黒衣の騎士がオラリオに流れつくのは間違っているのだろうか? 作:グリムカンビ
原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
タグ:クロスオーバー TRPG ロードス島戦記 オリジナル展開 アシュラム ロードス ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか クリスタ二ア マーモ
ソドワ25を見たので、ロードス島戦記RPGから投げ入れます。
遙か昔、神々の戦いの末、破壊の女神カーディスの呪いに蝕まれ、最後の力を振り絞った大地母神マーファにより、アレクラスト大陸から切り離された島だ。
かくしてロードス島はマーファの墓所として豊穣が約束された地であると同時にカーディスが滅びた場所として、魔物が跋扈する暗黒の地となった。
それ故、人々はこの島をこう呼ぶ。
__”呪われた島”ロードス、と、
海原に波がうねっている。空は雲一つなく、青い布を敷き詰めたようだ。
黄金の光が空から広がり、弓から放たれた矢のごとく、海に煌めいている。
大海原の中、ボロボロのキャラック船が進む。1つ、2つではない。いくつもの船が船団となって風を受けている。船員たちは、あくせくと働きながらも疲労を隠せていない。見れば、甲板に横になり息をしていないものも見える。
彼らは枯れ木のように腕が細くなり、腹が異様に膨らんでいる。他の者たちは気にも止めていない。船と同じぐらい、船員たちのこゝろも身体もボロボロだった。
そして、船員達の姿は異形だ。肌が黒く、耳が長いエルフのような者。アマゾネスのように褐色の肌に鎧を着た騎士。全身が毛で覆われた、犬の様な、しかし直立する人のような者、赤褐色の肌に猫背気味の小人。もっぱら普通の人間に見えるものはいない。あるいは、骸の中にはいるのだろうか。
彼らは漂流者だ。
戦に負け、産まれ育った故郷を追われ、新天地を求めて旅する者達だった。その中でも一際目立つ偉丈夫がいる。黒一色の鎧を着込み、グレートソードを担いでいる。鋭い眼光に、凜々しい目鼻立ち。黒髪黒目黒鎧と全てが黒に整えられた立ち姿。
彼の名はアシュラム。またの名を___黒衣の騎士。
民の中では”漂流王”とも呼ばれつつある騎士団長であり、漂流者たちを纏め上げる歴戦の猛者だ。
カーン、カーンと鐘が鳴る。
地平線の彼方には、島が見えている。
「島だ!島が見えた!!」
マストの先の観測手が吠える、感極まれリという声音だ。それもそのはず、彼らの食料はとうに底を尽き、水さえも底をつこうとしているのである。薬もなく、病に倒れるものも多い。そして何より、先の見えない航海に絶望さえしていた。
船がざわめく。かすかな希望に皆、勢いづいた。
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「何?正体不明の船舶じゃと??」
ギルドに呼び出されたガレスは眉をひそめた。
50階層を超えるとした大遠征、しかも芋虫擬きの新種により大打撃を受け、ファミリア全体が疲弊している中、呼び出されたギルドでは船の話をされた。普段のガレスは二つ名の如く、ドンと構えて動じない。人から罵声を浴びせかけられても笑い飛ばすだけだ。しかし、さすがにただの正体不明の船舶程度で呼び出されたというのは理解が出来ない。ギルドは中立。ファミリアが疲弊しているのは承知のはずだ。もしや、ロキファミリアの疲弊を増やそうなどとは___
「えぇ、30を超える船団達です。メレンの町からもたらされました。
何より、
「何じゃと?」
壮年の職員が発した言葉、それは傾聴に値した。
「檻の中に詰められておるのか。しかし、外の怪物ならニョルズ・ファミリアでも十分じゃろう。儂らが必要なことなど、テルスキュラぐらいじゃろう。」
「……いえ、その・・・船員として操舵しています」
「…………」
二度目の驚き。通常、怪物は知性を持たない。正確にはあっても”それ”と感じさせない。武器や防具程度ならまだしも、船という高度な乗り物__しかも操舵手__を操るなどあり得ない。
「我々も困惑しています。新技術のテイムかと予測はしていますが……。そしてこの話は主要な全ファミリアに通達されています。フレイヤ・ファミリアにも。ギルドも混乱しています。こんなことは始めてなのです。後方支援でも良いのですが、出来れば緊急要員として待機していただきたい。」
「……あいわかった。儂だけでは判断しかねる。フィンに伝えよう」
「ありがとうございます」
怪物が操舵手?しかも、船団を抱えている。暗黒期にも似た混沌をガレスは感じていた。新種もさることながら、もっと厄介なことになる。長年の勘がそう告げていた。
席を立ち、扉を開けて広間に出る。
様々なファミリアがごった返しているが、何人か見覚えのある者がちらほらといる。
フレイヤ・ファミリアのガリバー兄弟、ヘファイストスの上級鍛冶士、デメテルファミリアの団長、そして『俺がガネーシャだ!!』と叫んでいる……。上級冒険者がギルド職員と話していたり、あるいは誰かを待っていたり、少なくとも普段の雰囲気ではない。
(アイズには言えんのぉ。この件に絡まざるをえんとしても、誰を行かせるか……)
歩きながら考える。誰しも消耗しているが、武器があるのはアイズだ。とはいえ怪物の話だと冷静にはいられない。入りたての者達は遠征には参加していないが、この件は大きすぎる。幹部が行くとファミリアの混乱が収まらない。
(となると、ベートやティオナあたりかのぉ。しかし怪物の船団を、確実に仕留めれる者だとレフィーヤ…には荷が重いのぉ)
3人で考えることだが、いち早く得た情報から最善策を考える。脳筋で大雑把だと思われがちなガレスだが、その思考は繊細だ。戦場では一挙一動が勝敗を左右する。だからこそ、一流の戦士は聡くなければならない。
そうして歩くうち、直ぐにたどり着く。
立ち並ぶ尖塔に、白磁の石材。ロキ・ファミリアの居城、『黄昏の館』だ。ちょうど良く、庭でベートやティオナ、フィオネが居る。どうやら、武器の試し振りのようだ。
キン、キン、と金属が打ち合う音が響いている。大剣と双剣が噛み合う。大剣をそらした剣がしなやかに腕を狙う。あと一歩という所で腕が引かれ、再び二人は立ち会う。
「おーい!!少し手を止めて、こっちへ来てくれ!!!」
門番に挨拶されながらガレスが大声を出す。庭の端まで聞こえるほどの声量だ。
汗を流しながら、二人は目を合わせ武器をしまう。一足先にベートが門まで歩き、返事をする。
「なんだぁガレス?武器の調整なら済んだぞ。丸太で試しを…」
「いや、違う。また緊急のクエストだ。上にあがってくれ。儂はフィンとリヴェリアと話してくる。」
不思議そうな顔をしながらも、うなずいた3人は塔を登っていく。
それを急かしながら、ガレスも館へと進むのだった。
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船団の中から、一機、ひときわ大きな船が港に近づいてくる。
周辺に集まった冒険者達の注目の中、一人の女が港に降り立つ。
その者は白銀色の髪に浅黒い肌、尖った耳を持っていた。一見するとアマゾネスだが、どこかエルフのような高貴な顔立ち。そして、着地の際にふわり舞った風。魔法、スキル、精霊……強者たちが幾つもの可能性を頭に思い浮かべる。
ドンと、続いてアシュラムが降り立つ。心なしか石畳には罅が入っている。鎧と大剣、本人の自重と落下を考えれば自然のことだろう。冒険者たちが剣に手を掛けながら、警戒する。ピリついた空気、張り詰める警戒。
そして、アシュラムが叫んだ。
「我々は遭難者だ!!戦う意図はない。
そして、可能であれば食糧と水を分けて貰えないだろうか!!」
大剣を地面に落としながらの出来事だった。僅かに弛緩した空気が流れる。
しかし、一歩踏み出した男によって、再び空気は張り詰めた。
「……どの程度必要なのだ。」
オラリア最強の男、オッタルである。彼は女神フレイヤの護衛。彼がいるということはフレイヤも近くにいるということに他ならない。
「4000人程度だ。そろえるのに時間が必要なら構わない。対価は金貨で支払おう」
ざわざわと、オッタルの言葉に冒険者たちがざわめく。ギルド職員も喰ってかかろうとするが、近くのフレイヤ・ファミリアの人間に押さえられている。敵が弱っているのであれば、わざわざ食糧や水を与える必要はない。そう言いたげな顔だ。ましては怪物の船員。乗り込んで殺してしまうのがいいだろう。
だが、オッタルはこう思う。
(この男、強い。あるいは俺をも……)
武器を捨てた状態でありながら、目前の男から逃げや負けを微塵も感じなかった。
隣の女もそうだ。武器であろう細剣は落としているが、先ほど見せた魔法を考えると油断出来ない。なにより、フレイヤ様はこの船の一際大きな魂に興味を持っておられた。まず間違いなくこの男だ。
オッタルは確信した。食糧や水程度はフレイヤ・ファミリアの独断でも何とかな。しかし、ここでこの男に暴れられればギルド職員、冒険者は生き残れないだろう。それを気にするオッタルではないが、今回はクエストであり、面子もある。一度話し合うべきだろう。
「……あぁ、そうだな。馬車を使っても取り寄せは難しい。この町の倉庫でも500人程度が限界だろう」
チラリと漁師達を見ながら喋る。
「おい!俺たちは怪物に食糧を渡す気はねぇぞ!!」
漁師の中でも一際大きな男_ニョルズ・ファミリアの団長だろう_がそう言う。
「馬車であれば、どの程度時間がかかる?それと別に倉庫から出す必要はない。1人分の水と食糧に金貨1枚を支払う。……どうだ。」
今度は野次馬の商人達が騒ぎ出す。1人分だけで、金貨1枚。商人からすると破格だろう。急いで走って行く姿も見える。そして、続いて他の冒険者達も少しざわめく。男が状況を支配しているのが気にくわないのだろうか。あるいは、オッタルか。少なくとも納得した様子の者は少ない。ガネーシャ・ファミリアの者たちが人をかき分け近づく。今度はギルド職員も一緒だ。顔を真っ赤にしながらこちらに向かってくるのが見える。
ダン___!!
すっと、人々が静まりかえる。オッタルが肩から降ろした大剣のせいだ。
地面に突き刺さったそれは、人に向けられずとも威圧を十分に発揮していた。
「……いいだろう。団員が商人に話を付けてくる。その間、俺とここに居て貰おう。」
「あぁ。わかった。」
即座にうなずいた男は、冒険者達を見渡す。先ほどよりも静かになった冒険者達は、しかし、その視線を船から背けることは無かった。
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結論から言うと、ベート、フィオナ、ティオネは船を眺めていた。
上級冒険者ともなると、3kなど直ぐそこである。一番厄介なギルドの束縛もないのであれば、到着には1時間もかからなかった。既に到着する頃には、船の近くに喜ぶ商人と船に食物を運ぶ怪物の姿が見えた。
遠征で混乱していたロキ・ファミリアは一歩遅れる形になったのだろう。ピリリとした空気の中、ギルド職員とフレイヤ・ファミリアが口論しているのが見える。そして、オッタルとその傍らに佇む黒衣の騎士も。
(あれはヤベぇ。)
普段は強気を是とし、弱みを出さないベートが心の中で毒づく。悔しいが相手が格上であることを……いや、と首を振ってベートは気持ちを整えた。
「あっれー?食べ物運んでる!?何がどうなってるの~?」
「うるせぇぞ馬鹿アマゾネス。……見ればわかるだろ。フレイヤ・ファミリアの連中だろう。」
「見てもわかんないよ!!というか、ベートどうしたの?いつもはこっち側じゃん!!!」
「なんだと?!てめぇ、ぶっ殺すぞ」
「五月蝿いわ。ベート、ティオナ。ちょっとは空気読みなさい。」
ティオネが二人をたしなめながら、今回のクエストを思い返す。
『ギルドからの緊急クエストだ。頼んだよ、ティオネ』
……団長♡
い、いや、これでは無い。
『ギルドからの要請は2つ。まずはメレンの町の保護。次に怪物の討伐じゃ。ただし、船を操っておることからテイムか何かした人物がいるとギルドは疑っておる。
……まぁ、テイムした所でそれが出来るかは疑問じゃが。ともかく、もし町を攻撃するようなら一二も無く、討伐を。もしテイムした人間が出てくるなら背後関係とテイム技術の聞き取りを。
今は忙しいが、お主らにしか頼めん。分かったな。』
そう。これだ。ギルドに呼び出されたガレスが持ってきたのは、テイムされた怪物が船を操るという情報。オラリオ以外が持ち合わせても、あまり意味は無いが、もし闇派閥の残党や悪党にこの情報が漏れると不味い。
知性ある生き物というのはやっかいだ。船を操れるのなら、作戦も理解できるだろう。住民街で虐殺をされた日には暗黒期に逆戻りだ。加えて冒険者への信頼も地に落ちるだろう。
そして、今見える範囲にいる怪物だ。小さい者しかいない。
単純にテイムという可能性が濃いかしら?
そう思っていた時だった。
『ア、アリガトウ。』
商人から木箱を受け取った怪物が嗄れた声を出した。いや、喋った。
皆が静まりかえる。この段階で知性は確実だ。何より喋れる???
どういうこと?????
困惑と戸惑いが辺りを満たしていく中、屋根の上から黒ローブの人物が舌打ち……いや、骨打ちをする。
早い。異端児だとしても想定外だ。しかも、オラリオの外から来る怪物喋る。
これは不味い。地下のリド達にも動くように伝えるべきか。そう躊躇する中、ある冒険者が質問する。
「お、おいアンタ。こいつは怪物……なのか。それとも亜人……なのか。」
港に集まる人々の代弁とも言えるだろう一言は静かに伝わる。
「怪物…?あぁ、魔物という意味か。そうだな。彼はゴブリン。妖魔だが無害だ。」
ゴブリン??!?!!?
身近な怪物であったことが冒険者達の混乱を余計に誘った。
Lv1の時に戦う、緑で小賢しくて醜い怪物がゴブリンである。
赤褐色の肌に猫背気味の小人。たしかに、肌の色以外はよくよく見ればそっくりである。
肌は地方の差だろうか。少なくとも気にするほどでも無かった。
問題は、確かにゴブリンが喋り、知性を有していることである。
犬も怪物もコボルトあたりだろうか。何もかもが予想外で予定外。
冒険者達を混乱の渦に叩き堕とした”漂流王”。
彼はオラリオで何を成すのだろうか。少なくとも、オラリオの人間達はこう思うだろう。
黒衣の騎士がオラリオ流れ着くのは間違っているだろう。
誓約の宝冠はいつになったら続きが出るのだろう??
アシュラムはロードス島戦記において、13レベル程度の実力です。
ベルト陛下には一歩及ばず、しかしバーン達は倒せる、そう考えて下さい。
続きは、、、まぁその気になったら書きます