純粋で最強な九尾ちゃんと怯える飼い主   作:臆病者の呪術師

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狸の化かし

 

「はい、分かりました!頑張って残りの方を探します!」

 

大頭に残りの行方不明者の捜索を頼まれた少年は元気に応えた。

 

「君はまだ入って一月も経っていない、念の為に熟練者の呪術師を三人付ける。異変を感じ己の手に余るのなら無理なく離脱せよ」

 

「はい!」

 

そう言って少年は都へ向けて飛び出し、三人の呪術師が腰を上げて後に続く。

 

 

そのまま都を歩き少しした時、少年は行方不明者リストを見ながらふと気付く

 

「そういえば、一部の方は帰って来たんですよね?」

 

「そうだな、何かされた痕跡はなかった。汚れひとつもないのが逆に不気味なくらいな」

 

「とりあえずその帰って来た方の所に行きましょう!何か知ってるかも」

 

そう言うと少年は走り出す、三人も慌てて後を追う

 

「まったく、子供は元気なものだのう」

 

「しかも、オレ達よりも足が速いと来る」

 

「この速さなら最悪あの子を逃すくらいはやれるだろう」

 

走りながら三人はさっと最悪の場合誰を逃すかを決める。

 

そのまま三人は少年を見失わないように後を追った。

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

 

都に立つ古めの平家に辿り着いた少年は戸を叩く

 

「すいませーん、呪術師です!お話を聞きたいのですが!」

 

しかし反応がなく、少年はおかしいなと怪しむ

 

「うん?おかしいな…戸は…あれ?開かない」

 

そうしていると三人が追いつく

 

「すいません、この戸が開きません」

 

少年が振り返ると同時に、戸がドロリと溶ける

 

「いかん!」

 

「うわっ!?」

 

三人のうちの一人が少年の襟を掴み引き戻す。

 

先程まで少年の居た地面に、鋭い爪による引っ掻き傷が現れる

 

「バカな、この大きさ…相当の化け狸か!」

 

「周囲警戒!既にここは狸の術の中と思え!」

 

三人は少年を囲むように立つと札を構える

 

「少年!自体は思ったよりも深刻だ、化け狸がこの都に巣食っている…奴らは『狸の呪』で人を化け狸(同じモノ)にさえ落とし込める。ここが化かされているのなら都の本元も危ういかもしれん、ワシらが道を開く、早く大頭に援軍を呼ぶように伝えよ!」

 

そう言うと共に放たれた札が辺りに業火を巻き起こす

 

そして空間がぐにゃりと歪み、子供一人が通れるほどの穴が現れる

 

「あそこが術の綻びか!行ってくれ少年!」

 

「うわっ!?」

 

一人に体を掴まれた少年は穴に向けて放り込まれる

 

「み、みなさん!?」

 

「安心しろ少年、ワシらはこれでも強い」

 

「走って援軍を呼んで来い、なぁに、この程度はオレたちで倒せるが、都の至る所がこうなら手が足りないからな」

 

「分かりました!」

 

少年がそう答えると共に穴は閉じた。

 

 

「さて、わざわざ人を逃すというのだから、ココに居るヤツは余裕がありそうじゃの」

 

「なぁに、向こうが術張ってんだ。さっさと術者の妖を殺して出るぞ」

 

「来るぞ…!……なっ!?貴様は!」

 

三人の前に現れた狸妖怪が手を上げれば、巨大な獣の腕が現れ

 

うざったい蚊を落とすように振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、急がないと!」

 

走る少年の視界の端では、至る所の家屋が燃え、泣き叫ぶ声、怒声が聞こえる

 

更にさっきまで見なかった狸達があちらこちらから現れて走り回っている。

 

飛びかかって来る狸を避けながら、少年は大屋敷に辿り着く。

 

「そ、そんな…!?」

 

しかし、目に飛び込んできたのは

 

 

火が燃え盛り崩れて行く大屋敷だった。

 

 

 

 

 

 

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