これは、全ての海を開放したにもかかわらず、その力故恐れられる艦娘と。

永い間、人間と共に暮らし、暖かな声援を受けながら走り抜けるウマ娘の物語である。

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鳳翔改二が実装されたので初投稿です。

○○娘同士相性が良いと思った。
後悔はしていない。


光と影の娘達 ウマの少女と艦の少女

 こんにちは、皆さん!私、横須賀鎮守府所属の特型駆逐艦の吹雪と言います!深海棲艦から人間の皆さんを、ウマ娘の皆さん、日本を守るために、艦娘として最前線で今まで戦いました!

 司令官も良い人で指揮も上手で、色んな仲間に巡り合えました!

 

 辛い事もあったけど、泣きたい事もあったけど、諦めずに戦い

続けてついに海を深海棲艦から取り戻しました!

 これで私達も、司令官も胸を張って凱旋できる。この栄光を称えて司令官には勲章が贈られるという話を聞いて、嬉しくなったり。やっと平和になったと…………そう、思ったんです。

 

 日本に帰還した日、私達は頭に石を投げつけられました。ああ、無事でしたよ?私達は軍艦ですから。

 その時は良く居る“そういう”人だと思ってました。

 でも次の日私達は信じられないものを見ました。

 

『化け物』

『深海棲艦のスパイ』

『死んでしまえ』

『税金泥棒』

 

 鎮守府の正門にそう書かれていました。

 ニュースや新聞でも私達の事を化け物呼ばわり、ウマ娘でも敵わない艦娘は即刻処刑すべきだとか、艦娘の正体は実は深海棲艦でこの戦争はマッチポンプだとか……ニュースの中に私達の事に感謝しているものはどこにもありませんでした。

 

 自惚れではありませんが、感謝ぐらいしていいじゃないですか。

 日本を、世界を守るために、平和に暮らせるように死と隣合わせの中深海棲艦と戦ったのに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 海を取り戻すために頑張ったのに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なのに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうして私達を化け物呼ばわりするんですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 横須賀鎮守府の執務室、そこで艦娘を指揮する提督と今日の秘書艦である吹雪が執務をしていた。

 

「暑いですね~司令官」

「そうだな、一区切りついたしお茶でもするか?」

「良いんですか!?ぜひ!」

 

 提督と吹雪はテーブルに移動しお茶とお菓子を並べ、テレビをつけるとウマ娘のアナウンサーが映る。

 

『エルコンドルパサー、凱旋門賞へ!!』

 

 と、右上にテロップが出ている画面が映った。

 

『意気込みはどうでしょうか?』

『私が勝ちマス!』

 

「この人、金剛さんみたいな喋り方ですね~」

 

 テレビでインタビューを受けているエルコンドルパサーを見て、吹雪が呟く。

 

「たしかこの子エルコンドルパサーって言うんだったか、強いらしいね」

「知ってるんですか?」

「ああ、弟がトレーナーだからな」

「そうなんですか!?トレーナーの試験って難しいんですよね!?」

「おうよ、自慢の弟だ」

 

 提督は自慢気に言う。

 両親を深海棲艦の爆撃により失った彼、しばらく彼と弟の二人でバイトなどを掛け持ちして生活していると彼には自身に提督の素質があると分かり、すぐに海軍に入隊して提督となった。

 弟は深海棲艦が現れる前からウマ娘のトレーナーになりたいと言っていたので、彼は給金の殆どを弟の為に回していた。

 そして弟は見事にトレーナー試験に合格、トレーナー業を営んでおり、彼の自慢である。

 

「凱旋門賞って凄いんですかね?」

「ここまでメディアが推してるんだから凄いんじゃないか?」

 

 悲しいかな、二人とも凱旋門賞の凄さを理解出来なかった。日本にとって悲願である凱旋門賞であるが、ここは一般の世の中からは隔絶されている軍事基地。

 そもそも、深海棲艦の進攻によりウマ娘のレースは大幅縮小されていた、深海棲艦からすべての海域を解放したことによりレースが再開されたのは最近である。

 そんな中、提督の方は艦娘を指揮する為に毎日勉強をし、提督になったあとは日本を守るために寝る間も惜しんで艦娘を指揮していたためウマ娘のレースなど見る暇が無かった。

 吹雪達、艦娘は生まれたその日から深海棲艦との戦いを毎日のようにやっていたため、ウマ娘のレースを知っているのは少ない。そもそもこのテレビだって全海域開放後に買った代物である。つまり、彼らがレースの事など知る由も無いのだ。

 

「凱旋門賞があるレース場ってフランスじゃないですか!?」

 

 吹雪は自身のスマホを見ながら驚愕の声を上げる。

 

「そうみたいだ、全海域を解放したとはいえこのご時世に海外遠征はやめてほしいんだがなぁ…お陰で護衛の艦娘を派遣しなくてはならんくなった」

「ああ!この前リシュリューさん達が外に出てたのはそういうことだったんですね」

「うぅむ…鎮守府の戦力が削がれるし、はっきり言って迷惑だが今の海軍が海外遠征に口出しすればマスコミになんて言われるか、とりあえずこの遠征が終われば俺達の株も上がるだろうさ」

 

『次は現在問題になっている海軍についてです』

 

 二人の顔が険しくなる。

 

『海軍は戦争が終わり軍縮したとは言え、まだ沢山の兵器を持っているようです。その維持費用が国の負担になっています』

『未だに演習などをやっているようですね、音で市民は不安になっているみたいですし資源の無駄ではないでしょうか』

 

「(負担になっていることは分かっている…でも深海棲艦が駆逐されたとは思えない!すべての海は青に戻り、解放されたが未だにどこかで潜伏していてもおかしくないんだ…)」

 

 分かっている事だが悔しい、国民を守るためには金がいる。それが負担になることも分かっている。だがなぜこれで終わりだと思っているのか?地球の海はすべて青に戻ったがこのムードは危ない、そう提督は思っていた。

 

『提督達も危険ですよねぇ、艦娘達を使って反乱を起こすかもしれませんよ?軍事専門家の坂田さん、これについてどう思います?』

 

 軍事専門家とネームプレートに書いてある坂田という男がテレビに映る。

 

『私は、艦娘達や提督方はそんなことをしない、と考えています。確かにあの方達の持つ力は恐ろしいと思います、でも国を守ってくれたんですよ?そんな言い方はないと思います。』

 

『でもねぇ?ウマ娘ですら敵わない力だよ?すぐに逮捕したほうがいいんじゃないかな?』

 

 コメンテーターが分かったような顔をしながら口を開く、坂田という男は悔しそうに顔を歪ませる。

 

『もう海軍は解体して戦前の海上自衛隊に戻したほうがいいんじゃない?』

『艦娘なんて化け物が近くにいたらおちおち眠れませんよ~』

『提督達も権力を取り上げるべきですよね~、テロなんてされたらたまったものじゃありませんよ』

 

 やっぱそう簡単には世論は変わらないか、と提督は思考する。

 自分が悪しき様に言われるのは別に構わないが、艦娘達はそうではない見た目は麗しく、中には大人びた者も居るが、精神が幼い者も居る。

 戦艦や空母の艦娘達は成熟しているが駆逐艦などは精神の幼さが顕著だ。

 

「なんでですか!!!」

 

「吹雪、落ち着け」

 

 吹雪は憤怒の形相で立ち上がる。

 

「私達あんなに頑張ったのに!!なんでこんなに言われなきゃならないんですか!?自分たちは何もしなかったくせに!司令官の苦労も知らずに!命の危機に晒されても指揮を執ったのに!!」

 

「吹雪」

 

「人間やウマ娘の方が化け物じゃないですか!こんなことになるならこの国なんて「吹雪ッッ!!」……っ!」

 

 吹雪は自分のしかけた発言を後悔する。

 国を守る軍人として艦娘として言ってはならない事を言いかけてしまった。

 

「大丈夫だ、急に現れた平穏で皆困惑しているんだ。もう少し経てば元に戻るさ」

 

 提督は吹雪を抱きしめながらそう言う。

 

「それに皆が皆ああではないさ、那珂のファン達や良く買い出しに行く商店街の人々、漁業関係者の方々は俺達を信頼してくれている、それに陛下がわざわざ鎮守府までおいでくださって慰労されたじゃないか、俺はそれだけでも十分だよ」

 

 提督は抱きしめながら吹雪の頭をなでる、その顔はどこか嬉しそうだった。こんなにも他人のために怒れる少女が化け物のはずがない、彼女もまた人間なのだと提督は思った。

 ひと昔前の海軍の如く、艦娘善性論と艦娘悪性論に分かれている世間だが、海軍が艦娘善性論で一致団結したように世間をそうなる事をねがっている。

 ふと、提督が窓の外を見ると、遠征していた部隊が帰還していた。彼は艦娘達が無事に帰ってきた事に安堵し、吹雪の気分転換を兼ねて迎えに行くことに決める。

 

「吹雪、遠征部隊が帰ってきたようだ。一緒に迎えに行こう」

 

 彼の胸に顔を埋めていた吹雪は涙を拭った。

 

「はい司令官!いきましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここはトレセン学園。艦娘が住む鎮守府に負けず劣らずの美少女であるウマ娘達が住む場所であるが軍事組織である鎮守府とは真反対の学び舎である。

 クラスメイトと切磋琢磨しトレーニングに励み、レースへ向かって努力する姿は人々を魅了してやまない。時には泣き、時には笑い、人生を駆け巡る彼女たちは今日も平和な日々を過ごしていく。

 

「レースも再開し、学園の皆に活気が戻った、嬉しい事だ」

 

 トレセン学園の生徒会長であるシンボリルドルフは窓の外の大きな入道雲が目立つ青空を見ながら呟く。

 

「海軍の方々には感謝してもしきれないな、エアグルーヴ」

「ええ、深海棲艦との戦いで多くの人が亡くなったと聞いています」

「海軍や艦娘のお陰でこの生活がある事を忘れてはいけないな」

 

 シンボリルドルフのその言葉に生徒会副会長であるエアグルーヴは頷く。

 

「だからこそ、今の状況には不快感しかない」

 

 シンボリルドルフは悔しそうに顔を歪める。

 彼女は全てのウマ娘の幸福を理想としているが、深海棲艦の侵攻によりレースが縮小または中止され幸福とは言い難い状況に陥った。シンボリルドルフはその状況をどうにかしようとしたが、既存の兵器はほとんど効かない深海棲艦をたった一人のウマ娘にどうにかできるはずもなく、ただ見ているだけしか出来なかった。深海棲艦を倒そうとして自分だけで海に行こうとしてシンボリ家の人間に止められたのは昔の話である。

 

 そんな中現れた艦娘と提督。

 彼らは勇猛果敢で、怨念の塊とすら言える深海棲艦相手でも恐れず戦い、そしてついには赤く染まった海を取り戻し、地球上の全ての海を開放した。それからというものの深海棲艦の侵攻はパタリと止み、レースも再開された。

 

 つまり海軍はシンボリルドルフの理想を知らず知らずの内に手助けしていたのだ。

 

「彼らの事をもっと知ることができればな…」

「といっても軍隊ですからね…殆どが機密らしいです」

 

「それならこれを見たらいいんじゃないか?」

 

 もう一人の副会長であるナリタブライアンがシンボリルドルフとエアグルーヴにスマートフォンの画面を見せる。

 

『皆こんにちはー!!横須賀鎮守府所属、艦隊のアイドル那珂ちゃんだよー!!』

 

 ・うおー!なかちゃーん!!

 ・こんにちはー!!

 

 

「……なんだこれは?」

 

 エアグルーヴは画面内の謎の少女のテンションに気圧され、ナリタブライアンを訝しげに見る。

 

「『那珂ちゃん☆チャンネル』だ、画面に映っているのは艦娘の那珂という人らしい。広報官もかねて配信をしているようだ」

 

「こ、こんな少女が艦娘!?私達と変わらないじゃないか!?」

 

 画面に映っている可憐な少女が、あの恐ろしい深海棲艦と戦う艦娘という事に驚くシンボリルドルフ。

 エアグルーヴも目を見開き驚いていた。

 

「私も驚いたさ…でも嘘じゃないらしい」

 

『今日の那珂ちゃんは、アイドルとしてじゃなく、海軍軍人としての広報活動をやるよー!』

 

 ・広報活動?

 ・そっか那珂ちゃんって艦娘だもんな

 ・アイドル以前に海軍の人だもんな、そりゃそうか

 

『今日は深海棲艦とその対処法についてお話しまーす!!深海棲艦の画像が出るから注意してね?』

 

 那珂がそういうと配信画面に深海棲艦の画像が表示される。所謂『駆逐イ級』の画像である、駆逐イ級は写真越しでも此方を射殺さんと砲を向けている。

 

「ヒッ…」

 

 エアグルーヴが声にならない悲鳴をあげる。

 

 ・これが深海棲艦…

 ・こいつだ!こいつに俺の親父は殺された!

 ・ト、トラウマが

 ・ぎゃぁぁぁあ!

 

 配信のコメント欄も阿鼻叫喚である。

 

 

「この画像に映っているのが深海棲艦…」

「恐ろしいな…」

 

 シンボリルドルフとナリタブライアンも、外面に出さないだけで内心大変恐怖していた。写真だけでもこんなに恐ろしいのに、実際に海で出会ったらと考えると体が竦んでしまう。

 よくこのような存在の前に立って戦えると思う、ほとほと艦娘は凄い存在だ。

 

 

 この後、生徒会の三人は那珂による深海棲艦を見つけた時の対処法やその際の海軍への連絡方法、深海棲艦の爆撃にあったときの安全確保の方法などを視聴し、解散となった。




◆艦娘

 全海域開放後、ウマ娘ですら敵わない力の強さや艤装を扱える能力が災いし国民から恐れられている。彼女らを指揮する提督も一緒。
 彼女達は現れるタイミングが悪かった。深海棲艦の出現後に現れたため市民からはマッチポンプを疑われている。
 恐れられ、心無い言葉を浴びせられ、化け物と蔑まれる彼女達はいつか分かってくれると信じて今日も海の平和を守る。


◆ウマ娘

 深海棲艦の侵攻によりレースが縮小または停止されていたが、地球上全ての海が解放され再開し充実した生活を送っている。人間達と長年連れ添って来たので信頼されてるし、恐れられることなんてない。良かったね、沢山の観客に見守られながらレースが出来て。
 忘れてはならない。彼女たちの幸せな生活は決死の思いで身を捧げた者達あっての生活だと言うことを。




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