何もしてないのにヒロインが壊れた! 作:未練
「明日の15時に教会の前に集合ね」
ミレンを脅迫して付き合った3日後、夜に周りに誰も居ない事を確認して、教会の裏にミレンを呼び出した。
「あ、あのバーバラさん。どうして急に俺に告白を?」
「言ったでしょ、あなたの事がずっと前から好きでしたって」
ジンお姉ちゃんの嫉妬する姿が見たいからとは言えない。
一か八かでジンお姉ちゃんにバラす可能性がある。
「俺のどこら辺が好きなんですか?」
...何も思いつかない。
「......顔ね、顔が好みだったから。一目惚れよ」
「俺ってイケメンだったのか......」
正直、普通の顔だ。ここは勘違いさせておこう。
「明日は私の彼氏としてデートして貰うわ」
モンドの人達に私達が付き合っている姿を認知させる。
主にジンお姉ちゃんにだが。
教会の前でミレンを待つ。
モンドのアイドルの仮面を被る。
「ミレンさん!おはよう!今日はよろしくね!」
「お、おう。任せてくれ」
今だけはアイドルのバーバラで対応してあげる。
「バーバラ様!?その男は?」
何処からともなくアルバートが現れた。
なんでこいつはいつも私が居るところに出現するんだ。
正直鬱陶しい。
「この人は...私の大事な人...かな」
ミレンと腕を組み、少し顔を赤らめる。
「あっ......あば...あばばばば」
アルバートが泡を吹いて倒れた。
「お、おい。これ大丈夫か?」
「いいから!ミレンさん行こ!」
私達はモンドの服屋に来て、服の試着をしていた。
「似合ってる!かわいい!よっ!モンドのアイドル!」
褒め慣れている私でもこうも褒められれば気分が良くなる。
同じ服ばかりじゃなく少しは新しい服も買っておいた方がいいかな。
服の値段を確認する、2万モラだった。
「......高い」
アイドルはモラ稼ぎ目的でやっている訳ではないので私にはあまりモラの余裕がない。
「この服が欲しいのか?すいません、この服をください」
「えっ...悪いよ」
「そう思うなら、今度俺にその服を着ている所を見せてくれるだけでいいよ」
こいつ...私を落とそうとしてるの?
私はそんなに安い女じゃない。
まぁ貰える物は貰っておこう。
2人でモンドを歩く。少し喉が乾いてきた。
「少し喉が乾いてきたな。ちょっと待っててくれ」
ミレンが2人分の飲み物を買ってきた。
少しは気が利くようだ。
できるだけモンドの人達に私たちの姿を見せようと歩き回ったせいで少し疲れた。
「少しお腹が空いてきたな。キャッツテールに何か食べに行かないか?」
タイミングがばっちりだ。ちょうどお腹が空いてきた所だったのでちょうど良かった。
「マーガレットさん、予約していた席は空いていますか?」
...予約!?デートするって言ったの昨日の夜だよね!?
「時間ぴったりね。あそこの席は人気だからなかなか取れないのよ?」
「ありがとうございます」
私達が案内されたのは、ちょっとした壁があり周りからは私達が見えないようになっていた。
「バーバラは人気者だからな。周りに見られながらだとゆっくり食事もできないと思ったんだが...余計な気遣いだったか?」
なんかこの人デート慣れしてない?
「いや...えっと...ありがとう」
「お飲み物は何にしますか?」
やはりここは2人でお酒を飲まないとね。酒場なんだし、なんか大人な感じだ。
「じゃあ...蒲公英酒...をください」
ちょっと良い雰囲気かもしれない。
「オレンジジュースください」
彼の一言で雰囲気が一気に台無しになった。
何故オレンジジュースなのか聞いてみた。
凄い覚悟が決まった目でミレンさんは言った。
「俺はこれから一生、何があっても酒は飲まないって決めたんだ」
教会の前で医術の本を読む。
別に教会の前で読む必要はない。自分の部屋で読めばいい。
それでももしかしたらと何も用事がない時は教会の前にいる。
「モナの...お尻...柔らかい」
「意識を強く保ってください!もう少しで教会に着きますから!」
ミレンさんの声がする。
本を閉じる。喋る事ができている、今回は軽症のようだ。
ミレンさんがまた女の子におんぶされて私の元にやって来た。
ミレンさんはよく人を助ける為に死んでもおかしくない大怪我を負う。
「オズを助けて!息が、息がおかしいの!」
「ひゅー.............ひゅー......」
肺に穴が開いていた。
全身の骨が粉々になっていた。
なんで生きているのか分からない状態だった。
必死に治療して、何とか一命を取り留めた。
身体中の運動神経に後遺症が残ってしまった。
もうまともに動く事はできないと思った。
「ありがとう、もう大丈夫だ。身体は技術で何とか動かせる」
何を言ってるか分からなかったが彼は何事もなかったように動き出した。
「ミレンさんを助けて!身体中から血が出てるの!」
「..................」
身体中の筋肉がズタボロに引き裂かれていた。
どうして手足が千切れてないのか不思議な程だった。
内臓がいくつか潰れていた。
神の目を医術に応用した私じゃなかったら彼は死んでいた。
もちろん、もう戦うなとそれで死んでしまったらどうするの?と言った。
「それで死んだら......まぁしょうがないんじゃないか?」
頭がおかしい、完全に狂っている。
見た目は一見普通に見えるが彼の身体はボロボロだ。
まともに戦える身体じゃない。
死ぬのが怖くないのだろうか?
明日、彼が戦って死んだと言われても驚けるかどうか分からない程だ。
彼は私が治療しないと生きていけない。
私がいないと生きていけない。
「彼を助けてください!左足が!」
「よかった...手足の筋肉が少し裂けて、左足が潰れる程度で済んで」
どんなに彼が傷付いていても死んでいなければ必ず治してみせる。
「全然よくないですよ!早く治療してください!」
彼に私自身も狂わされていた。
昼、モンド城の広場でジンお姉ちゃんを見つけた。
よし、観察しよう。
バレないように後をつける。
ジンお姉ちゃんが向かったのはミレンさんの家だ。
ジンお姉ちゃんが物陰に隠れてミレンさんの家の前を行ったり来たりしている変な人を観察している。
あれは...ミレンさんに助けられた人だ。
確かモナさんだったかな?何をしているんだろう。
30分程、観察しているがまったくミレンさんの家の前から動かない。
モナさんを観察しているジンお姉ちゃんを私が観察している。
ミレンさんが家から出てきた。
「ん?...モナか、おはよう」
「おはようございます、運命ですね。たまたま散歩をしていた所たまたま、あなたの家を通りかかった瞬間あなたが出てくるなんて」
ずっと出待ちしてたよね!?
「今から人に会いにいくんだけど...そうだ、モナってローレンスって知ってる?」
そういえば今日はミレンさんが週に一回どこかに出掛ける日だ。
「ローレンス?...あぁ私はモンド人ではないのでそんな事気にしませんよ」
モンド中で嫌われている一族の名だ。
「よし!なら一緒に会いにいかないか?...エウルアって言うちょっと気難しい奴なんだけど根はいい奴なんだ」
「......女ですか?」
私達は付き合っている事になっている。
私が知らない所で女の子と会う。
これは浮気じゃないの?
「女の子だけど、それがどうかしたか?」
「いえ...何でもありません」
2人の後を尾行するジンお姉ちゃんを尾行する。
少し歩き、風たちの地の大きな木の下、七天神像の前でそれは起こった。
「ミレンのストーカーめ!ここで捕まえてやる!」
「は!?ジ、ジン?なんでここに」
ここで行かなければ出るタイミングを失いそうだ。よし、行こう。
「バーバラ、堂々登場〜」
「バ、バーバラ!?なんでここに!?」
ジンお姉ちゃんが驚いてる、かわいい。
「あっ......あばば...あばばばば」
ミレンさんが泡を吹いて現実から逃げようとする。
「.....どういうこと?」
たぶん彼女がエウルアさんだろう。ミレンさんの頭を掴み強制的に意識を覚醒させる。
ミレンさんの目から光が消えた。
「いるのよね〜ちょっとミレンに優しくされただけで自分の事が好きなんじゃないかと勘違いする人」
「それはお前だろう!」
「あ〜占いの結果が出ました。あなた達、彼とこれ以上喋ると明日には死にますね」
「流石に無理がありすぎないかな!」
「ノーエールー!助けてくれぇぇぇ!」