純粋で最強な九尾ちゃんと怯える飼い主   作:臆病者の呪術師

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更新が遅れてしまい申し訳ありません

ここ最近忙しくて書く暇が余りありません…次回は気長に待って頂けるの幸いです


都の異変

 

「はー…ここ最近妖怪が出て来ないな」

 

大屋敷で日向ぼっこをしながら、一人の男呪術師が呟く

 

「俺たちが祓いまくってビビってんじゃねぇか?」

 

その言葉を聞いたもう一人の男呪術師はケラケラと笑う

 

そんな二人の背後に立つ一人の陰

 

「貴方達がそんなに祓ってる訳ないでしょ、うちの大屋敷で一番祓ってるのはクラマ様とシュリ様じゃない!しかも殆どが放置したら危険な妖ばっかり…私達が適度な強さの妖祓えてるのもお二人のお陰なのに、貴方達は…!」

 

青筋を立てて拳を握り締めて振り下ろさんとする女呪術師に男二人は

 

「ヒィッ!?鬼女!」

 

「拳骨女じゃー!」

 

ビビリまくって逃げ出そうとした。

 

「誰が、鬼女に拳骨女だー!」

 

そう叫んで振るわれた拳は男達の脳天をぶっ叩いた。

 

「「いってぇぇぇ!?」」

 

男二人の悲鳴が大屋敷に響いた。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

場所は変わり、大屋敷にある大頭の部屋。

大屋敷の長である呪術師は、紙の束を読んで頭を悩ませていた。

 

「…都での行方不明の者の増加…だと?」

 

大頭である呪術師が悩んでいたのは、正確には行方不明者が増えた事ではない。

 

そもそも都と言っても、治安としてはまずまずで治安維持として主要な場所には兵の詰め所があり、兵が一定区画を定期的に巡視している。

 

もちろん、都の全てを兵が見て回っている訳ではない。

『色を売る店』や怪しい人物が商いをしている区画も存在しており、そこでは兵が居ないが、そこに住む人々によってある程度の治安は保たれている。

ただし、定期的に人が行方不明になるのが年間を通して数件は存在しているが

 

大頭も、そういう『暗い場所』で起きる不幸な事については黙認している。

…真に恐ろしいのは妖ではなく、人間なのだ。

 

しかし、それを含めたとしても

 

「……たったの三日で行方知れずの者が100人…更に何も痕跡がないとは」

 

そして行方不明になった者達を最後に見たという場所も点でバラバラ、更に老若男女関係なく行方不明になっており、その全員に何かしらの共通点がある訳でもなかった。

 

これを重く見た都が、呪術師へ助けを求めたという訳である。

 

「…しかし…な」

 

大頭はこの大屋敷にてこういう状況でも大丈夫な呪術師を思い出す。

 

始めにクラマ、九尾の式神を二体持ち、本人も失せ物探しは得意であるものの、未だに山での調査による傷が癒えておらず動く事が出来ない

 

次にシュリなのだが…生真面目な為に要請をすれば二つ返事で受けてくれるのは確実であるものの、もし都内で妖との戦闘になった場合、シュリと操る二体の鬼によって都が半壊するのを幻視した為に却下

 

そして、大頭はふと思い出す

 

「…そう言えば、最近入ってきた猫又の式神を扱う呪術師の子が居たな…」

 

彼なら大丈夫だろうと、念の為に彼よりも場数を踏んでいる呪術師を三人付けて行方不明者の捜索を命ずる書簡を大頭は書き始めた。

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

 

「ああ…良い良い…人の堕落した様を見るのは心地よいのぅ…」

 

都の影である区画にある『色の店』

その中で一人の女がクツクツと笑いながら、見つめていた

 

「ぁ…あぁ…」

 

「…ぅ…あ…?」

 

「あへ、あへへへ…」

 

だらしなく顔を緩ませて笑う男に、惚けた顔で手足をバタバタ揺らしている女、身体を小刻みにビクビク震わせている子供。

 

老若男女問わず、100人はくだらない人々が折り重なるように床に並べられていた

 

「攫い、幻術にかけ、徐々に堕落しながら、生命力を奪い取る…ふふふ…このような事が出来てしまうほど、あの方が言うように呪術師は腑抜けたようだのぅ…」

 

そう言って笑う女は、途端にスッと脳面のように顔から感情が消え失せる。

 

「しかし…しかしだ…この私が、こうして楽しみながら血肉を得られると言うのが、あの忌々しい狐どものお陰というのは腹が立つな…」

 

苛立つままに腕を振るえば、寝転がる人々の一部が爆ぜて辺りに血肉を撒き散らす。

その撒き散らされた血肉は、何処からか現れた狸達が喰らい啜られる。

しかしそんな状況であっても他の人々はただ虚空を見て声を出すのみ

 

「ああ、憎い、にくい! …だが利用出来るなら利用してやる。貴様ら狐妖怪どもは…いずれ我々に敗北するのだからなぁ…」

 

イラついているのか、変化が一部解け、タヌキの耳と尻尾が露わになる。

 

「あの方に気に入られていると笑う玉藻前とその配下どもに、その玉藻前が連れて来たよく分からぬ狐妖怪め…今に見ていろ…我らタヌキ妖怪が都を侵蝕し、力をつけあの方に気に入られ、そうなった時はお前達を滅ぼしてやるからなぁ!」

 

そのタヌキ妖怪はそう叫ぶと、寝転がる人々へ近寄り

 

「手始めだ…少しは減ったが…お前達を手駒に都を乗っ取ってやる…!」

 

そう言うと人々に手をかざす

 

「恐れろ人間、恐れよ呪術師!タヌキに化かされ一つの都が破滅する…その瞬間が楽しみだ…」

 

ニィィ…と口が裂けると思う程に口角を上げてそのタヌキ妖怪は笑う

 

そしてこの次の日

大屋敷に行方不明者達の『一部』が無事に帰ってきた事が知らされた。

 

 

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