貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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636話

「「「……」」」

「OK取り敢えず落ち着こうか」

「あたしは荒れちゃいねぇが?」

「アンタはな」

 

久し振りに本家、というよりもお婆様からの呼び出しを受けてメジロの本邸へと足を運んだランページ。お婆様へのお土産やらを抱えて行った先では……アサマだけではなく自分がもう一人の祖母のように慕うスピードシンボリことスーちゃん、そしてURAの特別顧問であるウラヌス、そして暢気に茶をしばいているシンザンがそこにいた。お三方が兎も角シンザンとは久しぶりなのでランページは嬉しさもあったのだが……お三方の雰囲気的に再会を喜ぶ気にもなれなかった。

 

「シンさんもシンさんもなんでここに居んのよ?」

「いやアタシは自由人だからね、久しぶりにメジロの子の様子でも見てやろうかなと思って来たんだよ。そうしたらすでにこの状態だったわけで……にしてもアンタが親になるたぁねぇ……順調なのかい?」

「まね、このまま行ったら今年中には産まれんじゃね?って感じ」

「そりゃ楽しみなこった、ンでアンタらはいい加減にこうなった理由を話してやれよ、暴君が困惑してんだから」

「そうだね……アーちゃん、ランちゃんも来たんだからちゃんと話してあげないと……」

「そう、ね……私とした事が余りの事にキレてしまったわ……」

「案ずるなアー子、私とてキレていた位だ」

 

この三人をキレさせた事柄というのがランページも不機嫌になる程度には癪に障った出来事であるランページの許可なく街御輿のイメージキャラクターにした地元についてだった。ランページの一切の許可なしにされた事にメジロ家から正式な通告を出したら、グダグダと見るのも聞くのも苦しい言い訳を重ねた挙句、正式に使わせてほしいという丁寧な返答までしてきやがったのだ。

 

「ウチの孫を何だと思っているんだろうな……俗物共が、余程私を怒らせたいと思ったか……」

「しかも、反省の色もない。フフフッ砂糖のシロップ漬けのような脳みそしか持たぬ愚者共めが……ランページの地元が大義名分だとでも思っているのだろうよ」

「なんなのよあのエアプランちゃんは……ランちゃんはね、あんな事言わないしあんなにぶりっ子ぶったりしないし誰かに媚びたりしないのよ、強くて凛々しくて茶目っ気があっていい女なのよ、何よあの低レベルは、あれだったらまだラ~ララララン、私が独裁暴君のメジロランページランね~って言われた方がまだマシよ」

「なんかスーちゃんだけ違くね怒ってる理由」

「完全にお前の厄介オタクと化してるぞ、フローラに比べたらマシだけど」

「あいつはあいつでクッソキレてて他の人の業務に支障出るから殴っておいた」

「よくやった」

 

殺気というには生易しい怨霊染みた物になっていたので日本酒で清めて塩をまぶしたハリセンでフルスイングしたら元に戻っていた。あいつマジでなんなんだろう……。

 

「正直な話、俺にとって地元は良い所じゃなかった。恩があるのは俺を雇ってくれた上に、バイト終わりには決まって貰い物の饅頭とか弁当を持たせてくれたバイト先の新聞配達事務所の所長とか賞味期限が近いからっておからとか野菜を分けてくれた豆腐屋と八百屋の大将、偶に、家賃を受け取ってくれなかった大家さん、後は……バイトを許してくれた学校の先生ぐらいっすよ。それ以外に世話になった記憶はないですね。素直な事を言えばあの街に俺の居場所なんてありませんでしたから」

 

ランページにとっては本当にその程度にしか感じられない。と言っても先生は自分に対する虐めを見逃していた事も踏まえると微妙かもしれないが……あの天然な先生な事だし普通に知らなかった事もあり得るので不問にしよう、というかそれを判断するのは自分じゃなくて本当のランページだから自分がとやかく言うのも違うはずだ。

 

「だが、これはメジロ家としても黙っている訳にはいかない、貴方も記者からの質問に答えてしまっているのだから。厳正に対処しますが、異論はありますかランページ」

「別にねぇっす。お好きなようにして貰っても俺は良いですよ、というか俺からあんなコメント返されて尚、まだ計画進めてるってどんだけ面の皮厚いんですかね」

 

それは本当にそう思う、あれは事実上の拒絶に近いのに勝手にやってくれというのをあそこまで好意的に受け止められる奴はそうはいないだろうに……。

 

「アー子、URAとしても今回の事には絡ませて貰うぞ。これからもウマ娘の活躍に便乗してこのような事をし始める愚か者がいないとも限らない。今回の事はある意味でチャンスでもある、それらに対する見せしめとして盛大に責任を取って貰おう」

「シンボリ家も参加させて貰いましょう、あんな低レベルなランちゃんを作り出すなんて許せない……」

「スーちゃんだけ方向性がフローラのそれなんだよなぁ……」

「そう言われるとクッソ不名誉だな」

 

そんなこんなでランページの地元は、近い内にメジロ、シンボリ、URAの名誉顧問から正式な勧告を受ける事になり、顔面蒼白になる事になる。これによって地元は誰のせいかと責任の押し付け合いとなったり、町長がそれを察知して辞任して逃亡したりと一波乱が怒る事になるのであった。

 

「にしても俺の為にあそこまで怒ってくれるとかスーちゃん俺の事大好きかよ」

「大好きじゃないわ、愛してるのよ」

「う~んフローラに言われたらぜってぇ引くのにスーちゃんだとクッソ嬉しいの笑う」

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