鬼殺隊監査役・東雲麟矢   作:SS_TAKERU

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お待たせいたしました。

今回は、原作と違う運命を辿り始めた竈門家の皆さんについて描いていきます。
お楽しみいただければ幸いです。


拾参之巻 -お詫びと誤解と新生活‐

麟矢視点

 

 耀哉様からの手紙を受け取った翌日。俺は朝食を済ませるとすぐに産屋敷邸へと急行。

 

「やぁ、良く来てくれたね。麟矢君」

 

 緊急の柱合会議を終えた耀哉様と、話し合いを開始した。

 

「それで、耀哉様。昨日の手紙には、別件で話がしたいと書かれていましたが…」

「うん、その件だけど…実はあの手紙を書いた時点では、その別件が()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 耀哉様らしからぬ歯切れの悪い物言い。俺が内心首を傾げていると…

 

「だから、その時に感じていた直感が外れる事を祈っていたんだけど…そうはいかなかった」

「実は、例の鬼に襲われた家族。その家の子ども達が、()()()()()()()()()、鬼殺隊に()()()()()()()()()()()()()()ようなんだ」

 

 とんでもない爆弾が投げ込まれた。だが、竈門家の皆さんが生き残ったという事は、そういう変化も起きうるのだと、こちらとしても想定しておくべきだった。

 原因はおそらく()()()()あたりか? そして、その事を俺に告げるという事は…

 

「本来ならば、当主である私自らがお詫びに出向くのが筋というものなんだけど、私は見ての通り気軽に出歩ける体でもない。だから」

「私が代理…という事ですね?」

「話が早くて助かるよ。麟矢君には辛い役目を押し付けることになるが…無理を承知でお願い出来ないだろうか?」

 

 そう言って、俺に頭を下げてくる耀哉様。参ったな、ここまでされては断るという選択肢を選ぶ事はありえない。

 

「耀哉様、頭をお上げください。不肖この東雲麟矢。鬼殺隊に関わる者として、耀哉様のご期待に沿えるよう、全力を以って代理を務めさせていただきます」

 

 耀哉様にそう答え、俺は竈門家の皆さんが滞在しているという蝶屋敷へと向かう。それにしても、こんな騒ぎになるとは…

 冨岡様…そういう風だから、周りから誤解されて嫌われるんですよ!

 

 

耀哉視点

 

 私の代理を引き受け、早速蝶屋敷へ向かってくれた麟矢君を見送り、秘かに安堵の溜め息を吐く。

 今回の件で義勇の取った行動は、決して間違いではない。被害を防ぐ事を最優先に考えれば、最速で行動してくれたと言えるだろう。

 だが、その行動は最速ではあっても、()()()()()()()()

 意味の無い仮定だが、義勇がもう少し()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、このような事態にはならなかっただろう。

 

「義勇は良い子だが、()()()()()()()()()()()。この事をきちんと話しておくべきだったね」

 

 そんな後悔を呟いた直後、座敷に入ってきたあまねの手を借りて立ち上がる。

 さあ、墓地で眠る子ども達へ会いに行くとしよう。

 

 

麟矢視点

 

 さて、産屋敷邸を後にした俺は、少し寄り道をしてから蝶屋敷へと急行。

 

「例のご家族は、一番奥の大部屋に滞在してもらっています」

「母親の葵枝(きえ)さんはともかく、子ども達は私達に()()()()()()()()()()

「年の近いきよ達には比較的心を開いているので、3人に仲立ちをしてもらっている状態ですね」

 

 診察室で胡蝶様と面会し、現時点での状況を聞き出した。ふむ、蝶屋敷から出ていこうとしていないだけ、まだマシ。といったところだな。

 

「これからその家族…竈門家の皆さんにお会いして、耀哉様の代理として謝罪しようと思うのですが…大丈夫ですかね?」

「そうですね…葵枝(きえ)さんは落ち着いていらっしゃいますし、子ども達も私達より東雲さんの方が警戒感は薄れるでしょう。恐らく大丈夫だと思います」

「わかりました。何かあった際にはすぐにお知らせしますね」

 

 そう言って俺は胡蝶様へ一礼し、診察室から竈門家の皆さんが滞在しているという大部屋へと移動していく。

 後々面倒な事にならないよう、最善を尽くさないといけないな。

 

 

竹雄(たけお)視点

 

 姉ちゃんが()()()()になって、兄ちゃんもいなくなった。

 家にいたら危険だからって、ここに連れてこられたけど…花子(はなこ)(しげる)も不安そうな顔をしてるし、六太(ろくた)も母ちゃんから離れようとしない。

 ここにいる人は皆優しいし、俺と年の近い女の子3人は色々気を使ってくれる。 母ちゃんも『心配しなくてもいい』と言ってるけど…いや、ここにいる人達もアイツの仲間なんだ。気を付けないと…

 兄ちゃんも姉ちゃんもいない今、俺がしっかりしなきゃいけないんだ!

 

「失礼します」

 

 心の中でそう決心していると、男の人が入ってきた。兄ちゃんより少し年上くらいに見えるけど、すごく高そうな洋服を着てる。誰だ、この人?

 

「竈門家の皆さんですね。私…こういう者です」

 

 男の人は笑顔で俺達に近づき、母ちゃんに1枚の名刺(紙切れ)を差し出す……何て書いてあるんだ? 

 

「東雲商会商品開発部部長付、東雲麟矢…あの、商社の方がどうして」

「実は私…鬼殺隊と関わりを持っております。本日は鬼殺隊当主産屋敷耀哉の代理として、参上した次第です。この度は―」

「出てけよ!」

 

 ()()()()()()()()()()()()()。そう聞いた瞬間、俺は大声を出していた。

 

「お前もアイツの仲間なんだろ! 出てけ! 今すぐ出てけよ!」

 

 両手を広げ、母ちゃんや花子、茂、六太を庇う様に、東雲って男の前に立つ。何をするつもりか知らないけど、母ちゃん達は俺が― 

 

「竹雄! やめなさい!」

 

 守るんだ! 心の中でそう叫ぼうとしたら、母ちゃんに拳骨で思いっきり叩かれた…痛ぇ…

 

「東雲さん、竹雄が失礼いたしました。竹雄、東雲さんが私達に危害を加える為にここへ来た訳じゃない事は、落ち着いて見ればわかるでしょう?」

「で、でも…アイツの仲間だし……」

 

 母ちゃんに注意された俺は、叩かれた頭のてっぺんを擦りながら、そう呟く。すると―

 

「竹雄くん。君の言うアイツ、冨岡義勇って名前なんだけど、彼のせいで嫌な思いをさせてしまったんだよね?」

「残念ながら、私はまだ大雑把な部分しか知らないんだ。よかったら詳しい事を話してくれないかな?」

 

 この人は膝を突いて、俺に視線を合わせるとそう聞いてきた。俺は少し迷ったけど…

 

「…わかった」

 

 あの日、何が起きたのか話す事にした。

 

 

 兄ちゃんが麓の町に炭を売りに行ったあの日。夜になって、皆で集まって眠っていたら―

 

「夜分に申し訳ありません。各地を回り行商をしている者ですが、運悪く道に迷ってしまい…仄かな灯りを頼りにここへ辿り着いた次第です」

「軒下で構いません。少しの間休ませてはいただけないでしょうか?」

 

 戸を叩く音と、そんな声が聞こえてきたんだ。時間は…わからないけど、夜明けまで半刻*1も無かったと思う。

 

「まぁ、それはさぞ大変だったでしょう。軒下と言わず、囲炉裏に当たって温まってください。禰豆子、戸を開けてあげなさい」

「はい」

 

 母ちゃんの声にそう答えた姉ちゃんが、心張り棒*2を外して戸を開けようとしたら―

 

「え…」

 

 引き戸ごと姉ちゃんが何かに刺された。腹からたくさん血を流して、倒れる姉ちゃんを見て、俺や花子、茂は悲鳴を上げるしか出来なくて、母ちゃんが慌てて姉ちゃんに駆け寄ってた。

 

「ふん、こんな判り易い噓に乗せられるとは…山育ちの田舎者は、無学で度し難いな」

 

 必死に姉ちゃんへ呼びかける母ちゃんの声が聞こえる中、そんな…凄く冷たい声が聞こえた。顔は…見えなかった。少し動けば、見えたんだろうけど…俺も花子も茂も、動けなかったんだ。そして―

 

「………7、いや8か。相手にするのは容易いが…手間をかけさせられるのも面倒だ」

 

 何か音が聞こえて、そいつはいなくなった。消えて無くなったみたいにいなくなったんだ。そしたら、俺達も動けるようになって…俺達は急いで姉ちゃんに駆け寄った。

 

「禰豆子! 目を閉じちゃ駄目! お願いだから目を閉じないで!」

「目を開けろ! 姉ちゃん!」

「姉ちゃん! 死んじゃやだ! 嫌だよぉ!」

 

 母ちゃんと俺達が必死になって姉ちゃんに叫んでいると―

 

「どうした! 何があったんだ!」

 

 兄ちゃんが大慌てで帰ってきた。

 

「昨日は三郎爺さんの家に泊めてもらったんだけど、夢に父さんが出てきて…凄く嫌な予感がしたから、無理を言って夜明け前に飛び出してきたんだ」

 

 兄ちゃんが帰ってきた事で少し落ち着いた母ちゃんと一緒に、姉ちゃんの腹に出来た傷に晒をきつく巻き付けながら、そう話してくれる兄ちゃん。

 

「よし、このまま麓のお医者さんの元へ連れて行こう。まだ、助かるかもしれない」

 

 そう言って、荷車を用意しようとしたその時だった。

 

「グォォォォォォッ!」

 

 姉ちゃんがまるで獣みたいな声を上げ始めた。その顔はいつもの姉ちゃんとはまるで違う…とても怖いものになっていて…

 

「ね、禰豆子…」

「ウァォッ!」

 

 声をかけた兄ちゃんに跳びかかる姿は、まるで山犬や熊みたいだった。

 

「禰豆子! 頑張れ! こらえろ、頑張ってくれ!」

「鬼になんかなるな! しっかりするんだ! 頑張れ!」

 

 必死になって姉ちゃんに押さえつけ、呼びかける兄ちゃん。

 

「姉ちゃん! しっかりして!」

「姉ちゃん、お願い! 元に戻って!」

「姉ちゃん!」

「禰豆子! 気を確かに持って!」

 

 俺も、花子も、茂も、母ちゃんも必死に姉ちゃんに呼びかけた。

 

「ウ、ゥア…」

 

 すると姉ちゃんは、ボロボロと涙を流しながら、少しずつ力を緩めはじめた。俺達の声が伝わったんだ! それなのに…

 

「………」

 

 アイツがいきなりやってきて、何も言わずに姉ちゃんを斬ろうとしたんだ!

 咄嗟に兄ちゃんが姉ちゃんごと転がったから、避けられたけど…そうしなかったら姉ちゃんは、アイツに斬り殺されていた。もしかしたら、兄ちゃんも一緒に殺されていたかもしれない。

 

「何故庇う」

「妹だ! 俺の妹なんだ!」

「そうです! 禰豆子は、私の娘なんです!」

「姉ちゃんに何するんだ!」

 

 刀をこっちに向けたままのアイツに、兄ちゃんと母ちゃんと俺が叫び返す。

 

「ガァァッ! ガァッ! グァウ!」

 

 そうしたら、姉ちゃんがまた叫びだした。きっとアイツを敵だと思ったんだ!

 

「水柱!」

 

 そこへまた6人、知らない奴らがやってきた。6人とも見たことない形の弓を持ってて、姉ちゃんをすごく警戒してた。

 

「あの鬼は俺が仕留める。お前達は念の為周辺半里*3四方を探索。他に鬼を見つけた場合、すぐに知らせろ」

「「「「「「はっ!」」」」」」

 

 アイツに命令されて、6人はすぐにいなくなった。

 

()()が妹か? ()()が娘か?」

 

 それからすぐ、冷たくそう言って向かってくるアイツ。兄ちゃんは咄嗟に姉ちゃんを庇ったけど―

 

「ガァァァァッ!」

「禰豆子!」

 

 いつの間にか姉ちゃんはアイツに捕まっていた。

 

「動くな」

「俺の仕事は鬼を斬る事だ。もちろん、お前の妹、お前の娘の頸も刎ねる」

「待ってくれ! 禰豆子は誰も殺してない!」

「そうです! 娘は少し前に誰かに腹を刺されて…それから様子がおかしくなっただけで、鬼なんかじゃありません!」

「調べればわかる筈だ! 禰豆子は鬼なんかじゃない。人間なんだ! 今どうして()()()()()のかはわからないけど、でも―」

「簡単な話だ。傷口に鬼の血を浴びたから鬼になった。人喰い鬼はそうやって増える」

「禰豆子は人を喰ったりしない!」

「よくもまあ、今しがた己が喰われそうになっておいて」

「違う! 俺の事は、俺達の事をちゃんとわかってくれた! 俺達の声を聞いて、涙を流したんだ!」

「そうだ! 俺達の声を聞いて、姉ちゃんは少しずつ力を緩めてたんだ! それなのに、お前があんな事したから、怒っちゃったんじゃないか!」

「涙を流したのも、力を緩めたのも単なる偶然だ。()()()()()()()()()が混濁し、一時的に混乱しているだけ。そんなものはすぐに消えてなくなる」

「違う! そんな事ない! 俺が、俺達が誰も傷つけさせない! きっと禰豆子を人間に戻す! 絶対に戻します!」

「治らない。鬼になったら人間に戻る事はない」

「探す! 必ず方法を見つけるから殺さないでくれ!」

「そうです! 私の残りの人生全てを費やしてでも見つけ出します。だから、禰豆子を、娘を殺さないでください!」

「お願いだよ! 姉ちゃんを助けてくれよ!」

 

 必死になって、姉ちゃんを殺さないように頼む俺達。だけどアイツは顔色一つ変えず、姉ちゃんに刀を突き付けて…

 

「やめてくれ!」

「やめてください…どうか禰豆子を…妹を殺さないでください…お願いします…お願いします…」

「お願いします。どうか娘を…おねがいします!」

「お願いします! 姉ちゃんを殺さないで!」

「お願いします!」

「お願いします!」

 

 兄ちゃんと母ちゃんの真似をして、俺も花子も茂もアイツに土下座した。だけど…

 

「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」

 

 アイツから返ってきたのは怒鳴り声だった。

 

「惨めったらしく蹲るのはやめろ! そんな事が通用するなら、お前の娘は、お前の妹は鬼になどされていない!」

「奪うか奪われるかの時に主導権を握らない弱者が、妹を、娘を治す? 笑止千万!!」

「弱者には何の権利も選択肢もない! 尽く力で強者にねじ伏せられるのみ!!」

「妹を治す方法は鬼なら知っているかもしれない。だが! 鬼共がお前達の意志や願いを尊重してくれると思うなよ!」

「当然、俺もお前達を尊重しない! それが現実だ!」

「何故、さっきお前は妹に覆い被さった? あんな事で守ったつもりか!?」

「何故、俺を迎え撃とうとしなかった? なぜ、俺に背中を見せた? そのしくじりがこの結果を生んだのだ!」

「お前ごと妹を串刺しにしても良かったんだぞ!」

 

 俺達に刀を突き付けたままアイツは怒鳴り続ける。よく意味が分からない部分もあるけど…アイツは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 自分は刀を持ってて強いから、俺達に言う事を聞けって言ってるんだ…なんだよ、アイツの方がよっぽどおかしい奴じゃないか!

 

「お前…何言っているのかわかんねえよ!」

 

 

麟矢視点

 

「それで、兄ちゃんはアイツの言ってた鱗滝って人のもとに行きました」

「うん、竹雄くん。話してくれてありがとう」

 

 竹雄くんにお礼を言いつつ、俺は内心頭を抱えた。

 冨岡様! 原作通りと言えば原作通りだけど、貴方の物言いが思いっきり誤解されてますけど!

 現代だと中学生くらいの炭治郎くんは、理解出来たんだろうけど…どうして10歳かそこらの竹雄くんやその弟妹さん達にも理解出来るような内容で話さなかった!

 そもそもの話、初手に不意打ちみたいな真似をした時点で、反感を抱かれるって、なんでわからないかなぁ…とにかく、今すべき事は―

 

「竈門葵枝(きえ)さん、竹雄くん、花子ちゃん、茂くん、六太くん。この度は鬼殺隊所属、冨岡義勇の言動により、大変ご不快な思いをさせましたこと、本人並びに鬼殺隊当主産屋敷耀哉に代わり、謝罪させていただきます。申し訳ありませんでした!!」

 

 これ以上、鬼殺隊への悪感情を抱かれないよう、竈門家の皆さんに誠心誠意謝罪することだ。

 

「そんな! どうぞ、頭をお上げになってください! そちら様の都合や事情もそれなりに理解しておりますので!」

 

 慌てた様子の葵枝さんに促され、頭を上げた俺は―

 

「それで、今後についてなのですが…鬼に場所を知られた以上、あの家に戻る事は非常に危険です」

「ですので、こちらの方で住居を用意させていただきます。お望みでしたら、仕事の方も」

 

 賠償について話を進めていく。当初は『そこまでして頂く訳には…』と遠慮していた葵枝さんだったが、現状では炭焼きを生業として続けていく事は難しい事。近日中に開店する店舗の人員に空きがあり、今ならば推薦枠として採用出来る事。などを説明。

 

「それでは、お言葉に甘えさせていただきます」

 

 最終的には受け入れてくれた。近いうちに狭霧山の鱗滝様のもとへ向かい、炭治郎君に話すとしよう。

 こうして、耀哉様から託された竈門家への謝罪は、無事に終了するのだった。

*1
約1時間

*2
戸や窓が開かないように押さえておくつっかい棒の事。用心棒とも言う

*3
約1.963km




最後までお読みいただきありがとうございました。

竈門家関連における原作との相違点は、以下の通りです。

①炭治郎くんが家に戻ってきた時間→原作とは違い、夜明け前に帰ってきた。夢枕に父親の炭十郎さんが立った事で、何か不穏なものを察知した模様。

②現場に駆け付けた鬼殺隊の人数→原作では冨岡様のみだったが、本作では筋交の6人が同行した。ただし、冨岡様の指示ですぐに周囲の警戒に散った為、竈門家とのやり取りには参加していない。

③生き残った人数→原作では鬼にされた禰豆子ちゃん以外全員殺されたが、本作では全員生存。竈門家を襲った存在が複数人(炭治郎くん、冨岡様+筋交の6人)が近づいてきているのを察知した為、面倒事を恐れて撤収した。


※大正コソコソ噂話※

麟矢とのやり取りから1週間後。葵枝(きえ)さんは蝶屋敷の近くに開店した『ビストロド東雲』で働き始めました。
当初はフロアでの接客のみを担当していましたが、ある日急病人が出た事で人手が足りなくなった厨房に、盛り付けのサポートとして入ったところ、その手際の良さと盛り付けの美しさが評判となり、厨房スタッフも兼任する事となりました。
給料は増えた反面、仕事量も増えた形ですが葵枝(きえ)さん曰く『炭焼きをやっていた頃に比べれば、楽なものです』とのことです。 
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