転生しても戦争だった  ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~   作:ガンスリンガー中年

420 / 439
ついに深夜ではなく早朝アップに(号泣
いや、今日は午後から夜シフトなので……マジに睡眠時間削って書いてます(泣

ちょっと執筆時間の都合で短めですが、まあファーストインパクトこんなもんかな?と。






第417話 クルス、ロンドン入りして英国王夫妻と初邂逅ス ~そして、いきなりバラすという暴挙~

 

 

 

 さて、1944年1月中旬……

 バッキンガム宮殿の『プライベートエリアにある応接室』にて、その会合は非公式/非公開、『その場に誰がいたのか?』も公表されないまま行われた。

 

 そう、英国王リチャードIV世とその妻ドロシー、そしてサンクトペテルブルグ大公フォン・クルスとの初邂逅だ。

 公式的には、クルスは「ベルリンに居る」ことになっている。

 だが、実際には極秘扱いでベルリンからハンブルグ港まで車両で移動し、そこからプライベートクルーザー(実際にはNSR所有の偽装高速艇)でサウスエンド=オン=シーまで移動、そこからまた英国政府が用意した偽装河川貨物船に乗り換えてテムズ川を上りロンドンへと入った。

 手間のかかる方法ではあるが、まさかいきなり飛行機でヒースロー空港に乗りつけるのは目立ちすぎるために取られた方策だった。

 

 どちらかと言えば今回の謁見で気を使ったのは、むしろ英国側だろう。

 正直、サンクトペテルブルグの民に絶大な人気を誇る大公にして枢機卿のクルスに万が一のことがあれば、「せっかくのドイツとの停戦」がどうなるか分からない。

 そして、それを「米ソが望んでいる」事は百も承知だった。

 故に「フォン・クルスが英国に来る」こと、最低でも「いつ来るか?」を悟らせる訳にはいかなかった。

 英国とドイツの定期航空便が再開できていない現状、ドイツ……いや、ヨーロッパ方面からチャーター機が飛んでくること自体、要人が乗っていると公言しているようなものだった。

 故に「紛れやすい海上交通」を選んだのだ。

 

 幸いバルト海もドーバー海峡も、「史実よりはるかに小さな小競り合い」しかなかったせいもあり、”掃海(そうじ)”も”対潜哨戒(けいび)”も行われており、また各国海上警備の甲斐もあり、洋上治安は今のところ安定していた。

 

 

 

 

【挿絵表示】

「あら。本日はデンマーク国王に披露したという枢機卿(まおう)ルックではないんですわね?」

 

 挨拶もそこそこにそう切り出したのは英国王妃ドロシー嬢だった。

 

(まあ、噂通りミニマムサイズなことで……)

 

 とはいえ、英国王妃(ドロシー)は良くも悪くも色々有名なので、今更驚くほどのことじゃない。

 というか、なんか変なルビ入ってなかったか?

 ああ、公式にはベルリンに居ることになっているフォン・クルスだ。

 

 

【挿絵表示】

「”ロンドンに居ない筈”の私が、あんな目立つ真紅の法衣(カーディナル)を着る訳にもいかんでしょう。モーニングにせよイブニングにせよ、この手の正装(タキシード)はこの国では目立たないで済むうえに、大半の英国人は東洋人の見分けがつかないので都合が良いんですよ」

 

 生活様式に合わなくなった20世紀の後半では上流階級でも廃れ気味の風習だったが、時間帯により正装を変える文化ってのはこの時代にはまだまだ現役だ。

 

(それに”カーディナル”なんて着てバッキンガム宮殿入りなどしたら、下手すりゃ「丁度良いから」なんて”英国国教会(カンタベリー)大主教”と宗教会談させられかねんからな)

 

 このクッソ忙しい(タイト)スケジュールで、そんなイベント挟まれるなんて冗談じゃない。

 

(それにコイツらに枢機卿衣(ハッタリ)なんて意味が無いだろうしな……)

 

 英国王夫妻の評判を聞く限りはな。

 

「それは残念ですわ。”対アカ汎用人型決戦兵器”の”真紅の戦装束(カーディナル)”を見たかったですのに」

 

 だからルビがオカシイってばよ。

 というか、

 

「誰が”福音を齎す者(エヴァンゲリオン)”ですか。上司(ヒトラー)の奥方がなんか似てる名前なので勘弁してください」

 

「ああ、エヴァンジェリン様ですわね?」

 

(とりあえず、つまらない腹の探り合いは止めましょうってことか……)

 

 会った瞬間から薄々そうじゃないかとは思っていたが……

 

(自分から仕掛けて(バラして)くるなら上等だよ。受けて立とうじゃないか)

 

 おそらく、自分達も”転生者”である故に俺の行動、いや言動から俺もまた”転生者”だとあたりを付けていたのだろう。

 

(そして、直に会って確信を得た、か?)

 

 ”転生者”ってのは上手く言語化できないが、「独特の空気感(あるいは気配)」という物があると思う。

 無論、個人差……濃淡のようなものがあるが、

 

(国王夫妻はそれが”濃い”)

 

 いや、別にキャラが濃い事とは無関係だと思いたいが……

 

(世界を俯瞰するような立場に居る者ほど濃くなったりするのか?)

 

「ドロシー陛下(女王だけでなく王妃もQueen)、貴女も”転生者(サクセサー)”でしたか。おそらくリチャード国王陛下も」

 

 ニンマリとしてやったりという顔で微笑みやがってからに。

 

 

【挿絵表示】

「すまぬな。見た目を裏切らず、我が妻(ドロシー)は悪戯好きなのだ」

 

 

【挿絵表示】

「あら? ご挨拶ね」

 

 このハイソな夫婦のいちゃつきは一体何の茶番なんだか。

 

「さて、場は既にほぐれたと解釈してよいか? 互いに”前世持ち(サクセサー)”だという認識もできたことだし」

 

 ”転生者”だろうが何だろうが英国人は英国人。諧謔を挟まないと会話ができんらしい。

 

「十分でしょうね」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「確かに”巡航弾(V-1)”、”弾道弾(V-2)”はアイスランド防衛の駐留費を考えると、もう少し色を付けて欲しいところだわね……だって恒久的な駐留になるんでしょ?」

 

「英国本土防衛に直結する案件だと思うんですが?」

 

 あー、クルスだ。

 何故か俺、英国王(リチャード)ではなく英国王妃(ドロシー)を主な交渉相手にしてるんだが……

 リチャード曰く、

 

『この手の交渉事はドロシーの方が向いてるし上手い。俺が全権を委ねてるんだ。気にするな』

 

 とのことだ。

 奥様が”裏の宰相”なんですね? 分かります。

 

 

【挿絵表示】

(つまり、『真の英国王』とは差し詰めリチャードとドロシーの二人で一人ってとこか……)

 

「それはそうなんだけど……それなりにまとまった軍隊の駐留費と維持費って安くないのよ。いくらアイスランドが英国の目と鼻の先と言ってもね」

 

「そういうことならば……英国が”V-1”と”V-2”を使うとすれば、狙うのは売却したアイルランドの米軍戦略爆撃機基地?」

 

「そりゃそうよね」

 

 なら付加価値のつけようはあるな。

 まあ、元々考えてたプランはあるしな。

 

「紙とペンを」

 

「どうぞっ♪」

 

(既に英国は優れた慣性航法装置、オートパイロット、ビームライディング式の指令誘導を持っている筈だ)

 

 イギリスってのは、前世でも今生でも電子・電機先進国であると同時にレーダー・電波先進国だ。

 おまけに今生では電子産業立国を明確に志向してる日本皇国と同盟関係で相互補完してる状態だ。その手の装備に不足は無いだろう。

 

「ならば、これらの誘導弾に”終末誘導”機能を付与するのはどうです?」

 

「どういう意味?」

 

 ちょっと小首をかしげる仕草があざとすぎやしませんかね?

 

「英国はアイルランドにどの程度、”草”を忍ばせているので?」

 

「それなりには、だな」

 

 そう答えたのはリチャードで、

 

「大いに結構。ならば思ったよりも簡単に話は済みそうですよ」

 

 まあ、我に秘策在りってとこだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ノーガード戦法が如く、初手から”転生者(サクセサー)”暴露という暴挙(やらかし)をしたのは、クルスではなくドロシーでした(挨拶

挨拶はすっ飛ばして、手早く本題に入るドロシーに、それを動じるような繊細さを生憎と持ち合わせていないクルス。
そして、とりあえずドロシーに交渉役を丸投げするリチャードIV世w

いや、これも立派な交渉術なんですけどね。
そして、クルスは何やら腹案……というか「英国の事情に合わせた”V-1”と”V-2”の改造案(マ改造案?)」を予めある程度は考えていたようで……

次回、更に交渉は愉快な方向へ行く……かな?

ご感想、高評価、お気に入り登録してくださると大変嬉しいです。
次回もどうかよろしくお願いいたします。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。