サイコバグなお兄ちゃん、Vtuberになる。 作:にいるあらと
お風呂から上がった後は軽く部屋掃除でもして配信開始まで時間を潰そうと思っていたのだけど、掃除機を探そうとしたあたりで寧音に本気の心配顔で『……たまには勉強したほうがいいよ。寧音、れー姉と一緒に卒業式に出るゆー姉が見たいよ……』と諭されたので、泣く泣く安っぽい椅子に腰掛けてペンを握った。
真面目な空気だったので言い出せなかったのだけど、あたし卒業が危ぶまれるほどおバカじゃないよ。妹にそのレベルで成績が悪いと思われていることに、今更になって心が痛くなってきた。
そんな悲しみを乗り越えた先、とうとうやってきたこの時間。お兄さんと礼愛の配信時間だ。素早く勉強道具を片付けて、ローテーブルに移動する。
『人間の皆様、こんばんは。「New Tale」所属の四期生、ジン・ラースです』
「きゃーっ! お兄さん! 昨日よりかっこいい!」
「いや、なにそれ……。そんな、昨日はかっこよくなかったみたいな言い方……」
「はぁ?! ゆー姉はなんもわかってない! 今日のお兄さんは昨日のお兄さんよりもかっこよくなってるんだよ! 日々かっこよくなってるの! えと、えと『五時間前から待機してました』っと」
「そ、そう……成長期、なんかな?」
お兄さんのかっこよさは日々更新していくものだそうだ。
「さて、と。礼愛のほうは……」
『えと、配信、乗ったかな? 眷属のみなさん、こんばんは。レイラ・エンヴィです』
長く艶のある黒髪、真っ白の肌、鋭さのある双眸。黒セーラーと髪の長さという部分さえ変えてしまえば、リアルの礼愛と大差はない。リアルでも引くくらい美人だからね、奴は。Vtuberのほうの体には角とかも生えているけれど、たまにリアルでも生えているからここもさほど違いはない。あたしをいじってくる時はあの悪魔じみた角や翼、尻尾が生えてるのだ。あたしは見たことがある。
「それがれー姉のV体?」
「V体? なんぞそれ」
あたしはそれほどVtuberとか配信界隈のことを知悉しているわけではない。気が向いたり時間が空いたら好きな配信者さんの配信やアーカイブ、切り抜きを見るくらいだ。リスナー側としてのマナーや常識はあると自負しているけれど、専門用語とかはわりと知らなかったりする。
「ヴァーチャル時の肉体。略してV体」
「へー、そんなふうに言われてるんだ」
「あ、ゆー姉知らないんだぁ? 世界規模で寧音が使ってるよ」
「へー、知らなか……って、いや! それあんたしか使ってないってことでしょ! 造語かよ!」
『昨日は配信の予定だったのに急に休んじゃってごめんなさい。ちょっと、周りでいろいろありまして……』
「これ、ほんとにれー姉? なんだか……」
「礼愛だよ。驚くほど声低いなぁ。ふだんからそんなに声高いわけじゃないけどさ」
ふつうは配信する時、声のトーンを上げたりするものじゃないのだろうか。少しでも視聴者に可愛く見せるのが、人気商売たるこの世界のセオリーだろうに。礼愛らしくはあるけれど。
「寧音とおしゃべりしてる時はもっとかわいい声だったよ。今のれー姉は、かわいいよりもきれいとかかっこいい系って感じ。体にあわせてるのかなぁ」
「や、礼愛はわりと他人と接する時はこんなもんよ。他人でも同性が相手だともう少し声が柔らかいかな。寧音と話してる時はクラスの子と話してる時よりも優しさマシマシだから、違和感はそれじゃない?」
「れー姉の好感度高かったんだ! やったぁ!」
「あたしに対しても、もう少し優しくしてくれていいんだけどなぁ」
「ゆー姉はお兄さんに会わせてもらうっていう最大の施しを受けてるでしょ。これ以上なにを望むの? なに、傲慢か? 処す?」
殺る気スイッチを押してしまったらしい。
照明をぱちんと消すように、瞳のハイライトが抜け落ちた。返答を間違えた瞬間に寧音からの返事が飛んできそう。その返事はおそらく言葉ではなく、もっと物理的ななにかだ。今のところ第一候補は、手が白くなるくらい握り込まれている拳。
「まじすんませんした」
「次から気をつけろよ」
物騒なスイッチをそこかしこに用意しないでほしい。日常会話すら地雷原になってしまう。
『今日は配信タイトル通り「アイランドクリエイト」をやっていこうと思います。皆様ご存じアイクリですね』
「お兄さん、アイクリやるんだ。ちょっと意外」
「んえ? なんで意外なの?」
「お兄さんのことだから、上手なFPSをやるもんだとばっかり思ってたんだよね」
「お兄さんFPS得意なんだ! あ、でも寧音的には優しいお兄さんが撃ち合いやるほうが意外だけどなぁ」
「礼愛もFPSよくやってるみたいだし、そのうち一緒にやるんじゃない?」
「お兄さんとれー姉が一緒に配信してるなんて最高じゃん! はやく観たいなぁ」
「……落ち着いたら、きっとすぐにコラボするよ」
『ご安心ください。フィールドに降り立ったらすぐに人里から離れますので』
寧音側のディスプレイ、つまりはお兄さんの配信を覗けば、お兄さんが操るキャラクターが野を走っているところだった。
お兄さんがやっているゲーム『
でもお兄さんの場合だと、コミュニケーションアプリを繋いで喋るどころか、ゲーム内での接触すら視聴者から拒否されている。
拒絶反応が強すぎる。こんな空気感の中でやっていかなければいけないお兄さんを思うと、胸がきゅぅっとなる。
いずれはこんな四面楚歌もなくなるだろうけれど、礼愛はこんな環境を今すぐにでも変えたいと思っているはずだ。あたしに今日の配信のことを伝えてきた礼愛の目には、不退転の覚悟が灯っていた。
その覚悟が、どのように表れるのか。良くも悪くも爆弾にしかならない気がする。やばい、不安でお腹が痛い。胃がきゅぅっとなる。
『昨日、四期生の子たちが初配信やっていましたね』
礼愛のほうの配信は、今日は雑談メインになりそうだった。
雑談自体はいいとしても、その内容は同じ事務所の人たちは触れなさそうなポイントだ。四期生の中の誰かの名前を挙げるならばともかく『四期生』というくくりで挙げてしまうと、視聴者はいやでもその中で一番目立つ異物に目が行ってしまう。ほとんど『New Tale』で唯一と言っていい男性ライバー、ジン・ラースに。
コメント欄の流れが、ぐぐっと速くなる。〈そこ触れるんだ〉とか〈ゲーム配信の方がいいんじゃない?〉みたいな礼愛の目線を他に向けさせようとするコメントもあれば〈どう思う?〉や〈今後絡む予定ある?〉といったような、男性Vtuberが女所帯の『New Tale』に加入したことについて、礼愛の意見を聞こうとするリスナーもいた。
中には〈同じ時間に配信とか繋がってんじゃないの?〉〈示し合わせちゃった?〉みたいな理屈のよくわからない推定荒らしがいた。
非合理的なコメントだとしても、結果的には間違っていないというのがおもしろい。同じ時間だろうがそうじゃなかろうが二人には兄妹関係という繋がりがあるし、礼愛は一方的に同じ時間に配信を合わせている。
「うおあー、しっかりと街だぁ。おにいさんがんばれー! がんばれ……いや、ちょっと押し付けがましい? よし『がんばって』っと……」
『はい、頑張ってやっていきますね』
「ぴゃーっ! また拾ってくれた! もうお兄さん寧音のこと好きじゃんっ!! 絶対好きじゃんっ!!! ねねもしゅきぃっ……」
「…………」
隣の寧音はやはりうるさかった。うるさい上にそこはかとなくねっとりしていて満遍なく気持ち悪い。もういい、こういう鳴き声の生き物なんだ。放っておこう。
しばらく四期生の女の子たちについて言及していた礼愛だったけれど、とあるコメントを発見して流れが変わる。
それが〈もしかしてあの人ってお兄さん?〉というもの。
『……もしかしてあなた、例のガチ恋眷属さんですか……?』
礼愛の配信をよく視聴するリスナーを指しているらしい『眷属』という呼称。その眷属さんが暗にジン・ラースを指して『お兄さん』と呼んでいるということは、以前の配信で礼愛がお兄さんの話を出していたのだろう。
度肝を抜かれたのは、続けられたセリフだった。
『はい、そうですよ。ジン・ラースは私の兄です。絶対に合格できると思っていたんですよ、私は! 「New Tale」の採用担当者さんがしっかりと能力を見極めてくれてよかったです!』
「ちょっ……」
「いつものれー姉の声だ!」
急に声のトーンを跳ね上げて嬉しそうに、にっこにこの笑顔でレイラが語る。微塵も隠したりせず、言い淀んだり誤魔化したりせず、敢然と言ってのけた。
お兄さんの話になってテンションと一緒に声のトーンも上がったからか、あたしの肩に激突するように寧音が距離を詰めてきた。ディスプレイ覗くなら頭だけ動かせよ。
あたしと寧音がポジション争いしているうちにコメント欄はお祭り騒ぎだ。さすがにお兄さんの初配信の時のように過激な文句が並ぶようなことはなかったけれど、刺激的な文言は多い。
『えっと……〈ありがとうございますこれで俺が助かります!〉……別にあなたを助けようと思った気持ちはこれっぽっちもありませんでしたが、あなたの意見で思いついたのは確かなので今回は不問にします。感謝しといてください、次はありません』
礼愛はさっきコメントしたリスナーさんのものだろうコメントを拾っていた。
かなり剣呑な雰囲気になりつつあるが、しかし一定の人数は礼愛に賛同している様子だ。
なぜだろうと不思議に思ったが、礼愛ならば配信中でもクラスメイトにするようにお兄さんの話をしていたとしてもおかしくはない。ネットリテラシーのしっかりしている礼愛のことなので個人を特定できるような情報は喋っていないだろうけれど、お兄さんとこんな話をした、こんなことしてくれた、こんな場所に遊びに連れて行ってくれた、くらいのことは話題にあげそうだ。
きっと礼愛とお兄さんの仲の良さを知っているから、リスナーたちはその絡みに期待しているのだろう。
『〈コラボいつ?〉……コラボはですねー、私はいつでもいいという感じなんですが、お兄ちゃんが気にしなくてもいいことを色々気にしてるんですよね……。一緒にFPSやりたいんですけどね。すごいですよ、お兄ちゃんは! 私の専属コーチですから!』
礼愛もそうだけれど、だんだんとコメント欄のほうもヒートアップしてきている。今じゃもう、肯定派と否定派、というかアンチじみたコメントで真っ二つといったところだ。温度差がすごい。
『〈聞いてた通り声良かった〉……でしょう?! そうなんです、お兄ちゃん声とってもいいんです! 私の評価に偽りなしですから! 声だけじゃないですけどね!』
最初とは比べるべくもないほどにコメント欄は荒れているが、そんなこと気にした風もなく礼愛は続ける。
ただ、視聴者数が増えるにつれ、コメントに荒っぽいものが増えてきた。
「うわぁ……すっごい」
「ほんとにね。あの賢い礼愛ならこうなることはわかってたでしょうに……」
「弓矢ぜんぜん外さない」
「ってお兄さんの配信か!」
あたしの隣のノートPCに目線をずらせば、お兄さんが操るキャラクターが弓矢を構え、襲いかかってくる敵を撃ち抜きまくっていた。近寄られたら剣に持ち替え、的確に距離とタイミングを計りながら一方的に攻撃する。ゲーム巧者なのは知っていたけれど、それはFPSだけではなかったようだ。
「うまい! お上手! 『まずはなにするの?』っと」
お兄さんの配信のほうはデフォルトで今の礼愛くらいに荒れている。常にそんな炎上寸前のようなじりじりとした熱を感じる配信を見ながら、それでも寧音はやっぱり楽しそうにしていた。
「あんたはまたのん気な……くすっ」
その様子は、あたしの肩から力を抜いてくれた。
そうだ、気にしすぎていても仕方がない。なるようにしかならないのだから。
『〈もしかしてコネ入社?〉……くふっ、そう思いますよね? でも違うんですよ、ふっふ。私は伝えておいた方が受かりやすいと思ったんで「New Tale」に話を通しておこうと思ったんですけどね、くふふっ……お兄ちゃんはですね、言ったんです。それだと不公平になる、って。それに、配信を始めたら正々堂々やらなきゃいけなくなるんだから、それで受かったとしても意味なんてない、って。はーもう、本当に……お兄ちゃんはお兄ちゃんなんですよ……まったくもう。くふふっ』
礼愛がお兄さんの話をする時に出る気持ち悪い笑い方が漏れている。なんだこれ、隣からも正面からも気持ち悪い声が聞こえてくるぞ。
コメント欄を見る限り、どうやらこれは常のレイラ・エンヴィとは異なるらしい。こんな様子のおかしい奴を見て、もちろんいじる人もいるけれど〈かわいい〉とか〈お兄ちゃんさんの話するとお嬢ふにゃふにゃしてて可愛い〉などという肯定的な反応が散見される。
恐ろしい世界だ。これがジェンダーギャップというやつか。
「ほら……やっぱりこうなった」
礼愛のリスナーが減っているわけではなく、これはきっと普段礼愛の配信を見ていない外部の人間が騒ぎに便乗したのだろう。
『ちょっと過激な少女漫画にありがちな、血の繋がっていない兄妹、みたいな展開はないんですよね。期待されている方には申し訳ありませんが、残念ながら普通に血の繋がった兄妹です。……ええ、残念ながら』
ぼそりと呟いた声はしっかり配信に乗っている。あんたが言うとガチ感がすごいからやめなさい。
そんな感じで礼愛はのらりくらりと外部視聴者をいなしていたが、さすがに人数が多くなってくると目につくコメントも悪意のあるものが増えていく。
剣呑な雰囲気が漂い始めた頃だった。とあるコメントを、礼愛が拾った。
『〈男がいても兄弟って言っときゃセーフなのか緩いもんだな〉……はあ? 兄ですけど? お兄ちゃんなんですけど?』
霜が降りるかと思うほどに急激に声から温度が取り除かれた。背筋が凍るくらいに冷え切った礼愛の声。
そうそう耳にする機会なんてない、敵意剥き出しの礼愛の語調だった。
おそらく配信が荒れたことなどないだろう礼愛では、さすがに冷静を保ったままでい続けることはできなかったのか。
そのコメントは拾う価値などまるでないものだ。
画面越しでただ視聴しているだけの人間には、レイラ・エンヴィとジン・ラースは兄妹関係ではないと証明することなんてできない。
しかし同様に、個人情報を曝け出すわけにはいかない礼愛も、レイラ・エンヴィとジン・ラースは兄妹関係であると証明することはできない。
なんなら拾う価値がないどころか有害とすら言える。『レイラ・エンヴィはジン・ラースが実の兄であると証明できなかった』という事実が残る分だけ状況はマイナスだ。ただそういう事実が残るだけで、バッシングしたい人間は都合のいい部分だけを
頭の回る礼愛にしては、珍しい失態だ。お兄さんに関わる事、というのも影響しているのかもしれない。
でも、だとしても、なんだか。
「なんだか、れー姉らしくないね」
お兄さんの一挙手一投足に奇声をあげていた寧音が、まさしくあたしも感じていたことを言葉にしてくれた。
ちなみについ先ほどはお兄さんが三十秒で作り上げた、どう贔屓目に見ても土蔵が精々なオブジェクトを『オシャレだなー! 天才だ!』だとか褒めちぎってキーボードをかたかたやっていた。土と砂と木材のハイブリットで建てられた家がお洒落なのだとしたら、あたしはお洒落にはなれなくていい。そういえば芸術面におけるセンスに欠けると、お兄さん本人も言っていた。こういうことだったのか。
いや、今はいいんだ。お兄さんの配信はまた後からしっかりアーカイブを見るんだ。今は礼愛の配信だ。
「そう、そうそれ。あたしも思ってたんだよね。なんだか礼愛らしくない。……そうだ、そうだよ。お兄さんを直接ディスられたのならともかく、本当の兄妹かどうかを突かれただけであそこまで熱くなって噛み付くなんておかしい」
「なんなら寧音には、話をそっちに持っていきたがってたふうにも聞こえたよ。頭の回る女が、自分のしたい話に持って行きたい時に出す声に似てた。れー姉から聞くとは思わなかったけど」
「それは……兄妹関係の話に、ってこと?」
いや、証明どうこうの件に、ということなのか。
でもそれは礼愛の失敗だったのではないだろうか。証明のしようがないことについて触れたって得るものはない。炎上を楽しんでいる不謹慎で悪趣味な人たちに餌をやるような悪手だったはずだ。
いったい何を考えているのだろう、と配信している
「『タイミングを合わせて配信する』……」
笑みとは呼べない程度の唇の不気味な動きを見て、不意に教室で話していた時の礼愛の顔を思い出した。紐づけられた記憶が引っ張られるように、その時に放たれた言葉が脳裏をよぎった。
「そっか……最初から礼愛はこういう流れを……」
あたしの推測を裏付けるように、礼愛は運んでいく。リスナーどころか荒らしすらも手のひらで転がして、思考を偏らせ、発言を誘導し、自分の望んだ方向へと。
『〈本当に兄妹かどうかなんてわからんしな〉〈ここまでソースなし〉ほう、そうですか。なるほど、そうですか。それなら証拠を見せてあげましょう。一分ほど待ちますから、今からお兄ちゃんの配信開いてください』
自信ありげな礼愛の表情と期待を持たせるような煽り文句で、コメント欄は盛況を超えて熱狂になっていた。祭りも祭りだった。まるでライブが始まる前のような、異常な熱を孕んだ盛り上がりだ。
「え……えっ、えっ?! れー姉なにするつもりなの?! なんかわかんないけどめっちゃわくわくする! ぜったい切り抜かれるよねここ! やったぁっ、生で観れた!」
「まじか……やっぱりか。どうなるの、これ……」
何かを企んでいる節のある礼愛が、タイミングを合わせて配信すると言った。
あたしは突発的なコラボでもするのかなと一度は思ったけれど、お兄さんの性格なら許可はしないだろうと考え、推測から排除した。でもだとしたら、なぜ礼愛はタイミングを合わせるなんてわざわざ言ったのか。
そんなもの、同じ時間に配信をしていないと意味がないからに決まっている。
叱らなければいけない時にはしっかり叱ることができるのがお兄さんだ。前もって話を通してしまうと、礼愛を自身の炎上に巻き込みたくないお兄さんは絶対に本気で止めようとする。だから無断でリア凸──インターネット上での絡みではなく、
礼愛の配信中に体の空いているお兄さんを呼ぶなどという方法ではなく、配信時間を合わせてリア凸するのはドキュメンタリー感、ライブ感を演出するためか。
わざわざ変なコメントを拾って激情に駆られたふりをしたのは、リスナーに煽られたことで突発的にこの一連の出来事が行われたことを強調させるため。
今日この配信中に、心ないリスナーに指摘されたことがきっかけで、発作的に礼愛はリア凸をしようと考えた。お互いに配信中で、事前の準備や口裏合わせなどをする時間が一切なかったことは、他の誰でもない、二人の配信を視聴していたリスナーたち全員が証人となる。
そういうシナリオ。これまでの雑談はすべて、この時のための布石でしかない。
極めつけがこれだ。
『みんな、お兄ちゃんの配信はつけられましたか? 今からお兄ちゃんの部屋に突撃してきます。さすがに、同棲してるんだろ、みたいな見当違いも甚だしいことを言うようなリスナーさんはいらっしゃいませんよね? 保護者が必要な学生の身分で、学校に通いながら彼氏と同棲するなんていうことはあまりにも現実味に欠けることくらい、ご理解されているでしょうからね』
即座に行動に移す。間を空けないからこそ力を持つ証明方法だ。
日をあけて凸をする、なんて日和ったことをしてしまえば事前に連絡してスケジュールを合わせたのだろう、というような揚げ足取りを許す隙が生まれてしまう。
今日、この配信中に実行するからこそ、反論の余地を残さない強く固い証明になる。
「あー……なるほどね、ここまで
「え? え? なに? つまりさっき怒ったように見せてたのも演技ってこと?」
「演技。ある意味、ここまで全部礼愛が書いた台本みたいなもん」
「うひゃぁ……これが女のサクリャクってやつかぁ。……こわ」
『えっと、とりあえず……いらっしゃいませ? ごゆっくりどうぞ』
お兄さんの配信のコメント欄は最初から流れが速かったけれど、礼愛の誘導が効いたのかここにきて一段階ギアを上げるようにコメントが溢れかえった。
「お兄さんの配信のほうに人が流れてきてるね。名前は出してないけど、れー姉の配信から来たっぽいリスナーさんたちがコメントしてる」
『じゃ、行ってきまーす。みなさん、向こうでまた会いましょう。ふふーん、お兄ちゃーん! 今会いにいくよー!』
「あ、礼愛が部屋出た」
レイラ・エンヴィの体を配信画面外へ移動させてテキストを表示させてから、礼愛は席を立った。きし、と小さく椅子が鳴る音。陽気な鼻歌と、たたんったたんっと軽やかなステップ、勢いよく扉を開き、どんどん小さくなって遠ざかっていく足音。
あたしは自分のノートPCから隣に視線をスライドし、寧音のPCを見る。
『えっ……』
礼愛の足音か、それとも扉の取手に手をかけた音か。なんらかの異音にお兄さんが気づいた頃には、もう手遅れだった。
当惑という表現がぴったり当てはまる声をこぼしたお兄さん。
その声を上から塗り潰すようにして発される扉を開く音と、あたしが聴き慣れた声。
『お兄ちゃん! コラボしに来たよ!』
『……えっ』
礼愛のチャンネルでは聴くことがなかった、礼愛らしい声。お兄さんと接する時の、棘も
さすがのお兄さんといえども頭が追いつかないらしい。長めの沈黙と、再びの当惑が返答だった。
とんとんとんとん、と軽快な足音の後、ぎしっ、と軋むような音が続いた。
『配信してたらね? お兄ちゃんが本当にお兄ちゃんかどうかわからない、証拠出せ、みたいなこと言われちゃったからさ。それじゃあ証拠見せたるわいっ、ってことで、お兄ちゃんの配信にお邪魔しに来ました。お邪魔しまーす!』
遠かった礼愛の声が鮮明に聴こえるようになった。さっきの音は、部屋に入ってすぐのところから近づいていって、お兄さんの座っている椅子にでも無理矢理一緒に座った時のものだったのだろう。
『い、いやっ、いやいや! 礼ちゃん何してるの?! 何してるかわかってるの?!』
慌てた様子のお兄さんが見える見える。配信中、まったくのアポなしで凸されれば誰でもこうなる。
『え? 何って……リア凸。あ、そうだ。挨拶が遅れました。お兄ちゃんの妹にして「New Tale」の二期生、人間界には調査の為に訪れている悪魔で女子高生、レイラ・エンヴィです。お兄ちゃんがいつもお世話になっています』
『挨拶してる場合じゃ……。いや、リスナーさんも〈よろしくお願いします〉じゃないんですよ』
『なんでよ。挨拶大事でしょ!』
『今は挨拶よりも大事な話があるよね?』
『ああ……大丈夫ですよ、皆さん。ご心配なく。配信タイトルのほうは後でお兄ちゃんに変えさせておきますね。概要欄にURLも載せておくようにします。興味を持った人は、お兄ちゃんともどもチャンネル登録してもらえると嬉しいです。ごめんなさい、お兄ちゃんはまだ始めたばっかりだから……手際の悪さは許してあげてくださいね?』
『そこじゃない……そこじゃないよ、礼ちゃん。リスナーさんも〈できた妹さんですね〉じゃないんですよ。〈お嬢いつもよりテンション高くてかわいい!〉と言っている人はきっと礼ちゃんのところの眷属さんですね。楽しんでもらえているようで何よりです。いつも妹がお世話になっております。……あれ? おかしいと感じているのは僕だけなのかな……』
まるで声に特殊なエフェクトでも掛けられたかのように可愛さマシマシになっている礼愛と、ひどく動揺しつつもしっかりコメントを拾って配信を続けるお兄さん。一緒にいられる時は常に一緒にいるほど仲のいい二人の息の合い方は、まさしく打てば響くといったところだ。リスナーからの反応もいい。
「くぁっ……二人ともめちゃ仲ええ……。お兄さんがかぁぃぃ。れー姉もかわいいっ……。うっ、くっ……っ、てぇてぇ……ジンレイてぇてぇ……」
寧音がぷるぷるしながら二人のやり取りを聴いていた。てぇてぇを連呼するオタクに成り果ててしまった。オタクはてぇてぇが鳴き声みたいなところもあるし、仕方ない。
ちなみに『てぇてぇ』とは『尊い』が変じたものだ。配信界隈、Vtuber界隈では、配信者同士が仲良くしている時などに使われる。好きとか素晴らしいとか最高とか、そういう感情を一纏めにして、オタクはてぇてぇと鳴くのである。
『お兄ちゃんアイクリしてるんでしょ? 私のお家見た?』
『あ、もう居座るつもりなんだ……。ごめんね、見てないんだ。でも礼ちゃんが作ったのは有志による切り抜きで観たから不満はないよ。それよりも街の中にいて、他のライバーさんと鉢合わせしちゃったら相手に迷惑かかっちゃうから、そっちのほうが困るかな』
『ふーん、そっか。他の人たちまで巻き込まれちゃうかもしれないリスクを背負う理由はないもんね』
『そう。だから礼ちゃんにも接触しないように、って言っておいたんだけどね』
『言ってたね。でも私、お兄ちゃんとコラボやりたかったんだもん。せっかく「New Tale」に入ったのにさあ。お兄ちゃんの言う通り待ってたら何ヶ月もできないままだっただろうし』
『それでこんな力技を……まあ、やってしまったものはしょうがないか。あとから「New Tale」の偉い人に怒られようね』
『えー』
『僕も一緒にね』
『はーい!』
お返事だけはいい子だね、と呆れたように、でもそれ以上にどこか嬉しそうに、お兄さんは呟いた。
「ぁぁ……てぇてぇ……」
「脳みそ溶けてんのか」
「はっ! 『てぇてぇ』っと……」
「人の言葉は忘れてもコメントすることだけは忘れないリスナーの模範生」
「模範囚と言ってほしいね」
「そっちのほうが聞こえが悪いけど……
推しであるお兄さんはもちろん、礼愛のことも大好きな、下手をすると実の姉よりも礼愛のことを慕っている寧音のことだ。この二人の絡みなんて至福以外の何物でもないだろう。
コメント欄では、荒らしにも負けずにお兄さんの配信を視聴していたらしいリスナーさんたちが賑やかしているし、礼愛のチャンネルから移動してきたのだろう眷属たちは妹モードの礼愛を見られてご満悦といった様子だ。
何より素晴らしいのは、アンチ的なコメントがかなり減少したことである。
人が出ていったわけではなく、おそらく状況についていけずに思考停止しているだけだ。なので、これは一時的なものなのだろう。
だとしても、今この瞬間だけはまっとうな配信風景に見える。これこそが本来、お兄さんが享受してしかるべき環境だ。
仮に一時的だとしても、礼愛が作り出した奇跡のような時間をめいっぱい楽しんでほしい。配信活動は楽しいものなのだと知ってほしい。
「……がんばって、お兄さん」
きっとその為に──辛いことがあってもそれ以上に楽しいことがたくさんあると知ってもらう為に、礼愛も体を張って無理をしたのだろうから。
『それでお兄ちゃん、何これ』
『これ? 僕のお家だよ。マイ掘立てハウス。と言っても、必要最低限の家具を詰め込んだだけの臨時の拠点だけどね』
『そうだよね、あーよかった。こんなのお家なんて呼んでたらダイナマイトで爆破するところだったよ』
『ひ、ひどい……そりゃあ手抜きではあるけど、リスナーさんの中には〈かわいいログハウス〉って褒めてくれる人もいたのに……』
『統一感のなさで統一されたような空間をお家なんて呼ぶのは、お家という概念そのものに対する侮辱だよ』
『臨時拠点を作っただけでここまで言われてしまうのか……』
妹ならではの鋭い舌鋒であった。
少々お兄さんが可哀想かもしれないが、ぜんぜん同情できないセンスをしているので慰めてはあげられない。お家の造形に対して言及してくれた礼愛に思わず頷いてしまうくらいだ。
「いやぁ……あれでは言われても仕方ないよね……」
「さ、三百年後には賞賛されるような非凡な才能がお兄さんにはあるんだよっ! 寧音にはわかる!」
三百年後から寧音は来たのかな。少なくとも現代では認められることはない。このセンスが認められるのは今世はもちろん、来世の来世ですら訪れるか危ういほどの時間が必要らしい。
『大きめのお墓は作ったみたいだけど、これからの予定は?』
『この建物墳墓じゃないんです……。えっと、今使ってる道具が木製だったから、石製か鉄製の道具にアップグレードしようとしてたんだよ。ついさっきまで地下に潜ってたんだ』
『配信開始数十分でえらく順調だね……。あれ、道具とか武器はあるけど、防具とかは作らないの?』
『まずは作業効率を優先したかったからね。攻撃を受けなかったら防具は不要だし、優先順位の問題で作らなかったんだよ』
『合理的というか効率主義というか……お兄ちゃんは相変わらずだね』
『弓矢があったら攻撃を受ける機会は少なくなるよね』
『普通はそんなにぱかすか当たるものじゃないんだよ。……ねえ、お兄ちゃん。たしかアイクリ初めてだよね?』
『そうだよ?』
『なんだか動きがビギナーとは思えないんだけど……』
『礼ちゃんや他の人がやっている動画も見てたからね。あと、もしかしたら他のゲームでやってた動きが無意識で出ちゃってるのかも』
『ほんとお兄ちゃんって慣れるの早いよね! ブロック積むのとか立ち回りとか! すごい!』
『そう? ふふっ、そうやって褒めてもらえるのは嬉しいね』
そんなのほほんとした仲良し兄妹の会話を繰り広げながらも同時並行で急に出てきた敵モンスターを撃退していた。驚いたりしないのか。
お兄さんの視界に入った端から敵モンスターが塵に帰るので、なんとも緊迫感というものがない。悪魔兄妹の心地よい美声と穏やかなトーク、息の合った掛け合い。耳から入って脳みそを甘やかにとろけさせる幸せな時間だ。
「れー姉もそうだけど、お兄さんも楽しそうだ! 声が弾んでる!」
「あ、そういえばたしかに。お兄さん一人の時はちょっと硬い感じだったけど、今はふだんと変わらないや。柔らかくて暖かい、いつものお兄さんだ」
「やめて。急に冷たい現実を見せつけないで。お兄さんとれー姉の絡みでぽかぽかに癒された心が凍えちゃう。温度差で寧音壊れちゃう」
「……ご、ごめん」
デリケートすぎる。取り扱いが難しい。ガラス細工なのかあんたは。
『そういえば、礼ちゃんの配信は今どうなってるの? もう閉じたの?』
『ううん。そのままだよ。放置してる』
『そ、それじゃあ今配信は……』
『無人で無音だね。かなり革命的な配信になってると思うよ』
あたしのノートPCに映っている礼愛の配信画面を見る。
離席前に投げやりに用意されたテキスト『お兄ちゃんの配信にお邪魔しに行っています』の文字が画面中央で虚しく踊っている。一応どういう状況かだけは書き記されているけれど、お兄ちゃんが誰なのかの説明はないので結局役には立っていない。
『はやく戻ってあげて。途中から来た眷属さんは何事かと思っちゃうよ』
『えー、コラボが……お兄ちゃんとのコラボが……あっ! いいこと思いついた!』
『ここからはアイクリコラボ配信にしようか』
『そう! さすがお兄ちゃんっ、私のことよくわかってる! それじゃVC繋ぐから、コミュニケーションアプリのID教えて』
『はいはい、急かさないで。教えるから』
『……っ。うわー。お兄ちゃん、本当にライバーの誰ともID交換してないんだね。事務所のスタッフさんしか入ってないや』
『業務連絡用に教えてもらってからそれっきりだったね。配信者で登録されるのは礼ちゃんが一人目だ』
『やった! 一番乗りだ! それにしても私にすら教えてくれないとか徹底しすぎじゃない?』
『それはそうだよ、本来ならこんなに早く兄妹だってことを明かす予定じゃなかったんだから』
『押しかけてよかったー』
『よくないんだよね』
『じゃ、私は部屋に戻るね。お兄ちゃんの配信を観てる皆さん、しばしお別れです。またすぐに戻ってきますからね。それでは』
離席の挨拶をした後、がさごそと物音がした。最後に、かちゃと小さくだけれど扉を閉める音が聞こえたので礼愛がお兄さんの部屋から退出したのだろう。
『ふう……皆様、お騒がせして申し訳ありません。妹には関わらないようにと伝えておいたのですが、僕が一人寂しく配信しているところを見て励ましに来てくれたようです。優しい妹なんです。よければ妹にも応援のほど、よろしくお願いします』
礼愛が退室するや、お兄さんはすぐに礼愛のフォローをしていた。もとは巻き込みたくないという一心で配信上での関わりを絶っていたのだ。これで礼愛が同じように炎上して活動がやりにくくなったら、お兄さんは自分を責めてしまうかもしれない。
幸い、リスナーには肯定的な意見が多い。〈おもしろかったよ〉〈お兄さーん!俺だー!結婚してくれー!〉〈めっちゃお兄ちゃんしてた〉〈妹さんを僕にください〉〈かわいい〉〈てぇてぇ〉など、一部変なのを除いて礼愛とお兄さんの絡みを楽しんでいた。
もちろんアンチや荒らし、誹謗中傷を書き込む人もいるが、今はポジティブなコメントとネガティブなコメントが半々といった配分だ。
最初は騒ぎに便乗して野次を飛ばしていたような人もいただろうが、そういった人の中には楽しければなんだっていいという刹那的なタイプもいる。批判したり重箱の隅をつんつんつつくよりも面白いことが目の前で起こっていたら、わりと簡単に態度を引っ繰り返し得る。手がドリルになっているタイプの人だ。手のひらをくるんくるん返す人種。
この度の礼愛の一件でお兄さんの置かれた立場が劇的に改善されることはないかもしれないけど、それでもこれは大きな前進になった。お兄さんが気兼ねなく、楽しく配信をできるようになる日に、大きく近づいたと思う。
お兄さんの配信にリア凸するところまでは礼愛の采配通りに進んだだろうけれど、実際のところ、その後の影響はどこまでが予想通りだったのか。
全ての展開が礼愛の
『お兄ちゃーん、聞こえるー?』
『はいはい、聞こえてるよ。アイクリの準備できた?』
『うん! すぐそっち行くよ! お兄ちゃんの家作るの手伝ってあげるからね! 主にデザイン面で!』
『それはとっても助かるよ。どれだけ磨いてもセンスだけは光らなかったから』
『泥団子でも磨いたら光るというのに』
『土くれ程度の素質もなかったようです』
あ、音量大丈夫でしょうか、と礼愛との雑談中に思い出したようにリスナーに訊ねるお兄さん。話し始めればすぐに花を咲かせてしまう二人だ。どこかで強引に話を本線へと戻さなければ、きっと永遠にレールから脱線しっぱなしになるだろう。
「お兄さんとれー姉っていつもこんなに仲良くお喋りしてるの? もうなんか……ずっとこのまま二人でお喋りしてそうだけど」
「あたしがいる時はお兄さんも礼愛も気を遣って話を振ってくれるから、ここまでじゃない、かな? でも礼愛の話を聞く限り、二人っきりだともっといちゃこらしてるみたい」
「これ以上って……てぇてぇ。あぁ、やばい……描きたい。お兄さんとれー姉のイラスト描きたい……」
二人がひっつきながら和気藹々とお喋りするシーンでも妄想しているのか、寧音が頭を抱えて呻きだした。なまじ妄想を表現する能力がある分、創作意欲が湧き出してしまうのだろう。あたしも興味があるので助力を請われたら喜んで手を貸そう。
『それでは! 眷属さんたちには急な展開で申し訳ないですが、これからお兄ちゃんとアイクリやっていきます!』
『はい、僕のプランニングでは数ヶ月後になっていたはずの礼ちゃんとのコラボを、デビュー早々二日目にしてやっていきます。皆様よろしくお願いします』
あたしが懸念していた礼愛の計画は見事に歯車が噛み合い、好転し始めた。どうなるかとても心配だったけれど一安心である。
これでようやく、あたしも二人の配信を心から楽しんで視聴できそうだ。
妹ちゃん、動きます。
*スパチャ読み!
Acedia-49さん、赤色のスーパーチャットありがとうございます!
猫鍋@冬眠中さん、評価更新してくれたんですね。評価の数字よりもこうして継続して読んでくれてることが嬉しいです。赤色のスーパーなチャットありがとう!ございます!
AirHertzさん、赤スパてーんきゅっ!ありがとうございます!
かささん、上限の赤色スーパーチャットありがとうございます!がんばります!
ふがふがふがしすさん、赤色のスーパーなチャットありがとっ!ございます!
06FZさん、赤スパてんきゅー!ありがとうございます!
たいさ!さん、上限の赤色のスーパーチャットありがとうございます!き、期待を裏切らないようがんばりますぜ……!