ネタバレ注意。
この短編はストーリー後のネモイベントに触れます。
トップトップ校長ハッサク先生トップ校長トップトップハッサク先生…また彼女と戦えなかった。
あの時、いつでも自由にバトルしよって約束したのに、そっちがその気ならこちらにも考えがある。
私は意を決して、ボタンの部屋へ向かった。
★
数ヶ月前に私の向かいに越してきた同級生。
ポケモンを手に入れるのも、ポケモンを捕まえるのも初めてで、当然ポケモンバトルも初めてな彼女。
彼女は初めてながらも臆することなく、私の誘いに乗り戦った。
最初は私が不利になるように、あの子が選んだポケモンが有利になる子を選んで勝ちを譲ったけど、二戦目のテーブルシティの門付近は違う。
ポケモンを2匹にして、2匹目も近くを歩いてるパモにモンスターボールを当てて捕獲してトレーナーとバトルして成長させた。
その時のトレーナーは、嫌そうな顔をしてたけど、手持ちを見せてようやくバトルさせてもらった。
二戦目の彼女は、またも私に臆することなく純真な眼差しで私とのバトルの誘いを受けた。
その眼差しが嬉しくて、ついついテラスタル化をした時はしまったと思ったけど、彼女は私に勝ち、さっきのは何?テラスタルって?と目を輝かせながら私のとこへ来た。
自分が持ってない技術を使った私に対して、怒るでも悲しむでも僻むこともなく。
その事がうれしくて、そしてテラスタル化を使わずにテラスタル化した私のパモを倒した彼女のバトルの才能と捕獲の才能。
彼女と6対6、テラスタル化ありのバトルをしたいと心からそう思ったんだ。
だから彼女の進む道にチャンピオンロードを伝えたし、テラスタル化の許可だってトップに掛け合って承諾させた。
何日か立ってアカデミーは特別課外授業である宝探しが始まった。
彼女はジムチャレンジの他に、ヌシポケモンやスター団の問題解決もしたらしい。
ジムで偶然会ったり、会いに行ったりする度に私の肌をひりつかせる彼女は、すごくすごく実っていた。
「………」
彼女はジムバッジを8つ集め、ポケモンリーグで四天王を倒し、そのトップであるチャンピオンのオモダカさんを倒して私と同じチャンピオンランクのトレーナーになった。
初めて、初めての同級生のチャンピオン同士のバトル。
アカデミーのバトルコートで、校長、トップ、四天王、生徒の皆の前で彼女と戦った。
勝負には負けたけど、楽しかった。
楽しくて楽しくて、もっと
周りは呆れてたし彼女も引いてたけど、また今度と約束してくれた。
そして学園で最強を決める大会。
また彼女と戦えると思ったけど、私は裏方になって参加出来なかった。
それでも彼女のバトルは見てるのも楽しく、優勝した彼女にお祝いの言葉とキャップを渡して、彼女と別れた。
「ーーーー!!」「ーーー!!」
アカデミーのバトルコートから聞こえる歓声。
大会から毎日、一日に朝昼夜一回は開催されてるのを知ってる。
私は大会に出ることなく部屋でパーモットにご飯をあげたりしてる。
私はバトルが好き。
ポケモンバトルに勝っても負けても好きで、何度も戦りたいほどだ。
そんな私が彼女が参加する最強大会に出ないわけがないんだけど、、、
『チャンピオンと戦って勝てるわけねーだろ』
『チャンピオンとやると負けるから楽しくない』
私がチャンピオンだから、私と戦って勝てないから…。
でもそれは彼女だってそうで、でも皆は彼女と楽しくバトルしてる。
彼女と戦って負けても楽しいからなのか……。
「…………なんだろ、嫌な気持ち」
彼女のことを考えるとわくわくしてたのに、今では嫌な気持ちが強い。
なんで、どうして…
★
朝、起きるとスマホロトムが着信を知らせる。
『チャンピオンランクのトレーナー、ネモだな』
「誰?」
知らない番号、高圧的で知らない声に警戒する。
『私はゼロ。 チャンピオンランクのトレーナーに挑む者だ』
「……それなら彼女に」
『君の友達なら、昨日の深夜に挑み倒したよ』
「! 嘘だ!」
電話の相手、ゼロに怒鳴る。
彼女が負けるはずない!! 彼女は強い、私よりも!!
『オモダカというトップにも挑んだが、まるで話にならない…』
「な…」
『次はキミだ。 ポケモンリーグの最上階のバトルコートにて待つ。 来なければキミの親友のトレーナー生命を断つ』
瞬間、頭の中が怒り一色となった。
彼女のトレーナー生命を断つ? 許さない、彼女に勝つだけじゃなく…。
『ふふ、さぁ、どう『ネモ、来ちゃダメ!』…っと電話の邪魔はよくない。 少し痛めつけるか』
「待って! 行く! 行くから彼女に手を出さないで!!」
なんで彼女が電話の主と一緒に居るのかわからない。
もしかして昨日の夜からずっと囚われていたのか、ペパーやボタンは何をしていたんだと思ったが、今はゼロだ。
『そうか、来てくれるなら手は出さない。 だが、私の気が変わらない内に来てくれよ、勿論一人で』
「わかった」
ゼロの気が変わらないよう、私はそらをとぶタクシーでポケモンリーグへ向かった。
ポケモンリーグ最上階、バトルコート。
何故か誰も居ないポケモンリーグを進んで上へと上がると、フードを被った黒いコートの人物が居た。
周りを見ても彼女が居ない。
「ようこそ、チャンピオンのネモ。 安心しなさい、お友達は無事さ」
「信じられない、彼女はどこ?」
「それは、バトルに勝ったら教えてあげよう」
そう言ってゼロはモンスターボールを出した。
謎のポケモントレーナー ゼロが 勝負を しかけてきた▽
「まずはこの子」
ゼロが出してきたのはガケガニ。
「え…な…」
それも大きな。
「驚いたかね? この大きさに…」
「………っ。 ふん、全然!」
初手私のポケモンはルガルガン!
「ガケガニ」「ルガルガン」
「「ステルスロック!」」
私とゼロのバトルコートに岩の破片が宙を舞い、見えづらくなる。
出は同じだ。
「やはり後続を考えて打つか」
「……ルガルガン、ドリルライナー!」
「てっぺき」
防御を固めたガケガニに、効果抜群のドリルライナーに当たる。
私としてはすぐに倒したかったけど、ガケガニとルガルガンのレベルに差があり、さらにてっぺきで固めたせいでガケガニは生存した。
「からのじたばた」
「ルガルガン、アクセルロックでトドメ!」
いくら固めたからと言って、効果抜群を受けてひんし寸前なら先制技であるアクセルロックで落ちるはずだ。
「ガァアアニィイイ…」
「…流石チャンピオンのネモ」
「……次を出して」
「………行け、ミミズズ」
ゼロの2体目、出てきたのはミミズズと呼ばれたポケモン。
そしてこれも…
「大きい…」
「よく食べ、よく寝た証だ」
「その図体ならステルスロックもよく刺さるんじゃない?」
「さて? ミミズズ、アイアンテール」
「アクセルロック!」
先にルガルガンのアクセルロックが相手のミミズズを当たり、ルガルガンはアイアンテールによって倒れた。
「戻って、行けパーモット」
「パモーッ」
「ステルスロックダメージだ。 ミミズズ、じしん!」
「打たせない、インファイト!」
「ミミズズのよく育った体は伊達じゃない、堕ちろ!」
効果抜群を受けたにも関わらず、ゼロのミミズズはじしんを放ち、私のパーモットは倒される。
「…………」
「さぁ、次を…」
…………2体倒され、漸く頭も落ち着いた。
そして何故だろう?
このポケモンバトルが、楽しい。
まるで、まるで彼女と戦ってるかのよう…。
「いや、そんなわけない…」
頭を振って私は3体目のモンスターボールを掴み投げる。
「ヌメルゴン!」
「ミミズズ、アイアンヘッド」
「ヌメルゴン、かえんほうしゃ!」
「む、それはまずい…」
「ミミズズーーッ!」
ヌメルゴンの炎に炙られて、ミミズズは倒れる。
「え、た、倒せた?」
「ああ、特防が低いからね……ほのおパンチなら二回は耐えられたんだが…ヌメルゴンはフェアリーとドラゴンが弱点ならば、行け、シャリタツ」
「え」
ゼロが次に出したのはシャリタツ。
でもさっきまでのポケモン達とは違い、シャリタツはなんと言うか…
「ちいさ…」
「オレモヌシー!」
「りゅうのはどう」
「ヌシー!」
「ヌメルゴン、れいとうビーム!」
「ヌメメッ!」
れいとうビームとりゅうのはどうが、ぶつかり合い爆発する。
「れいとうビーム!」「りゅうのはどう!」
二回、三回とれいとうビームとりゅうのはどうがぶつかりながら、距離を縮めたヌメルゴンにドラゴンクローでシャリタツを倒しきる。
「………オトシドリ、行け」
「口数が少なくなってるよ?」
「そちらは増えたな」
「こんな楽しいバトル。 心が騒ぎ立たないわけがないじゃない!」
この時、私はもうゼロに対する不信感はなく、バトルを心から楽しんでいた。
「ふ、ふふ…そうか、楽しいか…バトルは」
「勿論!」
「……そうか、では続けようか」
「ふふ、オトシドリは飛行ポケモン。 岩タイプ技のステルスロックによるダメージは大きいよ」
「問題ない、ブレバ」
「! ヌメルゴン、避けて」
「ヌメッ」
「避けることは読んでた」
「ヌメェエエーーー!」
「ああ!」
オトシドリのブレイブバードが、ヌメルゴンの避けた先を通り、ヌメルゴンの急所に当たった。
ヌメルゴンは防御も高いけど特防ほど高いわけじゃなく、オトシドリの全力のブレイブバードを受けてひんしになる。
勿論、ブレイブバードを放ったオトシドリは反動でひんしになったけど。
「行け、ノココッチ!」「行け、テツノワダチ」
ゼロが出してきたポケモンに驚く。
それはエリアゼロのポケモン。
そして彼女が持つポケモンと同じ…。
「私のワダチは今までのポケモンとひと味違う」
「…!」
そこからはゼロの実力がわかるバトルだった。
ノココッチもやられ、最後のウェーニバルを出す。
いや、私はわかっていた。
ミミズズと対峙した時の圧倒感。
彼女もそうだった。
彼女が繰り出す鋼ポケモンは、すごく強いのだ。
「うん、でも負けない! ウェーニバル!!」
「ワダチ」
「インファイト!」「アイへ!」
ウェーニブルの足技がテツノワダチの頭を捉えるが、同時にウェーニバルの足にもダメージがいくのを感じる。
「っ…いい加減、顔を見せて!! ぼうふう!」
「ワダチ、じしん」
ウェーニバルの暴風がテツノワダチを通りすぎ、ゼロのフードを脱がす。
私の目に映るゼロは、私をまっすぐに睨み付ける彼女だった。
やっぱり、と思った。
ウェーニバルを戻す。
彼女のテツノワダチのじしんに対策する事もなく、ぼうふうを優先させたのは、最後に顔を見たかったからだ。
私が誰と戦ったのか…。
「やっぱり貴女だった」
「………ネモ」
彼女もテツノワダチをボールに戻し、私に近づく。
彼女が醸し出してるオーラに当てられて、後ろへ後ろへ後ずさるが、壁まで追い詰められる。
「えっと、あの…お、怒って…」
バンッ!!
「はい、怒ってます。 これ以上ないくらい。 凄く……」
「え、あ…」
壁に手を当てて、怒りをぶつけてくる彼女。
「……学校最強大会のことなんですけど、なんで出ないの?」
「あ、あの……それは」
「それは?」
ずいっと顔を近付ける彼女。
「………わ、私と戦うのは楽しくないって」
「…………なんで?」
「勝て、ないから」
「だから出ない? 私に勝てないのに?」
「う……」
「私が、私が毎日、三回も大会に参加してるのは、ネモと戦いたいから!! 私達は対等でしょ? 同じチャンピオン! 大会に参加する度にネモと戦いたいって願いながら勝ち進んでいけば、決勝に現れるのはトップトップ校長ハッサク先生トップ校長トップトップハッサク先生……これからいつでも自由にバトルしよって誘ったのはネモでしょ!!」
「う、うぁ…でも、私が、出ると……みんな」
そうだ、大会に出るとあの顔を見る。
私とのバトルは楽しくないから…
だから、だから、彼女と戦いたいけど、大会に参加出来なかった。
そんな私に彼女は……
「私のために勝ち進んで! 私とのバトルだけを楽しんで!! 他の人とバトルより、わたしと…でしょ?」
「………うん、バトルする」
彼女の熱い誘いに、私はもう迷わない。
私は彼女と戦うために参加する。