サイコバグなお兄ちゃん、Vtuberになる。   作:にいるあらと

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手錠

『──めるという選択肢を取ることはなかったでしょうね。めろさんの気持ちの変化に気づいた時は正直なところ、残念というか複雑──』

 

 ジン・ラースは続けてなにかを喋っているが、自分は未だぶつけられた一言を咀嚼(そしゃく)しきれていない。それ以降の話は耳から耳へ、まるで上滑りするように脳を経由せずに素通りしていく。

 

 自分がこれまでやってきた活動を完膚(かんぷ)なきまでに否定された。自分自身ですら認識できていなかった本質を叩きつけるように直視させられた。

 

 完全なる敗北だ。

 

 昨夜はグループとして負けて、今夜は個人として負けた。自分はこんなに敗北感を味わわされてるのに、ジン・ラースは飛んできた火の粉を払ったくらいの気持ちでしかいないのが、なおさら苦しくなる。

 

 自分は惨めな敗北者だ。周囲を飛び交い、(わずら)わしく感じた途端に叩き潰されるような羽虫だ。地べたに這いつくばり、ジン・ラースのお情けで法の裁きを受けずに浅ましくも見苦しく存命している虫けらだ。

 

 だとしても。

 

『── したけど、でもそれは良いことなのだと僕は考えています。未来に──』

 

 自分という存在を木っ端微塵に砕かれても、それでもこれだけは譲れない。気持ちが失われたなんて、それだけは許せない。

 

 項垂(うなだ)れていた頭を上げる。丸まっていた体を起こす。

 

 この気持ちだけは、本物なのだ。推しへの想いは今もなお、色褪(いろあ)せず脳髄に焼き付いている。

 

「……愛していた」

 

『──向けて一歩踏み出したと……すいません。コミュケーションアプリのラグで音が重なってしまい、よく聞こえ……』

 

「自分はッ、愛してたんだ! ずっと、ずっとずっとッ、愛してた! いつも明るくて、楽しそうに配信している彼女から元気をもらってた。仕事に行き詰まった時も、クライアントから理不尽な注文を押しつけられた時も、親に結婚がどうとか小言を言われた時も! どれだけ苦しくて辛い時も、推しの声と笑顔に救われてきたんだ! まだ同接が一桁だった時、自分がなんの気なしに送った愚痴に等しいコメントに対して彼女は親身に励ましてくれた。たまにはがんばりすぎないで、ほどほどに力を抜こうって、応援してくれた。自分以外のすべてが敵に見えた時、彼女だけが自分の味方になってくれたんだ!」

 

『……ああ。なるほど。…………だったのか』

 

「自分の中で彼女の存在が大きくなった。心にゆとりができて仕事もうまくいくようになった。だから、仕事が軌道に乗って時間とお金に余裕ができた時、自分は恩返ししたいと思ったんだ!」

 

『うん……。それは、わかるよ……』

 

「励ましてもらった、応援してもらった、救ってもらった! だから今度は、自分が彼女の背中を押すんだって! だからッ、自分はッ──」

 

『その後は言わなくてもいいよ。もういい。大丈夫。あなたの気持ちは伝わったから』

 

「なにがわかるんだ?! おまえッ、お前なんかにッ!」

 

『絶望の中で手を差し伸べてくれた相手に、感謝と恩を抱いたんだよね。わかるよ。自分一人だけではどうにもできなくなった時に、寄り添ってくれたように感じたんだよね。わかるよ。道を踏み外しそうになった時に、そっと引き戻してくれたんだよね。わかるよ。わかってるよ。僕も知ってるんだ。その気持ちは、痛いくらいに』

 

「お前、なんかにっ……」

 

 罵声を浴びせてやりたかった。

 

 否定して、拒絶して、突っぱねてやりたかった。お前なんかに自分の気持ちがわかるものか、って大声で罵ってやりたかった。

 

 なのに、なんで。

 

「なんで、お前なんかにっ、わかるんだ……っ」

 

 なんで、自分の口からあふれてくるのは、濡れそぼつように詰まった声と、絶対に言いたくなかった言葉なのだろう。

 

『自分の受けた恩を返したくて、相手に感謝を伝えたくて、相手の役に立ちたくて、だから相手の為になることをしようとして……それがいつしか、自分の生きる理由になった。……うん、わかるよ』

 

 自分の心の内側を、心の奥底を見透かしているかのように言い当てるジン・ラースに、自分は肯定も否定もできない。自分の口を押さえ、嗚咽(おえつ)が漏れないように、声がジン・ラースに聞こえないように、必死に耐えることしかできなかった。

 

『でも、でもね、めろさん。落ち着いて聞いてほしいんだ。あなたの言った通りなんだ。「愛していた」であって、もう「愛している」じゃないんだ』

 

「は────」

 

 掠れたような音が喉の奥から溢れた。張り詰めた心が音を立てて(こぼ)れた。

 

『……以前のあなたを否定するつもりは僕にはないし、できない。こんなことになる前に抱いていたあなたの気持ちは、純粋なものだったと思う。イベントがあれば必ず(おもむ)いて、グッズを手に入れては喜んで、推しの配信は自主的に切り抜いて編集して新規のファン獲得に貢献して、ボイスが販売されればSNSでも切り抜き動画でも宣伝する。それ以外でも頻繁に推しに関連した投稿をして、いろんな人に知ってもらおうと努力して。時間も、お金も、労力もかかるのに、一切(いと)うことなく一途に応援していた。それらをこれ見よがしにアピールすることもなかった。推しの女性に気持ちを押し付けることもなかった。それは正真正銘、愛だった(・・・)。……でも』

 

 その先を、言わないでほしい。自分に見せつけないでほしい。ずっと逃げ続けていた現実に、向き合わせないでほしい。

 

 頭の中で鐘を打っているみたいに、心臓の音がけたたましく自分の内側で響いている。

 

 震える手で、胸を掻き抱いた。

 

『……でも、それは、今ではもう変わり果てている。穢れて歪んで、腐り落ちている』

 

 刃物を直接突き立てられたかのように胸が痛んだ。止め処なく流れて伝う雫が滴って、手の甲で弾けた。

 

『確信したのは、捏造動画の時。あの時僕が驚いたのは捏造動画をあのクオリティで完成させた編集技術もそうだけど、何よりも愕然としたのは、めろさんがあれだけ大切に想っていた女性の動画を利用したことだった。件の女性とジン・ラースは交流があった、もしくは交際している相手がジン・ラースだった、などというふうに真実を捻じ曲げるのはジン・ラースを排斥するにあたってたしかに好都合だったと思う。でも都合がいいから、効率がいいからといって、推しを自身の目的のために……汚い手段のために利用するだなんて思わなかった。めろさんが自分で気づいているか否かは関係ない。他者を叩くための道具にした時点で……いや、しようとした時点で、それはもう愛とは呼べない。呼んではいけない』

 

「っ……そんなに、いけないことなのか。そんなに間違ったことなのか。他人に興味のない自分が初めて純粋に、心の底から人を応援したいと思ったんだ。ずっとその人の活動を見ていたいって思ったんだ。なのに……っ、あの男が奪ったんだ! 性欲でしか女を見てないようなあの男が! 男なんてそんな生き物だろうが! あのクズがっ……奪ったんだ……っ。大事な人……っ、自分には、彼女が必要だったのに……っ。憎んでなにが悪いッ! 恨んでなにが悪いんだッ! 似たようなお前に制裁を加えてなにが悪いッ! じぶんは、これまで、ずっと……ッ、彼女を……愛して……っ」

 

 痙攣する横隔膜に鞭を打ち、絶え絶えな肺からなけなしの空気を吐いて、震える喉から絞り出したのは、的外れで狂気的な戯言(たわごと)だった。

 

 お門違いなことはわかっている。こんな愚か者の末期につき合わせるべきではないことも。ジン・ラースに非はないことも。自分にこんな言われ方をする筋合いなんてジン・ラースにないことも。なにもかも、ぜんぶわかってる。

 

 それでも期待してしまった。きっとジン・ラースは、自分に必要な言葉を言ってくれるのだろうと、そんな都合のいい期待を。

 

『間違ってるよ。一から十までじゃない。ゼロから百まで間違っている』

 

 それは、情け容赦もなく、ではない。

 

 情けがあるからこそ容赦なく、一思いに自分を介錯(かいしゃく)してくれる。そう身勝手に期待した自分へ、ジン・ラースは真摯に応えてくれた。

 

『応援するのに見返りを求めるな、なんてことを言ってるわけじゃないよ。見返りを求めたっていい、自分の考えを主張したっていい。自分の言う通りに動いて欲しいと思ったっていい。自分を見てほしいって願ったっていい。でもそれを──』

 

──『愛』だなんて美化するな。

 

 そう言い放ったジン・ラースの言葉は、苦しみ悶える自分の首を一刀で落とすかのようだった。

 

 ああ、こいつは本当に、どこまで自分のことを理解しているのだろう。どうして、ずっと酷いことをしてきた自分なんかに、今一番欲しい言葉をくれるのだろう。

 

 メンバーの誰も言ってはくれなかった。直視したくなくて目を背け続けていた現実を、自分とは対極にいたはずのジン・ラースだけが、はっきりと口にしてくれた。

 

 わかっていたんだ、気づいていたんだ。自分が推しに向けている感情が、愛ではなくなっていたことなんて。

 

 気づいていたのに、認めたくなかった。今の捻じ曲がった感情を認めてしまったら、推しを真剣に応援していた過去まで汚濁に塗れてしまう気がしたから。

 

『交際していただとか、結婚を予定しているだとか、急に聞かされたことで受けた衝撃は計り知れないものだったとは思う。青天の霹靂だっただろうね。そこに同情しないと言えば嘘になる。でも、愛していた人が自分とは違う誰かと結ばれて幸せになったことで、愛していた人やその相手の人に怒ったり批判したりするのは間違っている。そんなものは愛とは呼ばない。……無償で、見返りを求めず、相手の幸せを心から願う気持ちのことを愛と呼ぶんだ。そうでなければ、愛ではない。そうでなければ、欲でしかない』

 

「……ああ。……そう、なんだろうな……」

 

 ジン・ラースに対して、自分は一言たりともけちをつけることができない。

 

 そこらの人間では説得力がない。なんなら『嘘をつくな』と鼻で笑える。

 

 でも、ジン・ラースが言うと真実味がある。理想論のような『愛』の体現者。ジン・ラースでは、言葉の重さが違う。

 

 自分はジン・ラースがデビューしてからずっと、排除するための隙を探して配信を視聴してきた。活動の邪魔をするためのきっかけがないかと、ジン・ラースの妹であるレイラ・エンヴィの配信も、昔のものまで(さかのぼ)って観るようになった。

 

 そのレイラ・エンヴィが、ことあるごとに兄の話をしていたのだ。仕事が忙しく家を空けがちな両親に代わって家事全般を担っていることや、どれだけ疲れていても車を出して学校まで送ること、勉強でわからないことがあればわかるまで教えること、スポーツや歌や楽器のテストを前にしてできないことがあれば気が済むまでつき合うこと。レイラ・エンヴィの兄のエピソードはバラエティに富んでいる上に枚挙にいとまがない。

 

 もし誇張なくレイラ・エンヴィの言葉通りなら、そんな無償の献身をジン・ラースはずっと捧げている。きっと、それこそを愛と呼称するのだろう。

 

 机上の空論ではない。理想の絵空事ではない。現実離れした理想をジン・ラース自身が体現している。

 

 これだけの理想論を唱えても嘘吐きと嘲笑できない。清廉で誠実で、自分が初めて敬意を持った男。

 

 こんな感情を抱く男なんて、ジン・ラースが唯一だ。

 

「……あぁ、そっか」

 

 これまではその失言のなさによってつけ入る隙がなく、争う術がない状態だったが、今はもう抗う意志さえ失われた。

 

 自分の心が根元からぽっきりと折れてしまったのを自覚する。ジン・ラースを叩く材料があろうがなかろうが、もうなにもできない。敵対し続けられる精神状態じゃない。

 

「……終わったのか、なにもかも」

 

 PC用のチェアの背もたれに体を預ける。ゲームをしない癖に購入したそこそこ値の張るお高いゲーミングチェアは軋む音も最小限に、脱力した自分の体を支えてくれた。

 

 肺腑(はいふ)滞留(たいりゅう)する(よど)んだような空気を吐き出す。

 

 すべて、だ。すべてがこれで終わるというのに、なぜか気分はすっきりとしていた。

 

 もしかしたら、呪いを解いてもらった時の気分というのはこんな感じなのだろうか。あるいは、自分自身が呪いのような存在になっていたのか。どちらかといえば後者のほうがしっくりくる。

 

 推しに傾けていた愛情も、ジン・ラースに向けていた憎悪も、自分が掲げていた大義も、全部偽物だった。なに一つとして、誇れるものなんてこの手のひらにはなかった。

 

 今、自分の心を覆い尽くしているこの名状し難い気持ちは、なんなのだろう。絶望よりも緩慢に侵蝕し、恐怖よりも苦痛に富んで、激情よりも感情が混濁している。そしてなによりも、辛くて悲しくて涙が出るのに、どこか愉快で笑えてくる。

 

 この気持ちの名前は。

 

 きっと、知らないままでもいいのだろう。知らないほうが、いいのだろう。

 

「……ジン・ラース」

 

『うん? なにかな、めろさん』

 

「……ありがとう。ごめん。自分が、間違っていた」

 

 以前の自分なら、たとえ眉間に銃を突きつけられても、ナイフを首に押し当てられても、絶対に口にしなかった言葉。それが今は、素直に言えた。

 

 上辺だけを取り繕った安っぽい謝罪ではない。自分の正直な思いだった。

 

『……そう。わかった。受け取っておくよ。真摯な言葉だったからね。……めろさん、言いたいことは全部言えた?』

 

 急にそんなことを訊いてきたジン・ラースに思わず笑ってしまう。そういえば、自分の主張を聞いてもらうために、今日この場が用意されたのだった。ジン・ラースに言われたことがあまりにも強烈すぎて失念していた。

 

「ははっ……うん。もう思い残すことはない」

 

『そっか。じゃあ、僕も言うべきことは言えたし、これからの話をしようか』

 

「これから?」

 

『ほら、昨日の配信で僕言ったでしょ? 法的措置がどうこうとか』

 

「……ああ、そういえば」

 

 ふと、SNS上でグループのメンバーが許しを乞うように謝罪文を投稿していたのを思い出した。反省した体を取ってさえいれば法的措置は行わないとジン・ラースが明言した、あれだ。

 

 昨日のことなのに、なんだかもう遠い昔みたいな感覚だ。

 

 今となっては、沈む船から我先にと逃げるようだったメンバーに対してなんの感情も湧かない。親しみも怒りも悲しみも哀れさも、なにも感じなかった。

 

『こうして謝ってもらったわけだし、もちろん法的措置はしないよ』

 

「……正気か? 一応自分はグループのリーダーみたいな立場だったのに? これまでずっと酷いことをしてきたのに?」

 

『グループの方針から逸脱するメンバーを(たしな)めたり、時には咎めたりしてたし、何よりめろさん自身は礼ちゃんに荒らし行為をしてなかったからね。法的措置をする理由がないや。あとは……ちょっと個人的な理由で恥ずかしいんだけど、ね。僕と似たような立場でありながら、僕とは違うめろさんのことを、僕は尊敬しているんだ。仲間意識……って言うのかな?』

 

 これまでと変わらない真剣みのあるトーンで『尊敬している』などと(のたま)うジン・ラースに呆気に取られた。どこをどう区切ってもジン・ラースの言うような『仲間』なんていうカテゴリーには自分たちは収まらない。

 

 配信者と視聴者、被害者と加害者。そして勝者と敗者。主観的に見ても客観的に見ても、どこまでも対照的だ。冗談には思えないが、信じられなかった。

 

 まぁ、ジン・ラースの配信を観ている限り、ジン・ラースは冗談を言う時もまったく声のトーンに変化はないので、これも冗談という可能性はなきにしもあらず。

 

「……尊敬? 仲間? 本気で言ってんの? いや、嘘ついてるようには聞こえないんだけど……」

 

 確かめるように訊ねる自分に、ジン・ラースは考える時間すら置かずに即答する。

 

『もちろん本気だよ。めろさんが推しの女性に抱いていた感情は、今では歪んでしまっているのだとしても、歪む前は本物だった。僕が知っている愛は肉親にしか向いていないけど、めろさんは違う。血の繋がっていない他人に対して、僕が礼ちゃんに向けている愛情と同じくらいの愛情を他人に、推しの女性に向けていたんだ。それは僕にはできないことだった、だから尊敬しているんだ。僕と同じくらい誰かを愛することができる、だから勝手に仲間意識を持っているんだよ』

 

「そう……そっ、か。……ははっ、そっか」

 

 べつにジン・ラースは自分を全否定していたわけではなかった。

 

 推しがいなくなってからの自分が持っていた感情は、愛を(かた)る欲だった。ジン・ラースは、欲を美化して愛を語っていた自分を否定していただけなのだ。

 

 推しがいなくなる前には確かにあった愛を認めてくれていることがわかって、もう出尽くしたと思っていた涙がまた湧いて出てきそうだった。

 

「っ、あ、あのさ……」

 

『うん? なに?』

 

 一つだけ、ジン・ラースに訊いてみたくなった。他人にはわりと無関心という部分は共通しているくせに、愛情という一点において自分とは違って高い見識を持つジン・ラースに。

 

「お前は、さ……なにも、思わないの? 自分がこんなに推しのこと大好きとか愛してるとか言ってるのを見て、聞いて……なにも思わないわけ? ……気持ち悪い、って思わないの?」

 

 グループのメンバーにさえすることはなかった自分の話だ。他者に影響されない確固たる己の意思を持っているジン・ラースの意見を聞いてみたくなった。

 

『え? どうして? 何が気持ち悪いの? 人を好きになる、大事に思うって、それはとても素敵なことなのに』

 

 こいつ、人の心は読める癖に会話の空気は読めないのか。それともわざとやっているのか。

 

 自分が言っているのはそういうことじゃない。こいつの情報収集能力なら絶対にすでに知ってるはずなのに、しらを切るのは自分の口から直接言わせたいがためなのか。

 

 こいつは性格がひん曲がっている。こいつと付き合う女は絶対に苦労する。もしくは女の性癖がひん曲がる。性癖が元からひん曲がっている女が付き合うならwin-winの良好な交際ができるだろう。

 

「だからっ……女が女に対して大好きとか愛してるとか言ってることだ! ……知ってるんだろ、どうせ」

 

『あれ? 隠してたの?』

 

「……いや、べつに……隠してたつもりはない、けど……」

 

『SNSでも、この人は女性なんだろうなと思わせる部分はちらほらあったしね』

 

「……情報収集される側の気持ち悪さを初めて知ったよ」

 

 あえて隠そうとはしていなかったが、やはりジン・ラースは当然のように自分が女であることを把握していた。自撮りをSNSに上げる趣味はないが、自室で推しのグッズの写真を撮ったりはしていた。そういう写真のどこかから情報を拾ったのだろう。荒らし用のアカウントや推しを宣伝するためのアカウントだけでなく、なぜ推しのグッズ入手報告やイベントを楽しんできた報告などの投稿をしているサブアカウントまで知っているのか、という疑問はあるが、しかし相手はジン・ラースだ。知っててもなんらおかしくない。

 

 もしグループのメンバーに性別について訊かれていたら、答えるくらいはしていただろう。たしかに嘘をついてまで誤魔化そうとはしていなかった。

 

 ただ、率先して性別を明らかにしようとはしていなかっただけだ。仕事でクライアントと電話する時も、自分は地声が低くて女と気づかれなかったことだってあったけど、わざわざ訂正したりはしなかった。

 

 それでも、声と合わせて言葉遣いまで荒っぽくしているのは、女だと思われないようにしているからなのだろう。

 

 そのように男を演じているのに、自分は男が嫌いだ。大嫌いだ。生理的に受けつけない。

 

 お母さんにいつも苦労ばかりかけていた屑な父親。学生時代に告白してきた、性欲でしか女を見ていない同級生の男。女なら愛想よく酒でも注げよ、なんて前時代的なことを平気で言うカビの生えた価値観を持っていた会社勤めしている時の上司。

 

 気持ち悪い。不快だ。嫌悪感しかない。

 

 男だと思わせるように振る舞っている自分にも、嫌悪感しかない。

 

 自分で自分が嫌になるのに、脳みそに刻みつけられた言葉が自分に向けられるのを怖がっている。

 

 あの日の出来事は忘れられそうにない。推しのイベントに行った帰りのことだった。

 

 自分の少し前を、二人の女性が歩いていた。服装は似通っていて、絡ませている指にはシンプルだけどお洒落なリングが輝いていた。仲睦まじく、顔を近づけて小声でお喋りしているところを目撃した自分は単純に『幸せそうだな』なんて思ったけれど、横を通り過ぎたカップルの男が言ったのだ。声を落とす素振りもなく、これ見よがしに、少なくとも自分には充分はっきりと聞こえる声量で。

 

 『女同士でなんて、気持ち悪いよね』と。

 

 それに対して自分は、その男に食ってかかったわけでもなく、自分の前を行く二人の女性に聞こえていませんようにと祈ったわけでもなかった。

 

 ただ、酸素が薄くなったような息苦しさと、目の前が真っ暗になるような衝撃だけを感じていた。イベント後の高揚感は影も形もなくなっていた。

 

 世間一般の常識と照らし合わせれば、自分の感性のほうが間違っているのだろう。お前は異端なのだと、指を差されて言われているような気がした。

 

 もちろん、あれほど明け透けに差別的発言をする男は極端な例だとは思う。価値観が時代と逆行している。それはちゃんと理解している。

 

 なのに、返しのついた棘のように、あの言葉がずっと胸に引っかかって抜けてくれない。

 

 べつにジン・ラースに慰めてほしいわけではない。励ましてほしいわけではない。ましてや、認めてほしいわけでもない。

 

 ただ、ジン・ラースの意見を聞いてみたくなった。これほどまでに自分の心を見通すような男はどんなふうに考えているのか、愛情について一家言(いっかげん)持っている男はどう答えるのか、気になった。それだけ。それだけのことだ。

 

『明かしたくないことがあるのなら、情報の出し方には気をつけたほうがいいよ? 世間にはどこで撮影された写真かを探すような変わった趣味の人もいるし、特殊な技術を持った人もいる。僕程度でもめろさんの住んでいる地域を特定できるくらいだし……』

 

「自分のことはいい。お前だ。ジン・ラースがどう思ったか。お前の意見が聞きたい」

 

『ふむ……。…………』

 

 話が逸れそうになったのを強引に引き戻し、自分はジン・ラースに訊き直す。正直、住所特定云々の話は聞き捨てならないというか、心胆を寒からしめるものがあったが、それでも訊き直した。

 

 数秒か十数秒か、こいつにしてはめずらしく考え込むように、短くない時間押し黙った。配信中でも今日の通話中でも、先に答えを用意しているのかと思うくらいレスポンスの速いこいつが。

 

 ジン・ラースが今、なにを考えて、どう思っているのか。恥ずかしながら自分はまったく見当がつかない。

 

 こいつがデビューしてからというもの、自分は一日たりともジン・ラースのことを考えなかった日はなかった。どうすれば足を(すく)えるか、弱点はなにか、どんな人間性をしているのか、ずっとこいつのことばかり考えていた。ジン・ラースの発言を文字起こししてどういった傾向があるのかまで調べてみたりした。

 

 結果的に、妹を好き過ぎることと、妹に関わること以外に関心がないことしかわからなかった。

 

『……ああ、なるほど』

 

「……なるほど?」

 

 なるほどじゃねぇよ。こっちはお前の意見を聞かせろって言ってんだよ、と詰りたくなる気持ちを抑えている間に、ジン・ラースは続けて言う。

 

『めろさんは誰かにそう言われたことがあるんだね。「気持ち悪い」って』

 

「なっ……」

 

 自分が要求していたこととはあまりにもかけ離れているが、ジン・ラースの言っていることは間違っているとは言えなかった。たしかにそう言われたからだ。その言葉が自分には向けられていなかっただけで。

 

『SNSとかで文字として目にしたわけじゃなさそうだ。わざわざ僕に訊ねるくらい鮮烈に記憶に残っているみたいだし、実際に人の口から言われたんだろうね。そして「気持ち悪い」って言われたことに、めろさんは傷ついた。とても嫌な気持ちになった。だから、そう思う人ばかりなのかどうか確かめたくなった。他の人の意見も聞きたくなった……ううん、直接、面と向かってめろさんが言われたのなら、もう一度訊くことは難しいか。……女性同士、あるいは男性同士のカップルに対して「同性同士なんて気持ち悪い」みたいな時代錯誤で差別的な発言をしている現場にめろさんが居合わせた、といったところかな。言った人は、おそらく名前も知らない赤の他人。めろさんの性格上、一緒に出かけるような仲の友人知人が差別発言をすれば厳しく注意するか、そもそもそんな人と親しくはしないだろうしね。偶発的に耳に入って、偶発的だからこそ身構えることもできなかった。不意に聞こえた酷い言葉に傷ついたんだ』

 

 ジン・ラースは話していく中で考察を修正して、とうとうドンピシャで言い当てた。

 

 その上で、自分の心情を察してまでいる。

 

 いつかの配信でレイラ・エンヴィとコラボをしていた時、脳みそが右と左で二つあるんだ、などと言っていた。あれは右脳と左脳について冗談めかして言っているのだと思っていたが、今の自分にはもはや冗談に思えない。圧縮された脳みそが二つ分、本当に備わっているのではないか。そう思わせるだけの現実味がある。超人的な推論だ。

 

『そこまで加味した上での僕の意見だけど、どうだっていいって考えてるよ。愛の形は人それぞれだし、意見だって各々異なっていて然るべきだ。「こうでなければならない」なんて画一的な考え方をするほうが不健全だし、自身の考えをキョウセイされる(いわ)れもないしね』

 

 こいつの言うキョウセイはどちらの字を当てるのだろうか。有無を言わさず従わせるという意味の『強制(キョウセイ)』なのか、改めて正しくするほうの『矯正(キョウセイ)』なのか。こいつのことだ、ダブルミーニングの可能性もある。

 

「…………」

 

 自分は返答もせず、相槌も打たず、ただジン・ラースの結論を待つ。

 

『意見は自由。それが大前提。だから、好きになる人だって自由だよ。性別の差異なんて些細なことだしね。男女の違いなんて、体の形、心の形が違うだけ。人を好きになる、人を愛する……それ自体が尊いことだよ』

 

「お前は、ほんと……」

 

 最後まで、しっかり声にならなかった。『かっこいいなぁ』と言い切ることができなかった。

 

 こんなにもメンタルに太い芯が通っている奴と、生き方も考え方もぶれている自分。勝ち負け以前に、同じ土俵に立ててなかった。

 

『「気持ち悪い」って、めろさんがいつ聞いたのかはわからないけど、今でも吹っ切ることができずに覚えているのは、きっと後ろめたい気持ちがあったからなんだろうね』

 

「……うしろ、めたい?」

 

『うん。その言葉を聞いた時、めろさんはどう思った? 自分は正しいんだって胸を張れた? 言った相手に対して、この人は狭い見識しか持っていないんだなって憐れんだ? そうじゃなかったと思う。きっと、その言葉が痛くて、俯いて、泣きたくなったと思う。当時傷ついたのは差別的な発言にショックを受けたから。でも今も傷ついているのは、その発言をわずかでも認めてしまったことを後ろめたく感じているから。何も言い返せなかったことが悔しいからだ。自分の愛の是非を疑うなんて愛している人への不義理だと、頭のどこかでそう認識してしまった。それの正体は罪悪感だ。でも、大丈夫。それはめろさんが気にする必要のない罪悪感だ。あなたに非はない痛みだよ』

 

 自分の感性は間違っているのだと、お前は異端なのだと、指を差されて言われているような気がした。たしかに、そう思っていた。自分が常識から外れているような疎外感があった。

 

『めろさん。好きな人には、好きって言ってもいいんだ。人の愛の形について、他人が否定していい権利なんてないんだから』

 

「……そう、そうか……そっか。ありがとう……参考になったよ」

 

『そうかな。お役に立てたのなら嬉しいよ。めろさんには前を向いていてほしいからね』

 

 胸に刺さっていた棘が、ようやく抜け落ちた気がした。

 

 だからといって、刺さっていた棘の痛みが、受けた言葉の痛みがすぐに消えてなくなるわけではない。傷ついた事実は消えない。

 

 でも、傷痕(きずあと)は残るかもしれないけれど、いずれは癒えて塞がる。ああ、そういえばこんなこともあったな、と傷痕に触れた時に唇の端がかすかに引き攣るような、そんな色の褪せた思い出になっていくのだろう。

 

 今はまだ痛みを感じるけれど、時間が経てば、苦しくなくなるのだろう。きっと、いつかは。

 

 どうしてだろうか。心を埋め尽くしていたあの名状し難い感情が、少しだけ薄れたような気がした。

 

『かといってこのまま野放しでさようなら、とはいかないけどね。めろさんの罪は消えないから、罰は受けてもらうよ』

 

 あれだけいい話をしておいて、人の人生観すら左右しかねない話をしておいて、どうしてこうも急転直下に話を変えられるのだろう。

 

 こいつはもしかして、他人を感情のジェットコースターに無理矢理乗せる性癖でも持っているのだろうか。

 

 いや、持っている。確信した。でなければこうまで人の感情を持ち上げては叩き落とすを繰り返すわけがない。良識を持つ人間に、赤い血が流れている人間にそんな所業ができるわけがないんだ。

 

 絶対にこいつは人の心を手のひらでころころと転がして弄ぶ性癖を持っている。自分にはわかる。もしかしたら性癖どころか本能なのかもしれない。実に悪魔らしい悪魔だ。

 

「……ほんっとにいい性格してるな、お前は。……なに? 訴えない代わりに金寄越せとか? それともSNSに全裸で土下座してる写真でもアップしろとか? いいよ、言ってみろ。なんでもやってやるよ」

 

 どうせこの通話が切れると同時に切れる縁だ。なんとでも言ってやる。

 

『なんでもしてくれるの? 本当に? よかった。じゃあ、僕の配信の専属切り抜き師してもらえる?』

 

「は? …………は?」

 

 一度聞き間違いかと思って平仮名一音を発した。次にジン・ラースの言い間違いかと思って再び平仮名一音を発した。

 

『切り抜き師。専属じゃなくてもいいけど』

 

 結果、聞き間違いでも言い間違いでもないことが判明した。まるでわけがわからない。なんだこいつ。

 

 ジン・ラースがわけわからんのは今に始まったことではないが、これはトップクラスに意味不明だ。これまでずっと配信を荒らし続けて、SNSでもネガティブキャンペーンをやり続けてきた相手にやらせることではない。

 

 意味も意図もまるでわからないけど、罪に対しての罰という一文に関してだけは理解できる。

 

 だが、自分には、それに応じることができない。まさか全財産払うことや全裸土下座よりも難しいことを頼まれるだなんて想像していなかった。

 

「それは……それだけは、できない。悪い……じ、自分は──」

 

 わざわざこいつに言う必要もないので黙っていたが、断るには避けられないと思い、受けられない理由を口にする。

 

 その前に、ジン・ラースは言った。

 

 

 

 

 

『これだけ仲良くなれたのに死なれたら悲しいよ』

 

 

 

 

 

 完全に思考が停止した。

 

 数秒してクラッシュした脳みそが再起動しても『なんで?』と同じエラーばかり吐き続けて、先へ進まない。

 

「……なんで?」

 

 まともに考えることができなくなって、とうとう疑問(エラー)がそのまま口から吐き出された。

 

 その疑問に、ジン・ラースはこれまでと同様、いたって平静に応える。

 

『これだけ長時間お喋りして、一方的だけどシンパシーを感じてるんだ。死んでほしくないって思うのは自然じゃないかな?』

 

 なぜ常人ではわからないことがわかるのに、常人にわかることがわからないのだ。自分が今訊ねていることがそこではないことなんて、誰にでもわかるだろう。薄々感づいてはいたが、やはりこいつは思考回路が常人のそれとは異なっている。

 

「ちっ、違うっ! なんでっ……なんで、自分が、し……死のう、って……思ってたことを知ってるのかって意味だ。誰にも言ってなかったし、SNSとかでもそんなの書かなかった。……なんで」

 

 言い切る前に、ジン・ラースが後を引き継いだ。

 

『なんでお前にわかるのか、って? わかるよ。言ったでしょ? めろさんは、僕と同じくらいの熱量で誰かを愛することができる。だから勝手に仲間意識を持ってるって。僕も同じなんだよ。唐突に、理不尽に、愛している人がいなくなったとしたら、僕は耐えられない。そんな世界に生きる理由を見出せない。僕なら絶対にそう思う。だからめろさんも同じように考えてるんじゃないかって』

 

「……な、んで……」

 

『もうなにもかもどうでもいいや、って自暴自棄になった時、自分で生きる理由って探せないよね。だから僕は、あなたが死なない理由を作るよ。めろさんは罪を犯したから、罰を受けてもらう。それが僕の配信の編集やら切り抜きのお仕事。まあ、精神的懲役刑とでも思ってよ』

 

「なんで……お前、は……」

 

『刑期は、あなたが生きる理由を見つけられるまで。ちなみに獄中死なんて認めてないので悪しからず』

 

「ははっ……っ、あははっ。ほんと、おかしいよ……。なん、で、お前は……ほしい時に、ほしい言葉を、言ってくれるんだよぉ……っ」

 

 枯れたと思った涙だけど、これはどうやら水脈が違うようだ。拭っても拭ってもこんこんと湧き出して止まる気配がない。

 

 涙がこんなにも暖かく感じたのは、今日が初めてだ。

 

 自分みたいなくだらない人間にここまでしてくれる人はこれまでいなかった。

 

 両親とは疎遠。友だちはいない。仕事柄、同僚も存在しない。昔会社勤めしていた時の上司や同僚や後輩の連絡先などは辞めた時に即座に削除した。恋人なんてできるはずもない。愛していた人はいなくなり、推しの配信を切り抜いて編集するという唯一の趣味も同時に消滅した。

 

 なにもない。

 

 本当になにもない空っぽの自分に、これまで酷いなんて言葉では言い表せないくらい酷いことをしてきた自分に、ジン・ラースはこんなにも優しい言葉をかけてくれる。

 

 自分が道を踏み外してしまわないようにと、優しくて、暖かくて、柔らかい手錠をかけて引き戻してくれた。

 

 ジン・ラースの言う通り、今の自分に生きる理由なんてないけれど、受けた誠意と恩には報いたいと思うだけの良心は、自分の中にもまだ存在していた。

 

『めろさん。罪、認める?』

 

「認める」

 

『じゃあ、罰、受ける?』

 

「受ける。……なぁ、ジン・ラース」

 

『なに? めろさん』

 

「こんなどうしようもない自分だけど……これから、よろしく……お願い、します……」

 

 かすかに衣擦れのような物音がして、その後にレイラ・エンヴィとのコラボでしか聴かないような、明るくてどこかあどけない笑い声が耳をくすぐる。

 

『うん。よろしくね、めろさん』

 

 そう言ってくるジン・ラースに対して、自分は返事もできず、相手に見えもしないのにただ頷くことしかできなかった。今声を出そうとしたら不細工な涙声しか出せない自信があった。

 

 乱れに乱れた呼吸を整えながら、口の代わりに手を動かす。

 

 ぼやけるディスプレイを見つめて、コミュニケーションアプリとは違うアプリを開いた。十九時になったと同時に動かしていたそのアプリを停止させる。

 

 ジン・ラースを引き摺り落とすためのネタにしようと思っていた録音データだ。この録音データをいじくって、ジン・ラースを道連れに破滅しようと画策していた。

 

「……こんなのは、もう……いらないんだ」

 

 口の中だけでそう呟いて、データを削除した。こんなのはもう、必要ない。

 

 自分は今日、ここで一度死んだのだ。体は無事でも心は死んだも同然だった。体も死ぬ前に、ジン・ラースの慈悲によって心が息を吹き返した。

 

 こんなことがあって、こんな恩を受けて、生き方を変えられないほど愚かなままでいたくない。

 

 ──さようなら。愛した人。どうかお幸せに。

 

 目を瞑り、愛した人へ最後の祈りを捧げる。

 

 刺されるような痛みがあった。息が詰まるような苦しさがあった。胸を締め付けられるような悲しさがあった。

 

 閉じた瞼から頬を伝った一雫を拭う。

 

 もう涙は流さなかった。

 

 これまでの自分とは決別する。変わるんだ。一度死んで、生まれ変わる。

 

 死ねない理由をジン・ラースは与えてくれた。だからこれからは罪を償いながら、生きる理由を探す。その一歩を、ここから始めるんだ。

 

 顔を上げて、ふと窓に目を向ければ、雲一つない綺麗な夜空が広がっていた。こんなに輝くような星空を見るのは初めてだった。

 

 心を覆っていた名状し難い気持ちは、もう感じなかった。

 




めろさんが妹ちゃんに誹謗中傷行為をしていなかったこと、お兄ちゃんがめろさんに仲間意識を持ったことが岐路でした。


次回『ハッピーエンド』
お兄ちゃん視点です。よろしくお願いします。


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