの一方的な秘匿回線で聞くたきな。
<<お嬢、よく聞け。もし、千束お嬢が何らかの形で真島とサシになった場合、フレディと共に救出しろ。そして、千束お嬢を拘束紐で真島から引き剝がせ。>>
たきなは”リムジン”にてフレディから秘密裏に拘束紐を渡していた。
それを見込んでいたのか?
最後にはこう言う。
<<決して、千束お嬢にはフレディに近づかせるな。アイツは真島と共に道ずれにする覚悟がある。それを念頭に置いて欲しい。>>
と一方的に通信しては切る。
彼はー
”やる気”だ。
命を代償に千束を守るつもりだ。
たった2ヶ月もたない千束の命を、1日でも長く生き残って欲しい。
その気持ちが彼にはある。
彼にしかできない仕事と私自身にしかできないこと。
私にはー
彼が千束の為に命を散るならば、千束を守る義務がある。
たきなはそう心に刻んだ。
横には『どうすればいいのか?』と揉めているリコリスを尻目に見ながら・・・
決意した。
~fin~
それでは、次回までごきげんよう。