純粋で最強な九尾ちゃんと怯える飼い主   作:臆病者の呪術師

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後に名を付けられ、九尾へと至る。とある二匹の小狐の話

年末に書くお話、短いです。

こんな作品ですが来年も宜しくお願いします


お気に入り300件突破記念 とある二匹の小狐の話

とある山奥に、朽ちる寸前の社があった。

 

そこの神様は人々の為にと知恵を与え、力を与え、今はもう無い村を見守っていた。

 

しかし村人達はいつしか神様を忘れ、作物が育たぬとなれば早々に村を捨て何処へと行ってしまった。

 

社から離れられない神様は荒れ果て、朽ちていく村をただじっと見つめていた。

 

神様はその中で、自分という存在が薄くなるのを感じていた。

 

『このまま時が過ぎれば私は消えてしまう。力だけの存在になれば、私は人々の天災として力を振るうままの化け物になってしまう』

 

神様は人に忘れられようと村が朽ちようと、神様の矜持として人への災いにはなりたくなかった。

 

『私の持つ力を全て使って、子孫を作ろう。

だが最初から強力無比な力を振るえぬよう、制限を付けよう』

 

神様は自分の持つ力を使い、二匹の小狐を生み出した。

 

二匹の小狐は、社の神様を見つめる。

 

『私は、お前達の生みの親だ。だが…私はそろそろ朽ち果てる、お前達は私が化け物に堕ちない為に生み出しただけに過ぎない…故に、私はお前達が何をしようと許そう。妖を食って力を付けるのも良い、人に仕えるのも良い…お前達がのびのびと生きるのを、自然の中で見守ろう』

 

そう言い残すと、神様はサラサラと消えて行った。

 

二匹の小狐はお互いを見る。

 

そして、これからどうするべきかを考える

 

二匹は朽ちた社から離れ、草を分けて何処かへと歩き出した。

 

そしてそんな二匹が去って行くと共に、朽ちた社は崩れ去った。

 

 

二匹の小狐は生きる為にまず水を探した。

 

水と食料を探す、それが今の二匹にとっての最優先事項だった。

 

しかし、探し続けても見つからない。

 

そうして時間を浪費していけば、徐々に日は傾いて行く。

 

日が落ちれば妖怪が活発的になり、森の中を闊歩し始める。

 

二匹は妖怪達から逃げながら、必死に生きようとした。

 

そしてその繰り返しを三日した二匹は、疲れ果ててしまった。

 

ふらふらと身体は揺らぐ

 

力もそこまで入らず、二匹は倒れ込む。

 

致命傷はないにしても、妖怪から逃げようとして出来た細かな傷は多く、地面には血が染み込んでいた。

 

二匹は思う。

 

自分達は、ここで死ぬのかと

 

嫌だ、嫌だ、嫌だ。こんな所で死にたくない、死ねない。

 

そう思って立とうとするも、身体はぴくりとも動かない。

 

そんな二匹の元に影が差した。

 

それは一人の幼い人間だった。

 

二匹は死を悟る。

 

しかし、その人間は札を出すと何やら唱える。

 

二匹は吸い込まれる感覚を覚え、抵抗しようとしたが、そんな力は身体に残っていなかった。

 

そうして吸い込まれた二匹は、これからどうなるのかと不安になる。

 

しかし二匹の不安は当たらず、その幼い人間に世話をされ、生きる事になる。

 

そうして生かされた二匹は名を与えられた時に、一つの誓いを立てた。

 

『この救われた命、貴方の為に使います』

 

と

 

そうして誓った二匹の小狐は、様々な経験、死闘を経て九尾へと至る。

 

そしてその二匹は九尾に成ったその夜に、朽ち果てた社を訪れた。

 

朽ち果てた社はもうそこにはなく、ただ草が生い茂るのみ

 

辛うじて、社の土台だった石がそこにはあった。

 

「私達を生んでくれてありがとうございます、神様」

 

「生んでくれなかったら、私達はこんな幸せを得る事もなかった。ありがとう」

 

そう告げる二匹の頭をそよ風が優しく撫でる

まるで、成長した子を優しく撫でる親のような、そんなそよ風だった。

 

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