見えないものだから仕方がない、とは言え辛さに変わり無し。
裏も表も、結局は分からない。
さて、どうするか。
キャンプファイアーの辺り触れられませんでしたー。
光の都合で窓に映る、大喜くんの横顔。外を見るふりをしながら、私はそれを見詰めている。
どこか憂いを湛えたような、なにも考えてないような。私の様子を伺っているようにも見えるけど、その真意は分からない。
いつだってそうだ、近くにいるのに何も分からない。
――彼氏じゃないです、か。
おじいさんの話に適当な相槌を打ちつつ、大喜くんの狼狽した顔を思い出す。照れていたのか、はたまた何か他の理由か。
もしこれが私じゃなくて蝶野さんだったら、どうしていたんだろうか。やっぱりあんな風に、否定したのかな。それとも……。
そんな事を考えながら、車に揺られ。私たちはホテルへと戻っていく。
とりあえずは練習後勝手にランニングに出た事を先生に謝り、そして。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
短く挨拶を交わしあい、お互いそれぞれに部屋へと向かう。もう大分遅い、お喋りする時間はない。それに渚たちに心配かけないよう、早く部屋へ戻ろう。
……そうしなければいけないと、分かっているんだけど。
少し歩いた所で私は立ち止まり、後ろを振り返ってしまった。
そこに見えたのは、大喜くんの背中。こちらを向くこともなく、ただ行くべき場所へと向かっている。
大喜くんはいつだって、そういう子だ。私と違って迷いに足を取られて立ち止まったりしない、真っ直ぐな子。
やっぱり私は大喜くんを、
一頻り渚たちに怒られ、それから急いでお風呂に浸かり。どうにか落ち着く頃には、消灯時間も迫っていた。いそいそと床に付いても、頭の奥にはモヤモヤがこびりついている。
大喜くんの言葉の、そして表情の意味を考えてしまうから。
ランニングに出た先に偶々私たちがいただけ、と言うのは実際違うようだ。先に戻った女バスメンバーが大喜くんに私の事を話して、それから宿を出たらしいから。私を心配して来てくれた、とかなんだろうか。でも大喜くんは、そう言わなかった。彼氏扱いも否定した。
それはつまり、――私に
だからこその、あの横顔。何か思い悩む、あの表情。その真意は分からないけれど、そこから見えてくる事はある。
大喜くんは蝶野さんに告白された、それは事実。蝶野さん本人が報告してくれたんだから、間違いない。男の子の考え方なんか知らないし私は告白された事なんか無いけど、でも。それでも、告白を受けるというのが非常に大きな事なのは理解できる。私は先輩として同居人として、そうなっている二人を見守らなければならない立場にある。
だから今私が抱いている気持ちは、とても厄介だ。
身を退こうと思えば退ける、ただそれは――。
「嫌だ、……な」
ワガママと言われようが、私はこの想いを棄てたくない。初めて抱いた恋心を、棄てられない。
例えこの先に待つのが茨道であろうとも。
眠気を感じながらも、思考は纏まらないまま夜が更けていく。
もし、もしも。万に一つも無いだろうけど、大喜くんの気持ちが私に向いていたならば。私の想いは報われるけど、でも蝶野さんを裏切ることになる。
でもこのまま二人を見守っているだけだと、私が持たない。
――結局は、大喜くんの気持ち次第か。蝶野さんか、それとも……。
とは言え億が一
由紀子さんたちにも、色々と言わなきゃいけないだろうかな。黙ったままでいるわけにもいかないか。
まったく、どうしたものか……な。
うとうとと意識が睡魔に飲み込まれる、その刹那。脳裏を過ったのは、大喜くんの笑顔だった。