転生しても戦争だった  ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~   作:ガンスリンガー中年

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今夜も遅い時間帯でのアップです。
日付が変わる前に投稿できて良かったなぁ~とw

さて、今回も和仁とマリアンナに”語り部”になってもらい、”今後の展望”などを……

”これまでのおさらい”要素も入るので、何かとリンクが多い回ですw







第389話 【悲報?朗報?】和仁親王(サヴォイア公爵予定)、戦後に向けての展望を語りだす【もしかして重要回かも……】

 

 

 

「イタリア航空産業の復興、それも軍用機よりどちらかと言えば民間機を中心とした開発・製造を北イタリアに根付かせたいたいなって思ってな」

 

 婚約者、政略結婚ではあるが自分の夫となることに何の不満も無い和仁の言葉にマリアンナは首を傾げた。

 

 

「なんで民間機?」

 

 マリアンナの感覚だと、イタリア航空産業の構造上、ファシスト政権下だったこともあり軍用機の方がまだ形になっていたと思っていたが、

 

 

「軍用機ってのは、正直、儲からないんだ。そりゃそうだな。災害派遣とか副次的に使えるのもあるっちゃあるけど、基本的には『戦争でしか使えない生産性の無い飛行機』だ。ロジスティクス担える輸送機とかは流石にその限りじゃないが、まあ、戦闘機や爆撃機なんていわゆる”花形”ほどそうだ。好き嫌いで言えば、そりゃあ俺は『格好良い軍用機』は好きだが、戦後イタリアの復興事業を考えると致命的に産業として向いてないんだ」

 

「どゆこと?」

 

「簡単に言ってしまえば、”第二次世界大戦”がどんな形で終わるとしても、対立構造は残るだろうし、最先端技術を詰め込んだ軍用機の市場は無くなることはないだろう。おそらく、戦後世界は前世と同じような代理戦争、地域紛争や低規模戦争が増えると思うけど……だけど、既に世界の軍用機市場は『イタリアより高度な軍事技術を持つ列強』のせめぎ合い。余剰機の放出もはじまるだろうし、そこに参入できる余地は低いと思うんだよな。ジェットの実働・本格的な実戦導入が大戦末期に間に合えば、パラダイムシフトが起きて余計にその傾向が強まるだろうし」

 

 和仁の言葉だけでは少し分かり辛いので補足すると……

 史実の第二次世界大戦でも、枢軸に勝利した連合、特に米ソが戦時中に作り過ぎ、余剰となった兵器を終戦を契機に自陣営となった国々や友好的な勢力に積極的に供与したという事例がある。

 例えば、F4U”コルセア”などは米英だけでなく、戦後はづランス、アルゼンチン、エルサルバドル、ホンジュラス、ニュージーランドなどに供与されたし、Il-2は共産化・社会主義化したポーランド、ユーゴスラヴィア、チェコスロヴァキア、ブルガリア、モンゴルに引き渡されている。

 そして上記2機種は朝鮮戦争など冷戦時代の戦争にも参戦している。

 

 さて、それを”この世界線”に当てはまるのであれば……

 

「この戦争、『順当に進めば』の話だけど、”明確な勝者が生まれないまま終わる”可能性があるんだ」

 

 

【挿絵表示】

「えっ……どういう意味?」

 

「あー、まずな、英国は明確な終戦宣言をしてないだけで、現状ではこれ以上、『自分から積極的に参戦する気はない』って立ち位置なんだ。何しろボルネオ島全域を含めた蘭領東インド西部の島々を皮切りに、ベルギー領コンゴ、加えて旧仏領赤道アフリカのチャド(の南半分)、ウバンギ・シャリ、中部コンゴ、ガボン、仏領西アフリカの仏領カメルーン、仏領ダホメ、仏領トーゴを購入って形でお馴染みの『君臨はすれど統治はせず』って”ブリティッシュ・コモンウェルス”に取り込んだばっかだ。急拡大した大英連邦(コモンウェルス)を早急に黒字化しなくちゃならんって至上命題があるから、戦争なんてしてる場合じゃないのさ。実際、2年前にド・ゴールの阿呆がはしゃいでケベックを不法占拠したり、叩き売ったアイルランドに基地作ってルーズベルトが戦略爆撃機を腐るほど飛ばしても目立った軍事行動はしてないだろ? まあ、嫌がらせでマラッカ海峡やジブラルタル海峡、スエズ運河から米国を締め出したけどな」

 

 その報復で米国は日英のパナマ運河通行を禁止したのだが。

 

「英国のスタンスは、『降りかかる火の粉は払って踏み消すが、それ以上は今はしない』ってとこだ。まあ、英国人が黙って殴られっぱなしって事はありえないが」

 

 恨みはきっちり覚えて忘れないのも英国紳士の嗜みである。

 

「そして、米国とソ連、米国が今から本格参戦するとしてもドイツを陥落させるってのは、正直、かなり難しいと思うぞ? まあ、来年くらいにソ連の”バグラチオン(ドイツへの反転攻勢)”と呼応して”オーバーロード(ノルマンディー上陸)”くらいはやるかもしれないが、前世みたいにきっちりドイツを挟撃できるか怪しいと思ってる。少なくともドイツは前世に比べて余力が有り過ぎる(・・・・・)からな……ソ連は負けが込み過ぎて、『今のドイツ』をどこまで攻め切れるか疑問符が尽くし、アメリカには英国を始めとする連合国が偽フランス(ケベック)以外にほとんどいない。実質的に米国単独でやることになるが、現状の政治状況でどこまで戦力かき集められるかって問題がある。おまけに正統フランスも順調に戦力回復がされてるし、ドイツの連携も悪くない」

 

(それにドイツもサンクトペテルブルグも、”妙な隠し球”持ってそうだしな……”ノイマン”が公式には行方知れずで、ドイツから出た形跡が無いってのも妙に引っかかる)

 

 史実のフォン・ノイマンの功績は、「ノイマン型コンピューター」以外にもまだまだある。

 ”核戦争を防ぐ唯一の方法は、中国とソ連に核の先制攻撃を行い、彼らが核兵器を手に入れるのを阻止すること”

 とは誰の言葉か……

 

「対するドイツは、まあこの先は防衛主体になると思うぞ? 多分」

 

「えっと……前世の史実みたいな感じで?」

 

 しかし、和仁は首を横に振り、

 

「いや、ある意味、”真逆の理由”さ。さっきもチラっと言ったけど、ソ連の負けが込み過ぎてるって事は、ドイツが勝ちすぎてるって意味と同じだろ? それでもコーカサスの油田をどうしても狙うってんなら無茶をする必要はあるし、そうなれば米ソも付け入る隙はあるんだが……」

 

「そういえば、もう来年にはフランスからパイプラインでバンバン石油、ドイツに入ってくるんだっけ?」

 

 そう、サンクトペテルブルグ大公フォン・クルスの策謀により、ボルネオ島のオランダ(リパブリカ・ダッチ・シェル)保有油田の産油と、日本皇国(アラビア石油開発機構:アラ石機構)管轄のリビア油田の産油の国際現物交換(バーダー)取引が成立し、フランスの地中海側の港にある石油化学(ペトロケミカル)コンビナートから直接、ドイツへ引いたパイプラインで石油を供給するというプランが進行していた。

 

「ああ。多分、俺やお前が生きていただろう時代に比べれば産油量はまだまだ小さいだろうけど、リビアの油田は試掘の段階を越えて徐々に本格的な採掘へと移行しているし、積出港に隣接したコンビナートとしての規模はまだまだ小規模だが純粋な石油積出港港としてだけ見るのなら機能はそれなりに整ってきた。まあ、石油化学コンビナート自体は受け入れ側のフランス南岸、”フォス=シュル=メール”に相応の設備があるから当面は問題ない」

 

 そう、しばらく話題に出てこなかったリビア三国連合(トリニティ)の国土開発だが、石油事業は順調に採掘が進み、一番最初に発見されたキレナイカ王国のゼルテン油田(後のナセル油田)では既に本格的な原油採掘事業が始まっており、キレナイカ王国の王都ベンガジから南へ160㎞ほど下がったシドラ湾の臨海都市”ブレガ(Marsa el-Brega)”が、今はまだ小規模ながら隣接する石油化学コンビナートと合わせて石油積出港として操業を開始しているのだった。

 また、アマル油田が既にキレナイカ王国で見つかっている。

 加えてトリポリタニア共和国でも、シャララ油田が既に発見され今は試掘準備が行われているらしい。

 ちなみに……リビアにおける総原油埋蔵量は、ある程度石油採掘が行われた21世紀現在でも、480億バレル(1バレル=159リットル)以上と試算されていたりする。

 ”この世界線”では皇国領土の樺太島全域における総原油埋蔵量が25億バレル前後、実はこれはシリアの総石油埋蔵量に匹敵するとされている。世界的には5億バレル以上の原油埋蔵量で巨大油田とされるから、リビアの埋蔵量が如何に大きいか分かる。

 

「あー、石油の安定供給が約束されていれば、ドイツも無理にコーカサスまで攻め込む必要はないっか」

 

「Exactlyにございます。そもそもドイツ人、いやヒトラーが提唱している”レーヴェンスラウム”ってのは、本来の意味は『ドイツ人の安寧の地となる生存領域の確保』って感じだが、最近のドイツの動きを見てると明らかに違う気がする。マリアンナ、何かピンとくるものはないか?」

 

 マリアンナは少し思案して、

 

 

【挿絵表示】

「……もしかして、冷戦終結後の”EU”や”NATO”のこと? 東欧諸国が加盟した21世紀入ってすぐ位の」

 

 和仁は再び頷き、

 

「ああ。おそらく、ドイツが志向してるのはおそらく『EUに準拠した大マルク経済圏とそれを守る安保連合』だ。だが、そう考えるとこれ以上、ソ連、正確にはロシアの土地を削る必要があると思うか?」

 

「負担が増えるだけってこと? 確かにドイツがロシア人を養うのは業腹だろうけど」

 

「おそらく、国防の必要性や政治的要求からやってもモスクワ攻略で終わる。んで、モスクワを落としたところでソ連は終わらんだろうからな。それ以上攻め込むのは、国力的に厳しすぎるだろうからな……良くて泥沼だろうな。ヒトラーがそれを望んでいるとは思えないし」

 

 

 

☆☆☆ 

 

 

 

「後は日本だが……ぶっちゃけ、『皇国にとっての第二次世界大戦は事実上、”対イタリア戦で終了(・・)』だったりするんだな」

 

 

【挿絵表示】

「はあっ!?」

 

「よくよく考えてみてくれ。日英同盟はドイツとの停戦を成立させちまったし、英国が『戦争やってる暇も金も余裕もない』ってスタンスだろ? 米ソは確かに敵国だが、少なくとも今はまだ戦争状態にない……後は誰と戦えばいいんだ?」

 

「……言われてみれば」

 

「そもそも、だ。日本が独伊と戦ってた理由って、別に独伊がファシストだからとか、ユダヤ人云々とか、ましてや義憤に駆られてとかじゃないぞ? 単に独伊が英国に戦争吹っ掛けたから、日英同盟に従い盟約を履行しただけだ」

 

「あっ……」

 

「それで外交交渉で日英共にドイツとの停戦が成立、おまけに今となっては元日本人がサンクトペテルブルグ大公なんてやってる手前、戦争再開なんて国際的な恥さらしは国家の面子的にできないだろ? じゃあ、日英同盟を履行するうえで道義的責任で倒すべき国はどこになる?」

 

「そ、そんな事務処理手続きみたいな理由で、イタリアってフルボッコにされたの?」

 

「そんなって……いや、結構好き放題やってたじゃん? 主にムッソリーニがさ。リビア攻め込んだり、ギリシャ攻め込んだり、アルバニア攻め込んだり、ユーゴスラヴィア攻め込んだりなんてやってれば、そりゃあぶっ倒す大義名分の付け放題プランにもなるだろうさ」

 

 和仁はそう苦笑して、

 

「少なくとも今生の日本、日本皇国は日英同盟が理由で『第二次世界大戦に参戦』して、日英同盟がドイツと停戦して、最後はどうにもしまらない終わり方になったけど、形はどうあれムッソリーニの”ファシスト・イタリアは打倒”できたから戦争を継続する理由が無くなる訳だ」

 

 おそらく……時間の問題だろうが厳密にはまだ”北イタリア社会主義共和国”の残党狩りが継続中なので、作戦終了宣言は出てないのだが。

 

 どうやら戦後に向けた和仁の予想は、まだもう少し続くようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




うん、改めてクルスがメチャクチャやらかしてるのが分かる回だったw

リビアの開発については、もうちょっと詳しくいつか書いてみたいなぁ~とか思ってますが。
基本、リビア三国連合(トリニティ)はキレナイカとトリポリタニアが石油、フェザーンはウランを軸に発展していくと思われます。

まあ、日英同盟ってドイツと停戦してイタリアが陥落する以上、『第二次世界大戦を続ける意味が無い』んですよ。
現に英国は急拡大したコモンウェルス再編に注力していて『ちょっかいかけてこない限り手は出さない』方針だし、日本は「ムッソリーニに倒してイタリア平定化」は……まあ、変則的だけど決着つきそうですし。

ただ、まだ「終戦宣言」出せないのは独ソ戦が終結してない上に、どうにも米ソがきな臭いからだったりします。
とはいえ、日本皇国にとっては山場だった「イタリア攻略」も終わりそうで、そろそろ終戦や戦後世界に向けた青写真を描いていそうですが……

付け加えると、何のかんの和仁も皇族であり、マリアンナも貴族令嬢なんだなぁ~と自分で書いてて思いましたw

さて、次回は和仁とマリアンナの二人舞台のラストかな?

ご感想、高評価、お気に入り登録してくださると大変嬉しいです。
次回もどうかよろしくお願いいたします。



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