転ヴェル、転生したらヴェルドラだった件 P.S.タスケテ   作:転生しても物書きだった件

9 / 9
ヴェルゼルードいじめるぞひゃっほい


9話

「さて、ヴェルドラ改めヴェルゼルードくん。なにか申し開きはあるかね?」

 

リムルの庵にて僕は正座で彼女の前に座らされていた。

白装束で短刀を近くに置かれ、リムルの側には秘密裏に作られた刀がある。

罪状は無論、リムルの腹の中で大暴れ兄弟喧嘩をした結果。

僕のスキル無貌之王(ファラオ)が解除され、経歴詐称が露見したから。

それも先に結魂をしたため日本人的な観点ではまあ不味いのでしょう。

 

「……いやだって」

「言い訳は求めてないから」

 

 

さすがは豚頭族(オーク)を加え、蜥蜴人族(リザードマン)とも協定を結び、ジュラの森大同盟の盟主となった魔物。

圧が凄まじい。

 

「仕方ないことはわかるそれでもだな」

「……ですね。親しき仲にも礼儀ありです」

 

指を揃え地面に付け頭を下げる。

 

「今まで騙してしまい、申し訳ありません」

「それでいい。大賢者も不本意って言ってるからな」

 

リムルはため息をつき

 

「貸しひとつな。それで許してやる」

「ありがとうございます……」

 

そしてリムルは庵にとある結界を貼る。

にやりと微笑むその顔は女狐と形容するのが相応しいかもしれない。

 

「じゃあ早速貸し使うか」

「早くないですか?」

「ヴェルゼルードにも利がある事だから安心しろって……な?」

 

僕に近寄り頬に手をやるリムル。

あ、コレ女狐じゃなくて……

 

「な、何をする気で……?」

「子どもを作ったらどうなるか気になるって言ってただろ?」

 

※※※

 

豚頭族(オーク)が進化した豚人族(ハイオーク)の労働力が手に入り、集落の発展予想図は町と呼ぶにふさわしいものになった。

採石場で得た石を切り出し石畳を作り、セメントなども用意し木の家から大幅に住み心地と耐久性が良くなった。

樹妖精(ドライアド)から木々の実りを貰い、美味な魔物も判明し始め食生活の品質もかなりのものとなった。

それはいいのですが。

 

「そういえばヴァロ殿は役どころはあるのですか?」

 

ある日、訓練と称してベニマルと模擬戦を行い一段落した所でそう聞かれた。

そう、僕はまだ役どころはない。リムルは考えているだろうが何を与えるきのなのだろうか。

 

「リムルも決めあぐねているようです。侍大将ほどの大役ではないといいのですが」

「何を言いますか。間違いなくリムル様と同等以上の力を秘めているヴァロ殿に俺なんかは及びませんよ」

「侍大将……戦いにおける指揮は力も大事ですがそれよりも大切なことが複数あります。それを加味した場合、ベニマルの方が向いていると思いますよ」

 

視野の広さ、部下の得手不得手を見極める観察眼。

そして何よりもこの人について行きたいと思わせるカリスマ。

リムルの分身体を依代として顕現している今の状態では分身体へ蓄えた魔素を使い切ると本体へと戻されてしまう。

そんな奴が大将を務めてしまうのはさすがにまずい。

 

「リムルより勝利を優先する気が僕には無いのもありますからね」

「将としては間違っていても夫としては正しいと思いますよ」

「……まあ、強ければ1匹ぐらいなら守れるでしょうから」

 

リムルの町は開発途上。

やっと水道の整備が始まりろ過した水を通す上下水道を設置している最中だ。

リムルの前世の知識があるとはいえ流石と言わざるを得ない。

そんなことをしているとハクロウとの鍛錬を終えたリムルがやってきた。

 

「さらしいってぇ……」

「別に縮ませればいいのでは?」

「お前が好きそうなのを頑張ってんだよ言わせんな。ほら行くぞ」

「ハイハイお姫様」

 

この後の予定はリムルと各現場の視察。

どうなってるかや職人たちの関係性を除くには持ってこいだろう。

そんな時にソウエイが現れた。

その顔は変化は少ないが少し強ばっていた……ソウエイの顔が!?

 

「リムルさま、ご来客です」

「来客……今日はそんな予定無いはずだけど」

「厳密にはヴァロ殿に対する来客です」

「僕?……絶対ろくでもないことになりますよ」

「あら、なにがろくでもないのかしら?」

「僕を指定するということは祀る民関連かルミナス関連か。1番ありそうでありえないのは北の国から姉さんが来ること……」

 

懐かしい声につい答えてしまったが首元に突き刺さる寒気を感じ声の主を確認する。

そこには銀色の頭髪に青い瞳。透き通るような白い肌を持つ僕の姉、白氷竜ヴェルザードその人がいた。

 

「ね、姉さんお久しぶりです……」

「結魂おめでとう、姉弟のお話しましょうか。小姑みたいでごめんなさいね、この子借りてくわよ」

「ちょ、この後オレたちには用事が……」

「今の私はそれなりに機嫌が悪いの、ここ全てを凍らされたくないなら従った方がいいわよ?」

「リムル、ここは従った方がいいです……実際にそれをするだけの魔素もスキルも姉さんありますから……」

 

微笑みながらも冷気を立ち込めさせる姉さん。

そんな身内の来訪で僕の平穏は一旦の終りを迎えたのでした。

 

※※※

 

建造途中の迎賓館を使うわけにもいかず、ひとまず例の丘に姉さんを案内する。

お茶は出ませんがまあいいでしょう。

 

「さて、あんなにかわいかった弟がスライムと結魂したと聞いてはさすがに黙ってられない姉さんになにか説明はあるかしら?」

「えっとですね……話せば長くなりますが……」

「そういった貴方の話が長かった試しはないわ。全部洗いざらい話なさい?」

「はい……」

 

寿命が極端に長いがゆえに起こる弊害。

月単位で話さなければ長くない……正直やめてほしい。

まあわからなくはないですが

 

「それに私よりあのスライムの方が繋がりが強いってどういうことかしら?」

「それはまあ……妻ですし……」

「お姉さん寂しいわ。姉上と永劫一緒にいたいと言っていたヴェルゼルードはどこにいったのかしら?」

「何百年前の話ですかそれ!」

「それともヴェルドラみたいに私も食べて一緒にいるつもりかしら?」

「……それは」

「ふふ、意地悪だったわね」

 

姉さんは自身の力で氷のイスを作り腰を掛ける。

 

「ギィはね。貴方が新しい魔王にならなかったことを残念がっているのよ」

「それは原初の赤が自分を倒せる可能性を持つ存在を気に入るが故でしょう?」

「疎ましいことにね。最上位精霊である竜種を吸収した竜種なんてこの世界に一匹しかいない。そうでしょう?」

 

竜屠者(ドラゴンボーン)で兄貴を吸収した僕はその結果、無貌之王(ファラオ)とは別の究極能力(アルティメットスキル)暴風之王(ヴェルドラ)】を獲得、スキルを起点に兄貴の力を振るえるようにもなっていた。

おそらくは倒せればの話ではありますが、姉上たちも吸収できるはず。しかし……

 

「これ以上の力はいりません。人間の脅威となるわけには……」

「それでも邪竜と呼ばれたヴェルドラを倒した竜なの?」

「それでも、です。兄貴から奪ったモノは力だけではないですから」

「森林の守護ね……昔から生真面目ね貴方」

「姉さんは興味を持つこと以外知ろうとしなさすぎです」

「あら、悪いかしら?」

「……悪くはないですが。ゴホン、結局何用で?僕の様子を見に来ただけじゃないでしょう?」

「傷心旅行よ。そのついでに愛しい弟が復活したらしいから立ち寄っただけ」

「傷心……?」

「そ、傷心。ギィにフられちゃった」

「………」

 

姉さんがギィに告白したことが意外だった。

姉さんは停滞を好むから……なぜ……?

 

「だからまあ、死に場所探しとかも含めてね。貴方の中で終えるのもいいかと思ったけど……」

「僕ら竜種はそもそも物質肉体(マテリアルボディー)を失った程度では死にませんからね。兄貴の魂は無限牢獄のせいで今はある程度自由ですが、本来は精神の檻に入ってます」

「そ、さすがね。やると決めたらとことんやる性格も変わってないみたい」

「なので僕の中で終えようとするのはやめてください」

「貴方になら私の全部あげても良かったのだけど……まあ、いいわ。それならそれで考えがあるもの」

「考え……?」

 

姉さんの瞳が妖しく光る。

 

「私も貴方と結魂するわ」

「……いまなんと?」

「結魂するっていったのよ?何か問題あるかしら?」

「おおありですがぁ!?!?!?!?」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

スタレ世界に転生!?アラスターなりきり人生満喫します(作者:黒しゃぶ曜日)(原作:崩壊:スターレイル)

それなりのオタクであった主人公は、いつの間にか崩壊スターレイルの世界に転生してしまう。▼しかも自身の推しであるアラスターそっくりの容姿となって。▼この危険な世界で生き延びる為、この世界を楽しむ為、原作主人公達の活躍を見届ける為、そしてアラスターロールプレイング人生を満喫する為にも、強くなることを決心する。▼*処女作です。暖かく見守って下さると幸いです。▼


総合評価:751/評価:8.76/連載:7話/更新日時:2026年05月18日(月) 17:39 小説情報

転生したら吸血鬼だったんだけど何か違う件(作者:五月雨と狐)(原作:転生したらスライムだった件)

▼ とある高校生「進藤凪沙」は幼馴染を庇って死んでしまった!▼ 気づいたときにはそこは洞窟で!?▼ 作者の思いつきで作られた二次創作!▼ いつまで続くか分からないぞ!▼ ※追記 もうよく分かんないけど1万UA越えました。マジでありがとうございます!▼ しかし作者今年受験のため時々書けない時があります▼ そこらへんは許してください……▼ あと大まかな流れできた…


総合評価:1666/評価:8.69/連載:16話/更新日時:2026年05月17日(日) 22:44 小説情報

転生サトシの旅路(作者:ナノブ)(原作:ポケットモンスター)

これは、アニポケのサトシが一生を終えた記憶と、アニポケを見ていた人の記憶両方を持った転生者サトシが、波導と呼ばれるチートを駆使して行く旅路を記したもの。▼サトシ至上主義が書くポケモン小説です。▼作者はポケモンライト勢であり、にわかです。


総合評価:1761/評価:9.05/連載:15話/更新日時:2026年06月06日(土) 18:00 小説情報

星殺しの英雄(作者:Castella)(原作:アサルトリリィ)

星の究極種を殺した型月転生者がアサリリ世界に転移する話。▼※掲示板形式ありです。


総合評価:2145/評価:8.31/連載:18話/更新日時:2026年05月11日(月) 21:37 小説情報

ハンターの人理修復旅(作者:浅漬けプリン)(原作:Fate/)

色々あってモンハン世界に転生していたオリ主▼↓▼モンスターとの戦闘中相打ちになる▼↓▼目が覚めたら人理継続保障機関・フィニス・カルデアに加入する事になっていた…Aチームとして▼Q.これ死にませんかね?▼A.知らん


総合評価:980/評価:7.95/連載:1話/更新日時:2026年06月06日(土) 15:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>