笹弥子風味前提
▼笹塚さん、ぐだ子と顔を合わせたら、妹と弥子のこと、どちらの影を重ねるのかな……などとふと
▼本当は英霊の弥子とネウロ(龍馬とお竜さん的な)を先に書くつもりだったんだけど、ネタが浮かばなかったのでこちらを先に書きました この2人(3人)が顔を合わせたら修羅場だよ……
pixivより転載

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【FGO×ネウロ】カルデアに笹塚刑事(アラヤの守護者)が実装されたようです

 最初、アサシンのエミヤに似ているな、と思った。

「……アサシン、笹塚衛士だ。君が俺のマスターか」

 煙草の匂いが漂ってくる。召喚サークルの上に立った彼は、草臥れたスーツの上にコートを羽織っていた。肌は褐色ではないが、髪は白。全体として、影のような印象。紫煙で覆われているような――そんな彼は、私を見て――少しだけ、目を瞬いた。

「? えっと、確かに私がマスターです。どうかしましたか」

「あぁいや……」

 笹塚と名乗ったサーヴァントは、無表情のまま頭を振った。

「妹と、妹みたいに思っていた子に少し似ているな、と思っただけだ」

 それ以来、彼はそのことを口にしない。

 

「笹塚とは仲良くやっているか」

 アーチャーのエミヤがそんなことを言いだしたのは、ある日の食堂。昼食を食べ終えて盆を下げに来たときのことだ。エミヤはカウンター越しに、声を潜めていた。私が目を瞬いていると、アーチャーはやや気まずそうに言う。あぁ、その仕草は召喚したときの彼に似ていた。

「あぁ、君なら仲良くやれているだろうがね。ただ彼は恐らく私と同じだから」

「――アラヤの守護者、ってこと?」

「恐らくね」

 短く答えるアーチャーに、私は納得するものがある。

 カルデアで人理を修復するにあたり、歴史はそれなりに勉強したつもりだ。しかし「笹塚衛士」なる人物は知らない。そしてそれはアーチャーも同じだ。ここには恐らく歴史に名を残さなかったのだろうサーヴァントがそこそこいるけれども――

「彼からは、無数の血の匂いがするからね」

 アーチャーはそう言って、自分の掌を見ていた。

 ――アーチャーの記憶を、夢で見たことがある。あまりに美しい理想(ゆめ)を追ったがゆえの最期。

 彼もその類だろうか。私はそう思いながら「ご馳走様。今日も美味しかったよ」と告げた。

 

 恐らく、笹塚衛士のものだろう夢を見たのはその日の晩のことだ。

「――っ……!」

 特異点を超えて来て、血や肉には耐性がついたと思っていた。けれどそれは驕りだったと気付かされる夢だった。

 恐らく現代に限りなく近い日本。優秀で前途洋々たる大学生の青年の身に降りかかった、悲劇と言うには温い惨劇。夢だというのに血の臭気で吐き気を催した。

 そこからは暗い道筋。海外に渡った先で、恐らくアラヤと契約した。すべては情報を得るために。

 帰国後は彼はごく普通の刑事として振る舞っていた。同僚にも恵まれていた。ある事件で相棒はとんでもない連続殺人犯と知ったが。そして、ひとりの少女との出逢い――

 それから復讐相手を見つけて、追い詰めて。――届かず。

 駆けつけて来た少女に、彼は、最期に笑ったのだった。

 

「立香ちゃん、どうしたんだ」

 起きたとき。よりにもよって最初に顔を合わせたのは笹塚だった。いつも通りのスーツにコート姿で、相変わらず紫煙を燻らせている。彼に、私は目を合わせられなかった。

 今にも泣きそうだったと思う。

 それを察知したのか、彼は顔を覗き込んできた。

「具合でも悪いのか?」

 それに、ただ私は頭を振った。

 彼は優しい人だった。優しさを煙で覆って復讐に走らざるを得なかった。

 それを止めることができなかった、あの少女が。彼の最期の笑顔を見て深く深く傷付いたことが、わかってしまったからだった。

 私はこれまでの旅で、その痛みがよくわかったから。

 

 その少女、と彼女の助手が召喚されたのはその日のことだ。

 

 

 

 

 

End.


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