白兵戦最強の転生特典を貰った。ただし転生先は貞操逆転世界とする   作:H-13

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みんなテンプレ大好きやねぇ。朝起きたら日間総合16位になってましたありがとう。

普通に続き書いてたんだけど多分入れた方がいいなと思ったので追加して書きました。

やりたい事の仕込みなのでかなり短め。出来たら今日2話投稿します!無理ならまた明日!

それではどうぞ!



精霊、カインを試したい【カンサツ】+ とばっちり不憫貴族ザーリアの最後の夜(仮)

 

『れじぃ、かいんッテ人間ノ子二執着シテルミタイ』

 

『人類ト戯レルノガスキネェ』

 

『我ラトハ根本的二違ウカラナ』

 

『数少ナイ同胞ダ。ソレガ気ニ入ッテイルノダ。…私ハ少シバカリ試シテミタイ。』

 

『サテ…3-1カ。「??」ハ気乗リセヌカ』

 

『彼、私トハ合ワナイ気ガスルカラネェ。私ハパス。』

 

 

 

根源的塊が闇の中で揺らめく。原初に近い「????」であるが故にその力は竜王にも引けを取らぬ。

 

人類の手本、天変地異そのモノ。ここまで言えば話し合っている者たちの正体が分かってくるだろう。

 

火、風、水、土。この世の全てが詰まった属性魔法の大元。人前に滅多に姿を見せないが故にこうして好き勝手なスライムのような見た目をしているが、本来の姿は人型である。

 

びよんとスライムから伸びた手は3本。火、風、土。水はカインとは相容れないと興味すら無さげで完全な他人事であった。

 

「う、ン゛!久しぶりにこの格好となるな。スムーズに口も動く。」

 

「当たり前でしょ~!長く丸っこくなってたせいでこれが普通だって忘れてんじゃないのぉ?」

 

「煩い。…じゃあ、どうしようか?」

 

「『儂も混ぜろ』」

 

「へぇ!あんたも出てくるのか!」

 

「『カインと言ったか。日の出から半分の時間にて、彼奴の力見れるかもしれん。儂が手引きをシてやろうか?』」

 

「お誂え向きなトコあるんならソコで会いに行けばよくなーい?」

 

「『場所は王都、ヴィマル王国の闘技場だ。お前達が出向くには些か小さ過ぎる。』」

 

「ならこうだな。」「だね。」「こうすればみんなで見れるもん。」

 

次々と彼らは身体の1部をちぎり取り闇へと放る。

 

「『確かに。儂も楽しみにシて居ようかのう。』」

 

人知れぬ世界の中心にて、我らが眼鏡に適うソレを持っているか。楽しそうにそれ等は舞い、良ければレジィの所へ行こうと準備を始めた。

 

「『ほ、ほ、ほ。楽しみじゃの、愉しみじゃ。儂は全てを見とるが本当に全てを見たとは言えんからの。今回は直接見に行くとするかね。』」

 

 

 

─────────────

 

 

 

「このクソ野郎が巫山戯るな!酔った勢いで思ったこと全部口に出す大バカ野郎が!!!貴様だけカイン殿の所に行って腹切って腸晒してのたれ死ね!!!」

 

口を開けば夫に対する言葉は止まってくれない。なんで魔物退治に躍起になってる母親の代わりにババア共の話を愛想良く聞いていただけなのに!どうして!こう!なるんだよ!!!母上と父上に来てもらうべきだったと言った所でもう遅い。

 

酔っ払った挙句に大ボケを噛ましてくれた彼奴の顔面を思いっきりぶん殴った私は絶対に悪くない。今の馬鹿は自殺しないように猿轡噛ませてぐるぐる巻きにして自室に軟禁中である。

 

未だにこの話は貴族の間で持ち切りではあるが、…我が家に取って救いなのは情報が出回っているのが昨日パーティに参加した貴族の間だけなのだ。明日は英雄の力が見られるとなれば、その話で持ち切りなのだろう。

 

今持ちうる財産、まだある信用を担保に傭兵やら、盗賊崩れの様なならず者を掻き集めてももう夜遅いからか人が集まらぬ。50にすら届かない。実家までは片道で1日掛かる。応援など呼べるはずもない。

 

護衛騎士10人と、雇った傭兵共47人。その中で明日の相手であるカイン・ファロスの防御を抜ける可能性がある者がいるかと言われれば、私以外には99%居ないだろう。

 

可能性ですらこれだ。竜王の鎧。アレは紛い物では無い。呼べば勝手に飛んでくる槍も、何もかも。勝てる要素が0なのだ。

 

侮って居た訳では無い。男だからという言葉は、「竜王を討伐した」この七文字で誰しもがその偉業の大きさに驚愕が先に来るだろう。

 

「ちゃんとした教育を受けているのなら」

 

という前提条件が来る事を完全にザーリアは頭の中からすっぽかしていたのだ。

 

男の教育など、男が産まれなかったベリア家の長女であるサーリアには分からない。だが、竜神様に認められた竜王を知らぬわけではあるまいに。

 

容姿に自信があるのが夫であった。私もそれだけは認めてやる。良く愚痴を言うのも聞いていた。だがそれは身内内での話だ。

 

寝られない。寝られるわけが無い。一番高いワインをラッパ飲みする程度にはどうすれば生き残れるのかの算段がつかない。

 

「『ほ、ほ、ほ。お困りの様じゃな?』」

 

余りの驚きに胡座から飛び上がる様に立てば、声の方向に片手を向ける。

 

【結晶】

 

それがベリア家に伝わる固有魔法であった。ベリア家最強の初代は溢れる魔力が結晶となり空間を侵食したとの逸話が残されていたりする。

 

母親、現在当主には劣るがこれでも次期当主。幽霊退治位ならば出来る自負があった。

 

 

「何者だ!」

 

「『儂はただの伝令とでも。明日の件、一枚噛ませて頂こうかと思いましてな』」

 

 

闇が喋っている。奇妙にも程があるが意思疎通は今のやり取りでしっかり取れてしまった。

 

「私達に与する貴様らのメリットはなんだ。」

 

「『かの洛陽と戦えること。』」

 

「ふはは。そんな酔狂な奴が居るのか?いや、居るから来たのか。」

 

闇が差し出したのはオーブであった。掌に握り込める程度の小さいモノであったが、中には幾何学模様の魔法陣らしきものが刻まれているのが見えた。

 

「『召喚式。貴女が死ぬ前に地面に叩き付け下され。さすれば貴女の力になるでしょうな。』」

 

「何を召喚する?魔物か?竜でも召喚するか?」

 

「『ほ、ほ。そんなものよりももっと上、と言ったら?』」

 

「嗚呼、そいつらがカインと戦いたいと?それなら話が噛み合う。」

 

「『どう捉えて頂いても構いませぬぞ。』」

 

「……分かった。受け入れよう。どう足掻いても今のままではカイン殿には刃が届かぬ。」

 

「『ほほ。良い判断かと。では、また明日に。儂は全てを見ておりますぞ。』」

 

 

気配が去っていった。闇が去ると言っても良いか。気のせいか分からないが僅かに明るくなったか。

 

溜息が盛れる。どうしてパーティに出ただけで死地に赴かなければならないのか。泣きたくなりながら片手でオーブを転がしてワインを飲み切るまでラッパ飲みを再開した。




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