お待たせしました。
こっそり「タイタンフォーム」発言を紫のクウガと変えました。
ヘリキャリアは正しく戦場の有様だ。
至る所で金属が軋む音が鳴り、時に上がる銃声はまさしく渦中にあるという認識を絶えず俺に与えてくる。
久々の、ともすれば10年前後は感じていなかった空気の中通路を走っていると、目の前に銃で武装した五人組を見つけた。
同時に相手もこちらを視認したんだろう、全く同じ言葉が同時に出る。
「「
瞬間、統率された兵士らがライフルを構え、こちらに向かって発砲した。
フルオートで放たれたそれは、かつて喰らった拳銃弾よりは流石に威力が高かったが、それでもこの身体に傷一つつける事はできない。
体感にして、ちょっと弱いしっぺくらいだろうか。
そんな事を考えながら、人外の膂力を存分に速度で敵に近づく。
激突。
純粋なタックル、人間相手なので威力は控えめ。
前三人が仰向けに倒れ込む。
俺は即座に銃を奪い取り、そのまま圧し折った。
「
後方にいた為逃れる事が出来た二人は銃を構えたまま後ろに下がり、銃を壊された三人は即座にベルトからナイフを抜き出す。
よりも速く。
「すっとろいぞ」
3人の
そのまま奥の二人も制圧しに掛かるが、その手に持つ物に思わず驚愕とする。
「
「そこまでやるか!?」
背中に担いでるのは判っていたが、まさかこんな閉鎖空間で撃つものとは思ってもいなかった。
もう既に担ぎ込み、すぐにでも発射されるだろう。
何せここは一本道の通路、狙わなくても当たる。
瞬間、意識を
要は心の持ち様であり、その変化は一瞬で済まされた。
姿が変わった「青のクウガ」は即座に距離を詰め、そのままラリアットの様に2人を腕で吹き飛ばし、意識を刈り取った。
直前で速度は殺した、死にはしないだろう。
制圧を確認次第、俺は直ぐにフューリー長官へ連絡する。
「長官、5名を無力化」
『確認した』
「奴等、とんでも無いぞ」
『そこまで手こずる相手だったのか?』
「いや、至って普通の人間だったよ」
まあ統率の取れた先鋭ではあったと思うが。
「この狭い通路でロケットランチャーを使おうとしてた」
『なんだと?』
「奴等、俺と刺し違えてでも…………いや、間違いなく自分の犠牲を前提に俺を殺りにきていた」
それは最早正気とか、狂気とかじゃ無い。
沙汰の外だ。
『マインドコントロールを受けていたのだろう』
「いや、そんな簡単な話じゃなさそうだ」
長官の言葉に俺は否と返すと、気絶した武装勢力の一人のポケットを漁り、一枚の写真を手に取る。
そこには2000年の、未確認生命体と戦う
「こいつら、最初から俺を狙っていた」
『何故?』
「解らない。だが2000年の俺の写真を持っている、ロキとは別口の可能性は?」
『ロキと会話したが、奴が君を知ったのはあの夜が初めてだろう、だとすると
「それも言えないのだろう?」
『残念ながらな。だが一言だけ告げるのならば、奴等は嘗てキャプテン・アメリカと戦った』
ああ成程。
頭の中に鉄十字が思い浮かぶ。
「それだけでも予想はつくさ。それより長官、現在の状況は?」
『管制も襲撃を受けて現在迎撃中だ。だがそれよりも拙い事がある』
「何があった?」
『ハルクだ。現在ソーと交戦中だが、このままだとヘリキャリアの被害が無視できなくなる』
「了解、直ぐ向かう」
『加勢では無く、交代を頼みたい』
「この状況でロキを野放しには出来ない、か」
『ソーを向かわせる。ハルクに関してはこちらでも手を打ってみるが、もしもの時は頼む』
「そのために呼んだんだろう。まあ、期待しないでおこう」
そんな軽口を挟みながら、俺は長官の誘導に従った。
振るわれる緑の巨腕を両腕で受け止める。
いっそ清々しい程の威力が込められたそれは、アスガルドでも通用する破壊力を俺の体に叩き込んできた。
「俺たちは君の敵じゃないんだ、バナー!」
返答は拳で返された。
軽々と吹き飛ばされ、積荷を突き破りながら宙を舞う。
そして今の一撃で理解した。
この男への手加減は通用しないと。
つまりは____この男はアスガルドの戦士、ソーの全力を出す相手だということが。
思わず笑みを浮かべながら右手を上げる、手のひらは直ぐにやってくるそれを掴むために開いたまま。
ずしん、ずしんとやってくるバナー……否、ハルクに背を向けたままなのは、今すぐにも来るそれへの絶対的な信頼だ。
手のひらに収められたそれを、今まさに殴り掛からんとしてくるハルクに向かって渾身の力で振りぬいた。
ムジョルニア。
ドワーフ渾身の一作であるハンマー。
吹き飛ぶハルクを眺めながら、興奮が収まらない。
吹き飛ばされたハルクが戦闘機に叩きつけられる。
しかし、ハルクはそこまで
戦闘機の破片をもぎり取り、それを投げつけてくる。
それを仰け反る様に避けながら俺はムジョルニアを投擲する。
これは攻撃ではない、次の一手だ。
ハルクがムジョルニアを掴もうとし____逆にムジョルニアに体を持っていかれる。
当たり前だ、これは
持ち上げようと四苦八苦しているハルクに膝蹴りをくらわすと、そのまま首を絞め酸欠による意識遮断を狙う。
しかし振り払われ、このまま殴打の応酬か____とその時、意識の外から声が聞こえてくる。
「ソー、交代だ!」
「ユースケ!」
クウガだった。
初めて会った時と同じ、紫色の怪人が割って入ってくる。
「あんたの相手はハルクじゃない、ロキを頼む!」
その言葉に漸く自分が興奮していることに気が付いた。
そうだ、俺はあくまでもロキを捕えに来たのだ。
「助かる、ユースケ!」
「俺にかまうな!早くロキを!」
ユースケに礼を言い、私はロキのもとへ走り出す。
「さあ来いハルク!俺が全力で
ユースケの声と、俺に続く殴打音を背に、俺は手近なドアへ駆け寄った。
ガラス張りの檻に俺がたどり着いたころには、檻の扉が開き、ロキがまさに逃げ出そうとしているところだった。
「待て!」
俺がロキにとびかかろうとすると、ロキは身構えるように動き____その体をすり抜け、俺がガラスの檻に閉じ込められる。
「糞っ……」
「単純だな、何度引っかかればわかるのか」
俺は即座にムジョルニアを取り出し、渾身の力で叩きつける。
しかし、無情にも少しひびが入る程度だった。
ロキが嘲笑しながら自らの警戒を解く
「我らは不死身と呼ばれているが、試してみようか」
その時、ロキを解放した戦闘員が殴打され、倒れる。
「どいてもらおうか」
S.H.I.E.L.D.のエージェントが、そこには立っていた。
「これいいだろう」
手には何か大掛かりな装置を持っている。
「お前にいいようにやられた後開発したんだ」
まずい、非常にまずい。
「威力は未知数だ」
ロキは狡猾だ、今身をもって味わった。
「その身をもって、味わって貰おう____」
言葉は最後まで続かなかった。
ロキが、彼を背中から刺したからだ。
「止せぇ!」
一つの命が、こぼれていく。
アスガルドの民のせいで、人が死んでいく。
ロキは満足そうに制御盤の前まで行くと、おもむろにに操作し始めた。
「あのケダモノはこんなものじゃあ死なないだろうが、生物兵器は死ぬだろうな」
ロキが、ボタンを押す。
「我らとどちらが強いか、見ものだな」
そして俺は、ガラスの檻ごと空に投げ出された。
息が荒い、胸から血がしたたり落ちている。
それでも、言わなくてはいけない
「お前は負ける」
絶対に。
「私が?」
ああ、お前がな。
「そういう運命だ」
これは決まっている。
「ヒーローはバラバラ、この空飛ぶ鳥でも墜落だ。なぜ私が負ける」
「お前には信念がない」
クウガが、ハルクが、ソーが、アイアンマンが。
そして何より____キャプテン・アメリカがいる限り。
「私が____」
返答はいらない。
私が抱えている試作機が火を放ち、ロキを吹き飛ばす。
「……いいものだな」
私がやってきたことは、無駄じゃなかった。
突き破るように、ハルクと俺が最初にいた研究室に投げ出される。
俺が起き上がるより速く、ハルクが俺を掴み上げ天井へ叩きつける。
そのまま追撃……よりも速く、意識を流水に切り替える。
青のクウガは、ハルクの追撃を跳躍で躱し、地面に立つ頃には再び紫のクウガへと超変身を果たす。
「糞っ、ハルクの前じゃ紫のクウガも形無しだな……」
すでに装甲は砕かれ、生体装甲にもダメージがいってる。
しかし、考える隙も無くハルクの攻撃がやってくる。
右ストレート、こちらの対応は腕をクッションにし、飛び上がりながら受けること。
結果、俺は研究室の壁に叩きつけられる。
まともに食らったら一瞬でノックアウトだ。
そのままハルクが乱打を浴びせてくるのを、腕を、足を、全身を使っていなし、避け、ガードする。
どうにかこらえていると、俺の耳に別の声が聞こえてくる。
『クウガ!奴の気をそらす、伏せろ!』
「そんな、気に出来るか!……まて、攻撃するつもりか!?」
『そうだ!』
「まて、無茶だ!ぐぅっ」
話している隙に、ハルクに胴体を掴まれる。
その裏……窓の外に、戦闘機が飛んでいるのが見える。
そして、戦闘機の銃が火を噴いた。
無情にも、その弾丸はすべてハルクに当たる。
ハルクの返答は、手に掴んでるものの投擲____すなわち、クウガを戦闘機に投げつけることであった。
「ぅオぉお!?」
流水。
青のクウガとなり戦闘機に着地するが、ハルクが出した最適解は自らの跳躍。
目がけるのは戦闘機。
ここで初めて、クウガはハルクに向かって攻撃をした。
ハルクが戦闘機に着地、横回りを始めた戦闘機の上でハルクに左フック。
当然、ハルクには大したダメージはない。
しかし、ハルクの意識をこちらに向けることには成功した。
「ついてこい、ハルク!」
そのまま戦闘機から跳躍、当然ハルクが付いてくる。
そして、俺は長年連れ添った相棒の名を叫ぶ。
「ゴウラムゥゥ!!」
瞬間、ヘリキャリアから突き破ってくる影。
ゴウラム、2000年からの俺の相棒。
ハルクごと俺を抱え込むと、そのままきりもみ回転をしながら地面に向かう。
「最後まで付き合ってもらうぞ、ハルク!」
そんな声が、大空にこだました。