ごめんね、
“個性”がなくて
どうか
来世は
超カッコイイヒーローに・・・
なんて思っていた時期が僕にもありました
超カッコイイなああ!!
僕も“個性”が出たら
こんな風になりたいなああ!!
僕は、あの頃の僕は
夢見てたんだ
年相応で、無邪気で、
現実が見えてない
そんな夢を見てた
“カッコイイ”ヒーローになりたいんだ
オールマイトみたいなヒーローに僕も!!
まだ“個性”は出てないけど・・・
スッゴい“個性”が出るって!!
お父さんみたいな“炎熱系”だったら
エンデヴァーみたいなヒーローになるのかなぁ
ヴィランの戦うヒーロー・・・憧れるなぁ
それとも、お母さんみたいな“個性”だったら
新人のヒーローだけど13号みたいに
災害救助で活躍するヒーローかなぁ
いっぱい人を助けて・・・カッコイイなぁ
でも、もしかしたら、もしかすると
突然変異でオールマイトみたいな
すっごい“個性”かもしれない
ごめんね
昔の僕
僕は君が望んだような
誰もが一度は望んだ夢を
叶えることができなかった
それどころか僕は
君に人並みの夢を見る権利も、
人並みの生活を希望を、
見るだけの力が無かった
ごめんね
昔の僕よ
僕はヒーローになれなかった
誰かを救うヒーローになれなかった
自分自身ですら救えなかった
助けを求める声を聴く前に、
僕は、助けを求めることすらできなかった
一言、一言でいいんだ
言えばよかった
言えなかった
言えばよかったんだ
“カッコイイ”ヒーローになりたかった
なれなかった
カッコつけることもできなかった
いじめられてて、
“無個性”で、成績も良くなくて、陰キャで
それでも『助けを求めないこと』が
僕の精一杯の“カッコつけ”だった
ごめんね
昔の僕
夢見てた僕よ
夢を見れてた僕よ
恥の多い生涯を送ってきました
・・・太宰治だったかな?
僕は多少の恥はあったかもしれないけど
何も無い人生でした
夢は破れて惰性で生きる程の器用さもなく
別のモノで見返そうと努力する気概もなく
ただ、ただ虚ろで
鏡を見ても自分がどんな表情をしているのか
どんな顔をしていたのかもわからなくなりました
僕には、もう、なにもありません
なにもない僕がなにかを得ることなどなく
また、なにかを与えることもできませんでした
路傍の石のように在るだけの日々は
ひたすらに苦痛でしたが、
それも感じなくなりました
イジメを受けました
差別もされました
莫迦にされ殴られ私物を盗まれました
その時だけは僅かに哀しみを感じて
僕が僕であると、
生きていると実感を得られましたが
それも時期に感じなくなるのではと
虚ろが広がるのではと
僕は・・・
僕の幼なじみは口が悪いし、
なんだったら手も“個性”も出る
幼なじみの悪ふざけ・・・では、すまないと思う
けど“悪ふざけ”だと、そう思って
そう思いこんで過ごしてきた
苦痛だった
悔しかった
痛かった
一人で泣いた
涙が出なくなった
血が流れてても痛くなくなった
どうでもよくなった
なにも感じなくなってきた
それでも絡んでくる幼なじみが
僕に“生”を実感させてくれた
ストックホルム症候群とは違うよね?
共依存とも違うかな?
僕はアイツが大っ嫌いだしね
まぁ、でもね?
感謝はしてるんだ
“生きてること”は“いいこと”らしいし、
“生きてること”を実感させてくれたからね
最後にアイツと話した時、
一方的に言われただけなんだけど
僕にとって最大の救いだったんだよね
幼なじみの君へ
君はヒーロー向けの“個性”だった
僕は“無個性”だった
一文字違いの
間接の数が一個違うだけの
生まれつきの差
羨ましかった
妬ましかった
憧れてた
嫉妬していた
君は、今後どんな人生を送るだろう
君が言ったように
ヒーローになるのだろうか
でも、今の性格は治さなきゃね
生活はともかく、
言動と行動を治さなきゃ
ヒーローどころかヴィランになっちゃうよ
それと、ありがとう
僕は来世を願ってワンチャンダイブするよ
僕は一人、屋上に立つ
風が吹いていて
まだ朝晩は寒い時季なんだけど
温暖化のせいかな?
今は寒くないや
鉄のフェンス
乗り越え防止の
指先もなぜか動き難くなってるし
よじ登るのも一苦労だ
息が少し荒れて白い息が風で流れる
深夜なら
ここには誰もいない
屋上に煙草を吸いにくる隣のオジさんも
マンションの出入口で井戸端会議するオバさんも
駐車場で遊んでる子供も
誰も、
誰もいない
誰もいない
本当に誰もいない
僕の人生と一緒だ
誰もいなかった
一言、言って欲しかった
嘘でもいい社交辞令でいい
ノリで言ったとか、その場の空気だとか
本音でなんかなくてもいい
誰でもいい
誰かに言って欲しかったんだ
ヒーローになれるって
誰も言ってくれなかった言葉
僕も言えなかった言葉
今さらだけど、言えばよかったなぁ
せめてさ、せめて自分でくらい
僕はヒーローになれるってね
僕は、今から飛ぶ
来世は“個性”が宿ると信じて
ワンチャンダイブだ
僕は調べた
この高さなら
まず、助からない
だから選んだ
僕は指摘された
“無個性”じゃヒーローになれないって
知ってたよ、知らないふりしてただけで
だから飛ぶんだ
浮遊感
風がすごい
景色が一瞬で変わる
あ、もう地面だ
『来世は・・・“個性”がありますように』
『ヒーローに、カッコイイヒーローに』
『僕でも、僕なんかでも超カッコイイヒーr
静岡県、某所
某日に某マンションより
少年Mは飛び降り自殺を図り死亡した
少年Mは“無個性”であり、
将来への不安が原因と思われる
少年Mは
学校では皆の人気者であり、
いじめなどもなかった
と、担任教師や友人らは語っており
少年Mの過度の“思い込み”が原因の
若者にありがちな突発的な行動とみられる
社会は世間は
某少年の死をニュースで流れている間だけは
鑑みようとした
そして翌週には
新しくデビューしたヒーローや
トップヒーロー達の活躍に感心の先を奪われ
現代社会の過多な情報に埋もれ
一部の関係者を除いて忘れられた
言って欲しかったなぁ
僕でもヒーローになれるって
「出久~!!朝よ!!起きなさい!!」
母さんの声が聞こえる
でも、僕はもう起きれない
声を出すことができない
僕は飛んだんだ
来世を待つ身だ
「ほら!!今日は“個性”の診断がある日でしょ!!」
だから、お母さん僕は来世を・・・
手が小さい
視線が低い
ベッドが妙に大きく広い
ははは、
姿見の前に立つ
幼く小さいパジャマ姿の幼児が居た
やった
やったんだ
来世?違う、やり直しだ
ネット小説で読んだから知ってるんだ
二周目は“超強力な個性”が宿ったり、
“ハズレ個性”だと思ったら最強だったり、
もし“個性”がなかったり、
“個性とは別の特殊能力”を使えたり
“筋肉”で全てを蹂躙したりできるんだ!!
HELLO WORLD
世界は輝いてるよ!!
「諦めたほうがいいね」
・・・は?
いや、違うだろ
違わなきゃいけないんだ
なんで、同じことを言うんだ
“個性”が宿ってない?
“特殊能力”は?
今から鍛えたら“ムキムキマッチョの変態”に?
それとも師匠キャラが出てきたり、
“呼吸法”だったり“呪術”だったり、
“変身ベルト”だったり、“ウル◯ラアイだったり・・・
二周目、二度目でも
精神年齢が中学生のままの僕でも
その言葉はショックだった
下手したら一周目よりも、
“その後”を知っているからか
精神への揺さぶりが酷い
「酷なようだが、もう一度言うよ
キミは、ヒーローを、諦めたほうがいい
だがっ!!もしヒーローを!!
“超常の力”を諦められないなら!!
儂に全て任せい!!
既存の全てを超越する究極の力を!!
悪魔にも神にもなれる力を!!キミに授けよう!!」
・・・はい?
「安心したまえ!!
一般的に“個性”を外的に与えることは
不可能とされてきた・・・だが!!
儂の医学力は世界一ィィィィィィ!!
できんことはないィィィィィィ!!」
・・・これは、
これは、一周目になかった流れだぞ
いや、どういうことだ?
僕もヒーローになれる?
病院の先生エキサイトし過ぎだろ
もしかして“個性”を目覚めさせる治療が?
それとも先生の“個性”が“エキサイト”なのか?
「すいませんが、お断りします」
僕はヒーローになりたかった
けど、それ以上に
エキサイトしている病院の先生が
気持ち悪かった
だって考えてみてよ!!
授業でも部活でも成績が良くなかったとして、
落ちこぼれのクソナードだったとして、
みんながもっている
ハゲでデブのヒゲメガネが
超☆エキサイティングしながら力を授けようなんて
そんなこと言ってきて
頷ける?
いいや、無理だね
誰だってそうする
僕だってそうする
だって仮に“個性”を“金銭”に例えてみてよ?
わかるでしょ?
お金が無い苦学生の自分の前にさぁ
『わ、儂が・・・お、お金あげるお
だ、だ、大丈夫!!優しくするよ
ええ、ええ、努力はします デュフフフフ』
なんて言うジジィがいたら
逃げるよね?
僕は病院から家に帰った
そして、すぐ出掛けた
一周目と同じように
かっちゃんとの約束があったからだ
病院で“個性”がわかったら教えるって
そういう約束だ
かっちゃんは“個性”が出てから
詳細を調べに病院で検査だったけど
僕は“個性”が出ないから病院に行って
それで・・・
思えば、あの時からイジメが始まったんだよな
かっちゃんは人をよく見下すけど、
あの時までは口が悪いだけだった
僕が“無個性”だって知るまでは・・・
「はあああぁっ!?お前、デク
“無個性”なのかよ!!」
ああ、そうだ
そして、かっちゃんは僕のことを
“幼なじみ”じゃなく、
“無個性”として見るようになって
僕を遊びに誘うこともなくなって
僕を見る度にイジメて
それでも僕は着いていって
「だったら、俺の左腕やるよ」
んん~?
「移植すりゃ、俺ほどじゃなくても
俺の“個性”使えんだろが!!
未来のNo.1ヒーロー様の左腕だぞ!!
No.2として俺に恥かかせねぇようにしろや!!」
待って
ホントに
ストップ!!
かっちゃんの取巻き達!!
君達も止めて!!
かっちゃん左腕を爆破でもぎ取ろうとしてるから!!
「しゃあねぇなぁ
カツキが左なら俺は右腕やるよ
精々役立ててくれよ?未来のヒーロー」
左の“爆破”に右の“伸縮指”
二つの力で悪を討つ
友情の力が今日も唸る
・・・違う!!そうじゃない!!
ツバサくん!!
君が、君だけが頼りなんだ!!
今までかっちゃんの取巻きの太い方とか、
パタ◯タとドッ◯ンの間の子とか、
飛べるほう(笑)の豚とか、
心の中でバカにしてたけど
今は!!今だけは!!君が必要なんだ!!
「緑谷、大丈夫だって!!
ウチのじいちゃんに頼めば一発さ!!
じいちゃんは凄いんだ!!
“仮面ラ◯ダー”で言えば
“仮◯ライダー”に改造した組織なんだぜ!!
正義のヒーローは造れるんだ!!」
それショッ●ァァァァ!!
ヒーローじゃなくて怪人造ってる所ォォ!!
確かに
“仮面ライ◯ー”の生みの親だけども!!
嫌だよ!?
僕はオールマイトみたいになりたいのであって
“ヒトデ◯ジャー”とか“カニバブ◯ー”みたいなのは
目指してないんだ!!
ワンチャン、悪の組織に捕まって
身体を改造させて凶悪な“個性”を手に入れて
それでも正義の心は失わずに
人知れず悪と戦うヒーローとか
ちょっと憧れてはいたけど
自分からダイブできないよ!!その世界は!!
なんとか、
本当にかろうじて、
ジャンピング土下座までかまして
土下座状態でにじりよって
かっちゃん達を説得して
僕は家に帰った
ああ、数時間ぶりの我が家!!
狭い玄関に靴箱用の消臭剤が香る我が家!!
僕は帰って来た!!
鼻腔に抜ける我が家の香りに
ちょっとしたアクセントが主張してくる
きっとお母さんが晩御飯を作ってるんだ
わかる、わかるよ
僕にも晩御飯のメニューがわかる!!
この屋台骨ともいえる香りは鶏だね
チキンカレーか、鶏南蛮か、油淋鶏か・・・
オイルの香りはしないから
炒め物や中華系ではない・・・?
いや、それは早計というものだ
棒々鶏という可能性もあるな
室外と比べて玄関の湿度が高いのも
調理方法が“茹で”あるいは“煮る”の可能性がある
セカンドパヒュームとして
ガーリック、ローリエ、ペッパー、チリ・・・
洋食、あるいは創作料理のかもしれないが
油断はできない
洋風アレンジ中華や中華風アレンジ洋食なんて
変わり種もあるからね
台所から響くトントントンという
小気味の良い音は野菜を切っているにちがいない
控え目にシャキリシャキリと鳴るのは
葉菜系!!間違いないね!!
音のリズムからして
キャベツを千切りにしているのでない・・・!!
お母さんはレタスなら千切る派だし、
ホウレン草や小松菜にしては音が硬めで
空芯菜?パクチョイ?タアサイ?
水菜・・・?水菜なのか?
そうか!!水菜だ!!
考えてみればこの音からして
水菜以外考えられない!!
鶏に水菜とくれば棒々鶏か?
あるいはサラダチキンかもしれないな
お米が炊ける時の僅かに甘い香りが無いから
ご飯ではなくパンかパスタか?
棒々鶏なら中華麺?
中華麺・・・?
茹でた鶏肉、水菜、麺
冷やし中華か!!
咥内で解れる鶏の柔らかさと
そこから滲み出る僅かな塩気と
鶏の臭みを取り除く為の
丁寧な下拵えで生み出される旨味
錦糸卵の儚いような口溶けと
少し多めの砂糖が織り成す優しい甘味
鮮やかな黄色で色合を鮮やかにしつつも
確かな滋養を秘めたコク
柔らかな食材が多い中でキュウリは
パキリと歯応えのアクセントをもたらし
一歩間違えば水っぽくなってしまうが
その清涼さが舌をサッパリとさせて益々食が進む
トマトの赤き彩りは何物にも変えられない
フルーツのような果肉のボリューム
ゼリー状の果肉特有の滑らかな食感
僅かな青臭さと酸味が野菜だと主張する
僕は鶏肉を使った冷やし中華も好きだけど
他の肉類を使った冷やし中華も大好きだ
ハムを使った冷やし中華は
そのチープな味わいは他では得られず
例え高級和牛を代わりに入れたとしても
代役にはなり得ないだろうし
チャーシューを使った冷やし中華は
力強い味と油がサッパリとしたタレに絡み
唯一無二の味わいをもたらすことを知っている
豚しゃぶを使った冷やし中華は
清涼感とコクを淡さと濃厚さを
矛盾している味覚を一緒に教えてくれる
牛プルコギ風冷やし中華は
塩気とコクと風味ががっつけと
箸を止めることを許してはくれない
ただし、お母さんが居ない時に
僕が作った具無し冷やし中華
・・・テメーはダメだ
麺は鹹水臭くて食えたもんじゃないし
ボソボソでコシもない
人口酸味料が薬品臭くて不自然な甘味もある
薬味のゴマも湿気てるのか風味がしない
っと、
完全に胃袋が冷やし中華になってしまった
もう、こうなっては
冷やし中華以外は受け入れられないや
フレンチのフルコースだろうと
中華の満漢全席だろうと
和の粋を極めた懐石料理だろうと
一皿の冷やし中華に劣る
例え豪華絢爛な食事を用意されても
冷やし中華の脇のカラシにすら劣ってしまう
「ただいま~!!」
「
ご飯食べる
あ、
あ、ああ
あア゛あ゛ア゛ア゛アァァァァ
前略、前世の僕へ
この手紙はきっと届かないでしょう
もし、届いたとしても
それはきっと全てが終った後でしょうね
だから、この文は僕の余計な御世話
来世の、貴方の持つ限りない可能性の内の一つ
失敗してしまった僕からの
せめてものメッセージ
貴方は“無個性”であることを悩むでしょう
貴方は“対等”な友達が居なくて悩むでしょう
自分でも八つ当たりだと分かっていても、
心の中では両親を恨んだりもしたでしょう
ごめんなさい
“僕”の世界の“僕”はそうでした
貴方の世界の“僕”がそうとは限らないですよね
もし、貴方が“個性”をもっていたなら
どうか、どうか“無個性”の人を
救ってください
対等に偏見なく接してあげてください
“無個性”だった“僕”は
蔑まれるのも腫れ物に触るように扱われるのも
とても嫌でした
もし、貴方が“無個性”だったなら
残酷なようですが期待をしないでください
諦めてください
努力は尊い物とは言いますが
“僕”の時はダメでした
だから、ヒーローを諦めて
一般的な職業に就いて
それなりの生活を目指してください
少なくとも“僕”よりは幸せになれます
不満はあるかもしれません
将来、あの時ああしてればと
思う時がくるかもしれません
こんな手紙に惑わされたからだと
“僕”を恨むこともあるかもしれません
それでも“僕”よりは幸せなんです
貴方は“僕”の分まで幸せになってください
P.S.
“僕”なら他人に言われたからって
“個性”さえあれば
“超カッコイイヒーロー”になる夢を
“オールマイトみたいなヒーロー”になる夢を
諦めてないでさ、必死にもがくよね?
言っておくけど、“僕”もね
もがいたよ?
そしたらね、
お母さんがオールマイトみたいな
画風の違うゴリマッチョになってたんだ
“僕”は死にたくなったよ
「
あ、起きた・・・出久ったら
Dinnerにサラダチキン出来てるnow」
お・・・母さ・・・ん?
違うな
お母さんは画風が違わないし、
ガチムチアメリカンじゃないし、
寸胴鍋を片手で持ったりしない
晩御飯にサラダチキンとプロテインなんて
タンパクオンリーで低カロリーな
メニューを拵えたりしない
よし、このお母さんを仮に
漢母さんでも僕の母だ
母・・・だよね?多分
これから訊くのは
親への質問としては残酷な質問だ
けど、ケジメなんだ
クレイジーなドクターとか、
サイコな幼なじみとか、
そんなのから解き放たれて
僕が普通に、普通に!!
普通な普通で普通の
“無個性”が“無個性”として“無個性”らしく
平凡で平凡すぎる平凡な日々を送る為の
その儀式なんだ!!
さぁ!!言ってよ!!
僕は無個性だからヒーローになれないって!!
なれてもヒーロー事務所の事務職だって!!
「漢母さ・・・お母さん、
僕はヒーローになれるかなぁ?」
言ってやった!!
さぁ!!否定して!!
息子の夢を否定して!!
諦めろって諭して!!
「
そんなヤワな筋肉で一体なにを守れるの?
毎日パソコンやらノートやらゴソゴソしてるけど
それで頭が良くなると思ってるの?
いいか?脳は鍛えれば鍛えるほど良くなる
つまりは筋肉よ
お母さんは全身筋肉だから
遥かに頭がいいわ」
漢母さん・・・脳まで筋肉になったの!?
筋肉はそこまで万能じゃないんだよ!!
「
とにかくトレーニングよ
科学的トレーニングやらドーピングやら
そんななまっちょろい鍛え方はダメね
男の子なんだから
日に最適15時間は鍛えねないとね」
HEY漢母さん、僕、今、幼稚園児・・・OK?
必要される睡眠時間は9時間30分・・・OK?
控え目に言って死ねと?
「HOHOHO!!安心しなさい
寝ている間もトレーニングよ
ヒーローも社会人もね毎日常に戦いなの、
ご飯食べてようと寝ていようと女抱いてようと
ヴィランも仕事も待ってくれないわ」
漢母さん、
その社会人は何処の修羅の国の社会人ですか
ヒーローだって人間なんだよ
なにもかも忘れて休みたい時だってあるし、
酒に逃げる時もあれば、
涙を流したい時もあるんだよ
「・・・昔はね、私も夢を見てたわ
ヒーローに憧れたり、
こんな仕事に就きたいってね
でもね、就労して気付いた
いいえ悟ったの・・・労働は戦闘よ」
漢母さん、
もう夜の7時違いから
僕、ガ◯ャピンの天気予報見て
寝る準備したいなぁ
「そして、久さんと出会って寿退社
・・・やっと普通の女の子に戻れると
そう思ったけど、私は知ったわ」
明日は晴れかぁ
でも午後から不安定なのは気になるなぁ
ふふふ、ガチ◯ピンさん
相方のムッ◯さんは何処にいるの?
最近はソロ活動が多いよね
ところで、さ
・・・ガチャピンさん、
T◯CのCMが認められてソロが多くなったの
いつだっけ?
G『ええと・・・9年前だね』
ポン◯ッキシリーズの最後の放送があったのは?
G『
もひとつ、質問いいかな?
G『・・・君のような感のいいガキは嫌いだよ』
「家事に育児は戦闘
つまり家とは戦場なのよ
私が帰るべき場所は戦場で・・・
そこには
夫からは
肩を並べて戦うことはなく・・・」
おやすみ
お母さん
僕は寝るからね
お気に入りの爆ちゅー◯題のヌイグルミと寝るんだ
お母さんの話相手に
あばよ!!いい夢みろよ!!
僕は布団に潜りこんだけども
なかなか寝付けずにいた
悩みを抱えている時って
眠って悩みから解放されたり、
夢の中でくらい理想を描きたいのに
大抵は悪夢に魘されるか
そもそも寝付けないよね
まぁ、寝付けない原因は
漢母さんのインパクトが9割なんだけどね
漢母さんで思い出した
僕にはお父さんがいるじゃないか!!
単身赴任が多くて、
小さい頃は家に帰ってきてても
知らないオジさんが家にいるって思ってたけど
今はスゴく頼りになる気がする!!
少なくとも脳ミソまで筋肉な漢母さんより
絶対に頼りになるよ!!
僕は電話を掛けた
お父さんの単身赴任先との時差は-1時間
なら今は仕事は終わってると思うし、
寝るには早い時間だと思う
『もしもし、出久?』
『あっ、お、お父さん!!その、実は!!』
『大丈夫、落ち着いて出久
電話越しだけど話すのも久しぶりだね
急に電話をかけてくるなんて
なにかあったのかい?』
ああ、一般的な受け答えの有り難さよ!!
クレイジーサイコドクターや
全力自己犠牲幼なじみや
脳筋ゴリラマザーとは違う!!
『急に電話を掛けてごめんなさい
その、お父さんと話がしたくて』
『構わないよ出久
いつでも僕は出久のことを思ってるからね
時間帯なんて気にせずに
連絡してきていいんだよ』
ファァァザァァァァ!!
貴方が父でよかった!!
僕はゴリラの子供じゃなかったんだ!!
人の子だ!!
お父さんの子供なんだ!!
でも、受話器から聞こえる声に混じって
うっすらと・・・喧騒?
もしかして、残業があって仕事中だった?
それとも仕事終わりに飲みにいってるとこ?
『
出久、ちょっと待っててね・・・』
『う、うん』
なんだろう銃声みたいのが聴こえるけど、
きっと爆竹かなんかだよね?
単身赴任先では春節なのかな
時々、果物を砕いたような音とか
悲鳴っぽい声とかが聴こえるけど気のせいだよね?
”斧頭会”って聴こえたのも
“舞踏会”の聞き間違えに違いないさ!!
『もしもし、出久?
ごめんね、ちょっとゴミ掃除に手間取ってね』
『だ、大丈夫だよお父さん』
『
それで、どうしたんだい?ブゲラッ
お父さんに出来ることもあるかもしれない
出久の話を聞かせてごらん?アベシッ』
なんか電話先では人が破裂したり、
首がスゴい勢いで回ったりしてそうだけど
そんなことないよね?
僕はお父さんに悩みを打ち明けた
自分が“無個性”であること
ヒーローになりたかったこと
病院の先生がキモかったこと
幼なじみ達が重すぎること
お母さんが漢母さんなこと
お父さんは相槌を打ちながらも
最後まで聞いてくれた
『なるほど、大変だったね
“無個性”だとヒーローは難しいかもしれない』
『・・・お父さん』
『でもね、警察だったり自衛隊、
ヒーローのサポートをする仕事だって
人々を守る立派な仕事なんだよ
日常を支えるのがヒーローなら
そのヒーローを支える仕事なんだ』
『・・・うん』
『けど、僕の息子なら
まぁ満足しないよね?』
『はい?』
『崑崙派蛤蟇功・・・僕が修めてる拳法だけど
出久、やってみないかい?
お父さんはコレで仕事してるし、
出久なら火雲邪神の名を受け継ぐにふさわしい』
『お父さん』
『ん、なんだい?』
『ありえねー。』ブツッ
『もしもし出久!?出久!!』
次の休みの日、
幼稚園なんて学生や社会人からしたら
毎日がホリデーみたいなものだけど
僕だって休みたいんだ
精神年齢が14歳+今世な僕からすれば
中学生~高校生なのに
5歳児と同じ行動を強要されるのは
ある意味で労働以上の苦行だ
それは、ともかく
今日、僕は電車に揺られていた
“無個性”ではヒーローになれない
そう言ってもらうために
医者も、かっちゃんも、漢母さんも、お父さんも
謂わばアマチュア
だから僕は考えたんだ
プロに頼もうと
プロヒーローなら言うハズだ
『プロはいつだって命懸けだよ
とてもじゃないがあ・・・口に出来ないね』
なんて言ってもらえるに違いない!!
僕はその為に頑張った
深層Wedに入り浸り、SNSの情報を精査し、
時にはハッキングし、
時には物理的に侵入して調べあげた
ここが・・・
ここがNo.2ヒーロー“エンデヴァー”の・・・
身長195センチ体重118キロ
8月8日生まれの
子供は4人いて妻と自分の母と暮らしている
そんなプロヒーローの自宅前か
死に戻りしても僕は僕さ
ちょっと・・・
ううん、大分前回とは違う世界だけど、
ヒーローオタクは相変わらずで
前回分も加えて知識があるから
これくらいは知ってて当然だし、
なんなら僕がワンチャンダイブするまでの間の
今の世界からしたら未来の情報すら知ってる
うん、本当に前回と違う点が多いから
役に立つかはわからないけどね
”フレイムヒーロー”エンデヴァー
きっとテレビで見ている感じだと
昔ながらの頑固親父って感じだから
自分の子供にも厳しく指導して
自身の後を継ぐヒーローに成るべく教育とかして
トップヒーロー養成ギプスとか就けたり、
ちゃぶ台ひっくり返したりするんだろうなぁ
「ええい!!焦凍!!なにをしている!!
お前の本気はそんなものではないだろう!!」
ああ、塀の外にも響く“カミナリ”
掲示板の皆が教えてくれた通りの
昭和レトロな頑固親父だ
きっと息子さんの焦凍君?も
プロヒーローになれるさ
クリスマスパーティーを開催しようとして
誰も来なかったり、
プロ入りして数年で身体を壊して引退失踪、
さらに数年後に復活して活躍したり
アメリカに留学したりするだろうなぁ
そんな時代錯誤のスパルタDV親父と
飛雄m・・・じゃなくて焦凍くんなら
クソナードらしい顔をして
クソナードらしい体格の
クソナードらしい“無個性”な僕を
全身全霊ありのままのクソナードを
きっと全否定してくれるに違いない
罵り嘲り、死体撃ちすらするハズだ!!
さぁ!!僕を否定してくr
「焦凍ォォ!!お前は言ったな?
プロのベイ◯レーダーに成ると!!
ならば無改造のトラ◯ピオでも
俺のエンデヴァーボルケーノ・ツー.0.ーC.Rbに
余裕を残して勝ってみせろ!!
お前は俺を越えて行け焦凍ォォ!!」
・・・うん、親子仲良くベイブ◯ードやってるね
アレって古くなるとなんか臭うよね
焦凍君はトライピ◯かぁ
発売当初なら兎も角、
あの趣味の悪い扇風機を使う人がいるなんてね
で、予備はトラ◯グルと・・・
焦凍君は懐古ネタ厨なのかな?
ならガ◯ア使いなよガイ●ドラ◯ーンをトぶよ?
エンデヴァーの方は・・・うわ、ガチ勢だ
改造が凄すぎてもう別物じゃないか
明らかに規格が合わないパーツも・・・
はっ!?もしやオーダーメイドか?
確かに自分の名前をつけるだけのことはあるな
でもベースはドラシ●ルなんですね
「なんだ貴様は!!どこから入った!!」
やべ、気付かれた
なんで僕は
持ってきてたら
『通りすがりのベイブ◯ーダーです』って
言い訳が使えたのに!!
「見つかってなお堂々とした立ち姿、
よほど自分に自信があると見える
・・・いや、当然か
トップヒーローである俺に気づかれずに
ここまで侵入する技量に加えて、その胆力
貴様・・・いや、君
俺の弟子になる気はないか?」
コマ回し過ぎて
頭が回らなくなったんですかエンデヴァー
「いいや!!なにも言わんでもいい!!
万年No2のヒーローが何を言うかと
そう思われるのも当然だ」
違う、エンデヴァー違うよソレは・・・
事件解決数史上最多でしょうアナタは
「俺はオールマイトを越える為、
日々研鑽し、多くのヴィランを倒してきた
だが、心の中では気付いてたのだ
俺ではヤツを越えられないと・・・
そして、夢を息子に押し付けた
冷たんとの愛し子達に
自らの野望を押し付けたのだ!!
・・・失望しただろう?
コンプレックスを子供達に押し付ける
そんな男がNo.2ヒーローなんだとね」
語るのは家族で存分に語ってください
お邪魔虫のナードは帰るので
あと、いい歳して“たん”は気持ち悪いです
「どれだけ努力しても報われないこともある」
・・・それは!?
僕が前世でいやほど味わったものだ
頑張っても報われず、
頑張るほどに周囲からは冷やかに見られ
頑張った成果は“天才”に蹴散らされ
エンデヴァー、アナタもそうだったんですね!!
「今の時勢、なりたい職業No.1はヒーローだ
きっと
ヒーローになりたがるだろう
その時にパパみたいなヒーローになりたい
そう言われたかったが俺には無理だった
なら、せめてウチの子が
No.1ヒーローになった時に
オールマイトと比べられて
“オールマイトだったら◯◯だった”、
“オールマイトなら~”などと言われぬように
“さすがエンデヴァーのご子息だ!!”
“No.2の子供達・・・火の意志を継ぐ者か”
・・・なんて言われるように
トレーニングをしてきた・・・が!!
そこに君は来た!!」
エンデヴァー、僕はいいんで
息子さんに構ってください
ト◯イピオのアタックリングで
竹トンボみたいに飛ばして遊んでますよ
それと
ハイパーヨー◯ーやクラッ◯ュギアも
悪くないと僕は思うんですが
「俺は子供にプロヒーローになって欲しかった
俺と同じヒーローになって、
そして俺を越えていって欲しかった
しかし、1人の親としては こう思うのだ
子供達には自分の夢を叶えて欲しい
なりたい自分になっていいのだ・・・とね」
・・・・・・うん、
それよりも“今”の息子さん達を見てください
息子さん達をフルボッコにしてますよ?
音速10連打かましたり、
音の壁を越えた世界を見せ付けてますよ?
「ヒーローは世間で思われているより
よっぽど過酷な職業であり生き方だ
“なってほしい”・・・なんて言葉で
目指させていいモノではないのだ
心から“なりたい”本人がそう思い、
万人に1人の才能を持った者が
途方もない努力をして、
それでようやくなれるモノなのだ」
あの、そんなことより
息子さん達を見てください
お母さんのベイブ◯ードが
なぜか凍気を纏って強襲していて、
いわゆる”少年誌破れ”になってますよ?
「そこで君だ!!
ヒーローになる夢があり、
そして才能が眠っていて、
なおかつ努力家の君ならば!!
俺の跡目を継ぐにふさわしい!!」
僕の将来よりも
息子さん達を心配してください
そして奥さんの手綱を放さないでください
奥さん悪役三段高笑いして去っていきましたし、
師匠顔しておじいちゃんおばちゃんが出てきましたよ
「さぁ!!この手を取れ!!
君はヒーローになれる!!」
お気持ちだけは受け取りますけど
それでも
※緑谷 出久(一周目)の設定
日常的なイジメと
“無個性”であることで
夢を見れない現実を憂いて
屋上からワンチャンダイブした
※緑谷 出久(2周目)の設定
皆がヒーローに推してくる
どんな手を使ってもヒーローにさせる
そう、言わんばかりに・・・
もう“無個性”らしい生活をしたい
※ドクター(偽)の設定
悪役にしか見えない医者
もし手術を受けていたなら、
“個性”を越えた“超常の力”を得ていた
そして現代文明を滅ぼそうとするネオ地球人と
学生ながらに戦う日々が訪れていただろう
※爆豪(偽)の設定
熱血友情マン
もし移植を受けていたなら
手術して入院中に爆豪含め幼なじみ達は
ヴィランによる襲撃を受けて死亡
遺品の中から出久宛の手紙があり、
『お前はヒーローになれ!!』の文字が・・・
幼なじみ達の“チカラ”を両手に
ヴィランを殺す闇のヒーローになっていた
※ツバサくん(偽)の設定
フライングピッグマン
※漢母さん(肉)の設定
ゴリマッチョ
※お父さん(偽)の設定
拳法の達人
単身赴任中に出世して
斧頭会のボスになったらしい
※エンデヴァー(偽)の設定
家族大好きマン
イッテツバスターは
嫁と娘が作った料理がもったいないのでしない
※焦凍(偽)の設定
謎の男から特殊な独楽を託された幼稚園児
日本一決定戦に出場すべく修行中
※謎の男の設定
クリスマスの深夜に現れた謎の男
覆面にサングラスをつけており
ヒゲが燃え盛っていたという
ラッピングされた特殊な独楽を渡してきた
※燈矢(偽)&夏雄(偽)の設定
世界一のビーダーを目指す兄弟
クールな炎熱系と熱血な氷寒系コンビでもある
※冬美(偽)の設定
お父さんからクリスマスにもらったので
遊んでいる
本当は女の子らしい物がほしかった
※謎の仮面X(母)の設定
実力がついて慢心していた兄弟の前に
突如現れた仮面をつけた謎の女性
その圧倒的な力で兄弟達の“相棒”を破壊した
※轟のじいちゃんばぁちゃん(偽)の設定
傷付いた兄弟達を治療し、
新たな“相棒”を授けて修行をつけた
昔は世界チャンピオンだったらしい