転生しても戦争だった ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~ 作:ガンスリンガー中年
いや、今日は午後から夜シフトなので……マジに睡眠時間削って書いてます(泣
ちょっと執筆時間の都合で短めですが、まあファーストインパクトこんなもんかな?と。
さて、1944年1月中旬……
バッキンガム宮殿の『プライベートエリアにある応接室』にて、その会合は非公式/非公開、『その場に誰がいたのか?』も公表されないまま行われた。
そう、英国王リチャードIV世とその妻ドロシー、そしてサンクトペテルブルグ大公フォン・クルスとの初邂逅だ。
公式的には、クルスは「ベルリンに居る」ことになっている。
だが、実際には極秘扱いでベルリンからハンブルグ港まで車両で移動し、そこからプライベートクルーザー(実際にはNSR所有の偽装高速艇)でサウスエンド=オン=シーまで移動、そこからまた英国政府が用意した偽装河川貨物船に乗り換えてテムズ川を上りロンドンへと入った。
手間のかかる方法ではあるが、まさかいきなり飛行機でヒースロー空港に乗りつけるのは目立ちすぎるために取られた方策だった。
どちらかと言えば今回の謁見で気を使ったのは、むしろ英国側だろう。
正直、サンクトペテルブルグの民に絶大な人気を誇る大公にして枢機卿のクルスに万が一のことがあれば、「せっかくのドイツとの停戦」がどうなるか分からない。
そして、それを「米ソが望んでいる」事は百も承知だった。
故に「フォン・クルスが英国に来る」こと、最低でも「いつ来るか?」を悟らせる訳にはいかなかった。
英国とドイツの定期航空便が再開できていない現状、ドイツ……いや、ヨーロッパ方面からチャーター機が飛んでくること自体、要人が乗っていると公言しているようなものだった。
故に「紛れやすい海上交通」を選んだのだ。
幸いバルト海もドーバー海峡も、「史実よりはるかに小さな小競り合い」しかなかったせいもあり、”
「あら。本日はデンマーク国王に披露したという
挨拶もそこそこにそう切り出したのは英国王妃ドロシー嬢だった。
(まあ、噂通りミニマムサイズなことで……)
とはいえ、
というか、なんか変なルビ入ってなかったか?
ああ、公式にはベルリンに居ることになっているフォン・クルスだ。
「”ロンドンに居ない筈”の私が、あんな目立つ
生活様式に合わなくなった20世紀の後半では上流階級でも廃れ気味の風習だったが、時間帯により正装を変える文化ってのはこの時代にはまだまだ現役だ。
(それに”カーディナル”なんて着てバッキンガム宮殿入りなどしたら、下手すりゃ「丁度良いから」なんて”
このクッソ
(それにコイツらに
英国王夫妻の評判を聞く限りはな。
「それは残念ですわ。”対アカ汎用人型決戦兵器”の”
だからルビがオカシイってばよ。
というか、
「誰が”
「ああ、エヴァンジェリン様ですわね?」
(とりあえず、つまらない腹の探り合いは止めましょうってことか……)
会った瞬間から薄々そうじゃないかとは思っていたが……
(自分から
おそらく、自分達も”転生者”である故に俺の行動、いや言動から俺もまた”転生者”だとあたりを付けていたのだろう。
(そして、直に会って確信を得た、か?)
”転生者”ってのは上手く言語化できないが、「独特の空気感(あるいは気配)」という物があると思う。
無論、個人差……濃淡のようなものがあるが、
(国王夫妻はそれが”濃い”)
いや、別にキャラが濃い事とは無関係だと思いたいが……
(世界を俯瞰するような立場に居る者ほど濃くなったりするのか?)
「ドロシー陛下(女王だけでなく王妃もQueen)、貴女も”
ニンマリとしてやったりという顔で微笑みやがってからに。
「すまぬな。見た目を裏切らず、
「あら? ご挨拶ね」
このハイソな夫婦のいちゃつきは一体何の茶番なんだか。
「さて、場は既にほぐれたと解釈してよいか? 互いに”
”転生者”だろうが何だろうが英国人は英国人。諧謔を挟まないと会話ができんらしい。
「十分でしょうね」
☆☆☆
「確かに”
「英国本土防衛に直結する案件だと思うんですが?」
あー、クルスだ。
何故か俺、
リチャード曰く、
『この手の交渉事はドロシーの方が向いてるし上手い。俺が全権を委ねてるんだ。気にするな』
とのことだ。
奥様が”裏の宰相”なんですね? 分かります。
(つまり、『真の英国王』とは差し詰めリチャードとドロシーの二人で一人ってとこか……)
「それはそうなんだけど……それなりにまとまった軍隊の駐留費と維持費って安くないのよ。いくらアイスランドが英国の目と鼻の先と言ってもね」
「そういうことならば……英国が”V-1”と”V-2”を使うとすれば、狙うのは売却したアイルランドの米軍戦略爆撃機基地?」
「そりゃそうよね」
なら付加価値のつけようはあるな。
まあ、元々考えてたプランはあるしな。
「紙とペンを」
「どうぞっ♪」
(既に英国は優れた慣性航法装置、オートパイロット、ビームライディング式の指令誘導を持っている筈だ)
イギリスってのは、前世でも今生でも電子・電機先進国であると同時にレーダー・電波先進国だ。
おまけに今生では電子産業立国を明確に志向してる日本皇国と同盟関係で相互補完してる状態だ。その手の装備に不足は無いだろう。
「ならば、これらの誘導弾に”終末誘導”機能を付与するのはどうです?」
「どういう意味?」
ちょっと小首をかしげる仕草があざとすぎやしませんかね?
「英国はアイルランドにどの程度、”草”を忍ばせているので?」
「それなりには、だな」
そう答えたのはリチャードで、
「大いに結構。ならば思ったよりも簡単に話は済みそうですよ」
まあ、我に秘策在りってとこだな。
ノーガード戦法が如く、初手から”
挨拶はすっ飛ばして、手早く本題に入るドロシーに、それを動じるような繊細さを生憎と持ち合わせていないクルス。
そして、とりあえずドロシーに交渉役を丸投げするリチャードIV世w
いや、これも立派な交渉術なんですけどね。
そして、クルスは何やら腹案……というか「英国の事情に合わせた”V-1”と”V-2”の改造案(マ改造案?)」を予めある程度は考えていたようで……
次回、更に交渉は愉快な方向へ行く……かな?
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