ダンまち×Fateシリーズ   作:英雄に憧れた一般人

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前回から投稿が遅くなり申し訳ありません。
作者は元気です。
ただのモチベ不足です。
でもダンまち5期が始まったので書きたい欲が出てきてます。
次回も気長にお待ちください。

杖と剣のウィストリアも良かった……。


そして綺羅星は照らされる

 

 

 

 

 

 

あぁ、痛え。

あちこちが痛みやがる。

色んな所から血が出るわ、何十回と敵サンに吹っ飛ばされるわ。

そんでもってこっちの攻撃は全然通らねぇ。

嫌になってきやがる。

もう諦めて良いか?

何の縁も無い異世界だろ?

ならもう戦うのを辞めたっていいじゃねぇか。

この世界がどうなろうと、汎人類史には何の影響もねぇだろ。

だからいっそのこと、辞めちまおうぜ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うるせぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うるせぇうるせぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うるせぇんだよクソが!

 

汎人類史には何の影響もねぇだ?

痛いから戦うのを辞める?

攻撃が通らねぇから諦める?

この世界の奴らがどうなろうと関係ねぇから逃げる?

 

冗談言ってんじゃねぇぞ!!!

 

戦う理由なんざ決まってる。

戦えねぇ誰かの為に戦うんだろうが!

たったそんだけの為にオレはここに居るんだろうが!

意識を研ぎ澄ませ!

脳を回せ!

腕を動かせ!

足を使え!

オレはまだ死んじゃいねぇだろうが!!!

ここで逃げ出すのは、全くもって黄金(ゴールデン)じゃねぇ!!!

無辜の民を見捨てて逃げ出しちまえば、頼光さんと綱の兄貴に叱られるだろうさ!

酒呑の奴には心底ガッカリされるだろうな!

オレのことを慕ってくれたこの世界の奴らを悲しませるだろうよ!

何より!!!

オレが、一番、そんな自分(テメェ)を許せる訳がねぇ!!!

オレが見せるんだよ。

この世界の奴らに!

最高に黄金(ゴールデン)な光をよ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

何度目か分からない攻撃を金時は仕掛ける。

それをまるで作業のように大百足は対処する。

何度向かって来ようとも、何度挑もうとも、そのような攻撃ではこの甲殻を壊せるはずが無いと知っているから。

だから同じように対処する。

跳んでくる男をただ弾き返すだけ。

ピンポン玉をラケットで打ち返すように。

大百足がそうしようとすれば、金時は待っていたかの様に弾き返そうとした脚に掴まった。

しっかりと、離さぬように握り、金時は大百足の脚から背へと飛び乗る。

巨体が動く衝撃を受けながらも、落ちないように掴まる。

そうして多少の時間で大百足の動きに慣れればすぐに駆け出す。

前へ、前へと。

一撃を与えるならば、倒す為の糸口とするならば与えるべきは、大百足の頭他ならない。

どれほど人智を超えた怪物であろうと鍛えることの出来ない身体の内部、特に脳という生物にとっての最も重要な部位は生き物の最大の強みであり最大の弱点とも言える故、狙うのは必然だ。

それに硬い甲殻は現時点ではきっと壊せない。

故に今より更に力を溜めなければならない。

金時は魔力を(まさかり)に込める。

意識を研ぎ澄ませ、大気に満ちる魔力を己の魔力へと変換し、更に鉞へと流す。

金時の狙いに気付いた大百足はもちろん必死に引き剥がそうと暴れる。

上下左右前後斜めとありとあらゆる方法で振り落とそうとする。

が金時はそれを耐える。

耐えて、溜めて、耐えて、溜めて、耐えて、溜めて、ようやくその時が来る。

目標地点である大百足の頭。

山を七巻き半も出来る長大な怪物の頂上へとたどり着き、鉞に込めていた魔力も溜めきった。

そうして金時は一息を入れ、最大限まで溜めた魔力を全力の一撃と共に解放する。

鉞に備え付けられたカートリッジを消費して放たれるそれは、金時がこの世界で何度も見せてきた宝具。

範囲を絞り、この大百足の頭のみに集中させる。

いつもは3つのカートリッジを消費していたが、今回は5つ消費して繰り出す。

 

「吹き飛べ、必殺!『黄金衝撃(ゴールデンスパーク)』ッッ!!!」

 

ドゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!

 

狙いすませた一撃は雷と共に振り下ろされ、轟音を響かせながら大百足の脳天へと直撃した。

それはオラリオ中に響き渡り、見ていた者達を驚愕させた。

室内にいた者も、屋外へと出ていた者も、今脅威と戦っている者も、その光を見て、音を聞いた。

絶望という深く昏き闇を照らし出す様に、希望という太鼓の音色を轟かす様に、人々へとそれは届けられた。

そして光が収まり、鉞を打ち付けた脳天を覆う甲殻を見て金時は笑う。

 

「へっ、やっと決まったな」

 

今まで傷一つ無かったはずの硬い硬い甲殻は、確かにひび割れていたのだ。

 

「ギジャァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

 

「お?まともな攻撃を喰らってやっと痛みを思い出したか?なら追加だ!」

 

金時はそう言って背中に担いでいた弓を構え、医神から受け取っていた札を一枚、弓に貼り付ける。そうすれば矢が札から生成される。

その矢を弓へとつがえる。

狙うは先程ひび割れさせた甲殻、その中心。

限界まで引き、矢を放つ。

金時の剛力で引かれ、放たれた矢はひび割れた甲殻の中心、を少し逸れてあたった。

しかしそれでも充分な威力を発揮したようで、矢はあたった瞬間から光を纏い、回転をし始める。

その回転は速くなっていき、光と共に大百足を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やりおった!!」

 

「おいおいおい、あれは反則だろ……」

 

「まだだ、まだやつは動いてるぞロキ!ヘルメス!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

渾身の一射は確かに大百足を貫いた。

医神が作った対魔性特攻を込められた矢を受けた大百足はそれまで与えられた中でも最大の負傷(ダメージ)を受けた。

だが、それでも大百足の致命傷には至らない。

 

「キシャァァァァァァァァァァァ!!!」

 

「ちっ!」

 

大百足は痛みにもがく様に暴れ、金時も振り落とされてしまう。

金時を落とした大百足は痛みを逃がそうとのたうち回る。

それは先程まであった余裕を持った姿とはかけ離れており、糸で思うように動かされる操り人形(マリオネット)の様に滑稽な姿であった。

地響きはままならないものではあるが、その大百足の姿に胸が()くようで自然と笑みが溢れる。

だが大百足は多少の負傷(ダメージ)を受けたが形勢を変える程とまではいかない。

大百足は一通りもがいた後、狙いを金時へと絞り臨戦態勢をとる。

1人の武士から逃げ出した過去を嘲笑われ、治りきっていた体に傷をつけた目の前の存在を大百足は許せなかった。

故に慢心を捨てる。

容赦なく金時を殺し尽くす。

その後に目の前の街を喰らい尽くす。

 

「キシャァァァァァァァァ!!!」

 

「あぁ、何度でも相手をしてやらぁ。そんでもってオレ達に喧嘩を売ったことを後悔するんだなぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今の自分に出来ることはなんだろうか?

金時は確かな力をもって大百足に一撃を与えた。

ようやく待ち望んだ一撃を彼は確かに見せた。

だが自分は?

腹に穴を空けられ、補助をしながら立ち回り、それでも彼の負担を減らすことはあまり出来ていない。

あれだけの啖呵を切っておきながら、自分は何も成し得ていないのではないか?

そんなことすら思う余裕を感じてしまっている。

 

今の自分には何が出来る?

 

護りに特化した自分は、何を為す?

 

そうして考え、切ろうと思っていた奥の手は今では無いと諭される。

全く、こんな自分が嫌になる。

何も出来ない。

何も成せない。

何も残せない。

何も─────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと花の香りを嗅ぐ。

 

どこかで嗅いだ事のあるような、そんな花の匂いにつられ上を見る。

それは自分が護る最後の砦。

中と外を分ける城壁。

そして、悪神と、友と呼んでくれた仲間がいる。

誰よりも純粋で、未熟で、未だ迷いを振り切れない少女がいる。

彼女は答えを得ていない。

彼女は未だ暗い道に取り残されている。

 

あぁ、そうだ。

 

私がすべきことは『希望』という光を見せる事では無いのだ。

 

私がすべきこと。

それは────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大百足は先程よりも速く、速く攻撃をする。

ただの突進は大地を抉り、ただの脚での薙ぎ払いは地面を刈り取る。

その僅かな行動がありとあらゆる生命を奪う。

更に顎からは猛毒が滴り落ち、戦場を死地へと変えていく。

そんな場所を黄金の雷は駆ける。

脚の間を駆け身体の内へと打撃を与え、外を周り脚を着実に削る。

懸命ともいえるその献身。

いずれ与えうる致命傷へと繋ぐ為に、何度も繰り返す。

そんな金時へ大百足は怒りを募らせる。

煩わしく動き回る存在を調子に乗らせてしまったこと、それがどれだけ鬱陶しいことこの上ないことだろうか。

そこでふと大百足は思い付く。

もうこれに構わず街を蹂躙すれば良い、と。

街を喰らい、人を喰らい、跡形もなく食べ尽くしてしまえばこれの動きも止まることだろう。

かの悪神との契約なぞ既に果たした。

約束が違うと言われても悪神ごと食べてしまえば何も問題は無い。

そうと決めてしまえばすぐに行動へ移す。

城壁へと向かいこの巨体を動かす。

ゆっくりと味わう時間がなくとも構わない。

この煩わしい敵を敵として認識出来なくなるならば最早構わない。

大百足は速度を上げ城壁をその勢いごと破壊しようとする。

城門の前にいたのが金時であるならばきっと破壊されることだろう。

トロイアの英雄であり守勢のカリスマたるヘクトールであろうとも、スパルタの王にして圧倒的不利を覆したレオニダスであっても、この大百足とは相性が悪い。

だが、そこにいるのは彼らではない。

大百足はまだ知らない。

城門の守護者たる彼女を。

異国の地にて母国を救った聖女と呼ばれる彼女の旗を。

 

「主の御業をここに」

 

旗に祈りを込め、魔力を光へと変える。

 

「潰えることはない。この旗がある限り」

 

それは彼女を彼女たらしめる絶対の護り。

 

「主よ、請い願います。私に、大切な人達を守る力を」

 

友へと示そう。

悪神に示そう。

この地に生きる全ての者達に示そう。

 

「ここに祈りを捧げましょう」

 

誰よりも信心深く、どんな時でも神を恨まず、最期の時まで信じ続けた聖女の祈り。

 

「我が旗よ」

 

ここに、彼女の『正義』を。

 

「我が友、我が仲間、我が同胞を守らせ給え!!」

 

聖女は旗を掲げる。

誰も穢すことの出来なかった彼女の在り方を、その具現化ともいえる純白の旗を。

誇りを、覚悟を、想いを、全てをこの旗と共に。

ここに、絶対の宝具が展開される

 

「『我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)』!!」

 

大百足の突進と宝具の結界がぶつかり衝撃が広がる。

木々は倒れ、大地は捲れ、空は青天を見せる。

だが城門に傷はなく、恐ろしいまでの脅威はたった1人によって阻まれている。

見下し、蔑み、決して敵では無いと侮った少女は、少女こそがこの大百足にとっての最大の障壁なのだと今思い知らされる。

少女の心が折れぬ限り、この結界は壊せやしない。

 

「あぁテメェが1番恐れるべきはオレなんかじゃなかった。教えてやるぜ、蟲野郎。テメェの目の前にいる聖女サマこそが、テメェの天敵、噛み砕けぬ絶対の守護者にして、世界一の頑固者さ!!!」

 

結界に邪魔され動きを止められた大百足に金時は待ってましたと鉞を容赦なく大百足の身体の内側へと叩き込む。

大百足は突進と結界にぶつかった反動で()け反った事で身体の内側を晒してしまったことが大きな隙となった。

 

「キシャァァァァァァァァァ!!」

 

「へっ、まだまだ戦える!オレたちの勝利を祈るヤツがいる。オレたちが勝つと信じてるヤツがいる。オレたちに願いを託したヤツがいる。そんなアイツらの想いがあるなら、オレたち英霊は例え誰も知らない世界だろうと戦えるんだよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「元気だったかい?」

 

「…………」

 

「少しくらい答えて欲しいんだけどなぁ。流石に無視されるのは辛い」

 

「……本当は何とも思っていないでしょう」

 

「いや、本当に無視されるのはキツいさ」

 

何の中身も無い会話。

こんな話をするために少女はこの場に来た訳では無い。

しかし、少しでも話を長引かせて()()に入るのを避けたいとも思っていた。

そんなこと、邪神はお見通しだとしても。

 

「君と出会ってから世界は色付いて見えるよ。本当に美しく思う」

 

「……なら今すぐ滅ぼそうとするのを辞めなさい」

 

「それは出来ないなぁ。俺は悪い神様だからさ」

 

「っ!」

 

リューはエレボスを睨みつける。

そんな憎悪と嫌悪に満ちた眼差しを受けても、エレボスは飄々としている。

そんなエレボスの様子から、手のひらの上で転がされていることが理解出来ることが余計に腹立たしくなる。

 

「……彼等は何故戦っているんだろうね」

 

「何を……」

 

「彼等からすれば、このオラリオは全く関係の無い土地だ。母国でも、故郷でも、ましてや自分達が元いた世界ですら無い。それなのに何故彼等はあんな風になってまで戦っていると思う?」

 

「そ、それは……」

 

「あの大百足は確かに英霊が呼んだ存在だ。彼等がいなければあんな怪物を目にすることは無かっただろうさ」

 

そうだとも。

この世界において英霊とは理不尽への特効薬ではなく、逆に理不尽を招き入れかねない毒である。

その理不尽は何倍にも膨れ上がり、いずれこの世界全てを毒で満たしてしまうかもしれない。

 

「民衆や冒険者から恨まれ、怒りを買い、弁明もせず、ただ粛々と受け入れる。こんな世界、見捨ててしまえばいいのに」

 

毒であるとわかったから人は石を投げた。

唾を吐きつけ、暴言と侮蔑を投げつけた。

それでも彼等は一切の怒りも、悲しみも、寂しさも、苦しみも、何一つとしてその者達へと向けず、受け入れた。

本当に、愚かしい。

 

「なぁリオン。君は何故そんな愚かな民衆の為に戦うんだい?君も、君の仲間も、助けられなかったと恨みをぶつけられたじゃないか。なぁ、どうしてそうするんだい?」

 

 

「…………」

 

 

「君は純粋で、真面目で、しかし人の愚かさを知っている。なら分かるはずだよ。こんな世界間違っているってさ」

 

そうだ。この世界はまちがってる。

どんな綺麗事を並べようとも、それでは取り繕えないほど人々は醜く、哀れで、惨めで、愚かで、悲しい生き物だ。

だからそんな世界壊してしまえば良い。

目の前の戦う2人に戦いを止めるように言い、あの大百足に全てを喰らって貰えば良い。

そうすれば全て解決だ。

きっと世界は良い方向にいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に?

 

「っ!」

 

ふと聞かれた気がした。

この場にはいない、少女の声で。

 

本当に、人はそれだけなの?

 

誰よりも人の善性を信じる少女がそう尋ねる。

だから答えよう。

そうであると。そうであらねばならないと。そうでなければ、今ここからすぐにでも逃げ出してしまいたい自分を正当化出来ないと。

答えも持たず、覚悟すら出来ていない自分こそが間違いだと、認めることが怖くて怖くて堪らない。

目の前で戦う2人ほどの覚悟なんて持っていない。

目の前の邪神に対して告げる答えなど言葉にする勇気なんてない。

いっそここから飛び降りてしまいたい。

何も、考えたくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、リオンなら大丈夫だよ。

だってリオン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正義は巡るよ

 

黄金に揺れる稲穂と黄昏の色に染まる空と共に、少女は告げる。

 

 

 

 

 

 

 

「…………いいえ、神エレボス。それは違う」

 

「ほぅ?」

 

「確かに人は愚かだ。自分の間違いに気付かず誰かを(けな)し、辱め、それを良しとする醜い心を持っている」

 

「…………」

 

「それは人の弱さだ。人は弱い。弱くて、情けなくて、愚かだ。でも、だからこそ人は強い」

 

誰よりも『正義』を信じた少女は告げる。

未だ答えを得ずとも、未だ道が閉ざされようとも、少女は先すら見えぬ暗闇へと1歩を踏み出す。

 

「人は自分の弱さを肯定できる。皆が皆そうでなくとも、誰かによって気付くことができる!そうして自身の弱さと向き合えた時、人はまた別の誰かへ手を差し伸べることができる!」

 

「その手が振り払われたとしても?」

 

「ならまた掴み取るまでだ!」

 

そうだ。

手を払われたのならその腕を掴んでしまえばいい。

どれほどの罵詈雑言を浴びせられようとも、どれほどの苦痛があろうとも、自分が信じた『正義』は堕ちても尚輝いているのだから。

リューの言葉に呼応するように祝福の光が壁となる。

それがジャンヌの宝具だと気付き、その光景を目に焼きつける。

目の前で戦う少女が示した物を、友が見せた光を、一瞬たりとも見逃さないために。

 

「神エレボス、お前の問いに今答えよう」

 

「ほぅ、ならば聞こうリュー・リオン。『正義』とは?」

 

彼女達が示した答え。

彼女達の在り方。

 

「『正義』とは、『願望』だ」

 

「『願望』?」

 

「あぁ。人は弱く、それでいてどうしようもなく愚かだ。だがそれでも誰もが願いを抱いている。正しくありたい。強くありたい。優しくありたい。そう誰もが願い、そしてそれは決して独りで終わらない。家族や仲間、友に恋人、そして名前も知らない誰かにその想いを繋ぎ、受け継がれていくんだ。高尚な願いじゃないかもしれない。高潔な望みではないかもしれない。でもそれでも良いんだ。人はそうやって繋がっていく。限られた時間しか無いからこそ、人々は『正義』を巡らせるんだ!」

 

少女の目にあった迷いは既になく、その目には新たな覚悟が宿っていた。

 

「『正義』が巡り、繋がり、受け継がれ、そしてそれは光となる。その光を人々は『希望』と呼び、また新たな想いと共に巡るんだ!だから私は『正義』を巡らせる!いずれ私が巡らせたこの想いを決して途絶えさせない為に!!!」

 

少女はそう神に宣言して城門を飛び降りる。

それは自暴自棄ではなく、今なお戦う彼等の力となるために。

 

「今は遠き森の空。無窮の夜天に(ちりば)む無限の星々。愚かな我が声に応じ、今一度星火(せいか)の加護を。汝を見捨てし者に光の慈悲を。来れ、さすらう風、流浪の旅人(ともがら)。空を渡り荒野を駆け、何物よりも()く走れ——星屑の光を宿し敵を討て!ルミノス・ウインド!!!」

 

詠唱と共に放たれるは緑風纏いし光弾。

幾つもの光弾が大百足へと放たれる。

傷はない。

大したことはない。

しかし、意識を背けさせることは出来る。

 

「私も相手してやる!これ以上、人々から笑顔を奪うのは許さない!」

 

手は震える。

声だって上手く発せられない。

今すぐにでも逃げ出してしまいたい。

でも、それ以上に、目の前の敵が許せない。

人々から笑顔を奪い、大切な時を奪い、想いすらも踏み潰した目の前の理不尽を許せない。

立ち向かう彼女を人は無茶、無力、無謀と言うだろう。

だがそれを今この時ばかりは違う。

恐怖を感じながらも立ち向かうその彼女の姿を人は、勇気と呼ぶのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

青年の奮起を見た。

聖女の正義を見た。

少女の勇気を見た。

どれも状況を一瞬で変えてしまうほどのものではない。

取るに足らないものかもしれない。

だが、人々の心に火を灯した。

その火は段々と大きく燃え上がる。

 

「─────れ」

 

火は伝搬していく。

消えかかっていたはずの火を、人々は支え合ってその火を絶やさぬようにする。

 

「──ん─れ!」

 

火は街を包む。

一つ一つが決して大きな火でない。

だが、それで充分なのだ。

 

「がんばれ、がんばれ!」

 

避難していた場所から民が叫ぶ。

 

「そうだ!がんばれ!」

 

酒に逃げていた酒場から弱者が声を出す。

 

「負けないで!」

 

蹲っていた拠点(ホーム)から願いを乞う。

 

「どうか勝って!」

 

少女の『正義』は巡る。

このオラリオ中に、巡らせていく。

大人にも、子供にも。

戦う者にも、戦えぬ者にも。

『正義』を信じた者達に未熟な少女の『正義』が巡る。

一度堕ちた物を人々は付いた汚れを払い、上へ上へと掲げる。

再び光を取り戻すその時がいずれ来ると、今度こそ信じて。

 

「リオン、これがリオンの『正義』なんだね」

 

「これは……」

 

「リオンだよ、お姉ちゃん。リオンがみんなの心に火を灯したんだよ」

 

「『疾風』が……そうか」

 

一陣の風が街を吹き抜ける。

それは光を届け、人々へ希望を示す安らかな風。

道は照らされ、願いは託される。

繋ぐ。

繋がっていく。

人々の心が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よぅし、私もそろそろ手伝いをするとしようかな。

全く、知り合いだからって人使いが荒いと思うんだよね。

まぁこの世界にもたくさんの美女や美少女がいるからね、それで手を打つとしよう……っと思ったけど辞めておこう。どこからともなく殺気を感じたよ。

仕方ない。今回ばかりは真面目に働こうかな。

金時くんの撒いてくれた紙を目印に書くだけで良いからね。

だから勝っておくれ。

君達の活躍を、マイロードにも聞かせたいからさ。

 

 

 

 

 

 

 




金時とジャンヌが少しウジウジしてるのが解釈違いという方も居られると思いますが、申し訳ないです。
心情的な部分がどうしても多くなり目立って見えてるだけだと思います。
多分……。
でも大丈夫。
これから一層頑張りますよ。

番外編で読んでみたいのは?(時間軸などに合わせ執筆時期が異なります)

  • ベル君がオラリオに来るまでのお話
  • 金時、師匠になる(終了後予定)
  • ジャンヌとアストレア・ファミリアの女子会
  • 英雄神話組の何気ない日常
  • 花のお兄さん、恋する乙女を応援する
  • 次回執筆予定のちょっと先出し
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