これはとある男のお仕事のお話

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初投稿です
至らない部分もありますが生温い目で見ていってください


とある男のお仕事

「いらっしゃい」

 

暗闇の中で響く声に急いで振り返る。

視線の先には暗闇ばかりが映る。しかし、声に遅れて灯りがつく。どうやら声の主が蝋燭に火を点けたようだ。

声の主を見る。男だ。容姿は端的に言って平凡である。髪は黒く、顔は整っているが飛び抜けて優れているわけではない。身長は大体170cm程だろうか、光源が蝋燭のみで分かりづらい。太っておらず、極端に痩せてもいない、至って健康的な身体をしている。

 

───事前に聞いていた情報と一致している。

 

「どうしたボーッとして。早く座れよ」

 

また声を掛けられる。相手は既に椅子に腰掛け、正面に置いてある椅子を指差している。

 

「あ、あぁ………」

 

言われるがままに椅子に腰掛ける。少し雰囲気に気圧され臆してしまったが、屈せずに用件を終わらせるために早速本題に入る。

 

「な、なぁ……ここにくれば、こ……()()()()()()ってのは本当か?」

 

声が震えてしまう。変になっていないだろうか。自分が放った言葉も馬鹿みたいなものになってしまっている気がする。

相手の返答を待つ。答えはすぐに返ってきた。

 

「あぁ、その通りだ。生きるのに疲れた奴、病気や寿命で長く生きられなくなった奴、周りの全てに絶望した奴。そういう()()()()()を殺してやるのが俺で、その自殺志願者がお前って訳」

 

情報通りだ。自殺志願者を殺すことを生業にしている男がこいつだ。探し当てるのに時間が掛かったがようやく見つけたのだ。あとは───

 

「───なんだが」

 

空気が、変わった。

 

「お前……自殺志願者(俺の客)じゃあねぇな」

 

「え」

 

嫌な汗が頬を伝う。

 

「死にたい奴ってのはそれ相応のニオイがすんだよ」

 

いつでも動けるように脚に力を込める。相手にバレないよう慎重に。

 

「お前からはそんなニオイはしねぇ。ついでに目だって死にたい奴特有の濁った目じゃねぇ、今を生きようとする人間の目だ」

 

「クソッ!!」

 

脱兎の如く駆ける。十分に距離をとれたところで振り返り名乗りをあげる。

 

「この(ヴィラン)めっ!!いつから気づいていたか知らんが、お前の悪行もそこまでだ!!俺は───」

 

ふと、相手を見れば不思議な光景が目に映った。

霧が出たとか、暗闇から急に光溢れる空間になったとかそういうのではなく。

 

「オ、おレ……は───」

 

目に映る光景が、真っ逆さまになって───

 

 

──────────────────────────

 

 

 

「はぁ………」

 

溜息が溢れる。

とうとうこの拠点もヒーローに見つかった。

 

「案外、気に入ってたんだがなぁ……」

 

だが、見つかったならさっさとこの拠点を捨てなければならない。

目玉を口の中に放り込み、舌で転がす。独特の甘みを味わいながら、未練タラタラに拠点にしていた廃墟を眺める。

森の中の奥深くに造られた何かしらの研究所。過去に何が研究されていたかに興味はない。しかし、人目につかないよう建てられた研究所(それ)は隠れ潜むのにひどく役に立った。

 

「まぁ、このままここにいてもまた面倒なのが来るだけか」

 

食糧も手に入った。しばらく仕事をしないでも生きていける。

袋に詰めた食糧を背負い、廃墟を出る。

 

「ほとぼりが冷めるまで大人しくしときますかね」

 

そう言うと、森のさらに奥を目指し歩いていく。

空を見上げれば、都会ではもう見ることの叶わない満点の星空が広がっていた。

 

「案外、訳わかんないとこでも生きていけるんだなぁ」

 

星空を見ながら呟けば、その言葉は周りの木々に吸い込まれた。

以前暮らしていた都市では見られなかった星空は、郷愁の念を和らげてくれた。

 

「もう戻れるか知らんし、戻る気もないが……」

 

───寂しく感じるんだな

 

最後の言葉は音にならず、口の中で消えていった。

 

 

 

 

 

───日向(ひなた) 23歳

親から名を授けられず、最初に目についた表札を己の名として定めた男は、人知れず故郷から消え、今は自殺志願者を食糧とする───

 

───喰種(グール)である。

 




勢いで作ったせいかヒロアカ要素がほんの少ししか無い駄作になってしまいましたが楽しんでいただけたら幸いです。

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