彼はぎりぎりの瞬間に目覚めた。
そして自身が生まれ変わった事を知る。
彼は自分にできる事を、出来る限りやろうと決心した。
そう、今生の彼の名はDr.ヘル。
悪逆非道のボス敵であった。

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ちょっとリハビリ作品として、短編を書いてみました。
思い付きだけで書いたので、完成度は低いかと思います。
もしかしたら、後日書き直すかも……。


さらばDr.ヘル

 そのとき兜甲児は、唖然(あぜん)とした。いや、甲児だけではない。剣鉄也も兜シローも、ボス、ヌケ、ムチャさえもが本気で己が目を疑った。地球連邦軍外郭(がいかく)団体ロンド・ベル隊に参加、協力しているマジンガーチームの面々に取って、それは自身の正気を疑う様な出来事であったのだ。

 

 まあ、当然の事ながらロンド・ベル隊の他の面々、たとえば真ゲッターロボや真ドラゴンを駆るゲッターチームの面々、コンバトラーVを操るバトル・チームの面々、ライディーンを操縦するひびき洸やコープランダー隊などにとっては、そこまで衝撃的な出来事ではない。せいぜいが『意外だ』程度だろう。

 しかしながら、マジンガーに関わる者たちにとっては、あまりにも驚天動地の出来事であった。

 

 何が起きたかと言うと……。あしゅら男爵操る機械獣アシュラーP1と、ブロッケン伯爵駆る機械獣ブロッケーンT9が、ミケーネ帝国が滅んだ後もしぶとく生きのびていた地獄大元帥……Dr.ヘルに向かい、全開の火力を送り込んでいたのだ。

 これは謀反(むほん)である。しかもロンド・ベル隊ことにマジンガーチームにしぶとく、しぶとく、それこそしつこい程にしぶとく敵対してきたDr.ヘル一派内部における、いまさらの謀反(むほん)であった。

 

 

『おのれおのれ、あしゅら男爵! ブロッケン伯爵! この裏切り者めが!』

『『もはや貴方には、ついていけませぬ! Dr.ヘル!』』

『せめて我らの手で、その最期(さいご)を飾ってさしあげましょうぞ!』

『うぉのれえええぇぇぇ!!』

 

 

 マジンカイザーの甲児、グレートマジンガーの鉄也、マジンガーZのシロー、ダイアナンAのさやか、ビューナスAのジュン、ボスボロットのボス、ヌケ、ムチャも、目の前で繰り広げられる殺し合いに、今このときひたすらに驚くばかりである。これまでDr.ヘルにひたすらに忠実であった、あしゅら男爵とブロッケン伯爵が、裏切ったのだ。

 2体の操縦タイプ機械獣は、Dr.ヘルの根拠地であったバードス島本部基地の上に立ちはだかる、地獄大元帥に向かって全力で攻撃している。それはあまりに無慈悲なほどに、強烈な攻撃であった。

 

 

『な、何が起こってるってんだ……』

『あしゅら男爵とブロッケン伯爵が、裏切ったってことよね……?』

『……甲児君、だがある意味でチャンスだ。何があったかは知らんが、まずは今ここでDr.ヘルを討つ!』

『……ああ! わかったぜ鉄也さん!』

 

 

 甲児のマジンカイザーと鉄也のグレートマジンガーが、気を取り直して地獄大元帥への攻撃を開始した。それに引き続き、シローのマジンガーZを始めとした仲間達も、更にはロンド・ベル隊の他のスーパーロボットやMS他のメカたちもまた、その攻撃に加わる。

 

 ……そしてついに最後の時が来た。

 

 

『これでとどめだ!』

『トリプルバーニング……』

『ファイヤー!!』

『ぐおおおぉぉぉ!? おのれマジンガー、おのれ兜一族とその養い子どもめが!! ぐ、ぐわあああぁぁぁ!!』

 

 

 甲児駆るマジンカイザーのファイヤーブラスター、鉄也操るグレートマジンガーのブレストバーン、シローが操縦するマジンガーZのブレストファイヤーが、一斉に地獄大元帥に叩き込まれた。灼熱(しゃくねつ)し、融解(ゆうかい)し、そして地獄大元帥は大爆発を起こす。

 次の瞬間、バードス島本部基地の反応炉に火が回り、バードス島そのものが連鎖的な爆発を起こし始めた。

 

 

『『バードス島が……』』

『沈む……』

 

 

 そしてアシュラーP1とブロッケーンT9より、ロンド・ベル隊に向けて通信が入る。

 

 

『『こちら、あしゅら男爵……』』

『こちらはブロッケン伯爵だ』

『『我ら両名は、お前たちロンド・ベル隊及び地球連邦軍に対し、降伏し投降する』』

 

 

 それに対し、鉄也が辛辣(しんらつ)な声で語る。

 

 

『それを素直に信じられると思うのか? これまで貴様らが、似たようなだまし討ちをした例は、多々あるのを忘れたか?』

『『……そうだな、我らは確かに今まで手段を選ばず、悪逆(あくぎゃく)の限りを尽くして来た』』

『なれどソレは、ワシらの支配者であったDr.ヘルの命であったためだ。それを勘案(かんあん)してほしいものだな』

『悪いのはすべてDr.ヘル、か? 都合がいいもんだな』

 

 

 ブロッケン伯爵が、苦い物をにじませた声で答える。

 

 

『たしかにその通りだ……。なれど、是が非でも我らの投降を受け入れてもらいたい。地球連邦軍の勝利のために、な』

『どういう事、だ?』

『ワシらの拠点は、ここバードス島だけではない。地球全土各地に、機械獣の製造プラントがある。そこの製造ラインのプログラムを変更すれば、地球連邦軍主力MSなどを自動で生産する事も可能。更に言えば、それらを生産するための資材などもたっぷりと貯蔵されておる』

『『『『『『!!』』』』』』

 

 

 通信スクリーン映像の中で、ブロッケン伯爵は自分の生首を持ちながら肩をすくめた。

 

 

『その設備のプロテクトを外すには、ワシかあしゅら男爵の生体コードが必要でな。これが連邦軍の手に入れば、連邦軍はあと十年は余裕で戦える。更に言うならば、Dr.ヘルの長年の研究データも引き渡す。これにより、おそらくは地球連邦軍の軍事技術はそれこそ十年は一足飛びに進歩するであろうて』

『ソレが手土産ってわけか……』

『そ……』

 

 

 ガシャン!!

 

 

 何か金属製のパネルを、素手で叩きつける音がした。全員の視線が、ブロッケン伯爵が映っている通信スクリーンのウィンドウから、別の通信スクリーンへと移る。そこには、あしゅら男爵が映っていた。

 あしゅら男爵は、憤怒(ふんぬ)と哀切と苦悩とが入り混じった表情で、血涙を滝の様に流していた。先ほどの音は、あしゅら男爵が機械獣アシュラーP1の操縦席パネルを、自身の激情のままに拳で殴りつけた音であった。ブロッケン伯爵が焦った声を上げる。

 

『あしゅら!!』

『『駄目だ……。駄目だ、ブロッケン!! このままこやつらが、何も知らずに……。Dr.ヘルの本意も知らずに、Dr.ヘルがどの様な思いで世界に牙を剥いたのかも知らずに!! Dr.ヘルの功績も!! そのゆるぎなき愛も!! 埋もれてしまうなど、我慢ならんのだブロッケン!!』』

『あしゅら!! だ、だがそれは!!』

『あしゅら男爵! そりゃどういう事だ!!』

 

 

 甲児が叫ぶ。その表情は、内心の混乱を如実に醸しだしていた。あしゅら男爵は、語り出す。その視線は爆発を繰り返し、消滅しつつあるバードス島を見つめていた。

 

 

『『兜甲児……。あれはお前がはじめてマジンガーZに乗った、あの日の事だった……』』

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 薄暗いバードス島の指令室で、Dr.ヘルはハッと正気づいた。目の前には巨大な映像スクリーン。そしてそれには、右半身が白塗りの女、左半身が浅黒い男という左右非対称な不気味な人物が、大写しになっている。まぎれもない、あしゅら男爵だ。

 

 

(ちょ、ちょっと待ってくれ。何が起きた? ええと、わしはDr.ヘルで、今通信中なのが、あしゅら男爵!? ってソレってアニメか漫画か知らんが『マジンガーZ』!?

 って、わしがDr.ヘル!? あ、え、なにソレ!? い、いや落ち着け。よし、落ち着いたのう。さすがは、わし。天才的頭脳を持っておるだけの事はあるわ)

『『Dr.ヘル? いかがなさいましたか?』』

「あ、いや大事無い。少し床の凹凸(おうとつ)(つまづ)いただけの事。気にせんでよい」

『『そうでございましたか』』

 

 

 Dr.ヘル、というかソレに宿った精神は、Dr.ヘルの超天才的な頭脳を使って必死に考える。

 

 

(わしの過去の経験は、全てわし自身の事として実感がある。わしがDr.ヘルに憑依したわけではなく、これは転生と言うべき現象じゃな。そして今この瞬間、前世の人格が蘇った、というわけか。

 いや、できるならもっと若いうちに覚醒したかったのう。というか、兜十蔵と決裂する前に……。いや、今からでも間に合うか? わしの記憶では、まだあしゅら男爵は兜十蔵殺害計画を実施してはおらぬわ)

『『Dr.ヘル、ただいまより兜十蔵博士の自宅に、攻撃を開始いたします』』

(って、ちょっと待て!!)

 

 

 そしてDr.ヘルは叫んだ。

 

 

「いや待て、待つのじゃ、あしゅら男爵!!」

『『ど、どうなさいましたかDr.ヘル?』』

(く、このままでは『マジンガーZ』本編へ突入してしまう! いや、駄目であろうそんなのは! ……うむ?)

 

 

 その時、Dr.ヘルは気付いた。この世界が『マジンガーZ』の世界ではない事を。

 

 

(え……? ちょっと待てい。わしの知識じゃと、この世界は……。え゛。サイド3のスペースコロニー国家がジオン公国を名乗って、地球連邦政府に対して不満をつのらせてッ!? と言うか、早乙女研究所がゲッター線研究ッ!? ガンダム、ゲッター、マジンガーのスパロボ御三家が揃ってやがるですかぁっ!?)

 

 

 そして、彼は理解してしまう。この世界が、トンデモないヤバい世界である事を。

 

 

(まずい……。この世界は、『マジンガーZ』じゃない。『スーパーロボット大戦』の世界じゃ。間違いないわい。あしゅら男爵に命じ、兜の殺害をやめさせて兜にワビをいれ、共同研究でミケーネ帝国に備えようかとか一瞬考えたが……)

 

 

 しかしDr.ヘルはその考えを捨てる。捨てざるを得ない。

 

 

(『スーパーロボット大戦』のどのシリーズだとしても、だ。マジンガー無しでどうにかなるか? ならん。黒鉄(くろがね)の城マジンガーZを始めとした、マジンガーシリーズ各機。それどころかボスボロットですらも無いと困る。わしはどうすれば……)

『『ど、Dr.ヘル?』』

 

 

 あしゅら男爵の声が通信で入って来る。何とはなしに頼りなげな声音だ。そのとき、待機させておいた鉄仮面軍団の1人が大慌てで入室して来た。

 

 

「し、失礼いたします、Dr.ヘル!」

『『なんだ貴様! 今は大事な作戦の実行直前だぞ!』』

「は、ははっ! もうしわけありません、あしゅら男爵! しかし、緊急のニュースが!」

「……よし、報告するがいい。何事か?」

 

 

 鉄仮面は、直立不動の姿勢で話し始める。

 

 

「はっ! ゲッター線研究をしていた早乙女研究所に、恐竜帝国を名乗る不逞の輩共が攻撃を開始いたしました! また同じく妖魔帝国を名乗る武装集団と思しき者どもが、海上都市ムトロポリスに襲撃を開始! また南原コネクションも攻撃を受けている模様ですが、何やらバカげたことですが敵は異星人ではないかという話で……。また他にも各地の研究所の類が、攻撃を受けており……」

「なんじゃと!!」

『『ど、Dr.ヘル!? いかがなされましたか!』』

 

 

 そしてその瞬間、Dr.ヘルの頭の中で閃きが走り、その恐るべき頭脳は一瞬にして結論と、そして決意を確立させた。

 

 

「……あしゅら男爵よ。兜十蔵の自宅を攻撃せよ」

『『は、ははっ!』』

「ただし!!」

『『は?』』

 

 

 Dr.ヘルの両目が吊り上がる。

 

 

「ただし、万が一にも兜やその家族を殺してはならん! 兜十蔵については、最悪でちょっとした重傷程度で抑えろ! 兜の孫、兜甲児と兜シローについては少々脅かす程度で傷一つつけてもならんぞ! ただし、こちらが手加減している事を奴らに感づかれるな!」

『『は、ははっ! 了解いたしました! な、なれどどういう……』』

「……それはあとで話してやる。今は兜家の襲撃、そして奴らに『脅威が迫っておること』を知らしめるのが先決だ」

『『は、ははっ!!』』

 

 

 あしゅら男爵はスクリーンの中で、深々と頭を下げた。

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 スクリーンの映像には、破壊された街並みの中に転がっている機械獣の残骸を、光子力研究所のロボットであるアフロダイAが片付けるのが映っている。それを眺めながらDr.ヘルは傍らに控えているあしゅら男爵と、そしてつい先ほど目覚めさせたばかりのブロッケン伯爵に語り掛ける。

 

「あしゅら男爵、ご苦労であったな。そしてブロッケン伯爵、予定よりも貴様を早く目覚めさせることになったが、身体に不具合は無いかの?」

「「ははっ、もったいないお言葉です!」」

「我が身体はDr.ヘルに調整していただいた物、不具合などあろうはずもございませぬ!」

「そうか……」

 

 

 と、唐突にあしゅら男爵が地に額をつけるほどに頭を下げ、いきなり許しを請い始める。

 

 

「「Dr.ヘル! 申し訳ございません! せっかくお預かりした機械獣5体を、全て喪失いたしました事、まっこと……」」

「……あしゅら男爵、初陣で機械獣5体の損失だと? なんと無様……」

「よい。やめよブロッケン。此度のあしゅらの成果は、完璧だ」

「「「は?」」」

 

 

 あしゅら男爵も、それに嫌味を言いかけたブロッケン伯爵も、唖然とした顔を見せる。Dr.ヘルはそれに対し、背を向けて立つと問い掛けた。

 

 

「……我らの目的は、何か? あしゅら男爵」

「「はっ、それは世界征服にございます!」」

「うむ……。貴様にはそう言っておったな。だがな?」

「「は?」」

 

 

 そしてDr.ヘルは深々と溜息を吐く。

 

 

「ではブロッケン伯爵。『世界征服をする目的』は何か?」

「そ、それは……?」

「わからぬか。では、あしゅら男爵はどうだ?」

「「も、申し訳ありませんDr.ヘル。わたくしの拙い頭脳では、わかりかねます……」」

 

 

 Dr.ヘルは、振り向く。その目が、らんらんと輝いた。

 

 

「それはの? 世界を、地球を、守るため、よ。この地球は、狙われておる。地球勢力内部の非人類勢力たる恐竜帝国! 百鬼帝国! ミケーネ帝国! 妖魔帝国! そして地球外の宇宙人ども、キャンベル星人! ボアザン星人! バーム星人! 異次元のムゲ帝国などなど、敵は両手の指でも数え切れぬわ!」

「「「!!」」」

「で、あるのにだ! 地球人類はこのような危機にあって、1つにまとまる事すらできておらぬのだ! 卑近なところでは、スペースコロニー勢力スペースノイドたちと自称エリートのアースノイドの(いさか)い! おそらくは来年早々にもサイド3ジオン公国は、地球連邦政府に宣戦を布告するであろう! 他にも様々なテロ組織なりなんなりが、牙を研ぎ澄ませておる! ふ、まあそのうち1つが我々なのだがな」

 

 

 あしゅら男爵とブロッケン伯爵は、言葉も無い。Dr.ヘルは話を続ける。

 

 

「わしはこのバードス島で機械獣軍団とその製造プラントを発見したとき、歓喜した。それはこの力があれば世界を征服し、地球圏を1つにまとめて、非人類勢力や外宇宙からの侵略者に立ち向かう事が叶うと……。そう思ったからじゃ。

 わしは、世界を、地球を、愛している。故に人類の力を無理やりにでも1つにまとめ、侵略者に叩きつけ、地球を、世界を、人類を救わんと願った……」

「「おお!!」」

「なんと……。なんたる大いなる慈悲、なんたる慈愛!!」

「なれど……」

 

 

 Dr.ヘルは大きく肩を落とす。

 

 

「なれど、我らは間に合わなかった。ようやくの事で機械獣の製造を自在にできる目途がつき、いよいよ世界征服を開始せんとしたその瞬間……。既に恐竜帝国やキャンベル星人、その他の敵勢力が動き出してしまった……。今からでは、地球征服の作戦はとうてい間に合わぬ」

「「ど、Dr.ヘル……」」

「そ、それでは我々は……」

「そしてわしは決めた。見たであろう、ブロッケン伯爵。直接戦って感じたであろう、あしゅら男爵。あの黒鉄(くろがね)の城『マジンガーZ』を! その強さを!

 地球を征服して全人類の力をまとめる作戦よりも、成功率は残念ながら低い。なれど、その辺は今後計画遂行(すいこう)を微修正することで、なんとかする。あしゅらよ! ブロッケンよ! わしは『マジンガーZ』を、そのパイロット『兜甲児』を、育てるぞ! 奴らの敵となりて、強すぎもせず、弱すぎもしないちょうど良い負荷となりて、奴の成長を最高効率に保つのだ!!」

 

 

 その言葉に、あしゅら男爵とブロッケン伯爵は驚愕する。そしてDr.ヘルは続ける。

 

 

「更には多くの侵略勢力に対しては、本気で機械獣をけしかけて足を引っ張ってくれるわ。そうしてマジンガーZ、いやそれだけではない。マジンガーZに(くみ)する有望な戦士たちを精強に育て上げる。彼奴等が侵略者どもを討ち果たす剣となる事を願ってな」

「「「Dr.ヘル、それでは……」」」

「そして今のうちに、貴様らに命令しておくぞ。最後にわしを裏切れ」

「「「!!」」」

 

 

 清々(すがすが)しい優しい笑みを浮かべて、Dr.ヘルは語る。

 

 

「悪逆非道なわしを倒し、奴らに帰順するのじゃ。そしてわしの願いを背負って、今度は表から地球人類を侵略者から護り抜く、その一助となるのじゃ」

「「「ど、どくたぁ……Dr.ヘル!! Dr.ヘルに栄光あれ!!」」」

 

 

 あしゅら男爵とブロッケン伯爵は、そのままうずくまって泣き続けたのである。

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 Dr.ヘルは思う。

 

 

(……いや、この歳になるまでけっこう好き放題やって来たしのう。こんな厄ジジイは死んでおくべきじゃろて。転生じゃなく憑依じゃったら、そうは思えなんだろうがの。それにマジンガーZとかガンダムとかゲッターロボとか、わし大好きじゃったからの。わしが友好的態度取って早期リタイアしたら、経験値減っちゃってゲームオーバーになるかも知れんし。

 いや本音を言えば生きてリタイアしたいがの。死ぬのはちょっと怖い。けれど……。前世の人格が蘇るのがもっと若い時期であったら、もっと色々できたんじゃが。はぁ……。この人生で好き放題やった分、地球人類に恩返しと罪滅ぼしじゃて。それに……。悪役は悪役として死んでおかねば、兜甲児らの心に負担になるじゃろうしなあ)

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 語り終えたあしゅら男爵に、甲児や鉄也、シロー、その他の正義の味方一同は言葉も無い。だが、誰かがゴクリと(つば)を飲みこむ音がする。そしてそれをきっかけにして、甲児が再起動した。

 

 

『な、なんだと!? Dr.ヘルは、それじゃあわざと俺たちを戦士として育てるために、悪役を演じていたってのか!?』

 

『『演じていた、のではない。本心から悪役になりきっておられたのだ。お前たちが正義の戦士として成長するためならば、あえて人々の犠牲も(かえり)みなかった』』

 

『……!! ば、バッキャロォ!! 他にいくらでも方法が……』

 

『『無かった!!』』

 

『な……』

 

 

 甲児の叫びを、あしゅら男爵の涙声が(さえぎ)る。あしゅら男爵は絶叫する。

 

 

『『あのお方は天才だぞ!? その天才が、他の方法では無理だと見(きわ)めをつけたのだ!! それを貴様程度の浅知恵で、ひっくりかえせるものか!! それを有象無象(うぞうむぞう)の頭脳が幾多も集まったとて、ひっくりかえせるものかぁっ!!』』

 

『……!!』

 

 

 そしてあしゅら男爵は、アシュラーP1を飛翔させる。ブロッケン伯爵が、呟く様に言った。

 

 

『逝く、のか』

 

『『ああ……。わたしは最後にDr.ヘルの命に逆らう。Dr.ヘルを裏切る。『Dr.ヘルを裏切れ』という命令を裏切る』』

 

『そうか……。ワシは最後まで、最期(さいご)まで、Dr.ヘルの命令を守る。さらばだ、あしゅら男爵。あとの事は任せておけい』

 

『『頼んだ、ブロッケン伯爵』』

 

 

 そしてアシュラーP1はブロッケーンT9が見守る中、爆発を繰り返すバードス島へと消えて行く。そして最後に、ひときわ大きな爆発が起きると、バードス島は消滅したのである。ブロッケン伯爵は、ぽつりと呟いた。

 

 

『馬鹿者めが……』

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 そしてロンド・ベル隊は快進撃を続けた。連邦軍も、機械獣プラントを再プログラミングして生産された量産機に機械獣用のAIを搭載した兵器で、防衛ラインを維持する。……Dr.ヘルの思惑通りに。しかしながらDr.ヘルの想いとは裏腹に、兜甲児たちの心にはひとかけらの苦悩が残り続けたと言う。




(オマケ)
こんなん考えてみました。



1:最終面近くのシナリオで、機械獣製造プラント(現量産MSプラント)を敵ラスボス陣営が攻撃。
2:守備隊を指揮していたブロッケーンT9、1ターン目冒頭のイベントでピンチに陥る。
3:1ターン目自軍フェイズ、マジンガーチームがロンド・ベル隊本隊に先行して救援に現れる。
4:3ターン目、敵軍フェイズに敵増援、イベントでマジンガーチームがピンチに。
5:4ターン目の自軍フェイズ、アシュラーP1が味方増援。
6:ブロッケン伯爵が生存の場合、あしゅら男爵とブロッケン伯爵のDVE。
  『生きておったのか!?』
  『『違う。生き返ったのだ』』
7:5ターン目の自軍フェイズ、INFINITY(Dr.ヘル搭乗)味方増援。ゴラーゴンによりマジンガーチームのHP最大回復。
8:シナリオ終了時、INFINITY(Dr.ヘル搭乗)、アシュラーP1、ブロッケーンT9が生存の場合、味方ユニットに登録。

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