これでお前とも縁ができた!
ん?今俺を無視したな?
これでお前とも縁ができた!
世はまさに大縁結び時代
ジロウの仇をとるために
ここは、新世界のとある王国。
名を『ストームキングダム』
ストームと言っているが特に風が強いなどはない。
普通の土地、普通の気候である。
おかしなことと言えば、国を治めるものが天竜人であることだ。
これは、そこに産まれたとある青年と父親の話である。
-息子の苦難-
俺はオズ。
ストームキングダムの王、ロザレス2世の息子。
天竜人の家系に生まれた人間である。
ちなみにこの名前は陛下から直々に頂いた名だ。
自分を出迎える騒々しい民衆たち。
それらが作る花道を抜け、城へ。
此度の遠征にて手に入れた財宝を王へ捧げるためだ。
荷車をおし、ゆっくりと足を進める。
とは言っても気分が重い。
「悪魔の実が2つに、財宝が小舟一杯程度。少なすぎるな」
そうだ、たったこれだけなのが。
いずれ世界を統べる王国の王子が遠征で手に入れるにしては
流石に少なすぎるというものだ。
「これじゃあ、マリージョアの馬鹿たちを笑えないな」
陛下と比べることもおこがましい木偶どもの顔面が思い浮かび、寒気がする。
しかし、どれもこれもすべて自分の実力不足。
子供のころよく聞かせてくれたここより遠く離れた場所に存在したヒーロー。
悪に肉体を改造されたがその力を使い民衆を助け続けた風の戦士。
古代からよみがえり、邪悪な者たちを封印する凄まじき戦士。
科学の力を使い、人間の悪意に立ち向かった近未来の戦士。
そしてその意思を継いだ輝かしい後輩たち。
『お前はいつか、そんなヒーローになりなさい』
優しく語りかけてくれた陛下...いや、父上の昇る朝日よりも気高く、
眩しい想いを、俺が引き継ぎ後世に伝えていくんだ。
なってやるとも、ヒーローに。
弱きを助け、強きを挫く。そんな男に。
煌びやかな装飾が施された大きな扉を開け、陛下と謁見する。
黒に金の装飾が施された玉座に座していた。
その隣にはおいてなお、美貌を放ち続ける王妃。
持ち帰ったものが入った荷車を停車させ、お二方の前に傅く。
「オズ、只今帰還しました」
「お帰り、オズ」
「...よく帰ったな」
「まずは、此度の遠征の結果から。世界政府の非加盟国2か国を我が王国に迎え入れることとなりました。3週間後には訪れ、正式な署名を行うとのことです。それと、こちらは...」
「今回の遠征の成果かしら?」
王妃の視線と言葉に心臓がドキリと跳ねあがる。
やはり、少なすぎたか...
「ええ、そうです。これも私の実力が足りぬ故のこと。今回を糧とし、精進いたします。ですので...」
「いい、それ以上言うな」
「...申し訳ありません」
「なにを謝る必要がある。これもお前の成長のため。...励めよ」
「ありがたきお言葉!」
なんとか許しをいただけたらしい。
肝どころか全身を冷やした。
っと陛下が言葉を続ける。
「...悪魔と相乗りする勇気はあるか?」
「悪魔と相乗り...!」
視線の先には2つのうちの一つ。
緑のグルグル模様のメロンに赤のマフラーが巻き付いたような造形。
...そうか、そういうことか。
陛下は最初から俺がこの実を持ち帰ることを想定していたのか!
俺の成長とは、この実に宿った悪魔の力を使いヒーローとしての一歩を歩むこと。
この先一生悪魔の実のデメリットでカナヅチになったとしても、人々のために戦い続ける勇気があるかということ!
だったら、やってやる!
「それが、あなたの望むことなら。それで、今も苦しむ命救えるのなら。私は、悪魔とだって相乗りして見せます。だから...どうか...ご照覧あれ!俺の変身!」
果実にかぶりつき、そのまま飲み込む。
口いっぱいに広がる不味さ。
吐き出したい。このまま逃げ出し、すべてを投げだしたい。
でも、それができない人がいる。
力がなくとも、誰かを守ろうとする人がいる。
おい、俺。ヒーローなんだろ!
「...俺は、ヒーローだ!!」
瞬間、腰にベルトが巻き付き、俺の頭上で嵐が響く。
「変身」
突風が吹き荒れ、雷が俺の全身に駆け巡る。
全身から湧き出る力、誰かを助けたいという想い。
俺は今日から、ヒーローだ。
-父親の苦悩-
たしけて。
息子にヒーロー話を聞かせていたら、なんかえげつないものになりました。
最初こそ『俺、みんなを助けたい!』だったのが
今では『どけ、俺はヒーローだぞ!』的な感じになっていた。
昔はあんなにかわいかったのになんでこんなヒーロー狂いに...
遠征では戦争終わらせて国を数個持って帰ってくるし、財宝もたんまり...
俺はちょっと外の世界見て国政とか民衆とか学んできてねーって感じのニュアンスなのに。
「あなた、そろそろ...」
「俺も、もうどうすりゃいいかわかんねえよ」
「ですよねー」
ちくしょー、可愛い嫁さん貰って権力で国作って、適当に原作に介入しただけなのに。
どうして一番安心していいはずの息子が、一番の強敵になってんだ。
『失礼いたします』
やべ、帰ってきた。
別にいらない宝と悪魔の実を引っ提げて、息子が帰還。
お前遠征行くたびに持って帰ってきてるけどそれ何かわかってんのか?
1個で50億するもんとか中にある神秘物やぞ。
そんなもん毎回持って帰ってきてんじゃねえよ、それを海軍とかに売っぱらってる
こっちの身にもなれやボケ。
貴様のせいで、周りから俺がどんな評価されてると思う?
『世界の転覆を目論む、最強の王』やぞ。
お父さん、恥ずかしくて外出歩けないよ。
「オズ、只今帰還しました」
「お帰り、オズ」
「...よく帰ったな」
ほんと、お帰り。
あー、冗談を言い合うような温かい家庭作りたかったなー。
「まずは、此度の遠征の結果から。世界政府の非加盟国2か国を我が王国に迎え入れることとなりました。3週間後には訪れ、正式な署名を行うとのことです。それと、こちらは...」
やばい、自分の知らないところでどんどん戦力が上がっていく。
苦しんでる国があれば適当にうちに引き入れてもいいよ、とは言ったけどね。
「今回の遠征の成果かしら?」
「ええ、そうです。これも私の実力が足りぬ故のこと。今回を糧とし、精進いたします。ですので...」
クッ、やはり少ないか。みたいな顔すんな、やめろ。
お願いだからうちの国をこれ以上強くしないでくれ。
「いい、それ以上言うな」
「...申し訳ありません」
「なにを謝る必要がある。これもお前の成長のため。...励めよ」
あー、やばい。それっぽいこと言って流したけど絶対これ次の倍以上になるやん。
「ありがたきお言葉!」
うるせえよ。黙れ、可愛い息子。
しっかし、随分と面白い柄のものを持って帰って来たな。
Wを思い出す。そうそうWといえば
「...悪魔と相乗りする勇気はあるか?」
「悪魔と相乗り...!」
やべ、声に出た。
しかもなんか変にキマった顔しだした。
俺、なんかやっちゃいました?
「それが、あなたの望むことなら。それで、今も苦しむ命救えるのなら。私は、悪魔とだって相乗りして見せます。だから...どうか...ご照覧あれ!俺の変身!」
こっわ、なんだこいつ。急にキマって変なこと言いだしたぞ。
俺の望みはお前がおとなしくしてくれることだ。頼む。
そんな望み敵わず、息子は悪魔の実にかじりついた。
となりを見てみると可愛いうちの嫁がフリーズしていた。
ここだけ重加速かな?
部屋の中で嵐が響く。
あー、もうめちゃくちゃやんけ。
うわすっごい、カーテンとか凄いことなってる。
窓も割れて、扉もボロボロだよ、どうしてくれんだ。
「...俺は、ヒーローだ!!」
知らねえよ。
「変身」
うわよく見たら腰にベルトついてる。かっこよ。
すがたもだんだん変わって...
え、なんか覚悟のススメと1号を合体させたみたいな見た目になった!
すっげ、お前!
「...では失礼しました」
え?変身したまま帰っていくの?
大丈夫、家臣ビックリしない?
俺はもうついていけない。
すぐにベッドでグッナイ。
「なあ...」
「はい」
「なにがどうしてああなった?」
「...昔から思い込みが激しいところがありますから」
「もうそれじゃすまなくね?」
「草」
「なにわろとんねん」