転ヴェル、転生したらヴェルドラだった件 P.S.タスケテ 作:転生しても物書きだった件
「さて、ヴェルドラ改めヴェルゼルードくん。なにか申し開きはあるかね?」
リムルの庵にて僕は正座で彼女の前に座らされていた。
白装束で短刀を近くに置かれ、リムルの側には秘密裏に作られた刀がある。
罪状は無論、リムルの腹の中で大暴れ兄弟喧嘩をした結果。
僕のスキル
それも先に結魂をしたため日本人的な観点ではまあ不味いのでしょう。
「……いやだって」
「言い訳は求めてないから」
さすがは
圧が凄まじい。
「仕方ないことはわかるそれでもだな」
「……ですね。親しき仲にも礼儀ありです」
指を揃え地面に付け頭を下げる。
「今まで騙してしまい、申し訳ありません」
「それでいい。大賢者も不本意って言ってるからな」
リムルはため息をつき
「貸しひとつな。それで許してやる」
「ありがとうございます……」
そしてリムルは庵にとある結界を貼る。
にやりと微笑むその顔は女狐と形容するのが相応しいかもしれない。
「じゃあ早速貸し使うか」
「早くないですか?」
「ヴェルゼルードにも利がある事だから安心しろって……な?」
僕に近寄り頬に手をやるリムル。
あ、コレ女狐じゃなくて……
「な、何をする気で……?」
「子どもを作ったらどうなるか気になるって言ってただろ?」
※※※
採石場で得た石を切り出し石畳を作り、セメントなども用意し木の家から大幅に住み心地と耐久性が良くなった。
それはいいのですが。
「そういえばヴァロ殿は役どころはあるのですか?」
ある日、訓練と称してベニマルと模擬戦を行い一段落した所でそう聞かれた。
そう、僕はまだ役どころはない。リムルは考えているだろうが何を与えるきのなのだろうか。
「リムルも決めあぐねているようです。侍大将ほどの大役ではないといいのですが」
「何を言いますか。間違いなくリムル様と同等以上の力を秘めているヴァロ殿に俺なんかは及びませんよ」
「侍大将……戦いにおける指揮は力も大事ですがそれよりも大切なことが複数あります。それを加味した場合、ベニマルの方が向いていると思いますよ」
視野の広さ、部下の得手不得手を見極める観察眼。
そして何よりもこの人について行きたいと思わせるカリスマ。
リムルの分身体を依代として顕現している今の状態では分身体へ蓄えた魔素を使い切ると本体へと戻されてしまう。
そんな奴が大将を務めてしまうのはさすがにまずい。
「リムルより勝利を優先する気が僕には無いのもありますからね」
「将としては間違っていても夫としては正しいと思いますよ」
「……まあ、強ければ1匹ぐらいなら守れるでしょうから」
リムルの町は開発途上。
やっと水道の整備が始まりろ過した水を通す上下水道を設置している最中だ。
リムルの前世の知識があるとはいえ流石と言わざるを得ない。
そんなことをしているとハクロウとの鍛錬を終えたリムルがやってきた。
「さらしいってぇ……」
「別に縮ませればいいのでは?」
「お前が好きそうなのを頑張ってんだよ言わせんな。ほら行くぞ」
「ハイハイお姫様」
この後の予定はリムルと各現場の視察。
どうなってるかや職人たちの関係性を除くには持ってこいだろう。
そんな時にソウエイが現れた。
その顔は変化は少ないが少し強ばっていた……ソウエイの顔が!?
「リムルさま、ご来客です」
「来客……今日はそんな予定無いはずだけど」
「厳密にはヴァロ殿に対する来客です」
「僕?……絶対ろくでもないことになりますよ」
「あら、なにがろくでもないのかしら?」
「僕を指定するということは祀る民関連かルミナス関連か。1番ありそうでありえないのは北の国から姉さんが来ること……」
懐かしい声につい答えてしまったが首元に突き刺さる寒気を感じ声の主を確認する。
そこには銀色の頭髪に青い瞳。透き通るような白い肌を持つ僕の姉、白氷竜ヴェルザードその人がいた。
「ね、姉さんお久しぶりです……」
「結魂おめでとう、姉弟のお話しましょうか。小姑みたいでごめんなさいね、この子借りてくわよ」
「ちょ、この後オレたちには用事が……」
「今の私はそれなりに機嫌が悪いの、ここ全てを凍らされたくないなら従った方がいいわよ?」
「リムル、ここは従った方がいいです……実際にそれをするだけの魔素もスキルも姉さんありますから……」
微笑みながらも冷気を立ち込めさせる姉さん。
そんな身内の来訪で僕の平穏は一旦の終りを迎えたのでした。
※※※
建造途中の迎賓館を使うわけにもいかず、ひとまず例の丘に姉さんを案内する。
お茶は出ませんがまあいいでしょう。
「さて、あんなにかわいかった弟がスライムと結魂したと聞いてはさすがに黙ってられない姉さんになにか説明はあるかしら?」
「えっとですね……話せば長くなりますが……」
「そういった貴方の話が長かった試しはないわ。全部洗いざらい話なさい?」
「はい……」
寿命が極端に長いがゆえに起こる弊害。
月単位で話さなければ長くない……正直やめてほしい。
まあわからなくはないですが
「それに私よりあのスライムの方が繋がりが強いってどういうことかしら?」
「それはまあ……妻ですし……」
「お姉さん寂しいわ。姉上と永劫一緒にいたいと言っていたヴェルゼルードはどこにいったのかしら?」
「何百年前の話ですかそれ!」
「それともヴェルドラみたいに私も食べて一緒にいるつもりかしら?」
「……それは」
「ふふ、意地悪だったわね」
姉さんは自身の力で氷のイスを作り腰を掛ける。
「ギィはね。貴方が新しい魔王にならなかったことを残念がっているのよ」
「それは原初の赤が自分を倒せる可能性を持つ存在を気に入るが故でしょう?」
「疎ましいことにね。最上位精霊である竜種を吸収した竜種なんてこの世界に一匹しかいない。そうでしょう?」
おそらくは倒せればの話ではありますが、姉上たちも吸収できるはず。しかし……
「これ以上の力はいりません。人間の脅威となるわけには……」
「それでも邪竜と呼ばれたヴェルドラを倒した竜なの?」
「それでも、です。兄貴から奪ったモノは力だけではないですから」
「森林の守護ね……昔から生真面目ね貴方」
「姉さんは興味を持つこと以外知ろうとしなさすぎです」
「あら、悪いかしら?」
「……悪くはないですが。ゴホン、結局何用で?僕の様子を見に来ただけじゃないでしょう?」
「傷心旅行よ。そのついでに愛しい弟が復活したらしいから立ち寄っただけ」
「傷心……?」
「そ、傷心。ギィにフられちゃった」
「………」
姉さんがギィに告白したことが意外だった。
姉さんは停滞を好むから……なぜ……?
「だからまあ、死に場所探しとかも含めてね。貴方の中で終えるのもいいかと思ったけど……」
「僕ら竜種はそもそも
「そ、さすがね。やると決めたらとことんやる性格も変わってないみたい」
「なので僕の中で終えようとするのはやめてください」
「貴方になら私の全部あげても良かったのだけど……まあ、いいわ。それならそれで考えがあるもの」
「考え……?」
姉さんの瞳が妖しく光る。
「私も貴方と結魂するわ」
「……いまなんと?」
「結魂するっていったのよ?何か問題あるかしら?」
「おおありですがぁ!?!?!?!?」