白兵戦最強の転生特典を貰った。ただし転生先は貞操逆転世界とする   作:H-13

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祝20話!誤字報告、感想、評価ありがとう御座います。すんごい助かってます。

感想で最強装備カインが竜王とか上位精霊にどのくらいやれますかって質問貰いました。

相性とか色々あるので一概には言えませんが、外付けガチガチに組んだノートPCが高級なデスクトップのゲーミングPCにカタログスペックしか追い付けずに勝てないイメージ持ってください。基礎スペックが人類と上位種族だと根底から違います。
生きてる年数が違うんだよなぁ。


現状の補足
・上位精霊といっても本体の5%程度しか力は出せないから安心してね!(権能は普通に使えてる為規模が縮小しただけ)
・「?!d?」の上位精霊がアドバイスしたおかげで客席に被害が及ぶようなことはありません(ちゃんと結界みたいなものをソラウが張っています)
・試練だからね!テンション上がって死ぬなとか言ってるけど殺しに来てないからね!カインとじゃれ合いに来ただけ。

それではどうぞ!珍しくスレ無しです!



鬼畜騎士、試練を受ける

「焔よ!」

 

太陽を覆い隠す程の炎の翼を広げても尚、炎の精霊がその身太陽の化身なりて、大地を照らす。

 

その掲げた手に生まれるは焔の槍。槍と云うよりも炎の筋か。柄も穂先もそんなものは無く投擲に一番最適な形に創りあげる。

 

竜王の槍、それに対抗するかのようににやりと哂う精霊は、高らかにその銘を告げながら試練の幕開けをカインに宣告する。

 

「ウルベアナ!!!」

 

原初の炎、その精霊たるその名を冠する一投を明確な闘志を持ってカインへと投擲された。

 

 

 

「空断層五十」

 

空の精霊ソラウの一声にて闘技場と観客席が完全に真空の不可視の壁で仕切られる。これは試練である。カイン以外が乱入しては元も子も無く、試練であるが故に死闘にしてしまっては意味が無いのだ。だからこそ炎の精霊ウルベアナも殺意など一切抱いていないのだ。

 

「は~い君はこっち。良くちゃんと私達を召喚したねぇ偉い偉い。ソラウが護ってくれるだろうけどちょっとオマケをしようか。」

 

動けもしないで地面にて天変地異の前触れの様な光景を眺めていたザーリアを座る大地ごと手元へ手繰って来たのは大地の精霊、命の母。木の枝と葉っぱの絨毯を作り出せば彼女をソコへ座らせてガーデンのようなアーチで囲った。これにて大体の攻撃は彼女から逸れるであろう。

 

召喚者が死ねば召喚が解除されるようなちゃちな物では無いが、試練に来たのに知らない子が勝手に死ぬのは大地の精霊にとって余り歓迎出来ないことであった。

 

 

 

「これが試練か。…ならば先ずは引きずり下ろす!!」

 

 

カインとして、元日本人として。目の前の精霊達の立ち位置を測りかねていた。

 

分身。ぶんしんとも、わけみとも読めるソレ。某NINJA漫画の様な魔力を半分に分ける事による本物と遜色ないものなのか、媒体を使う事による局所的な本体の再現か、数多の可能性があるが…直感と彼らの言葉を信じるならば「本体から切り離した量によって出力が変わる感じの分身」の様な気がする。

 

言い方は悪いが魂の「圧」が些か足りないのだ。竜王を経験している故に技量や力は本物だろうが根本が足りていないからこそ未だ畏怖の対象では無く試練を与えてくる精霊止まりなのだ。

 

槍をくるりと回した後に槍を握り締めれば擲つは焔の槍。寸分の狂いも無く撃滅せんと渾身の力で投げ打った。その衝撃の儘に身体を回転。左手に持つ剣を両手で握り、魔力を剣へ込め、一瞬の貯めを作った後に空へと振り切る。

 

 

「!!?!ふ、は!」

 

ガラスが砕ける様な音が響けばソラウの結界が半ば迄砕かれ、上空に浮いていたウルベアナの炎の翼、付け根から綺麗に断たれていた。

 

ウルベアナがわらい、ソラウが目を見開く。瞬時にどちらも修復して元に戻るものの、カインの槍が焔の槍を難なく貫き霧散させる時間程度は稼げた。

 

カインに今足りないものは無い。そう、人間と戦う場合は。地上で平等な場所で出来る場合では、だ。

 

生物として、ニンゲンは頭が重くなり過ぎた。頭に栄養を取られすぎたのだ。

 

空へ飛ぶ事の憧憬はあれど余りに重力は人間の敵であった。

 

ならばそれは筋肉で覆そう。今ならば筋肉、魔力。幾らでも注ぎ込める。

 

飛ぶのでは無い、跳ぶのだ。最短であの精霊がいる所まで届かせ、そして切り落とせばそれで良い。

 

─────す゛ン゛!!!

 

下半身を魔力が巡る。余りの魔力に周囲の地面に亀裂が走る。

 

イメージしろ。思考を回せ。脳が筋肉では意味が無い。魔法を、自らの魔法の解釈を広げろ。コレの根本は何だ。オレの、僕の憧憬だろう。「◾︎◾︎◾︎◾︎」となるんだと。憧れたんだろう?ならば為せる。ソレを今体現しているのだから。

 

魔力の巡りは腰、背骨、頭部と巡る。この合間3秒も掛からぬ。手を伸ばせば帰ってくる槍を握りしめてその反動も使いながら跳ぶ。

 

膨大な魔力を推進力に一気に重力の鎖を引きちぎる。嗚呼、まだ足りないか。

 

脚を音の壁に叩き付ける。相応の衝撃が脚に掛かるが知ったことか。竜王の鎧が衝撃を吸収しながらぶっ壊れた脚は瞬時に再生する。ソレを無理やり繰り返す事により強引なスカイウォークを現実のものとする。

 

「覚悟!!」

 

多くの言葉を吐き出す意味は無い。堕ちてくる炎の玉や槍を切り払い間合いの1歩外。そこまで来てやった。

 

槍の石突辺りを持ちうる全てで握る。

 

やる事は竜王に対抗する為にシた事と何も変わらぬ。既に身体から魔力が溢れ出し始めている。暴走1歩手前で我慢して操っていた手網を意図的に離す愚行。

 

内蔵が、骨が、魔力の通り道となり槍にも剣にも肉体と同等の魔力が宿る。身体の中で破壊と再生が繰り返されているがそれすら心地いい。

 

「断世」

 

槍の先端が音の壁すら容易に切り裂き漸く届いたその一撃は音も無くウルベアナの股座から脳天まで引き裂いた上で空間に傷を刻み込んだ。

 

 

「ふははは!見事なり!それでこそだ!」

 

真っ二つになって尚ウルベアナは笑う。それもそうだ。全世界から全ての火の記憶が消えぬ限り無限に残機があるのがこうした「原初の上位精霊」である。容易に再生した上で屈託の無い笑顔をカインに向けた。

 

死という概念が無く本体に存在する核を破壊されても司るモノが無くならぬ限り違う形だったとしても生まれ変わり出現する自然現象そのものであった。

 

「ウルベアナ失格!カイン君やるぅ!」

 

重力の鎖に縛られた儘に落下してゆけば背後に感じるのは巨大な木製の手。このままに自らを捕まえようとして愉しげに地面に手を付くのは大地の精霊であった。ああ、そうでなくては。

 

一息を吐き、吸えばそれだけで体力は全開する。槍を溜め無く放るのは大地の精霊の脳天。どちらかと言えば右手を空けたかった。それだけである。

 

鎧に備わった機能は何も小型化だけでは無い。先程の無茶をした時に音の壁で受けた衝撃の半分以上はこの鎧に吸収されて溜め込まれている。

 

何にそのエネルギーを使うか。それは───。

 

右手に蒼い光が集まる。意図的に集めたものである。生半可な攻撃では衝撃以前に簡単に弾いてしまうからこそこうして今回は自分で溜めたのだ。

 

技名も無いただの拳一閃。巨大な掌の中心に着弾した瞬間に解放したエネルギーは、見事にその木の手を破壊し尽くした。

 

「あは!凄い!凄いねぇカイン君!最高!じゃあこれ行っくよー!?」

 

地面に漸く両脚付いたカインの目の前には巨大な木の仁王が仁王立ちしていた。

 

「アタシはイウ!森羅を司る大地の精霊!もうカイン君のこと気に入ったけどまだ足りないよね!全て捨ててかかって来い!」

 

本当に楽しそうに笑うのだ。無垢なそれを向けられては仕方が無い。手元に舞い戻ってきた槍と剣を地面に突き立てれば鎧をリングへと収納させて行く。ただの着流しだけ。その姿でありながらも、一切圧力は変わらぬ魔力を滾らせてイウが頭の上に乗った仁王に突撃した。

 

一撃目、迫り来る右手に合わせた正拳突き。仁王の右腕が肩から先が崩壊し、カインの右腕の筋が千切れ肌が裂けて噴き出す。

 

二撃目、右側を再生しながらの左正拳突き。結果は相も変わらず相打ちとなる。カインの左肘から骨が突き出る。

 

三撃目、両腕が完全に崩壊した仁王と形は保っているカイン。故に先に動けるのはカインであり、超接近したカインの右脚が仁王の左膝をハイキックで蹴り壊す。

 

柱がへし折れる音が鳴り響き仁王が膝を着く。そこで両腕の再生が完了する。

 

四撃目、飛び上がったカインの膝がイウの顔面に迫る。蔓のクッションをカインと自らの間にイウが生成して軽くいなす。

 

五撃目、カインの脚を金剛の頭を変化させて拘束してしまえば一瞬の隙を突いてイウが動く。金剛を右腕に纏い放つ無造作な体重を全部載せたパンチはカインの腹にぶつかり衝撃が突き抜ける。

 

辛うじて脚の拘束を外していたカインは後ろに飛ぶことによって衝撃を軽減しようとする。内臓が物理的に抉れる程のソレに流石に吹き飛ばされるも、溢れ出る魔力によって再生する。起き上がってから数度口の中の血を地面に吐き出した後、尽きぬ闘志をイウに向けた。

 

 

「カイン、イウ、そこまで。」

 

「うむうむ。これ以上は我らの目的から逸脱する。」

 

パン、パン。手を叩き止めるのは唯一この中でカインを試さなかったソラウであった。その後ろからは先程まで空中で観戦していた炎の精霊である。

 

「改めて、我が名はウルベアナである。いや、見事なり。矢張り英傑とは良い物だな。見届けたくなる。」

 

「はいはいはい!私も改めて!イウだよ!森羅の精霊、豊穣も何もかも私の手の内ってね!カイン君一緒に過ごそうよ!この世界が終わるまで!」

 

「イウ、カインの迷惑。…私はソラウ。カイン、私達はこれでも分身。改めて君の元へ次は私達自身が行くから。楽しみにしててね?」

 

三人に囲まれ四人の世界を構築していたがふと目端で必死に真空の壁を叩く妻と女王の胃が痛そうな顔を見て、ソラウにソレを伝えた。

 

「…あ。」

 

 

精霊もポンな所があるんだね。そんなホッコリとした感じにはなったが、観客席ではかなりの混乱が巻き起こっていたらしい。ソラウが結界を解除した瞬間に一気に耳に入る情報が膨大になった。

 

「はぁ。…鎮まれ!我らは精霊である!此度はカインに用があり訳あってソコの人間を使った。えー、そうだ、ヴィマル王国であったか。ソコに危害は加える気は方ほども無い!どうでも良いし(ボソッ)我らが認めた英傑、大切に扱えよ?ではな!」

 

「カイン君まったねー!」

 

「カイン、今度は沢山話そうね」

 

一気に静かになった世界にてウルベアナ達は好き勝手言った後に塵となる様に消え去った。




ちょっと予定より話数掛かってますがもう1話書いた後に王都から帰ります。ゆっくりお楽しみください。モチベ維持には感想が私には必要なんです!何でもください!毎日投稿しますから!

以下精霊の紹介。イメージモチーフは想像しやすい様にコレが近いかな?ってやつを書いてます。それじゃないからね!

ウルベアナ
炎、光等の権能持ち上位精霊。モチーフイメージはファラオ+施しさん

イウ
大地やら生命やら森羅の主。上位精霊。モチーフイメージははっちゃけた忍界最強

ソラウ
空、風等の権能持ち上位精霊。モチーフイメージは某落第騎士の純白

ついでのレジィ
鍛治系統全部引っ括めた権能持ち上位精霊。モチーフイメージは某ダンジョン世界の女鍛治神

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