転生しても戦争だった ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~ 作:ガンスリンガー中年
そして、強襲揚陸作戦の本番、上陸支援の花形、戦艦による艦砲射撃が幕開けた。
「なんという迫力だ……」
何とかギリギリで戦列の仲間入り、イタリア次期国王の”お召戦艦”としての栄誉を賜ることができた、史実とは比べ物にならない幸運艦”ローマ”に座乗しながら、アオスタ公ことイタリア解放軍(リベリツォーネ・イタリアーノ)総司令官”アルヴァトーレ・ディ・サヴォイア=アオスタ”は、昼戦艦橋の提督席で実はかなり艦砲射撃の迫力にビビッていた。
カタログスペックよりは明らかに遅いレートで砲撃する”ローマ”のではなく、同じ長16in主砲を搭載した6隻の皇国戦艦、合計50門の一糸乱れぬ統制艦砲射撃にだ。
土佐型で三連三基九門、天城型と長門型で連装四基八門。50口径長砲は1発あたり約800kgの榴弾を40㎞先まで楽に飛ばせる。
6隻同時斉射なら、計算上はその投射重量は一斉射だけで実に40t。
上陸支援艦砲射撃は、特別な理由がない限り1隻あたり約200発と定められているから、合計1200tの16in砲弾が海岸線を守るイタリア人の頭上に降り注ぐことになる。
何というか……こう、聖書的なニュアンスでの”この世の終わり感”ではなかった。
特に榴弾が、通常の榴弾ではなく対地攻撃用の拡散榴弾である辺りが、やたらと神が悪徳と退廃の町ソドムとゴモラを滅ぼしたとされる”硫黄の雨”を連想させる。
ここがどこぞの宗教の本家総本山があるイタリアの海岸である辺りが、実に皮肉が効いていた。
無論、対地艦砲射撃に加わっているのは戦艦だけではない。
空力加工された射程延伸弾を用いた重巡洋艦の8in砲や軽巡の6in砲とて、陸上ならば十分に巨砲だ。
加えて揚陸艦には、上陸支援用に多連装ロケット弾投射器が増設されていた。
臨時装備みたいなものだから命中精度や持続性は期待できないが、一度の斉射での投射重量は中々の物だ。
アオスタ公の眼前で繰り広げられていたのはまさにそういう光景だったのだ。
(やはり、私の判断は間違いでは無かったのだな……)
祖国イタリアが、例え全盛期の力で全力で立ち向かったとしても、鎧袖一触で圧し潰されてしまう……胸に宿ったのはそんな確信だった。
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「……誰もいねぇじゃねえか」
「さもありなんですなぁ」
ああ、なんか久しぶりだな?
舩坂弘之だ。
”ヒロユキちゃん”と呼ぶなよ? そう呼んでいいのは俺の嫁さんだけだからな。
※注:嫁さんの画像はイメージです。
いや、現実逃避はこれくらいにしておこうか。
さて、揚陸作戦の尖兵、俺たち海軍陸戦隊は意気揚々と各種上陸用舟艇に乗り込みアサルトランディングをキメたはずだったんだが……
「まあ、イタ公ですからねぇ。あれだけの火力ぶつけられたんだ。逃げ出すのも無理ないでしょう」
確かにそうかもしれないけどさぁ。
戦艦だけじゃなくて巡洋艦やら揚陸艦やらからもバカスカ撃ってたし。
でもな曹長(軍曹から出世した)、それでもやりきれん物はあるんだぜ?
「せっかくエモノ、新調したのによぉ……」
俺が手に握るのは、ブレン機関銃改め”ZM42小隊汎用機関銃”。
ほれ、今話題のサンクトペテルブルグからAG43自動小銃なんかと一緒に流れてきて、俺たちの部隊にも試験導入されたって訳だ。
元々、海軍陸戦隊ってのは陸軍のお下がり装備をメインに使っていたんだが、共同戦線を想定している英軍も8㎜マウザー弾主体の装備も増えてきたんで、いっちょ装備を近代化してみようって運びになったらしい。
んでもって俺はZM42汎用機関銃にメタルベルトリンク式の弾帯を某ベトナム帰還兵、ああ2作目のM60E3がメインウエポンの奴な?っぽく体に巻いて馳せ参じたって訳なんだが、
「撃つ相手が居なけりゃ宝の持ち腐れじゃねぇか」
いや、ギリシャの時みたいに「強襲上陸が奇襲上陸になっちまった」って訳じゃねーが、あるのはイタリア人が海岸線に立て籠もっていたって残滓、遺体やら残骸だけで、無機物有機物問わずに動いて敵対行動取ってくる奴がいねぇって話だ。
「スカされるの、これで何度目だ?」
確か、リビアでもこんなんあったな……
「なあ曹長、ひょっとしてイタ公ってのは俺とまともに
すると曹長は大笑いしやがって、
「馬鹿をいっちゃいけませんよ、隊長。隊長と殺し合うなんて小官にだってありませんって。そういう相手が欲しかったらバッキンガム宮殿にでも殴りこんでください」
ああ、武勇の獅子王”リチャードIV世”ね。
確かに悪くない相手だが、
「いつまで同盟関係にあるのか知らんが、今は仮にも同盟国の王様の首を気軽にとれるかってーの」
「おや? 隊長殿は殺ろうと思えばできると?」
まあ、SASとかも護衛で居るんだろうが、
「不可能だとは思ってないぞ?」
「そりゃまた頼もしい」
割と真面目に答えたつもりだったが、我が副官のツボだったらしいな。
「でも今回は、狩り取る首はイタ公の王様で我慢しましょうや」
「そこは妥協点だな。それにしても気合入れて新型戦車(※海兵一式戦車のこと)まで用意したってのに立つ瀬ねぇなあ」
「まあ、内陸部に進路を開けば、そのうち交戦機会くらいあるでしょう。運が良ければ噂の”P40重戦車”ってのにも遭遇できるかもしれない」
「マジにそう願うな……ん? 確かP40って『全備重量26t』の”名前倒れの重戦車”ってんじゃなかったか?」
※参考までに日本皇国陸軍の現在の主力戦車”三式中戦車”は、
「よくご存じで」
「そっちが出てきても、あんま期待できそうもねぇなぁ……いや、そもそも出てくるのか?」
☆☆☆
「やっぱり出てくるのは軽戦車ばっかじゃねーかっ!!」
ちなみに遭遇するのは、大物で”M13/40
重量15t以下で、装甲は最大圧で45㎜や40㎜。薄い部分なら6㎜や10㎜で、殺ろうと思えば”二式九糎対戦車噴進砲(二式ロタ砲)”どころか”二式四十粍擲弾銃(二式グレラン)”の対装甲成形炸薬弾で射貫けるレベルだ。
ただ、流石に(滅多にない)不意打ち気味の遭遇戦ならともかく、来るのが見えてるのなら「獲物を譲ってくれ」と海兵一式戦車や九七式シリーズの完成形である英国式6ポンド砲を装備した海兵九七式戦車の出番となった。
あれ? なんかジブラルタル周辺でも似たような風景を見たような……既視感か?
いや、これでもまだ上等な方で、一応は戦車の姿をした豆戦車”L6/40軽戦車”ならまだマシ、多数派は装甲厚は最大でも14㎜、武装は機銃しか積んでいない”L3/33軽戦車”という始末だった。
ぶっちゃけ、
ちなみに弘之、ガンスピン装填アクション込みの40㎜擲弾銃(何気にお気に入り)で遭遇次第次々にこれらの車体を仕留めていたのを追記しておく。
こうして皇国海軍陸戦隊の奮闘(?)により、内陸部へ北上する進軍ルートは開かれたのだが……
一つだけ弘之の勘違いを訂正しておこう。
何やら弘之は、「上陸地点を守っていた部隊の残存兵力」を相手している気分のようだが、実は彼らってイタリア半島南部に配備されていたイタリアの”
そう、陸軍に比べれば軽装の海軍陸戦隊の戦車やら自走砲やら、ロケランやらグレランや対装甲ライフルに出てくるたびに片っ端から吹き飛ばされているが、紛れもなく精鋭だったのだ。
ただ、装備と腕と弾数と燃料が、海軍陸戦隊に劣っていただけだったのだ。
ちなみにシチリア島では、現地のイタリア正規軍”だけを”相手にした英国軍上陸部隊が、ご当地シチリアン・マフィアが高みの見物をしてる中で弾幕ごっこならぬ蹂躙ごっこで破竹の進撃をしていたらしい。
いや、これもある意味、「戦争の邪魔をすればこうなるぞ?」というパルチザン化防止の牽制なのかもしれない。
どっからどう見えても見せしめ、あるいは脅迫にしか見えないが。
ただ、言質の皆さんもヤクザの抗争とはレベルも意味も違う、「圧倒的火力で感情の介入する余地なく機械的に敵を殺傷する現代戦」というものを思い知る良い機会なったのではないだろうか?
現代の戦争というのは時折、”処理”という単語が妙に当てはまる局面がある。
独ソ戦では特にだ。
という訳で舩坂弘之、再登場ですw
それにしてもこの男、スカされる確率高いなw(イタリアン・ノルマ達成)
いや、今回はちゃんとイタリアは準備してたんですよ?
ただ、皇国軍が力任せというか……圧倒的火力で正面から蹴破っただけで。
あと、弘之が勘違いしとりますが一応、ぶつかってる相手はイタリアの正規陸軍装甲部隊です。
とはいえ、いよいよイタリア本土上陸!
弘之:「俺たちの戦いはこれからだぜっ!」
いや、それフラグ……
ちなみに唐突に出てきたどこかで見たことあるような若作りの奥様の画像ですが……噂では”
さて、次回はいよいよ内陸部へ進出になりそうです。
次回もどうかよろしくお願いいたします。