サイコバグなお兄ちゃん、Vtuberになる。   作:にいるあらと

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「嗜虐の悪魔」

 

『みっき! もうすぐ道できるよ!』

 

『わかった、そっち向かう。先生』

 

『はい、残っているのは僕がやっておきます。美月さんはどうぞ行ってください。どこかのタイミングで加工してもらえるとありがたいです』

 

『うん、了解』

 

『壊斗さんは出てくる野生動物を駆除しながら石材を持ってきてもらえますか?』

 

「おっけ!」

 

〈がんばれー!〉

〈朱莉いいよー!〉

〈きっと間に合う〉

〈行ける行ける!〉

〈どきどきだ〉

〈こえーw〉

 

 裂け目を越えた先の木々を切り倒し、朱莉は建設予定地に続く道を繋げた。まだこの道はキャラクター一人分しか道幅がないが、今はこれで構わない。なにより大事なのは石材の確保だ。石工の美月を可及的速やかに通らせるために、ひたすら一本道を作らせた。

 

 ジンは裂け目の手前側で回収できる石材は回収して、作れる分だけでも橋を作って設置している。橋が完成した時にすぐにトラックを動かして影から逃げられるようにしているのだろう。

 

『岩あるっ! みっき! 岩あるよーっ!』

 

『うっわ助かる……これなら橋作れそう。家つくる分もあるね』

 

『あたしはじゃまになりそうな木を切ってく! じゃまな木があったらみっきも言ってね!』

 

『うん、ありがとう朱莉』

 

〈やばそう〉

〈諦めるなー!〉

〈最後までがんばろう〉

〈いそげー!〉

 

 ジンの悪ふざけスイッチが入ったおかげで朱莉も活力を取り戻した。声も出ているし、率先して動いている。

 

 雰囲気はいい。盛り上がっている。

 

「…………まずいか」

 

 この雰囲気を壊さないように、口の中で独りごちた。

 

 俺の画面からでは確認できないが、建設予定地の周辺には岩が豊富にあったようだ。橋を作り、セーフハウスの建築に十分な石材は回収できるだろう。

 

 ジンは橋のクラフトをやり終えたようで、裂け目の先でトラックの通行の邪魔になる木を切り始めている。朱莉が美月のサポートを終えれば、すぐにトラックの進路も作れる。

 

 野生動物のポップも対処できるレベルだ。加工された石材をトラックに運び入れながらでも間に合っている。

 

 ただ一つ。唯一にして最大の障害が俺たちの行く手を阻む。

 

 後ろから這い寄る影が、あまりにも近過ぎた。

 

 橋を架けるのは、もしかしたら紙一重で間に合うかもしれない。裂け目の先の木々もジンと朱莉で協力して切り倒していけば、トラックを動かす頃には道ができているだろう。

 

 建設予定地までトラックを移動させることはできる。

 

 だが、ほぼ確実にセーフハウスの建築が間に合わない。

 

 美月が砕いている岩から回収できた石材はすべて橋のクラフトに注ぎ込んでいる。ここから改めてセーフハウス建築用の石材を集めなければいけない。

 

 石工(ストーンメイスン)のサブ職を持っているジンが岩を砕く仕事を手伝っても時間が足りない。石材を集めている間に影がトラックも俺たちもすべてを呑み込んでいく。

 

『橋のクラフト終わりました。僕は橋を設置して道を広げます。壊斗さんが運転を、朱莉さんはトラックが通れるように道を広げるのを手伝ってください』

 

「やっと橋完成したか! すぐ進めてくぞ! 道を開けろーい!」

 

『う、うんっ! 最後までやりきるよっ!』

 

『岩っ……もうちょっと固まっててくれたらもっと早く砕けるのにっ』

 

『大丈夫ですよー、絶対クリアできますよー』

 

〈橋完成したー!〉

〈橋のコスト重すぎ〉

〈どんだけ資材食うんだよ〉

〈諦めんなー!〉

〈ぎりぎりなのになぁ〉

〈もうちょっとだってのに〉

〈影近すぎる〉

〈岩が少なすぎるのが悪いわ〉

〈悪魔めっちゃ励ましてくれるのつれぇ〉

〈間に合わんなぁ〉

 

 トラックのケツまであと一マスという、首の皮一枚のところでどうにか影から逃れて移動することができた。

 

 急発進させ、できたてほやほやの新品の橋を越え、トラック一台分しかない木々の間の道を通り、建設予定地の枠に隣接するように停車させる。

 

 影の位置を確認してみれば、すでに橋の中間あたりまで進んでいた。

 

「ジン。トラックには石材はどれくらい残ってんだ?」

 

『綺麗に使い切りました。余裕がなかったので裂け目の左側の原石は加工できずに置いてきてしまいましたし』

 

『ごめん……ここから動けなかった』

 

『いえ、正しい判断です。美月さんが加工するために裂け目の手前まで戻ってきていたら、時間が足りなくなって橋の手前で影に捕まっていたでしょうからね。ですが、この周りにある岩で足りそうですね。美月さん、お願いしますね』

 

『え? う、うん……わかった、けど……』

 

『朱莉さんは切った原木を加工してください。トラックに入っている分は持ち出さなくても結構です。原木を加工した分で必要数には届きます』

 

『で、でもっ……』

 

〈トラックにも残ってないか〉

〈惜しいなぁ〉

〈ミス出るのは仕方ないしな〉

〈ナイストライ〉

〈どんまい〉

〈惜しかった!〉

〈ないとらー〉

〈やりきろう〉

 

「最後までやりはするけど、でもこれ間に合わねーよ」

 

『せ、せんせー……ごめんね。あっ、あたしが……っ』

 

『問題ありませんよ。言ったじゃないですか、クリアはできますよって』

 

〈もうちょっとだったのにな〉

〈切り替えていこう〉

〈もう一周だー!〉

〈雑談だー!〉

〈喜んでるリスナーもいます〉

〈朱莉だけが悪いわけじゃない〉

〈チームの責任だ〉

〈こういうこともあるナイトラ〉

〈こっからは無理やろ〉

〈なんで知ってんだ〉

〈初見じゃないの?〉

 

 ジンはそう言って、影のほうへと近づいていく。

 

「おいジン! 影にっ」

 

『最初に役職を聞いた時から気になってたんです。四つの役職で教授だけ浮いてるなって』

 

「……浮いてる、ってなんだよ?」

 

『木こり、石工、狩人……自然に関連する役職が並ぶ中で教授だけが浮いていますよね。彼らは研究所から逃げているそうですが、これは教授だけは研究所側の人間である可能性を示唆しています』

 

〈嘘だろ〉

〈自力で?〉

〈アドミニで見た兄悪魔だ〉

〈考察班きたー!〉

〈教授は研究所側の人間だったのか〉

〈そういやたしかに〉

〈言われないと考えねーな〉

 

『うん? ……い、言われてみれば、そうかも……?』

 

『ってことは、教授は研究所の人ってことなの? でもそれならどうして逃げる必要が……』

 

『それはわかりません。何か理由があったのかもしれません。トラックに乗っているのは子どもたちとのことなので、良心の呵責(かしゃく)に耐えかねて研究所から逃げ出したのかもしれませんね。このゲーム、ストーリーモードとかあるのでしょうか?』

 

「んで、それがなんだってんだ? てかそっちはもうすぐ影がくる……こっち戻ってこい、ジン」

 

『そう。影です。研究所から湧き出したという影と、研究所の関係者と(おぼ)しき教授。持っているランタン。影に対する光。きっと、こういうことなんだろうと思っていました』

 

 迫りくる影のすぐ間近でジンは立ち止まり、ランタンを掲げ、特殊効果を発動させる。

 

 その光はステージギミックの黒いもやを払った時のようなオレンジ色とは違う。このステージに足を踏み入れたばかりの時に放った光と同じ、純白の光だった。

 

 谷だろうと裂け目だろうと川だろうと、松明があろうと昼間だろうと、なにをしてもなにがあろうと進行を止められない影を、ランタンから照射される白い光は食い止めた。

 

 それどころか、だ。

 

『えぇっ!? す、すごいっ! 影が離れてくっ!』

 

『えっ……ランタンで影を払えるの?』

 

 食い止めるどころか、ランタンの白い光は影を後退させていく。

 

『ランタンの性能をある程度強化しても使えなかったので、きっと影の進行を妨げる特殊効果が使えるようになるのは最後まで上げ切った時なんだろうなと予想してました。前のステージで無理して取りに行った甲斐があったというものですね』

 

「マジかよ! おいおい先言えよ!」

 

『……ふふっ、驚かせたくて。どうやらとても驚いていただけたようですね』

 

「サプライズのつもりなら大成功だ、ばかっ! おらぁっ! クリアすんぞぉっ! 美月はさっさと岩砕けぇっ!」

 

『は、ははっ、うん! すぐやる!』

 

『やったーっ! クリアできるーっ! やったやったーっ! いっそげーっ!』

 

〈配信者やなぁw〉

〈リスナーどころか壊斗たちにもサプライズw〉

〈光玉でけぇ!〉

〈自分枠ないくせにw〉

〈配信はしてないけど配信者はしてるw〉

〈悪魔すまんな〉

〈全取りしたのが効いてるぞ!〉

〈マジか〉

〈悪魔ありがとう〉

〈クリアできるの〉

〈朱莉のテンションの上がり方草〉

〈ミス気にしてたもんなw〉

〈悪魔ないすぅ!〉

〈悪魔;;〉

〈悪魔お前〉

 

『……長時間は使えそうにないので、なるべく影を押し込んでおきますね』

 

「おう! 頼んだ!」

 

『せんせーおねがいーっ! すぐこっちも終わらせるからねーっ!』

 

『先生、もうちょっとだけ時間ちょうだい。あと加工していって、運べばいけるから』

 

『はい。構いませんよ。ごゆっくりどうぞ』

 

 ジンのサプライズによって影の進行を遅らせることができた。足りなかったはずの時間を生み出した。

 

 しかも、どうやら走ることはできないようだが白い光を照射しながらでも動くことはできるらしく、ここまで攻め寄せてきていた影を逆に押し返している。

 

 効果時間がたとえ短くとも、可能な限り影を追いやっておいてくれればそれだけ時間を稼げる。

 

 クリアできる。ゴールに手が届く。

 

「もうちょい、あとこれだけか? 美月」

 

『これだけ!』

 

『やったーっ!』

 

 美月は今までにない機敏な動きで散らばっている原石を加工して回っていく。加工された石材は、セーフハウスをすぐに建てるために朱莉が逐次建設予定地に放り込んでいる。

 

 俺たちを苦しめ続けた石材。最後の一つが、美月の手によって生み出された。

 

「ジン! もういいぞ! これが最後の一つだ! 戻ってこい!」

 

『せんせーっ! 最後のいっこ、せんせーが入れちゃってよーっ!』

 

『クリアできるのは先生のおかげなんだから、ゴールテープを切るのは任せるよ』

 

『…………』

 

〈ないすうううう〉

〈ラスト一個!〉

〈終わるうううう〉

〈クリアできる!〉

〈悪魔マジでナイス〉

〈MVPや!〉

〈悪魔ありがとう〉

〈最強の助っ人だ〉

〈ヒーローはお立ち台に上がらないとな〉

〈最後決めたれw〉

〈悪魔;;〉

〈こんなにがんばったのになぁ……〉

〈悪魔戻ってきていいぞ?〉

〈ここまできたのに〉

〈一つ入れたら終わるんだからもう影止めなくていいのに〉

〈お前のおかげだ〉

〈いい人から犠牲になる〉

〈つらいなぁ……〉

〈なになになんなの〉

 

 あとは目の前の石材を回収して、建設予定地の枠の中に投入すればセーフハウスは完成する。すでにトラックは横づけしているので、あとは完成したセーフハウスに入ればステージクリアだ。

 

 影も十分押し返しているし、ジンが戻ってきて石材を拾い、枠内に投入する時間はある。

 

 なのに、どうしてジンは戻ってこない。どうして、返事をしない。

 

「ジン、おいジン。もう大丈夫だって」

 

『せんせー? どうしたの?』

 

『……先生?』

 

『……すみません。僕は一緒には行けません。皆さんでクリアしてください』

 

「……は、はぁ? なに言ってんだよ。この期に及んでまた茶番か? さすがに今は……」

 

『このランタンの特殊効果は、いくつか代償があるんです』

 

〈なんだ?〉

〈回線悪いのか?〉

〈悪魔どうした〉

〈もうクリアだぞ〉

〈すぱっと終わらせようぜ〉

〈悪魔?〉

〈みんなでステージクリアだよな?〉

〈代償?〉

〈そんなのあんの?〉

 

 代償。まったく予想もしていなかった。少なくとも俺の使う狩人(レンジャー)のアビリティには、代償を支払うような類のアビリティは存在しない。

 

 いや、ある意味では支払ってはいたのか。アビリティを使う時、俺たちはスタミナを消費している。それは見方を変えれば、アビリティという強力な効果の代償とも取れる。

 

 そうであるなら、影を払うなどという唯一無二にして強力無比な効果を誇る白い光には、どれほどの代償を支払わなければいけないのか。

 

『……せ、せんせぇ、代償……って?』

 

『この白い光を使っていると、体力とスタミナ、どちらも削れていくんです。スタミナは上限ごと削れてます』

 

『え、そん……え? そん、なの……』

 

「ま、待て……待て。影は追いやってんだから、特殊効果を切ってもすぐには影には捕まらない。ダッシュを使わなくてもこっちまで間に合う」

 

〈ここまできて……〉

〈悪魔もクリアしようよ〉

〈どうにかならんのか〉

〈代償重すぎる……〉

 

 自分で言っていて、きっとこんなやり方はダメなんだろうなとわかってしまう。こんな誰にでも思いつく方法で助かるのなら、ジンなら考えるまでもなく気づいているはずだ。

 

 それでも、ジンが気づいていない小さな可能性にかけて、祈るように提案する。

 

いくつか(・・・・)代償があるって、言いましたよね。そのいくつかのもう一つが、数秒ほど動けなくなるというものなんです』

 

 祈りは容易く手折られた。

 

『このステージが始まってすぐの時に一度使ったんですけど、ほんの一瞬使っただけでも五秒は身動きが取れませんでした。特殊効果の使用時間によって動けない時間が延びるのかどうかまではわかりませんが、今回も動けない時間が五秒だとしても、体力が減っているので死んでしまいます。だから』

 

『だめっ! せんせーも一緒じゃなきゃだめだよっ!? だって……だって! 一番っ……いち、ばん……がんばっ、たのにっ……』

 

『……そうだよ。わたしがミスした時も先生が役割分担してくれて、わたしのこと気を遣って励ましてくれた。それなのに先生だけクリアできないなんて、そんなのありえない』

 

「待て、待てよ……考えっから。なんか、やり方あるはずだろ。……そうだ。プレイヤーなら影に呑まれてもすぐには死なない。ジンが影に呑まれてダウンしたらすぐに起こして、そっからすぐに逃げれば……」

 

〈そういう使い方なんだよな……〉

〈ここまでがんばったのに〉

〈一人だけ置いてくなんて〉

〈悪魔がんばったのに〉

〈朱莉の声が涙腺に効く……〉

〈全員のフォローずっとしてくれてたのに〉

〈すまん悪魔〉

〈一人だけゴールできないなんてひどい〉

 

『ふふっ、ありがとうございます。でも、ダウンの回復をしてもらえたとしても僕はスタミナの上限も一緒に減ってしまっているので、おそらく影から逃げられません。ダウンの回復中も影は進むでしょうから、もしかしたらダウンの回復にきてくれた人まで巻き添えになってしまうかもしれません。なので、皆さんでクリアして……』

 

『やだぁっ! ぜったいやだぁっ! せんせーもっ、せんせーもいっしょじゃなきゃっ……んぐっ。だっで、っ……あ、あだしの、せい……っ。はっ、あ……っ、あたしがっ、ミス、しだがらっ……』

 

〈一人だけ……〉

〈影からは逃げらんないか〉

〈生贄みたいじゃんそんなの〉

〈壊斗なんとかしてくれよ!〉

〈朱莉……〉

〈朱莉の純粋さで心が痛い〉

〈なく〉

〈ないた〉

 

『……大丈夫。そんなことないですよ、朱莉さん。きっと教授はこういう役回りなんです。それに皆さんがクリアできるのならそれでいいんですよ。「あかいつき」のお三方で始めたこの企画、僕はあくまで助っ人です。皆さんのうちの誰かが脱落しなくてよかった』

 

『先生、いやだよ……っ。い、一緒にゴールしようよ。ここまでこれたの、先生のおかげだよ……』

 

『ひっぐ……やだよ、せんせー……っ。んくっ……ひっ、ぐすっ……。せ、せんせーがなぐさめてくれたから、はげましてくれたから……っ。ひ、っ……ひっぱってくれたから、あたしたち……ここ、までっ……』

 

〈一番頑張ったやつが犠牲で終わっていいのかよ〉

〈悪魔がずっと盛り上げてくれてたのに〉

〈いまさら助っ人とか関係ねぇって〉

〈全員で笑って終わりたいよ〉

〈悪魔がカバーしてくれたおかげなのに〉

〈;;〉

〈二人は先生に助けてもらったもんな……〉

 

『……っ! 皆さんが生き残ってくれてよかった。……ここで死ぬのが、僕でよかった』

 

『っ……せ、先生も一緒に生き残れないならっ、クリアする意味ないっ! 壊斗は先出といて! 一人でも家入ってたらクリアにはなるんでしょっ?!』

 

『やだぁっ! はっ、ふぁっ……はっ、んくっ……っ! うあぁっ、あだしものごるぅっ! うぐっ、ひっぐ……せんせーひといぼっぢでおいでかない゛ぃっ!』

 

『壊斗さん……後のことお願いします。もう、体力も尽きそうなので』

 

「ああ、わかった」

 

『壊斗っ! まだ、先生がっ!』

 

『ここまで、とても楽しかったですよ。たくさん大変なこともありましたが、それ以上にたくさん楽しいことがあって、たくさん嬉しいことがありました。短い時間でしたが……皆さんとご一緒できてとても幸せでした』

 

『あっ……あぁっ。ひっく……ひぐっ、うぐっ……せんせーっ……』

 

『どうか皆さんは生き残って、この長かった旅を終わらせてください。……さようなら、ありがとう……っ、楽しかったよ』

 

「…………」

 

 ジンは最期にそう言い残して、そして。

 

 白い光が、消えた。

 

 どこまでも落ちて沈んでいってしまいそうな影に、ジンは呑み込まれた。

 

 ジンの発言からして、つまりはそういうことなのだろう。

 

『せ、先生っ……あっ、あぁっ……っ』

 

『うああぁぁっ! せんせーっ、せんせーっ! うぐっ、ぐすっ、ああぁぁっ! あ、はぁっ、はっ、あ、あだしがぁっ……あだじのぜいでっ、ぜんぜーがああぁぁっ……ひっぐ、うわああぁぁっ』

 

〈悪魔;;〉

〈一人だけそそくさクリアしてんじゃねーよ〉

〈最後までやり遂げたな〉

〈朱莉の声でもらい泣きしてる〉

〈罪悪感やばいだろこれ〉

〈悪魔の分も生き残ってくれ〉

〈泣いてる声が刺さる……〉

〈働きすぎだろ悪魔〉

〈もらい泣きしてるのに朱莉の声で興奮してる自分がいる……〉

〈ゴミリスナーもいます〉

 

 影に呑み込まれたジンを見て、美月は絶句して、朱莉は絶叫し、重なるようにアプリから電子音が鳴った。

 

 ジンはミスをした時はカバーしてくれて、作業をすれば後ろからサポートしてくれて、なにをすればいいか悩めば的確に指示も出してくれていた。『せんせー』という呼び方通り、恩人のような立ち位置だった。

 

 そんなジンが最後の最後、自身の命を(なげう)ってまで生き残らせてくれたのだ。単純で、しかし純粋な朱莉の心を苛むには十分すぎた。

 

 やりすぎだろ。あいつは自身の親愛度と演技力を理解していない。

 

「んじゃ、クリアすっか」

 

『なんでそんなに簡単に切り替えられるの?! ここまでっ、先生ががんばってくれたからこれたのにっ……』

 

「いや……だってあいつ、いつ抜けようかタイミング見計らってただけだろ……」

 

〈壊斗w〉

〈お前はタイミングがゴミすぎるんだ〉

〈もうちょい言葉選べんかw〉

〈最低で草〉

〈あまりにも気を遣えない男〉

 

 消える直前のジンのセリフ。あの状況であんなふうに言っていると、まるで『ここまで一緒に逃げてきたが最期に自分の身を犠牲にして仲間を生き残らせる善人』のようにも聞こえるが、実はそうじゃない。

 

 あれはただの配信終わりの挨拶だ。言い回しを捻じ曲げて、それっぽく演技しただけのもの。

 

 今回の配信は一応、俺と朱莉と美月の三人の『あかいつき』での企画だった。ジンのことだからどうせ、自分は部外者だから最後はどこかのタイミングで自然に退席しようとか考えていたんだろう。

 

 ランタンの特殊効果をこのステージの序盤で教えなかったのもこの小芝居のためだ。使う必要がなければ使わなかったのかもしれないが、いい具合におもしろくなりそうな展開になったから、ストーリーを持たせて仲間との悲しい別れを演出した。コミュニケーションアプリのサーバーからわざわざ抜けるあたり、芸が細かい。

 

 この中で唯一配信してないやつがなんで撮れ高作ってんだ。

 

『ぐすっ、ひっぐ、せんせーっ……うあぁっ、せんせー……ひっく』

 

「早く家入ってくれって。せっかくジンが時間稼いでくれたのに影に呑まれるぞー」

 

『壊斗サイテーすぎる……。朱莉、泣かないで』

 

『あだしがぁっ、あだじがミズじながっだらぁっ……ぐすっ、ひっぐ……うああぁぁっ』

 

「おいジン帰ってこい! どうせ観てんだろ! 収拾つかんから帰ってきてくれ!」

 

〈朱莉……〉

〈ボロ泣きです〉

〈朱莉号泣〉

〈悪魔は仕事したんだからあとは壊斗の仕事だぞ〉

〈慰めろよ〉

〈サイテーすぎる……〉

〈もうちょっとなんかあったでしょw〉

〈朱莉のトラウマになっちゃうよ〉

〈声枯れちゃいそう〉

〈やっぱり壊斗じゃだめだ〉

〈すまん悪魔!〉

 

 まだジンは俺の配信を観ているはずなのにアプリのサーバーに帰ってこない。

 

 ジンとしては別れの挨拶まで綺麗にやって出ていったから気分よく終わったつもりなのかもしれないが、取り残された俺はたまったもんじゃない。ジンの演技が刺さりすぎているやつが二人もいるんだ。最後まで面倒を見てもらわなければ困る。

 

「おい! ジン! 聴いてんだろどうせ! おいサディスティックデビル! 鬼畜エンターテイナー! ハートブレイカー! 嗜虐の悪魔! トラウマメイカー!」

 

『はいはいはい、わかりましたよ。人聞きの悪いことを言わないでください』

 

〈壊斗じゃだめなんだよ悪魔ー!〉

〈悪魔助けてー〉

〈草〉

〈ぼろくそで草〉

〈案外言ってること間違ってはないなw〉

〈悪魔おかえり〉

〈復活の悪魔〉

〈おかえりー〉

 

 ジンがVCに帰ってくるまであることないこと叫んでやろうと思って並べ立てていたらようやく帰ってきた。あることないことというか、よくよく考えると事実しか並べていなかった。

 

『せんせーっ! せんせー、ごめんっ、ごめんねっ……あたしがっ』

 

『朱莉だけじゃないよ。わたしもミスしたんだから。先生、ごめんなさいっ』

 

『いいんですいいんです。気にしないでください。時間稼ぎ用の能力なので、あれは』

 

〈朱莉復活した〉

〈誰かがミスっても取り返してくれてたからなぁ〉

〈先生は頼りになる〉

〈教授の終盤の使い道はまじで時間稼ぎなんだよな〉

〈初見プレイで気づくのやばいだろ〉

 

『えへっ、えへへっ……。すぐ、すぐ追いかけるからね? ちょっと待っててね、せんせー……』

 

『待って待って待って! 朱莉さん待ってください! せめてクリアしてください! ごめんなさい、僕が悪ふざけしちゃっただけなんですごめんなさい!』

 

〈朱莉のメンタルはぼろぼろ〉

〈ヘラったw〉

〈こんな朱莉は初めて見るw〉

〈笑顔だけどたぶん目に光はないなw〉

〈闇落ち朱莉は他では見れないw〉

〈悪魔w〉

〈後追いされそうになったら焦るわなw〉

〈信頼度が高すぎたw〉

 

 迫りくる影に自らとことこ歩いていく朱莉を見て、めずらしく慌てて声をかけていた。どれだけ切羽詰まっていようと落ち着きを保っていたが、今日初めてジンの動揺している声を聴けた。気分がいい。

 

『……いいの? あたしたち、せんせーを置き去りにしたのに……』

 

『いいんです、全然いいんです。クリアするために白い光を使ったんですから。ほら、美月さんも早くお家に入りましょう』

 

『ごめんね……先生。……わたしたちだけで』

 

「影すぐそこまできてんじゃねーか……あっぶねー」

 

〈壊斗は一人だけクリアしてんだよね〉

〈企画完遂のことしか考えてない〉

〈おかげで朱莉視点に飛べたしええか〉

〈美月も朱莉も申し訳なさそうにしてるってのに……〉

〈性格終わってるって言われません?w〉

 

 ジンが自らの口でクリアするように言ってようやく朱莉と美月はセーフハウスに入った。

 

 ちなみに俺はジンが小芝居の空気を漂わせたあたりでそそくさと石材を回収し、一足先にセーフハウスに逃げ込んでいた。

 

 最悪一人でも入っていれば、残りのプレイヤーが影に呑まれた時にクリア扱いになる。ここまできてゲームオーバーとかちょっと洒落にならないので、俺は配信映えを無視して安全策を取らせてもらった。

 

『皆さんがクリアしてくれたおかげで白い光を使った意味が生まれました。ありがとうございます。……ふう、よかったあ』

 

 安心したようにジンはため息を吐いていた。

 

「これもう因果応報だろ……。お前が余計な小芝居打つから……」

 

〈一安心やねw〉

〈ちょっと演技が迫真すぎたかw〉

〈悪魔やりすぎですw〉

〈小芝居w〉

〈またこいつは余計なこと言うw〉

〈先生の生徒に怒られるぞ〉

 

 ジンの白い光のおかげで時間を稼ぐことができてセーフハウスを建築できた。でもジンが茶番を繰り広げたせいで朱莉と美月がクリアを放り捨てるところだった。

 

 ジンがいなければクリアできなかったのは事実だが、どうにも素直に褒められない。功罪両取りしないでほしい。

 

『因果応報ってなにそれ! 先生はわたしたちのために犠牲になったんだよ?!』

 

『かいとくんひどいよ! ひどすぎるよっ! あんなにいっぱいがんばってくれたのに、せんせー今いないんだよっ?!』

 

 俺たちの目標がさっきクリアしたステージ十。スキルポイント振りの画面ではちょうどよくパーティメンバーが表示されているので、ここで止めている。

 

 影に呑まれるなり野生動物に攻撃されるなりしてダウンし、回復されずにそのまま死んで、でもステージはクリアできた場合、復帰は次のステージからになる。なので、ステージとステージの合間にあるスキルポイント振りの画面には死んだキャラクターは表示されないのだ。

 

 四人揃って画面に並んでいないことに朱莉と美月は思うところがあるのだろう。

 

 まぁ、そう思わされている時点でジンに思考を誘導されているわけだが。

 

「騙されてるー、この嗜虐の悪魔に騙されてんぞーお前らー」

 

『嗜虐の悪魔やめてください否定できません』

 

「せめて否定しろよ」

 

『本当ならもう少しあっさりとお芝居を終わらせるつもりだったんですけど、あまりにもお二人の反応がよかったことで悪魔的な嗜虐心が顔を覗かせてしまいましたね』

 

「ほんとに嗜虐の悪魔じゃねーか……」

 

〈やっぱり生徒に怒られたw〉

〈そりゃそうよ〉

〈二人は悪魔のこと慕ってるんだからさぁ〉

〈先生のおかげでクリアできたこと忘れんなよ!〉

〈しぎゃくのあくまw〉

〈Sっ気まで持ってんのね〉

〈あまりにも属性過多w〉

〈これはサディスティックデビル〉

〈完全に悪魔で草〉

 

『せ……先生?』

 

『ど、どういうお話? せ、せんせー?』

 

『朱莉さんと美月さんが即興劇にうまく合わせてくれたおかげで僕もお芝居に熱が入ってしまったというお話ですよ。ありがとうございました』

 

『なんだ、そういうことか……。まぁそうだよね。先生だしね』

 

「美月嘘だろ……ちょろすぎんか? この聖人の皮をかぶった悪魔のこと信じすぎてね?」

 

〈すぐ言い訳出てくるのさすがすぎるw〉

〈誤魔化すのうめーw〉

〈信じちゃうんだよね〉

〈それでいいんだw〉

〈だって先生だし(天下無双)〉

 

『……え? お芝居って?』

 

『えっ……そ、そこからですか? ですから、あの……僕が白い光を使って影を追い払ったところあったじゃないですか。「ここは俺に任せて先に行け」みたいな話をしましたよね。あのお芝居のことですよ』

 

『あぁっ! あれのこと?! あれお芝居だったんだ……』

 

『いや、そりゃあ……命かかってるわけじゃありませんし、本気では言いませんよ……?』

 

〈わかってない子もいます〉

〈ピュアすぎる……〉

〈朱莉はそのままでいて〉

〈朱ちゃんやん〉

〈あかちゃん草〉

〈悪魔もびっくりしてるw〉

〈予想外すぎるよなw〉

 

 理解が追いつかなくて戸惑っているジンは貴重だな。

 

 やるじゃん、朱莉。悪魔の慧眼を()(くぐ)ったぞ。潜ったという言葉通りに、おそらくジンの予想の斜め下をいったんだろうけど。

 

『そっかぁ、お芝居だったんだね。よかったぁっ! なんだかせんせーの声をきいてたら、ほんとのことみたいに思っちゃったよっ! そっかそっか、よかったぁ』

 

『…………』

 

 たしかにジンが芝居している時の声色は、どこか真に迫っているというか、胸を突くようというか、そんな迫力がある。ジンがただ優しいだけの聖人じゃなく、人を手のひらの上で転がしてけらけら笑うような悪魔であることを知っている俺でも空気に当てられそうになった。

 

 それを加味しても朱莉は純朴が過ぎるけど。

 

 こういう根の無垢さが朱莉の特色でもあるから、長所にはなっているんだろう。天然で純真で元気がいいから、先輩後輩リスナー問わず可愛がられている。GG()内にも友人が多いのだ、俺と違って。

 

 とはいえ、先輩後輩からはよしよしいい子いい子と甘やかされているから、あまりプロレスみたいなやり取りはしていないようだ。勿体ないよなぁ、朱莉は叩けばいい音が出るのに。

 

「悪いな、ジン。朱莉はこういうやつなんだ」

 

 素直すぎて少しひねった冗談とかは通じない時もある。

 

 今回のジンの茶番は、朱莉が素直過ぎて真に受けてしまったおかげで余計迫真の仕上がりになったわけだが、通じなかったらボケが潰れることもある。

 

『……クク』

 

 朱莉にネタを振ったりボケる時はわかりやすくトスしないといけないぞ、という意味で注意をしたら、思わず姿勢を正すくらいにぞっとする声でジンが笑みをこぼしていた。

 

「怖い怖い怖いっ! おいこの悪魔! なんの笑いださっきのは!?」

 

〈こわ〉

〈悪魔?〉

〈おい先生……?〉

〈今まで聞いたことない声が聞こえたぞ……〉

 

『あ……失礼しました。朱莉さんは……そう、素直ないい子なんだなあ、と』

 

『えへっ、あたしいい子? にへへっ、せんせーにほめられたっ』

 

『はは、褒められてよかったね。朱莉はいい子だもんね』

 

『えへへ、ありがとーっ! みっきもいい子だよっ!』

 

『はは……ありがと、朱莉。でも、いい()って言ってもらうには、わたしはちょっと大人になりすぎたかな……』

 

〈素直ないいこで誤魔化せるのかこれは〉

〈さっきの笑い方はそういうのじゃなかった気が……〉

〈誤魔化せちゃうんだよねw〉

〈Sっ気あふれてんよ……〉

〈朱莉はこれでいいんだからw〉

 

 ジンの言い訳を額面通りに受け取った朱莉はのん気に喜んでいたが、絶対にそういう意味じゃなかった。なにかよからぬことを企んでいるような、まさしく悪魔的な笑い方だった。

 

 朱莉のこの純粋さを目の当たりにして、それでもなおさっきの茶番で泣かせたことに罪悪感を抱かずにさらに悪巧みできるって、こいつの精神構造はいったいどうなっているんだ。さすがは心の持ち合わせがない悪魔である。

 

「……やっぱ嗜虐の悪魔だ」

 

『やめてください。信じてしまうリスナーさんがいたらどうするんですか。僕のブランディングに影響してしまいます』

 

「今さら影響ねーだろ、お前のブランディングはしっかりばっちり悪魔じゃねーか。お前の配信をよく観てるリスナーならよく知ってるだろ。ここ最近コラボ相手泣かせすぎだしな」

 

〈たしかロロも泣かせてたしな〉

〈嘘じゃないのがまたw〉

〈お前もいただろ〉

〈てか責任の大半壊斗だろ〉

 

『えっ……せ、せんせー……?』

 

『先、生? ……どういうこと?』

 

『悪意のある表現やめてくださいよ。誤解されてしまいます。前に「practice of evolution」をコラボ配信でやった時にロロさんが泣いてしまわれましたが、あれは客観的に見て、難易度を故意に引き上げて本来六人以上でプレイすべきモードを独断で選択した壊斗さんに責任があるのでは?』

 

「はぁっ?! いやまぁ、そりゃあ俺も悪いけど……それにしたって言い方ぁっ!」

 

『あー、ロロちゃんとコラボしてた時の……あれ? それじゃかいとくんが泣かせたってことじゃないの? せんせーは悪くなくない?』

 

『見方によってはそうとも言えますよね』

 

『うっわー……自分がロロさん泣かせたくせに、その罪を先生になすりつけようとしてたんだ。壊斗サイテー』

 

『かいとくんさいてーっ!』

 

〈反論されてて草〉

〈はい論破!〉

〈事実壊斗のせいだしな〉

〈なんで三人なのにあの難易度選んだのか謎だし〉

〈壊斗さいてー〉

〈悪魔味方作るのうめぇなw〉

〈かいとさいてー〉

〈一気にワンブイスリーだw〉

〈これは返せないw〉

 

「ジン出てるぞーっ! 人を操って誘導する悪いところが出てるぞーっ! お前ら騙されてるぞーっ!」

 

『ふふっ、騙しているだなんてとんでもない。あくまで僕は一般論を説いただけですよ』

 

「ほんとかよ……。絶対俺が悪くなるように印象操作してただろ……。まぁいいや。そろそろ配信終わるとすっか。ジン、今日は急に呼んだのにきてくれてさんきゅーな」

 

 まさかジンが合流して一回目のプレイでステージ十まで行けるとは思わなかったが、それでもやはりある程度は時間がかかってしまった。ジンは合流前に配信して、配信終わりに付き合ってくれたわけだし、そろそろ解放してやらないといけない。

 

『せんせーありがとうっ! せんせーがいなかったら絶対クリアできてなかったよっ!』

 

『先生、ありがとうね。とても楽しかった。お喋りもおもしろかったし』

 

『いえいえ、こちらこそお誘いいただきありがとうございました。僕もとても楽しかったです』

 

〈耐久ならず〉

〈もう一周二周くらいしてくれてもよかったのに〉

〈もうちょい雑談聞きたかったw〉

〈悪魔ありがとうな〉

〈そういや配信終わりにきてくれてたんだよな〉

〈おもしろかったぞ悪魔〉

〈やっぱ悪魔最高だわw〉

〈あかいつきにこんだけ馴染むのもすげーよ〉

〈おつかれー〉

〈おつかれさまでした〉

 

「これでお開きなんだがその前に、一つお知らせだ」

 

『みんなー、ばいばー……い? お知らせ?』

 

「おう。ちょっと俺のことでな。もうメンバー発表していいらしいから伝えとく。近々あるAPGのカジュアル大会、それに俺も出ることになってんだ」

 

『へー。壊斗も出るんだね。暇だったら観とくよ』

 

『そうだねっ! ひまだったら応援しよっか!』

 

〈んお?〉

〈貴弾の大会か?〉

〈もうそろそろだしな〉

〈他のチームも発表始まってるな〉

〈周りが強いから順位伸びねーよな〉

〈壊斗も強いほうなんだけど〉

〈Vの中では強いほうってだけだしな〉

〈周りのパーティがFPSガチ勢ばっかりだしさすがにきちぃよ〉

〈悪魔に入ってもらったらなんとかなるんじゃね?〉

〈応援する(暇なら)〉

〈観るよ(ひまなら)〉

〈草〉

 

「長時間になるから配信自体は時間があれば観るとかでいいけど、応援するのは暇じゃなくてもしとけよ。んで、一緒に出るメンバーとの顔合わせが明日あるんだ。だからよければ観にきてくれよ、ってお知らせだ」

 

『がんばー』

 

『がんばってー』

 

『そうですね。ぜひお時間があればきていただけると幸いです』

 

『……ん? なんで先生が?』

 

「こいつも参加すっからだ。俺のパーティのメンバーは、英治とジンだからな」

 

〈スクリムも時間長いしな〉

〈全部観るのは厳しいよ〉

〈応援はしてる〉

〈がんばれー〉

〈え悪魔でんの?!〉

〈ま?〉

〈きたー!〉

〈これまじでいいとこまでいけんじゃね?〉

 

『そうなのっ?! せんせーも出るんだっ?!』

 

『はい、そうなんです。壊斗さんからお誘いいただいて、この度出させていただけることになりました』

 

『APGのカジュアル大会って参加人数も多い大きな大会だよね。すごいね、先生。がんばってね、応援してる』

 

『すごーいっ! ゲームうまい人しか出られない大会なのにっ! せんせー、がんばってねっ! 本番はぜったいに配信観て応援するからっ!』

 

『ふふっ、ありがとうございます。精一杯頑張りますね』

 

「おい、熱量が違うなぁ、おい。応援の熱量が、おい」

 

〈だから前コラボしたのか〉

〈楽しみになってきた〉

〈いいじゃんいいじゃん!〉

〈これは応援するわ〉

〈悪魔ならやってくれそう〉

〈二人の反応w〉

〈壊斗の時と違うなぁw〉

〈そりゃそうだよねw〉

 

『あれ? そういえば壊斗、明日は案件があるって言ってたよね。顔合わせの時間は大丈夫なの?』

 

「たぶん……大丈夫だろ。案件の配信は始まる時間早めの予定だし。なんかイレギュラーがあったらもしかしたら合流遅れるかもしれん、っていうのを先に言っとくわ、ジン」

 

『あははっ、わかりました。そのつもりでいますね』

 

〈顔合わせ遅刻とかすんなよ〉

〈予定だと顔合わせのだいぶ前に終わるっぽいしいけんじゃね?〉

〈遅れたところでメンツは仲良いのばっかりだし多少ならよさげw〉

 

「他になんかあるか? ないなら終わるぞ。今日のコラボは俺、壊斗と」

 

『……え? わたし? よ、宵闇美月と』

 

『蛍火朱莉とーっ!』

 

『助っ人のジン・ラースでした。よろしければチャンネル登録や高評価、お願いいたします』

 

『せんせーのチャンネルも登録よろしくねーっ! 概要欄に貼ってますっ!』

 

『SNSのフォローもよろしくー』

 

「スーパーチャットはまた今度読む時間作るから、ちょっと待っといてくれな。じゃ、今日はこれにておしまい! また観にこいよー!」

 

『ばいばーいっ! またきてねーっ!』

 

『ありがとねー、おやすみー』

 

『ご視聴ありがとうございました。またお会いいたしましょう。良い夢を。さようなら』

 

〈ありがとー〉

〈おつかれー〉

〈配信ありがとうございました〉

〈お疲れ様ですー〉

〈おやすみなさーい〉

〈おつー〉

 




『……っ! 皆さんが生き残ってくれてよかった。……ここで死ぬのが、僕でよかった』
お兄ちゃんはこの『……っ!』の時に閃いて悪巧みのスイッチが入りました。


これで『exodus』配信も終わりまして、ここからはシリアス展開に入るわけなんですけど、ラストまで書き終わってません。
幾らかは書いてるんですがどうにも気力が保てず、筆が止まってます。目処も立ってません。
ラストまで書き切れるかわかりませんし、中途半端にシリアス展開に入っても気持ち悪い感じになるので、ここで更新を終わります。申し訳ないです。
ラストまで書き切れなくても、せめてadministratorだけは終わらせたいとは考えてますが、それもどうなるかはわかりません。

楽しいとか面白いという感想、とても嬉しかったです。ここまで続けられたのは、そういう励ましの言葉があったからこそでした。ありがとうございました。
誤字脱字の報告もとても助かってました。ありがとうございました。
評価してくれた方、ありがとうございました。
別の作品でお会いすることがあれば、その時はまたあたたかく迎え入れてくれると嬉しいです。
ここまで応援してくださり、ありがとうございました。
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