純粋で最強な九尾ちゃんと怯える飼い主 作:臆病者の呪術師
クラマは自室で痛みに悶えていた。
何せ四肢に大穴を開けられた上、妖から傷口を塞ぐだけしかされず更に術の発動で無理やりその大怪我した四肢を動かしたのだ。当然ながら怪我は余計に酷くなった。
「あ…ぐ…」
「あるじ様…!」
帰って来てすぐにキンコがクラマの異変に気付き、そのまま一晩中付きっきりで固有能力を使い傷が塞がったとはいえ痛みは残ったままだ。
少しでも動かせばズキリと痛みが走る。
それ故に、現在のクラマはキンコとギンコに付きっきりで看病されている病人だ。
しかもキンコの見立てでは後3日は動けないとの事、致命的過ぎる。
しかし、3日動けないとは言え仕事は割り振られる。
ただその仕事は向かった山の詳しい書類を作る事のみの為に、ギンコがクラマから聞きながら書き記したので、今日の昼には終わる。
そして、その書類が終わればクラマはフリーだ。
ただ身体をロクに動かせないので自由が殆どないが
ギンコが書類を書き終えるとほぼ同時に食事の時間になる。
するとキンコが座椅子を持ってきて、壊れ物を扱うように慎重にクラマを座椅子に座らせる。
「あるじ様、痛い所はありませんか?」
「ああ、大丈夫だ…」
クラマが座椅子に座るとほぼ同時にギンコが食事を持って来る。
「あるじは大怪我をした、沢山食べる必要がある」
そう言って置いた食事のラインナップ。
まず目に飛び込むのは焼かれた鯛だ、しかもそこそこな大きさでクラマ一人では全ての身を食べ切れない。
次に目に入ったのは炙られた鴨肉だ、しかもまるまる一匹を焼いてある為にこちらも大きい。そしてクラマは食べ切れる気がしない
残りはご飯に味噌汁、お漬け物だ。しかし量は普段より多い
どう考えても一人で食べ切れる量ではないそれらを見たクラマは、ギンコを見て言った。
「ギンコ、普段よりだいぶ…量が多くない?」
「…ん?量が多いのは普通、あるじはまずいっぱい食べるべき」
そう言って鯛の身をほぐして箸で摘むとクラマへ向ける。
「あるじ、あーん」
「え…?」
困惑するクラマへ、キンコが告げる。
「あるじ様は手を動かせません、ですので私達で食事の補助を」
「そういう事、だからあるじ…口開けて?」
「あ、あー…」
開けた口の中へひょいと鯛の身は入れられる。
咀嚼すれば確かに美味しい。
「ん、美味い…」
「よかったです、あるじ様」
「じゃあ、次行こう」
そう言ってキンコとギンコにあーんをされながら、クラマは食事を進めるも
「も、もう無理…」
四分の一程度でギブアップしてしまう。
「では、残りは私達が貰いますね」
ギンコが残った料理を下げ、キンコが尻尾でクラマを楽な姿勢になるように支える。
「これがあと3日続くのか…」
「はい、それまでは私達が付きっきりで看病しますので」
「あるじはしばらく、食べるのが仕事になる」
「……太りそう」
クラマは筋肉質とは呼ばないにしても締まってはいる体を見て呟いた。
そして三日後、無事に少しだけふっくらしてしまったクラマは
「筋肉を付け直さなくては…」
そう言ってキンコとギンコに見守られながら筋力トレーニングをし始めた。
クラマの筋力
片手でリンゴを握ってちょっぴり手の形が残る程度
脚力はあるが腕力が余りなく、接近戦ではだいぶ不利
しかし男がそんな事ではいけないと、パワー系呪術師に混ざって一緒にトレーニングをしていたりする。
しかし、ムサい空間な為にキンコとギンコは150m程離れて見守っている。
そしてトレーニングが終わった瞬間に周りの呪術師を妖術で吹き飛ばしてクラマを迎えに行く。
最近ではこの妖術に遠くまで飛ばされないようにとトレーニングをしているパワー系呪術師が増えている。