何処までいっても、外側からは見えないものがある。
ただ、見えなくても気遣うくらいは多分出来るから。
裏側に何があるかは知らないけれど、隣はいてあげよう。
きっと必ず、どうにかなるから。

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今回はメガネ回です


アオのハコ#78 SideB

 ああ、そうか。返事したのか、大喜。

 我ながら何処か冷めた感じだとは思うけれど、実際思ったのはその程度。むしろ全力で荒れている守屋さんに、なんとなく違和感を抱いてしまう。

 最近蝶野さんと仲良いみたいで一緒にいる姿をよく見るけど、ここまで入れ込むような事だろうか。精々一週間かそこらの付き合いなんだろうし、正直こうも熱くなられると退く。どうしてこう女子ってのは、他人の恋話に首を突っ込むんだ。

 いや俺だって、()()の事は気にかかるけどさ。だからって髪振り乱して暴れる程じゃない。

 むしろ蝶野さんは、今までよく気が持ったと思う。大喜が千夏先輩しか見ていないのはずっと前から分かっていたんだし脈がないのは分かった上で、それでもどうにか食い下がり続けるなんて辛過ぎる。早々にパンクしてもおかしくないし、その権利もある。

 だから蝶野さんが荒れるならまだ分かるけど、外野がどうしてそこまで騒ぐのか。

 俺にはどうにも分からないけど、でも。

「私には、理解できないよ。あんなに懸命に()()()()()()()()()子なんて、そういないでしょ。――なのに、何でダメなの?」

 苦虫を噛み潰すような顔で気持ちを吐露する守屋さんを見ていると、なんとなく見当は付いた。

 好きになってもらったなら、その相手を好きになって当然。気持ちを向けられるのは、それだけで幸せ。そう思ってるなら、それこそ大喜の行動は理解できないだろう。

 アイツはバカで、不器用だから。自分の気持ちさえ制御出来ないのに、向けられた好意を受け入れる事なんか出来やしない。そしてそれが相手を傷付けていると分かっても尚、道を曲げられない。そこまで器用に立ち回れるなら、形だけでも付き合うとかそういう手も取れただろう。大喜がそんな事出来るわけ無いけど。

 好きになられるのが辛い、思われるのが苦しい。そんなのは考えたことも無いだろうな、この人は。

 人を好きになるのは楽しくて、そして辛い。昔俺はそれを思い知り、止めてしまった、無理だと決めた。諦めを付け、止めを刺した。

 だからこそ人の恋路に、そこまで熱くはなれない。でもまあ見守っていこう、くらいには思っている。

 ……薄情メガネだの口出しメガネだの散々に言われてるけど、一緒になって騒ぐだけが友情じゃないだろう。後ろで支えてやるのも大事だ、多分。

 

 大喜と千夏先輩は、お似合いだとは感じる。とは言え、すんなり行きはしないだろう。あの二人は、似すぎているから。

 友達として同居人として上手くやれているようだし、それこそ恋愛にはなれない気がする。

 そういえば前に「千夏先輩がお前の事好きだったらどうする」と尋ねた事があったな。あの時はキョドりにキョドった末「付き合えるものなら……」と言ってたけど、多分千夏先輩に「大喜が先輩の事好きらしいですよ」と言ったら同じような反応をするんだろう。()()()()()、それを現実として突きつけられたら逃げ出してしまう筈だ。

 どうにか軌道修正出来れば良いんだろうが、それは俺の役割じゃない。俺は所詮外野、傍観者なんだから。

 だからただ、願おう。事が上手く運ぶように、誰も泣かずに済むように。無責任かもしれないけど。

 全ては本人の選択で決まることだから。

 

 一頻り悪口雑言をぶつけられた後ようやく守屋さんから解放されると、練習時間はもう終わりかけていた。まったく女子のこういう所は本当に困る、なんであっちこっちに話が飛ぶんだ。なんだよあのルール無用の残虐ファイトは。

 せっかく合宿なんだしもっと練習したかったけど、まあ仕方がない。あの口撃を大喜へ直接向けられると流石に問題か、また凹まれると面倒だ。

 あれはバカのくせに考えすぎるから、悪口には弱いんだよな。その辺がバカなんだけど。

 部活でも恋愛でもまだまだ足掻いている最中の大喜に、これ以上余計なものを背負わせても悪いし、とりあえず防波堤の役割くらいはしてやるさ。

 これでも一応、友達だからな。

 


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