ルミナスウィッチーズ感動の最終回
公式HP第12話予告を読んで、私が「こう云うのが見たいな」と勝手に想像したクライマックス『モフィの帰還』を文章に起こしました。どうぞ!
ープロローグー
(ガリア 凱旋門特設ステージ)
ガリアの西の空に日が沈んでゆく。
ネウロイの支配下から解放されたとはいえ、今は見渡す限りの廃墟に囲まれた凱旋門。
その屋上に設置された特設ステージで仲間と共にジニーは歌う。
またみんなと一緒に歌を歌うことが出来る喜びを今、全身に感じる。
しかしそのステージの中、とても小さくではあるが、でもいつまでも心の中にくすぶり続けるモフィのことを思うのだった。
ジニーは衣装の胸のボタンに目をやる。
けれども、いのりがそこに挿してくれたモフィの羽は、もう今の自分には見えない。
『モフィ、、、』
ジニーの心の奥底に、小さな“何か”が燈る。
ー星空の出会いー
(スコットランドの星空の下 ガリア陥落のころ)
『あっ、、、』
少女が見上げた星空に、
天から地へ、大きく一筋の星が落ちた。
ジニーがモフィと初めて出会ったのは、満天の星空輝くスコットランドの大地だった。
家路を歩くジニーが上空から揺らめきながら降りてくる小さな青い光の玉を見つけたとき、彼女は何も考えず走り出していた。
それは運命だったのかもしれない。
足元を塞ぐ低木の藪も、傷つき血の滲む自分の脚も気にもせずジニーは奔った。
今、星空から落ちてくるその弱々しい光を目指して。
そして、両手に受取ったその幼き雛鳥を見たとき、ジニーは、この星空からの贈り物を大切に育てていこう、、、そう思ったのだった。
ジニーの世話の甲斐もあり、モフィは順調に成長していった。とにかく、パンでも豆でも何でもよく食べた。そして、両手の平にちょうど収まるぐらいの大きさになったとき、ジニーの頭の上が彼の特等席となった。
ある夏の日の夜、ジニーは頭にモフィを乗せ、いつものように星空を見に丘に登った。
天にきらめく幾千もの星々にモフィも感じる所があったのだろうか、空を見上げ耳を傾けている。
そんなモフィの様子にジニーも何だが満足げだ。
しかし暫くして、ジニーは自分の前髪がうっすら青白く薄く発光しているのに気付いた。
『ん?何だろう、、、』
彼女は視線を上に動かした。
「えっ!?」
モフィが光っていた。その耳には見たことのない光のヘッドホンが掛かっている。
遥か彼方の夜空を見つめたまま青白く光る彼の姿は、まるで重要な何かを聞き逃すまいと耳をそばだてているかのようにジニーには見えた。
「モフィ、お星さまとお話しているの?」
やがて、それを聞き終えたのだろうか、モフィはいつもの彼の声とは思えないような澄んだ声で啼いた。
「クゥーーワァーーーーーーーーーッ!!」
星々にも届くかという、一声だった。
それは歓喜のひと鳴きだったろうか、
それとも、彼の決意のそれだったのだろうか?
そしてモフィは優しくジニーの頭を嘴でつついた、、、
(ヴァン、、、)
モフィの嘴からジニーへ光りは静かに伝搬し、次の瞬間、
光に包まれた彼女の頭とお尻から、ぶわんっとモフィの翼と尾羽が生えた。
「・・・」
あまりの出来ごとに言葉にならないジニー。
しかし彼女は今、不思議な感覚の中にいた。
『モフィは、、、私の中に居るの?』
天を仰ぐジニー、、、
(広角、画面いっぱいの星空の画)
ジニーの耳に掛かるモフィーのヘッドホンがひときわ輝く。
『ああっ!?、、、』
そして空から幾つもの星々が降ってきた。
彼女はそう感じたかもしれない。
先ほどまでの音の無い静寂の世界であった夜空は今、
さまざまな歌や、人の声、人々の営みで溢れていた。
驚くジニー、、、
『星空はこんなにも音で溢れている。』
スコットランドの夜の大地でモフィと共に、
そう思うジニーだった。
ーそして空はつづいてくー
モフィと暮らす毎日は楽しかった。
でも、ジニーはモフィを仲間の元に返してやりたい。その想いはずっと変わらなかった。
それは、まだ弱く小さな雛鳥であったモフィを保護し育てたことで、本人も気づかぬうちにジニーの中に芽生えたある種、母性のようなものだったのかもしれない。
ロンドンに出て、ルミナスに入った。
みんなと歌い、空飛ぶ日々は楽しかった。
でも一番の目的は、モフィの仲間の手掛かりを得られると考えたからだった。
モフィが仲間の元へ帰ることを、
モフィが本当の幸せを手に入れることをずっと願ってた。
そして、川面に映る茜色の夕暮れがきれいな秋の日、
その願いは叶った。
(ガリア凱旋門のステージ)
ジニーは、目の前に広がる暗い青緑色の夜空を見つめる。
モフィを群れの仲間に返したとき、私は目的を果たしたと確かに思った。
そして、モフィが本当の幸せを、仲間たちと生きていくことを喜んだ。
「でも、、、」
嗚咽にも似た声がジニーの震える唇からもれた。
初めて出会ったその日から別れまでの日々の思い出に自然と胸が熱くなり、ジニーの目に熱いものがこみ上がる。
それが彼のためと思って仲間の元へ返したモフィが、自分にとってもかけがえのない存在だったことに気づくのであった。
「モフィ、、、ごめんね、でもやっぱり私、君ともっと、、、」
『もっとモフィと飛んでいたい!』
自分の本当の気持に気づき、涙しながらも優しく穏やかな笑みをたたえて空を見上げるジニー。
ジニーの頬を伝って流れ落ちた一筋の涙が、今はもう見えない、胸のモフィの羽に当たったその瞬間、そこから上空に一筋の光が伸びる(!!?)
(ギュゥンッ!)
、、、、、、、、、、、、そして、その天の彼方からゆらゆらと降りてくる一つの小さな青い光の玉、、、
「あっ」
そう、かつて彼女がスコットランドの星空の下出会ったあの光の玉のように。
驚き目を見開くジニーのもとに、揺らめきながら、でもしっかりとジニーを目指し降りてくる青い光、、、
その時、ジニーの脳裏に映った光景は何であったのだろう?
幼き日、あの星空の下見た最初の青い光か、それとも、、、
別れの日、彼という存在がもう自分には見えなくなったことを知った、夕陽に赤くのみ染まる自分の掌か。
ジニーが震える両の掌でそれを掬い受けたその瞬間、光は弾け、
そして、眩い輝きとともに彼女の前にそれは現れた。
仲間の精霊達の長へと成長し、白く輝く美しい翼を広げたオオハクチョウの精として、、、
「クワァーッ!」
「モフィ!!」
スコットランドの大地で偶然に出会い、一度は別れた二人ではあったが、やはり再び、今度は自らの意思でジニーを選んだモフィ。
両腕を広げ、涙と笑みとをたたえるジニー。
「また、私を選んでくれるの?」
互いに両手を捧げるジニーとモフィ、二人の姿が重なり一つの大きな光に包まれてゆく、、、
『今はもう解る。』
ジニーは思った。
声にせずともそこには互いの、声が、想いが溢れていた。
あの日見上げた、スコットランドの満天の星空のように。
・・・・・・・・・・・・
その夜、
ジニーとモフィ、ルミナスのメンバー達の歌声が、各地のナイトウィッチの手を経て世界中に広がっていった。
そしてそれは、光り輝く明日の空に続いてゆく。
ーおわりー