純粋で最強な九尾ちゃんと怯える飼い主   作:臆病者の呪術師

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これ書いてる時点で300超えました。恐ろしいスピードでお気に入りが増えて行って嬉しい悲鳴とプレッシャーが凄い。

感想くれると励みになるのでいっぱい下さい!下さい!!

そして今回は半分はギャグです。

もう半分はガッツリシリアスしているので温度差にお気をつけください

なお、本編との関係は全くございません。




お気に入り200件突破記念 もしもクラマが強かったら

 

その呪術師は強かった。

 

妖怪が現れたと聞けば、即座に大屋敷を飛び出して退治に向かい

 

日没前には帰って来る。

 

その呪術師はマッスルだった。

 

着込んでいる狩衣がはち切れそうな程にミッチミチに筋肉があった。

 

その呪術師の名はクラマ

 

パワーと呪術によって、大体の事を解決してしまう。

セイメイとはまた違った方面でぶっ飛んでいる呪術師だった。

 

 

 

 

 

 

 

「くっ、なんて数の妖…私一人では捌ききれない…!」

 

大量の妖を前に、その呪術師はジリ貧になっていた。

 

「しかし私も呪術師の端くれ、たとえ殲滅出来なかったとしても…ここは通さないっ!」

 

「その意気込み、呪術師として素晴らしい!僕も加勢しよう!」

 

「えっ?」

 

そんな呪術師の頭上から、何かが降って来た。

 

それは、筋肉だった。

とても頼れる、背中だった。

 

「今までよく耐えたね、ここから先は僕が助けよう」

 

「あ、あなたは…クラマ様!?」

 

「うん、その通りだよ」

 

そうやって喋るクラマの元へ妖が飛びかかる。

 

「クラマ様!妖が!」

 

その首に食らいつかんと飛びかかった妖は

 

「ん?邪魔だなぁ」

 

ぺちんっ

 

そんな、蚊を叩くような音と共に地面にめり込んで絶命した。

 

「えっ?」

 

『えっ…?』

 

その光景に、呪術師も他の妖も動きが止まる。

 

「妖怪は空気読まなかったりするもんね、仕方ない」

 

よっこらしょ、とクラマは拳を構えた。

 

「それじゃあ行くよ、気合いっ…一撃ぃ!」

 

ブォン!と風邪を切る音が響くと共に

 

『ぐわぁぁぁぁぁ!?』

 

妖怪達は宙を舞い

 

『ガバァッ!?』

 

そのまま地面に埋まった。

 

「こんなにかかってくれて助かるなぁ…滅っ!」

 

クラマが符を一枚使って呪術を唱える。

たったそれだけで大量に居たはずの妖達は

 

『ギェァァァァ!!!』

 

断末魔の叫び声をあげて、全て消え去った。

 

「あ、ありがとうございますクラマ様…っ…!」

 

感謝を述べた呪術師は、ズキリと痛む足を庇う。

 

「ん?怪我してるのかい?」

 

「い、いえ…お気になさらず!私の事は良いので他の人の元へお願いします!」

 

「怪我はどんなものであれ見過ごせないな、よし」

 

そう言ってクラマは呪術師を抱える

 

「えっ?」

 

「全力疾走で大屋敷へ戻ろう、君の怪我が心配だ」

 

「いえいえ!私の事は良いので…!」

 

ふるふると首を振って遠慮する呪術師にクラマは告げる。

 

「大丈夫さ!ここからなら15分もあれば辿り着ける!」

 

そう言ってクラマは走り出した

 

「あぁぁぁぁ…!!」

 

そしてクラマに運ばれる呪術師の声が、その場にこだましたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって、大社。セイメイとドーマンが住み、書類と毎日格闘し、ついでに脱走をするセイメイをドーマンが捕まえる事が日常な場所。

 

そこで今日も捕まったセイメイは不満な顔をしながら書類を書いていた。

 

「もう1000年も書いてきたから飽きてきたんだけど」

 

「貴様が作った組織だろう、責任くらいは背負え」

 

「後任が見つからないんですー!私だってねぇ!本当は150年くらいしたら後任も出来るだろうと計画してたのに!いつまで経っても私と同じ技量の呪術師が生まれないじゃないかぁぁ!」

 

筆を投げ捨て…床に寝っ転がり疲れたんだ休みたいと駄々を捏ねるセイメイとそれを見てまたかと呆れるセイメイの式神達。

 

「しかし、クラマと言ったか?最近の若い者だが…技量、性格も申し分なし。お前の後任にぴったりだと思うが?」

 

ドーマンはそんな提案をセイメイにする。

その言葉を聞き、駄々を捏ねていたセイメイはすっと真面目な顔になり、ドーマンを見上げながら答えた。

 

「あの子はダメだ、あの子を後任には出来ない」

 

「何故だ?技量は私達に近く、性格も粗暴というわけでもあるまい」

 

「違うんだよ、ドーマン。私が言ってるのは強さとかそう言う問題じゃない」

 

そう言って立ち上がったセイメイはまっすぐとドーマンを見つめて言った。

 

「あの子は妖にとって極上の獲物なんだ、良くも悪くもね」

 

その言葉にドーマンは理解する

 

「…妖の成長を促すと言いたい訳だな」

 

「そうだね、今のあの子は余りにも大っぴらに活動し過ぎている。このまま行けば、封じられた妖も目覚めてしまうだろうしね」

 

「封印されていようと、感知してしまうという訳か…面倒な」

 

苦虫を噛み潰した顔でドーマンは思い返す。

ドーマンとセイメイが表立って活躍していた頃、まだ妖達は今よりも遥かに強かった。

 

何故なら、妖を率いる『強大な妖』がそこらじゅうにいて、更にそれを率いる『主』がいたからだ。

 

妖というのは肉体に縛られていない、精神がその妖の強さに直結する。

たとえ肉体が滅びたとしても、その妖に『次を望む意思』があれば時を経てまた蘇る。

 

そして、強大な力を持つ妖というのはその場に居るだけで、他の妖の精神を安定化させ更に強くさせてしまう。

 

こうして、呪術師が職として機能し新米や中堅がある程度生き残っているのも、セイメイとドーマンが活動していた頃に『間引き』をしていたからだ。

 

しかし、何故セイメイやドーマンほどの呪術師がそんな存在するだけでヤバい妖達を滅する事をせずに封印したのか?

 

それは滅してしまえば長い年月を経て復活してしまうからだ。多少の弱体化はするが、元々が強い存在な為に太刀打ち出来る呪術師はセイメイとドーマンが知っている限りでも片手ほどになってしまう。

 

そんな奴らが封印されているとはいえ、『極上の獲物』を知ってしまえば無理矢理にでも封印を自力で解き始めるだろう。

 

「だから私はあの子を後任には出来ない、あの子には一生『そこそこ強い呪術師』に留まってもらう必要がある」

 

「しかし、仮にクラマが各地で暴れ回り封印された妖怪達が復活したとしても問題はあるまい?」

 

そう言って笑うドーマンにセイメイも笑いかける

 

「当たり前だろう?私と君で勝てない存在なんて、この世界には居ない…正確に言えば『まだ来ていない』が正しいね」

 

「ココと異なる世界でも夢に見たか?セイメイ」

 

ドーマンの指摘に、セイメイは苦笑いする。

 

「あいにくね、夢に見てしまったよ…やれやれ『百鬼夜行の主』が蘇るなんて夢見が悪過ぎる」

 

放り捨てた筆を持ち直して、セイメイは呟いた。

 

「強さには責任と…宿命がついて回るものだ。……君は私達と同じ『世界を見つめる者』になるか、はたまた…私達の知らない道へ行くか……見させてもらおうかな…クラマ」

 

そう言ってセイメイは空を見つめた。

 

「空を見てないで書類を終わらせろ、セイメイ」

 

その一言で空気は軟化する。

 

「やだぁぁぁ!もう式神に任せて休むんだぁぁぁ!」

 

「あー、分かった分かった。酒を飲みに行こう、だからこの場でそんな物騒な札を出すな」

 

半泣きのまま、セイメイはドス黒い札を懐から取り出していた。

しかしその話を聞けばサッと仕舞い

 

「流石ドーマン!分かってるじゃないか!」

 

キラキラとドーマンを眩しい笑顔で見つめる。

 

「ならお代をそろそろ半々ではなく全額そちらが持って貰いたいものだな」

 

そんな笑顔を見て嫌そうな顔のまま、ドーマンは言い返す

 

「君と私の仲だから良いだろう!」

 

「何も良くないわ!!」

 

ギャァギャァと言い合いをしながら、セイメイとドーマンは行きつけの居酒屋へ向けて歩いて行く。

 

そんな二人をセイメイとドーマンの式神達は見送りながら、ため息を吐く

 

(この書類、二月も先の物なんだけどなぁ)

 

式神達はせっせと書類を仕舞い始めた。

 




百鬼夜行の主

セイメイとドーマンが表立って活動していた頃に現れた、『鬼の如き強さを持つ妖を率いる者』

死闘の果てに滅された主は、その危険性から魂魄をセイメイとドーマンによって細かくバラされた後に一つ一つ二度と復活出来ないようにと更に滅された。

しかし、たったひとつのカケラが何処かへと行ってしまった。

そのカケラは何処へ行ったのか?

それを知るすべはない

ただ一つ言えるのは

その主の強さは、セイメイとドーマンの二人を相手にして死闘をする事が出来るという証拠のみだ。
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