~銃弾と対価~   作:クマぴょん

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【前回のBullets Price】
3人の傭兵は攻撃を仕掛けるリリベルたちを退かせた。あとは帰路つくだけと考えているリコリス。だが、フレディが仕込みを入れた”アイツ”の存在が眼下にいる。食うか食われるのどっちつかずの勝負が始まろうとしてたーーー


【英雄視されない理由】

 

 

4-7-Wこと延空木。

 

(真島を道ずれにする・・・)

 

そうフレディは両手を強く握りしめて決意を固めた。

これで最後であろう号令をする。

 

「たきなお嬢と(オレ)は千束お嬢を救出する。ジョンとマイケルはサクラお嬢の治療に専念し、後方のハリスたちと合流して必ず生きて戻れ。」

「「了解!」」

 

続いてフキを見て、

 

「フキお嬢、この責任は傭兵が最後の最期まで見る。」

 

と言う。

最終責任があるのは”DAではなく傭兵である”。

とは定めた。

対してフキは答えが出なかった。

 

「しかし・・・」

「”大人たち(傭兵)”に身を任せろ。ジョン!」

 

フキの答えが出る前にジョンに応急処置キットを投げ渡した。

中には擦り傷や銃弾摘出、AEDなど25kgほど詰まっている防水医療バックで、このバックで子供なら最低3人は救える医療バックだ。

ハリスがフレディに不測の事態に備えて準備していたモノである。

マイケルがフレディにあるものを渡す。

それは射出型ジップラインだった。

 

「持っていけ。梯子(なん)ぞ時間かかりすぎるのもよろしくない。」

「確かにな。たきなお嬢・・・貴様の覚悟は出来たか?」

 

フレディの問いかけに、たきなは小さな灯から光り輝く灯に生まれ変わっていた。

 

「そう言われたら・・・ってほどではありません。キチンとやります。」

「やり遂げることが出来そうか?」

「やります!」

 

再度の確認で、たきなは真っ直ぐな瞳をフレディの顔を見ていた。

頷きながらフレディは答える。

 

「よぉし!リー!例の頼む!」

 

リーに通信すると、エレベーターが徐々に速度を落として停止した。

 

<<時間が限られている。急げ。>>

「了解。お嬢、持ち上げるから点検用扉を開けてくれ。」

 

たきなは頷き、フレディの両手と肩を踏み場にしてエレベーター天井の点検用扉を開ける。

高度が高く、強い風がたきなを襲い掛かるもののしゃがみ込んで、風の抵抗を減らす。

フレディは他の面子を見るや否や、

 

「Adios!」

 

と扉に掴み、スッと飛び上がってはジップラインを目視で射出した。

安全を確認した上で、たきなには上昇機を渡す。

直後に片腕で上昇するジップラインで先に先行した。

フレディの後に続くたきな。

直後、エレベーターが動き出す。

エレベーターに残された面子・・・

特にジョンとマイケルはフレディが放った言葉に疑問が生じた。

サクラ以外のの子供たちに悟られない為にも互いに確認を取る。

 

「・・・なぁ?」

「マイケルもか?アイツの言葉。」

「あぁ。何故、”さよなら”って言ったんだ?もう会えないことを・・・?」

「奴のことだ。お嬢たち為ならば刺し違えてでも道ずれにするつもりだ。」

「・・・お嬢たちが許せると思うか?」

「無理だろうな。だが、奴は奴なりの結果を出せる。俺たちは目の前の子を助けなければならない。違うか?」

「・・・やるしかないのか。」

 

マイケルはフレディが死地を求めているの知り、諦めてサクラの銃弾摘出を専念した。

ジョンも目を閉じては十字に切って、マイケルと共に摘出手術を行った。

フキたちも手伝おうとするが、サクラを守り切れなかった責任としてジョンとマイケルが断り、逆にサクラの手を握ってやって欲しいとフキとエリカに頼み込んだ。

 

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フレディとたきなは第一展望台のエレベーター前にたどり着く。

たきなはここからどうするものか?

と考えていると、長身のフレディが点検用ボタンを押し、エレベーターを力強く手動で開けようと試みる。

が、ダメ。

普段ならば点検用ボタンを押せば、エレベーターの扉は手動で開けられるのだが・・・

なぜか動かない。

諦めて、パイプ爆弾こと”キュウリ”をたきなに持たせる。

訳の分からないたきなは言う。

 

「どうするつもりですか?」

「ここを吹き飛ばして強襲する。」

 

簡単に答えるフレディに無言で頷く。

 

「安心しろ。爆風でお前さんが落下しないようにこのフックを(オレ)の左手首にかけろ。」

「・・・?」

 

たきなは首をかしげる。

いくら機械化された左手首にそのようなものは・・・

考えるたきなに、フレディが扉に穴を3つ開けた。

たきなの手に持っている”キュウリ”を全て穴に押し込んだ。

そして左手首をガチャガチャと動かすフレディを眺めては、フレディから外套を外してたきなに着けた。

半身半裸の機械人間が目の前に居る。

たきなの目が泳いだ。

機械化された人間が、私”も”守ろうとしている。

この外套も合成繊維で見繕ったもので、あらゆる面で防げる傑作品である。

そして、合意も無しにたきなの身に救命ロープを装着させては、差し出された左手首には輪っかにフックをかけた。

 

「準備は良いか?」

「え?あっ・・・ー」

 

フレディの身体を見るや否や逸らすたきなにフレディは一喝した。

 

「千束お嬢を救うのは貴様だけだ。覚悟しておけ。」

 

とたきなの確認を取らずに発破した。

 

------------------------------

 

勢い良くエレベーターの片方の扉が吹き飛ぶ。

ソレは、千束と真島が戦っている最中であり、千束と真島の間に割り込んで扉が吹っ飛んでいった。

高笑いの音がエレベーターからする。

2人は見るとー

半身半裸で機械化されたフレディの姿だった。

後ろには外套を纏うたきながフレディの後ろに付いてくる。

 

「テメェ・・・!」

「フレディさんにたきな!?」

 

2人は呟いた。

そして、たきなを置いて2人の間に立つフレディ。

 

「時間稼ぎ、ご苦労だった。」

「へ?」

 

訳の分からない千束。

ようやく答えが理解した真島が答える。

 

「テメェ・・・これを狙って・・・DAをー」

「DAの清掃員(クリーナー)を殺したのは上手くいったが、それ以降は上手く行かなかったようだな。なんとも哀れなー」

 

笑うフレディに牙を剥く真島。

未だに理解できない千束は口ずさむ。

 

「あ?え?どういう・・・こと?」

 

真島が言う。

 

「コイツが俺を解放させた。その後、お前と戦ってコイツが出てくるまでお前は時間稼ぎの囮だった。」

 

拍手しながら笑うフレディ。

 

「半分一致して、半分は間違えているな。真島・・・お嬢は時間稼ぎの為に使ったんじゃない。利用されたのはお前だ。」

「ンだと!?」

「そう牙を剥くな。お前も知っているだろう?フリッツのことを。」

「・・・死んだのは知った。だが、聞いた限り死んだ方が評判が良いとまで聞いた。」

「知っているか?『英雄』っていうのは『死んだ英雄こそ望まれる価値がある』って。生きている英雄は、利用価値があるものの危険性が高いのさ。お前を助けたジョージみたいにな。」

 

そう言ってフレディは、鷹の眼のように黄色の目で真島を見る。

その目には、

悪意。

狡猾。

憎悪。

の3つが見れた。

 

(オレ)が死ぬまではお嬢たちに手出しはせん。(オレ)の糧になってもらおう。」

 

フレディは両手首から仕込み刃を展開し、戦闘態勢に移る。

その間にたきなは、リーの言う通りにフレディから千束を離れさせた。

嫌々と暴れる千束に、フレディから秘密裏に託された拘束紐を使用してケガしない程度に抑え込むたきな。

真島とフレディ。

牙を剥く世界均衡主義者と狡猾で命を刈り取る暗殺機械。

最後の一戦がここに始まる。

 

 

次回⇒【終戦の一撃】




小話【感謝を込めたくて】

延空木事件から解放され、千束を見つけ、数ヶ月経過したある時期のころ。
喫茶リコリコは常夏の島・ハワイに向けて飛び立っていった。

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表向きは喫茶リコリコのハワイ出張。
本音はとある人物に会うため。
そう、最後の最後まで感謝の言葉を言えなかった人で、喫茶リコリコの面子にとっては命の恩人だ。
だが、先の事件から栄華を誇った傭兵は正式解散し、ある人は娘の墓場を洗い、ある人は寝たきりの妻を抱きしめ、ある人は故郷で伸び伸びと・・・
様々だった。
だが、命の恩人である人間は消息を絶つ。
いいや・・・
行方不明と言った方が正しい。
クルミが再三の頼みが無ければ、”現代のアインシュタイン”が口を割ることや、”現代に蘇るロレンス”の場所すら言わなかっただろう。
現在は1人で暮らしているようだが、それ以上の情報は出てこなかった。
”アインシュタイン”曰く、

「彼の場所は教えるが、下らないことは考えるな。お前たちの為に命を落とす覚悟があった漢だ。」

とのことだった。
下手に出ると回れ右になるだろう。

ミカは目をつぶって何かを考えている。
ミズキは酒を煽ってはだらしなく寝ている。
クルミは”彼”の居場所の特定を急いでいた。
そして、千束とたきなはー
互いに手をつなぎ、握りしめていた。
お互いに助けられた恩人に『感謝を込めて』別れを言いたかった。

------------------------------

彼らを乗せた飛行機は現在、空母機動部隊の墓場を乗り越えた上空に差し掛かっていた。

~fin~

それでは、次回までごきげんよう。
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