今回月輪 日廻様の企画、「モンハン文化祭2022」に参加します。よろしくお願いします。

 さて今回ですが、季節感とか○○の秋とかそういうようなテーマで書くことが苦手なので普通に書きました。許して

 それでは一狩り行きましょう!

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その竜、豪焔につき

 古代樹の森エリア6にはドクカズラが至る所に生えている。刺激を与えるとその名にある通り、花の周囲に生き物を弱らせる毒をまき散らす。そのことを数年前ここ新大陸に来た時、手痛い経験と共に学んだ。はずだったのに、

 

「なんで今そのこと忘れてその毒沼に足入れちゃったのよ……」

「と、とりあえず撤退しますよ、メディスさん!?」

「ゴアアアアアァァァァァァッッッ!!!!」

「アイツは許してくれなさそうだけど!?」

 

 エリア6は森の洞窟とも呼べる木々で覆われた場所に空いた、下層で唯一空が見える場所だ。その穴から現大陸でも新大陸でも有名なあの飛竜、リオレウスが雄々しい咆哮を上げ降り立とうとしていた。

 

「セアック、閃光弾行ける?」

「行けます!」

「カウント行くわよ。2、1、0!」

 

 リオレウスが飛び立つまさにその瞬間、セアックの左腕に装着されたスリンガーから光蟲──スリンガー閃光弾が火竜の眼前で弾けた。

 

「ガアォァァァァッッッ!??」

「や、やった!」

「引くわよっ!」

「わかりました!」

 

 燃え盛る焔を身にまとうその火竜を背に、メディスとセアックは撤退を始めた。かつてどこかで見たことのあるその火竜をしっかりと目に焼き付けながら。

 

 

 

 

 アステラに戻ったメディスとセアックはすぐさま調査団団長のもとに向かった。セアック専属の受付嬢であるモカはセアックの調査報告を受けて、アステラにある文献の調査を始めている。曖昧な報告しかできていないものの「任せてください!その火竜のこと小さいころ聞いたことがあるんです!」と言っていたので期待してもいいだろう。

 それはさておき、報告を受けた団長は顔を顰めていた。

 

「それは厄介だな。今のところ古代樹の森にその焔が燃え移ったとの報告は受けていないが、おそらく時間の問題だろう」

「そうだと思います。一応水辺に誘導しながら戦いはしたのですが、あたしたちが離れてしまったので……」

「身の安全を優先した結果だろう、気に病むことはない。命を落としてしまっては元も子もない」

 

 重々しく頷く団長。

 件の火竜が現れてからアステラ及び古代樹の森は異常な気温上昇に襲われていた。生態環境にも少なくない影響が出ており、普段ならそこかしこにいるジャグラスやアプトノス、ランゴスタまでもが姿を消した。アステラも食料等の保存状況が劣悪なものとなっており、数日でダメになってしまうものだらけになっていた。

 

「しかし、対応しなければならないのは事実。メディス、セアック両名に生態の調査と狩猟を命ずる」

「わかりました!」

「任せてください!」

 

 大きく頷いた2人は、そのまま工房へ向かった。5日程前に持ち込んだオドガロン亜種の素材を用いて依頼した、死線【デッドライン】を受け取りに行くためである。

 メディスの装備は今から受け取る死線【デッドライン】に回復粉塵を扱うオオシナトモミジ、EXナルガβシリーズである。古代樹の森を最近の主な調査対象としているメディスにはうってつけの防具であった。

 

「ジイちゃんが小さい頃に話してくれたおとぎ話の中に、今回見つかった燃えるリオレウスにあった気がするんだよな」

 

 そう零すセアックが身にまとうのは蛮雷大剣カーリヘレヴとEXプケラグーナシリーズ。こちらは最近陸珊瑚の台地を探索していることの多いセアックが、探索中に遭遇したプケプケ亜種やアンジャナフ亜種の素材が使われている。

 

「そうなの?」

「気がするだけだからあてにしないでほしいけど」

「もし思い出せそうなら言って。今は少しでも情報が欲しいから」

 

 メディスの視線の先には肩を落としてトボトボと歩いてくるモカの姿があった。どうやらダメだったらしい。

 

 

 

 

 再び古代樹の森に出た一行は、導蟲に件のリオレウスの痕跡を追わせながら古代竜人を探すことにした。現状リオレウスは古代樹の天辺にある飛竜の巣に陣取っているようだ。気温は高いままでさながら密林のような気候に変わってしまった古代樹の森だが、幸いにもリオレウスの体から出る焔から燃え移った痕跡は発見されなかった。

 

「それにしても暑いですね…」

「クーラードリンク持ってきてよかったわ。ジメジメしてるから気持ち悪いけど」

 

 無論火山のようなフィールドではないので、ただただ涼しくなるためだけにクーラードリンクを持ってきている。それほどまでの気温の変化だった。

 現在のエリアは17で飛竜の巣は目の前である。ここでよく古代竜人を見たという報告が多いので当たってみたのだが、今回は外れらしい。

 

「なら次はどこに行く?」

「思ったんだけどさ、この暑さでしんどいって言ってる人が多い中でその元凶の近くに人っているのかな」

「「あ」」

 

 すぐさまキャンプに戻り翼竜で移動を開始したメディスたち。その瞬間巣の方から通常の数倍の大きさを伴った火球が翼竜の真上を通って行った。

 暴れる翼竜に必死に捕まって下を見れば巣で寝ていたはずのリオレウスが蒼い甲殻で身を染めた亜種、蒼火竜と交戦していた。燃えるリオレウスの強火球の2射、3射目はリオレウス亜種に直撃したったその2射で蒼火竜は絶命した。その光景に言葉を失った3人だが、火竜のまなざしがこちらを向いたことで正気を取り戻した。翼竜をなだめることは諦めエリア15に飛び降りた。

 

「こんなとこで戦いたくはなかったけど仕方ないわね。耐火の装衣持ってきてるわよね?」

「もちろんです。モカは隠れ身の装衣着て隠れてて、できれば観察と記録やってほしいけど、命大事にで」

「わかりました!」

 

 モカが物陰に入るのを確認したメディスとセアックは、古代樹の森全貌を見渡せるエリア15のテラスからリオレウスが入ってくるのを待っていた。

 

「そういえば」

「何?」

「あいつの呼び名を思い出しました。確か豪火竜とか言ったっけな……?」

「はっきり言いきって欲しいけど、まぁそんな感じでしょ。撃退してアステラでもう一度確認するわよ」

 

 言い切ると同時にそれぞれの得物を抜き放った。

 

 最初に相対した時はほとんど遭遇戦のようなもので、落ち着いてそれ(・・)を見ることができなかった。が、空を飛んだ時と今と2度見ることができた現在は改めてその異質さがわかるようになった。

 羽ばたけば熱風。爪の毒は自身の焔で浄化されてしまったのか木々が腐るようなこともないが、それは焔を直接体に叩き込むことができるということだ。そして最も危険な強火球。草木が多いこのフィールドでそんなものを着弾させてしまえば一瞬で焼け野原に変わってしまうだろう。念のために持ってきたミズタマリゴケがなんの意味も成さないのは正直滅入る。

 

「ほんっと厄介ね…!」

「せりゃぁああっ!!」

 

 振り向きを狙ってセアックが蛮雷大剣カーリヘレヴを頭に叩き込む。大剣故の重量感ある一撃だったが効いた様子はなく、その場で尻尾を振り始めた。まるで炎の壁が迫るかのような尻尾を搔い潜って距離をとったセアックは、そのままスリンガーに装填された石ころを閃光羽虫に当てた。スリンガー閃光弾と同じ効果を持つ羽虫はその名に恥じぬ閃光をまき散らして豪火竜の視界を奪った。

 

「焔に阻まれて雷属性は通らないみたいです」

「ということは龍属性も望み薄ね。追撃するときは別の属性にするわ」

 

 遭遇からおよそ30分といったところか、既に幾数の斬撃を叩き込み普通のものより広い攻撃範囲に苦戦しながら攻撃を重ねてきた。その中で属性攻撃に反応することがないことから、体内から体外へ発せられている焔が雷を妨げているのだと予測できていた。持ち込んだ武器が思いのほか通用しないという事実は気を滅入らせる原因でもあったが、今ここで狩りを成し遂げるのが自分たちの仕事ではないことを理解しているセアックの目は豪火竜に負けず劣らずの焔を滾らせていた。

 会話もそこそこにメディスはクラッチクローで頭に張り付き、そのままスリンガーに装填された石ころを全弾発射。エリア中央の木の幹に激突させた。

 

「……ッ!!」

 

 音のない気合を発しながら飛び込み斬り、飛燕斬り、突きから回避斬りと繋げる。セアックは尻尾に向かって抜刀溜め斬り、強溜め斬り、真溜め斬りへ繋げていた。怒涛の連続攻撃。肉質は常に燃えているからか軟らかく、効果的な攻撃ができていると手ごたえが教えてくれていた。

 そんな攻撃を意に介さず立ち上がった豪火竜は怒りの咆哮を上げた。

 

「ゴアアアアアァァァァァァッッッ!!!」

 

 深くまで切り込んでいた2人はまともにその咆哮を食らってしまい、頭付近にいたメディスは豪火球を覚悟した。が、リオレウスは燃える翼を広げて飛び立っていった。

 

「……ふぅ」

「深追いしすぎですよ!」

「反省してるわ」

 

 背筋が凍った。飛び立つ前に目が合ったのだが、本当に死んだかと思った。

 

「反省してるならいいです。モカ!」

「はい!大丈夫でしたか?」

 

 隠れていたモカがスケッチブック片手に出てきた。そこには燃え盛る焔を見事に表現したスケッチと、自身の考察だろうかメモ書きが殴り書きされていた。

 

「一度団長に経過報告したいです。豪火竜、でしたっけ?」

「うん、種名が解れば知っている人がいるかもしれないし資料も見つかるかもだから」

「なら決まりね」

 

 

 

 アステラに戻ったメディスたちは武具を先に工房に預けることにした。大きなダメージは負わなかったものの、噴出している焔によって効果範囲が広がった攻撃の余波は大きかった。火属性の体制が弱いEXナルガβシリーズは鱗や毛が熱でダメになっている部分が多く、もしかしたら作り直した方が早いとまでの消耗で工房の親方が少し涙目になっていた。

 

「それで、首尾は?」

「推定ですが、今回出現したリオレウスは豪火種と呼ばれる個体です。本来なら断裂群島と呼ばれる場所でしか観測されていなかった特殊個体だそうです」

「現在は古代樹の森から龍結晶の地へ移動し、体を休めているようです」

 

 現状の報告と戦闘した際の特徴の報告、過去に断裂群島で出現した際のわずかな記録と照らし合わせた。今後の方針は引き続き調査観察、最終目標は狩猟となっている。出ている被害が被害なので第一調査対象と決定し調査団全体でバックアップするとのことだ。

 

「それでは、導きの青い星が輝かんことを」

 

 アステラの空は紺色に染まっていく。が、メディスとセアックには緋色に燃える空をその目に収めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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