仮面ライダーになった男は戦いたくない   作:岩鋼玄武

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筆が乗ったので投稿しました。


事情確認②

side 呉島貴虎

 

「狭間の洗脳が不完全だと裏付ける理由はまだあるかもしれない。」

 

トニー・スターク氏の言葉に反応して、俺は口を開いた。

 

「ここにいる者達は知っているだろうが、狭間は異世界人だ。」

 

「だから何だってんだ?」

 

横からウィルソン氏のヤジにも似た言葉が聞こえたが、俺はそのまま話を続ける。

 

「狭間は俺達仮面ライダーという存在のほとんど、俺でも把握できていない者達を含めて1から10まで把握していると聞いている。

俺が先ほど初めて会ったゼロワンという仮面ライダーも狭間ははじめから把握できていたのだろうということだ。

しかし、凌馬にはその情報の把握ができていないようだった。」

 

「ハザマの洗脳が完全なら、情報の抜き出しも行われているだろうからな。

まあ、内輪揉めで情報の共有ができていない場合でも対抗策はありそうだがな。

だがキャプテン達を相手にした主犯の彼はニューフェイス君が現れるまではこちらの相手を十分にできていたんだろう?

だとすると…。」

 

『つまりこういう事かね?

現行の戦力は既に把握されていて、相手方にはこちらに対するカウンターともとれる戦力を有している。

しかしそれ以外の戦力、所謂ニューフェイスの戦士達を投入することで対応をとれなくさせ、攻略の策にしたい…ということかね?』

 

スターク氏の皮肉ともとれる言葉に苦笑いをしながら頷くと、画面の向こうから本郷さんが言ってくる。

 

『うーむ。

その考えはわからなくはない。

しかし、そんな戦力があればの話だが。』

 

それぞれがその言葉に考えを巡らせていると、ウィルソン氏から声が上がる。

 

「一人、あてがある。」

 

「…僕もだ。」

 

「私もその戦力という方向で考えれば、隣の部屋の二人、ティ・チャラ皇子にあの御曹司の坊やもそうと言えるのかもしれないわね。」

 

『うーむ。今のところ戦力から除外して考えていた者達にも話をしておく必要があるということか…』

 

続けてスターク氏や、ロマノフ氏からも声が上がり、本郷さんも考えを巡らせるような素振りを見せていた。

 

『そうであるならば、筋は通さねばな。

…そちらにいる飛電くんと話をさせてくれないだろうか?』

 

 

side 飛電或人

 

初めて変身してから、車に乗せられてこの施設に来るまでの間に、アークから俺の脳内にラーニングした情報を整理するのに苦労していた。

 

施設に着きせっかくの会議にも出ずに考えを巡らせていたところで、この施設の職員だという人に俺が呼ばれているから付いてきてほしいと言われてイズと先ほどまで一緒にいたワカンダの皇太子のティ・チャラ皇子と共に連れられて会議室に赴いた。

 

すると、室内にいたのは先ほどまで一緒だったアベンジャーズの人達や、この施設の職員だと思われる人達、日本国内でお世話になっているSPIRITSの本郷さんが画面に映し出されていた。

 

「…あの、俺が呼ばてるって聞いたんですけど。」

 

『うむ。飛電或人くん。今の君の状況だと、記憶の中の情報整理で精一杯であろうということは重々承知の上で言わなければならない事がある。

…飛電インテリジェンスで製作されたヒューマギア、その内4体の消息がわからなくなったのは知っているね?』

 

「ええと、イズ?」

 

そういえば、ソコヴィア協定の式典に来る前に、じいちゃんから聞いていたけれど、詳しい内容がうろ覚えだったのでイズに聞いてみた。

 

「はい。現在飛電インテリジェンスで製作され、試験的に運用がされていましたヒューマギアの数は6体です。

内、男性的AIと女性的AI及びスキンにはそれぞれ3体づつの設定にされています。

女性的スキンでは、飛電インテリジェンスの副社長の専属秘書として。

或人様の秘書として私イズが、そしてランダムに選ばれた一般家庭の家政婦型が配備されています。

男性的スキンでは、聖都大学附属病院に医師型が。

SPIRITSの関係者の近親者の護衛兼相談役として1体。

そしてとある芸能事務所の警備員として。

それぞれが配備されていました。

しかし、副社長の専属秘書及び私以外のヒューマギアとのアークとの通信が途絶え、現在調査中でした。」

 

「…おいおい。それってまずい状況なんじゃないのか?」

 

『うむ。ローズ大佐の言う通り、大変まずい状況だと判明した。

通信が途絶え、我々SPIRITSに連絡が入ってすぐに隊員たちに確認させたのだが、4人家族の一般家庭及びSPIRITSの関係者を含む家族全員。

そして聖都大学附属病院で治験中の患者1名と現在売れっ子中の子役の少年1名がヒューマギアと共に行方がわからなくなっていたのだ。

おそらく連れ去られたのだろうと思われる。

そして遂先ほど、芸能事務所にて目撃者がいた事がわかったのだ。

その人物曰く、高級車が事務所前に止まっていたから気になって見ていたら運転手とヒューマギアがなにやら会話した後、車が出て行った直後に警備員ヒューマギアが突然、[滅亡迅雷ネットに接続]という言葉を言い放ったそうだ。

そして聞こえた方を見てみると、その近くを通っていた子役の少年ごと一緒にものすごい速さでいなくなってしまったという証言がとれている。』

 

「滅亡迅雷ネットだって!?」

 

「知っているのか?」

 

滅亡迅雷ネットという言葉に驚いた声に呉島さんが声をかけてきた。

 

「はい。俺の記憶の中、変身する時にラーニングした記録の中にそいつらの情報がありました。

別の世界でヒューマギアの為の世界を作ろうとしていたやつらで、その世界ではデイブレイクと呼ばれる日本のとある都市部の周囲数10キロメートルを吹き飛ばしたテロがあって、爆発の影響によって地盤沈下や都市の地下水脈の損傷による地下水の漏れ出しや、後の雨水による浸食が重なったことによって都市の大半が水没して、跡地は負の歴史遺産と呼ばれ、立入禁止区域となっていました。

…そしてその爆発の原因が滅亡迅雷ネットという人間を滅ぼそうという自我を獲得したヒューマギアの集団でした。」

 

「…参ったな。まるでウルトロンだ。」

 

テレビで見た事があるトニー・スタークさんがそう呟いて額に手をあてていた。

 

『話を聞く限りでは拐われた者達を早急に救出する必要があるということか。』

 

「はい!

…ええと、拐われた人達の場所がわかってるんですか?」

 

俺が驚いていると、それに答えたのは本郷さんではなくて隣にいるイズだった。

 

「たった今、アークより通信が入りました。

通信が途絶えていたヒューマギアの座標がわかりました。

…この座標は、SPIRITSの皆さんが作戦の目標としている座標と重なります。」

 

「…罠だな。」

 

「ああ。たとえ罠だとわかっていても僕達は行くさ。」

 

バーンズさんの言葉に頷きながら立ち上がったロジャースさんが、そうだろと言わんばかりに周囲を見渡した。

 

 

 

side乾巧

 

「…俺は行く気はないからな。」

 

「ちょっと巧!?」

 

SPIRITSの職員だというやつに呼び出された俺と真理は、施設の小会議室らしい部屋で説明を受けたが、やる気のなかった俺は真理の静止を無視してその部屋から飛び出した。

 

そして飛び出したはいいものの、手持ちぶさただった俺に声をかけてきたのはトレーニングルームと思われる部屋のベンチに座って汗をタオルで拭っていた男だった。

 

「あんたは確か、沢木とかいったよな。」

 

「ええそうです。俺は沢木哲也といいます。

あなたは確か乾さんでしたよね?

珍しいですねSPIRITSの設備にいるなんて。」

 

「…俺は来たくなかったんだけどな。

普段戦力から除外されている者達にも声をかけているとかで呼び出されて、同居人に無理やり連れて来られたんだ。

…結局、話を聞くのも嫌になってこうやってブラついているけどな。」

 

「…乾さんみたいな人もいるんですね。

…俺としては、今回みたいな作戦に参加できそうになれるなら望むところなんですが。」

 

その言葉に小さな疑問が浮かび上がって思わず聞いてしまった。

 

「何だ。あんたは確か変身して戦えたはずだったよな?」

 

「…俺はもう変身できないんですよ。

前の戦いで無茶して、変身アイテムの蜂さんのザビーゼクターに見限られてしまって戦えなくなってしまったんです。

でも、なんとかできないかっていろいろ試してはいるんですけど。」

 

「…何でそうまでして戦おうとするんだ?」

 

「俺は別の世界で仮面ライダーとして戦って来た記憶があります。

仮面ライダーの力、アギトの力を使うのは、誰かの命を守る為に使おうって決めたんです。」

 

この男のから向けられた真っ直ぐな視線に目を合わせていられなくなった俺は、目線を切って沢木の横のベンチに腰掛けた。

 

「俺にも、狭間のせいで別の世界の記憶を思い出してしまっているけどな。

俺が知っている世間の奴らってのはどうしようもない連中ばかりだったぜ。」

 

「…それでもいいんです。

アギトの為に、人間の為に…俺は戦うと決めましたから。

不思議ですね。乾さんときちんと話をするのは初めてなのに。こんなに話を打ち明けられるとは思ってなかったです。」

 

「俺が普段の奴らとは違う、めったにこんなところに来るような人間じゃないからかもな。

それに、いろいろとストレスが貯まっていたのかもな。

赤の他人にはストレスの捌け口としては話やすいっていうからな。」

 

「あはは。そうかもしれませんね。

それに俺、もしかしたらもう一度アギトに変身できるかもしれないんです。

…でもデメリットもあって、姉に作戦の参加に反対されてて。」

 

「…でも、行く気なんだよな?」

 

「…はい。もしかしたらデメリットのせいで俺自身の身の事が不安なのもわかるんですが。」

 

「…俺の持論だけどな。

帰れる場所がある奴ってのは強いぜ。

それに難しく考え過ぎなんだよ。

作戦に参加して、戦いに勝って、生きて家族のところに帰る。それでいいじゃねぇか。」

 

柄にもなく俺が沢木にアドバイスをすると、沢木は拍子抜けしたような顔になってこっちを見てきた。

 

「あはは。そうですね。

確かに難しく考え過ぎていたようです。

ありがとうございます。気が楽になりました。」

 

再びの視線にいたたまれなくなった俺は、席を立つてトレーニングルームから出ようとしたところで、沢木に声をかけた。

 

「俺も気が変わったぜ。

今回の作戦には俺も参加してやる。」

 

「!…そうですか!よろしくお願いしますね。」

 

軽く返事をしてから、小会議室に戻ると俺の退室は休憩扱いになっていたらしくて隊員に軽く謝りながら今回の作戦の話を聞かせろと話すと、真理がきょとんとした顔になって聞いてくる。

 

「どういう風の吹き回し?」

 

「今回の作戦に勝って、家に返してやりたい奴がいるってだけだ。」

 

そう言うと、ますます混乱したような顔の真理を横目に隊員の話に耳を傾けた。

 

 




誤字脱字報告ありがとうございます。

今後も不定期更新ですが、それでも見てくださる方はお待ちいただけると幸いです。
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