ハーメルンでもじわじわと人外娘人気上って来てるのに何故に魔物娘図鑑が流行らないのだ……!?
とりあえず自己紹介をしよう。俺の名前は灰炉練(かいろ れん)。こんな名前だが、別に高名な暗黒卿が血縁にいるとかそんなではない。この春からぴっちぴちの男子高校生になる者だ。サブカルチャーはそこそこに嗜んでいる、ちょっとオタク気味の少年である。受験は第一志望校に落ち、今住んでいるK県M市のM第一高校に滑り止めで合格、今日がその入学式なのだ。
「ふああ……」
俺は目を覚まし、あくびをした。時計を見ると、まだ午前5時だった。ちょっと早く起き過ぎたみたいだが今日は入学式なんだし、二度寝するわけにもいかないよな……仕方ない、起きるとするか……。そう思いつつベッドから出て立ち上がると――。
「……おはよう。……今朝は早いんですね、ご飯はまだ作ってるので着替えてください……」
と黒髪のロングで昆虫の触覚を思わせるような角を生やした少女が俺の部屋のドアを開け、そう言ってまたドアを閉めた。俺はそれを見ていて、
「…………誰だ今の?」
と言った。いや、普通にご飯を作っているとか言ってたけど、俺はあんなクール系美少女と知り合いになったことはないし、今のが初対面のはずだ。ていうか本当に誰だ?不法侵入?そう思いながらも俺はとりあえず着替えて居間に向かうことにした。居間に着くと、特に変わりはなかった。さっきのは夢か何かか?とりあえず俺はテレビをつける。すると天気予報がやっていた。
「――という訳で、この地方は一週間は晴れが続くよ!外でのデートなんかがおすすめだね!」
話している内容自体はそうおかしなものでは無かった。だが、俺はお天気キャスターの姿に目を疑った。
「なんぞこれ!?」
そのテレビに映るお天気キャスターと思しき人物は。青白い肌でやけに露出度の高い格好をした少女だった。おまけに目も黒いし赤い瞳をしている。なんだろうこの番組は、キャスターの存在が色々ツッコミどころが多すぎるぞ!?そう混乱している所に台所の方から先ほどの黒髪角少女が膳を持ってきた。
「できました。……熱いので火傷しないように気をつけてください……」
と言う少女に俺は
「いや、君は誰だ?どうやって家に入って来たんだ?」
と言う。少女は首を傾げて
「……?私はゼットンのゼツですが?お母様に合鍵を借りてここに入ったのですけど……」
と言った。……はい?お母様って俺の母さんのことか?と言うことはこの子は母さんの知り合い?それにゼットンってウルトラ怪獣の名前だろ?確かにそれを彷彿とさせる格好をしているが……混乱が深まる所、
「おはよう。練、ゼツちゃん。今朝は早いわね」
母さんが居間に入ってきた。俺はこのゼツと名乗る少女のことを母さんに聞こうとする。
「おはよう母……さ、ん?」
俺は絶句した。明らかに母の姿がおかしいからだ。まず、曲がった角やコウモリのような翼に尻尾が生えている。第二に容姿が俺の幼少期の頃の様に若々しい。俺は
「か、母さん……だよね?」
と母らしき人物に尋ねる。すると母はキョトンとした顔でこう言った。
「何言ってるのよ練。お母さんに決まってるじゃない」
……どう見ても昨日までの母親ではないのだが……。俺はとりあえず朝食を食べ始める。うん、味はとても美味しい。そして食べ終わると俺はもう一度尋ねた。
「母さん、その姿は何?」
「何って私は特に何も変わってないわよ」
いや、俺にとっては変わりまくってるんだけど!?俺はとりあえずこの質問は置いといて、次にゼツのことを聞くことにする。
「母さん、このゼツって子、誰なの?母さんの知り合い?」
すると母さんは
「誰って何を言ってるのかしら?練の幼馴染でしょう?」
と答えた。幼馴染だって!?こんな美人の幼馴染なんていた覚えがないんだけど?美人で異性の幼馴染とかラノベとかアニメくらいでしか聞かないのだが。するとゼツが
「……練はまだ寝ぼけている様です。昨日夜更かしでもしたのでしょうか……」
と言う。夜更かしなんてしてないしそもそも昨日は早めに寝たはずなのだが……。ますます訳がわからなくなってきたぞ……。その後父さんも居間にやってきた。父さんも変なパーツこそ付いてないが、なんか若くなってる気がする。そして父さんに尋ねても父さんは母さんと同じようなことを言う。そんなこんなで埒が明かなくなってきた時、母さんが
「今日は入学式なんでしょう?そろそろ行かないと遅刻するわよ」
と言われたの俺は釈然としないまま、渋々M第一高校へ向かうことになった。俺は学校へ向かう道を進む。ゼツも俺の側をついて来ていた。どうやら幼馴染だけあって同じ学校らしい。俺はゼツに
「俺達って本当に幼馴染なんだっけ?」
と問う。ゼツは
「今日の練は少し変ですよ……?私達は小さい頃からずっと一緒だったじゃ無いですか……」
と言う。そう言われると、確かに俺はこの子と昔から一緒に遊んでいたような気もする。しかし、俺はこの子のことは全く知らないし、俺の記憶の中にこの子の姿は無いのだ。これはどういうことだ?するとゼツは
「……やはり熱でもあるんじゃないんですか?ちょっと失礼しますね……」
と言って俺のおでこに手を当てた。うーむ、確かに俺は今ちょっと変なのかもしれん。まあ、これから1年も同じクラスになるみたいだし、仲良くしていく内に思い出すかもしれないか。そう思いながらM第一高校へ到着したのだが、そこにあった光景に俺はたまげた。学校に通う生徒たちや新入生の姿である。
男子は普通の人間にみえるのだが、女子が今朝の母さんの様な特徴を持つ者もいれば、腕が鳥の翼になっている者、下半身が蛇や蜘蛛や馬の様になっているもの、全身がゼリー状になっている者など、どう見ても普通の人間に見えない。千差万別すぎるぞ!?一体どうなっているのだろう。おかげで入学式は上の空で過ごした。一体どういうことなのだろう。ゼツをはじめとした俺以外の人物はまるで気にする様子は無かったが……入学式後のホームルームで挨拶した後、隣の席の男子の来留主君にそれとなく異形の女子達のことを聞いてみた。来留主君は
「魔物のことか?昔ならいざ知らず別に珍しいものでもないだろう」
と言った。どうやらゼツをはじめとした異形の女子達のことを魔物と言うらしく、しかも日常に受け入れられている存在のようだ。そして俺はその事実に驚愕した。そうしてホームルームが終わり、俺は考えをまとめたいのもあって、とっとと下校することした。相変わらず側に付いてくるゼツに俺は
「ゼツも魔物ってことでいいんだよな」
と尋ねる。ゼツは
「……はい。ゼットンという種族です。練なら昔から知っているはずですが……?」
と答える。少なくともゼツの中では俺もこの魔物が当たり前の世界で暮らして来たようだ。しかし俺にはそのような記憶が無いのだ。俺は取りあえず
「ちょっと聞いてみただけだよ」
と誤魔化す。するとゼツは
「それでは家まで送って行きますよ」
と言い出した。
「……え?なんで?」
「幼馴染だからです」
……いや、母さんも父さんも幼馴染だとは言ってたが……。俺とゼツはそんな話をしながら帰路に着いた。自宅に帰った後、俺は自室のパソコンで魔物について調べることにした。広大なネットの海を検索した結果、大体以下の様なことが分かった。
・数十年前に魔物の存在が大体的に発表された。(どうやらその前から密かに接触はあったらしい)
・魔物は魔界という所から来た既存の人間とは違う生物達で、エッチな事と人間が大好きであり、人間との子供を作ることが可能である。
・人間が魔物になることも可能で、女性は様々な魔物になれるが、男性はインキュバスと呼ばれ、外見上の変化はほどんど無い。
・取りあえず日本では出生率が増加し、更に魔法等の新技術の導入もあり、日本の景気回復に大きく貢献し、一部で救国の存在とも言われたことがある。
・現在日本では人間の女性はツチノコクラスにレアになり人口の0.1%を下回ってるんだとか。
等々、この世界は俺の知っている歴史とは異なる事が起こったようだ。……いや、俺の知らない所で何か起こった可能性もあるが、それは今は置いておこう。
「……練、何を調べているのですか?」
いつの間にか部屋に入ってきたゼツに俺は
「ちょっとね……。それよりさ、ゼツと俺って幼馴染だけどそんなに仲が良かったっけ?」
と尋ねる。ゼツは
「何を言うのですか……前から私のことを『愛している』と言ってくれたじゃないですか」
「…………えっ」
えっ、何それ俺愛の告白してたの?全然覚えてないんだけど……。
「あの時私はとても嬉しかったんですよ……。そして今も……」
……うーん、全く覚えていない……。そういえば魔物はエッチなことが大好きってあったけどまさか……俺はゼツに
「ねえ、俺達って男女のAってしたっけ?」
と問う。ゼツは
「はい」
と言った。そうか……したんだ……まあ恋人ならキスくらいはね?俺は続けて
「Bはどうだったかな?」
と言う。ゼツは頬を赤らめ
「……はい♡」
という。そうか~そこまで行っちゃったか~って、おい待ってくれ。
「……ちょっと確認したいんだけど、Cまで行ったっけ?」
と俺はゼツに質問する。ゼツは頬を赤らめたまま、こくんと頷いた。俺の身体から汗がだらだらと流れる。えっ、えええ~~!!?何しちゃってんの俺!?幼馴染と行くところまで行っちゃってるじゃん!?!?!?俺は思わず頭を抱えた。
「どうしたんですか練?頭痛でもするんですか?大丈夫ですか?」
ゼツは心配そうな顔で俺を見る。ああ、ゼツはこんなに優しい子なのに、どうして俺は覚えていないのだろう。俺は涙目で
「ううん、なんでもないよ。ちょっと目にゴミが入っただけ」
と言った。ゼツはほっとしたような顔をした後、俺に抱き着いて来たのであった。こうして俺は幼馴染との恋心を思い出し、ゼツの事を好きになったのである。俺はこれからゼツとどう接していこうか悩んでいたが、ゼツが頬を赤らめながら
「練、今日は一緒に寝ましょう……」
と言う。俺は
「ちょ、ちょっとまった、今日は入学式だったし疲れたからまた今度に……」
とヘタレ全開で言う。するとゼツは
「……それなら問題はありません。私の能力なら……」
と言い。ゼツの額の先に火球が生成されたかと思うと俺に撃ち込まれた。
「うおっ!?」
その火球を喰らった俺は消し炭に……ならなかった。しかし、身体が物凄く熱い。しかも性欲もみなぎって来てるんですけど!?なんかゼツが更に魅力的に見えてくる!
「ゼットンの火球は対象の理性を焼き尽くし、情欲の炎を燃え上がらせます……さあ、来てください練」
ゼツのその言葉と共に俺はゼツに襲い掛かった。その後、気がついた時には深夜になっていたのだった。
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