ソードアート・オンライン 赤色の記録   作:Aa_おにぎり

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間話#31 井戸端会議

その日、ある場所を五人の男女が訪れていた。

 

「おぉ…」

「ここは?」

 

招待されたアリスとユージオは、招待主のマキナを見た。

 

「私たちの秘密の部屋〜」

「正確には、マキナお姉さんと私達が色々とやるための特別なお部屋なんです!」

 

そこでユイが答えると、そこでテーブルに皿やら何やらを用意している様子のストレアが二人を出迎える。

 

「やぁ〜どうもどうもお二人さん。私たちの家にようこそ〜!」

 

陽気にもてなす彼女は、そこで軽く手招きをして二人を席に座らせる。

今日はマキナ・ユイ・ストレア・アリス・ユージオの五人が一堂に集まって暇つぶしでもしないかとと言うことで集まっていた。

五人は広義的には電子生命体であり、それ故にマキナからしてみるとここにいる全員が従妹弟であった。

 

「ご招待ありがとうございます」

 

ユージオは頭を下げてマキナに言う。

マキナがユイやストレアと同じと言う事実はすでに自分たちも知るところである。

今日、二人は完全なオフの日であり。丸一日自由時間が与えられていた。

 

二人がリアルワールドと呼ぶこの世界のことをよく知るために、休暇の日は和人や知り合いの人と共に街に出てユージオ達を案内して店に入ったりして観光もしたりしていた。

まだ遠い場所に行ったりと言うのは無理だが、修也の家に行くくらいは許可が出ていた。

 

そしてここは、マキナが修也の家のサーバーに作った『(仮称)最強のマイルーム』だと言う。

マイルームと聞いてアリス達の中では自分の部屋を持っているのかと軽く感心しながらその『最強のマイルーム』を見る。

 

部屋の大きさは大体一六平方メル…じゃなくて、こっちだと大体一〇畳くらいか。それくらいの大きさの部屋だ。

ユージオは修也に教えてもらった、部屋の大きさの目安の数え方を思い出す。

中にはテーブルや壁に飾られた絵画。テレビやゲーム機が置かれており、『娯楽品』が大量に散乱していた。

 

「今日はどのような予定で?」

「うーんそうだねえ〜…」

 

アリスはメイド服を着るマキナに聞く。

 

「たまには、こういうキリトとかマス…修也のいない時にお話でもどうかなって思ったのよね」

「なるほど…」

「それに、最近は色々あって疲れているだろうし」

 

マキナは言うと、ユージオ達はため息を吐く。

 

「最近というか…」

「ずっと、ですけどね」

 

あれ以降、自分たちは修也の創り上げたこの身体を使ってお堅いスーツやドレスを身に纏って色々なパーティーに参加して、見せ物のように色々な人と話したりしていた。

その時、和人や修也はこの世界での身分の関係でほぼほぼ会うことができなかった。まあだから和人の家に逃げ込んだわけなのだが…。

 

「お疲れ様です!」

「今日は…ちょっと狭いですけど、ゆっくりしましょうか」

「おう、狭いとか言うなよ。実際そうだけどさ…」

 

一〇畳の部屋に五人が集まる上に、部屋にテレビやら物が多いせいで結構窮屈になってしまった。

 

「狭いってわかっているなら初めから大きくすればいいのに…」

「マスターのサーバー食っちゃうからダメでーす」

 

ストレアのぼやきにマキナは言うと、そこでアリスが聞いた。

 

「シューヤの家はそんなに物が多いのか?」

「そうですね…マスターが研究した機械の設計図とかはもう削除していますけど、理論とか論文とかのデータは入っていますからね」

「おかけで整理に苦労しました…」

 

呆れたようにため息をついてストレアがその時の悲惨さを回想する。

修也はこのリアルワールドでも研究者をしているという。実際、修也の作った物の中にはユージオとアリスの体も含まれている。

何処の世界でも修也は修也らしいと思いながらユージオは席に座ると、そこで目の前に出されたのはトマトを入れたジェノベーゼパスタ。

 

「お酒…はマズイか?」

「そうですね」

「一応未成年だからね」

 

アリスとユージオはマキナから確認を受けた時、ふとユージオは思い出す。

 

「(あれ?シューヤって…)」

 

そこで彼はアンダーワールドの修剣学院にいた時に思いっきりワインを飲んでいたような気がした。うん、飲んでいた。確実に。

 

「ん?どうかした?ユージオ」

「え?あっ、ううん。なんでもないよアリス」

 

アリスに聞かれユージオはすぐに首を横に振った。

リアルワールドでは修也は酒を飲んだら捕まるが、アンダーワールドの出来事はリアルワールドに影響することはないと言うのを前に修也から聞いていたので問題ないと思っていた…いわゆる時効ということで、その後の事も含めて多分有耶無耶になっただろうし。

 

「しかし、この空間でも料理が食べられるとは予想外です」

 

アリスはそう言って出てきた料理を前に軽く驚いていると、そこでマキナは言う。

 

「やぁね、私たちは『食べる』ってことを前提に作られたわけじゃないからさ…」

「味まで再現できているかどうかはちょっとわからないんだよね」

「ですので、こちらの世界で色々と食べてきた二人に味の感想をお聞きしようかと思っておりまして」

 

反対に座る三人は各々順序よく言うと、息ぴったりな三人に二人はなるほどと頷いた。

三人は自分たちと生まれ方が違うと言うのは、前に修也に教えてもらった通りだが、なるほど。こう言う違いもあるのか。

 

「最近の趣味なんだよね〜」

「姉さんは好きですね、本当に」

「私はいい趣味だと思っていますよ?」

 

マキナに机に肘を立ててストレアが言うとユイが反応をしており、雰囲気は親戚の子がぐだぐだとしている。そんな感じだった。

 

「まあとりあえず食べますか」

「そうですね」

 

アリスは待ちきれない様子で出てきたパスタを見ており、それに軽く笑ったマキナが言うと、全員がパスタを手に取る。

 

「不味かったら教えて下さい」

「できれば細かくね〜」

「後でこっちの方で調整をしてみます」

 

おそらく三人で試行錯誤をしたのだろう。

このパスタをポリゴンから含めて何から何まで、味の調整も行ったパスタを前にユージオは若干の不安を感じながらもフォークを手に取る。

 

「「「「「いただきます!」」」」」

 

そこでユージオはフォクでパスタを絡めて口に運ぶ。

 

「…」

 

そして味の確認を行う。

前にジェノベーゼであれば食べたことがったので、その時の味を思い出しながら違和感を伝える。

 

「ちょっと酸味が強いかな?」

「そうですね。しかしトマトが入っているのでこれは…」

 

アリスとユージオは食べた感想をいう。思っていた以上にぶっ飛んでマズイ味ではなかったのでそこは安堵する。

 

「あと少し塩味?」

「バジルの香りはもう少し強くてもいいですかね」

「オッケー」

 

そこでマキナは確認をして軽く頷いた後に二人の料理の上に手を出すと、軽くキラキラしたエフェクトをかける。

本来、この世界で味を調整するのにこう言うエフェクトはないのだが、マキナ曰く『演出って大事よ?』と言うことであえてこのキラキラエフェクトをつけたとかなんとか。

 

「これでどう?」

 

マキナに聞かれ、再度調整したパスタを食べると、

 

「うん、美味しい」

「いいですね。食べたことがある味です」

 

ユージオとアリスはマキナの行ったことにびっくりしたが、そもそもここがネット世界というのを考えると二人は納得した。…正確には、納得せざるを得なかったのだが。

 

「なるほど、塩味を少し抑えて苦味を大きくするんですか」

「酸味はもうちょっと抑えていいんだね」

「他にもジェノベーゼの味を揃えるべきかな?」

 

そこでユージオ達の反応を見てマキナ達は三人で今の出来事の記録をとっていた。

 

 

 

「それでね〜、マスターったら下手って詩乃さんと目の前でキスすらしたことないんですよ?」

「あー、それはだいぶ重症ですね」

 

そして食後、食器のデータを削除した五人。

特にマキナは溜まっていた不満を相手もカップルだからと言ってぶちまけた。それはもうたっぷりと、酷い話でも容赦なく彼女はアリスに言った。

 

「ですよねー、まあ人って時と状況が大事とはよく言いますけど…」

「どうしてでしょうか?パパとママは行くところまで…「「ストォォップ!!」」え?」

 

マキナ、アリス、ストレア、ユイはそんな事を話し、そんな女子の会話でユージオは完全に蚊帳の外状態だった。

 

ーー女子が三人そろえば姦しい、四人だったら喧しい。

 

そんな修也の言葉をふと思い出す。

事実そんな状況が目の前にあり、唯一の男であるユージオはどうしたら良いのかと難しい顔を浮かべながらアリス達を見る。

 

「…」

 

渡された水の入ったコップを傾けながらユージオは気まずさを覚える。なんというか、女子トークって本当に男が入る隙がないなあ…。

 

「(…ん?確かここってシューヤの家だったよね)」

 

そこでふとユージオは、ここが修也の家のサーバーであることを思い出すと、そこで目を閉じて飛び出しをした。

 

 

 

 

 

そしてユージオは修也のオーグマーに連絡を仕入れた。

 

「もしもし?」

『あっシューヤ?今って時間あるかな…?』

「?」

 

現在、ラースで体操訓練中に今度は手首を壊したアリスの体の調整のために仕事をしていた。

 

「いいが…今日はマキナ達といるんじゃないのか?」

 

修也は今日のユージオの予定を思い返して聞くと、彼は哀愁漂う声色で言った。

 

『いや…女の子の会話に僕がいると邪魔かなって思って…』

「ああ…」

 

修也は曲がりなりにも和人(罪人)のおかげで女性というもの生態を理解している。そして今回、マキナ達は女子であるので比率は四対一。何処ぞの地獄かとも思えるような状況に、つまり蚊帳の外案件だと理解する。

 

「こっちに帰ってくるか?ちょうど検討したいことがあるんだ」

『うん…すぐに行くよ』

 

まるで蜘蛛の糸を見つけたかのような声で頷いたユージオに修也は若干哀れみの様子でオーグマーを切った。

 

「じゃあ、ちょっとシューヤに呼ばれたから行くよ」

 

と言うことでユージオはすぐに席を立ってアリス達に修也に呼ばれたと言った。

 

「あっ、おっけー」

「わかりました」

「いってらー」

 

マキナ達はユージオに軽く手を振った。

 

「気をつけて」

「うん」

 

そしてアリスからも見送られると、ユージオは軽く頷いた後。逃げるようにその場を後にした。

残ったアリス達はユージオという異性がいなくなったことで、さらに会話は加熱していく。

 

「でも、私も妹がいる前でユージオとキスだなんて…」

「え?無理な感じ?」

「…無理ですね。無理恥ずかし過ぎて倒れちゃいます」

「うわぁ…今はいないから良いけど、それ言えちゃうのが恐ろしいよ」

 

お熱いですなー、と言ってマキナはアリスを見ていた。

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